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三章 人魔戦線
二十五話 思惑とチュンチュン
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「ふへー、疲れた~」
レグルスがベッドに倒れ込む。
「冒険者学校ってこんな感じなんだな」
アスフェンもベッドに座り込む。
二人はその日のうちに合格が発表された。
そんなわけで次の日から授業に出ていたのだ。
「アリスのやつ、俺にばっかり話を振りやがる……!」
アリスとケラスターゼはゲスト講師として教鞭を取っている。
「ケラスターゼさん、魔剣使いだったんですね」
「あのデュラハンの剣のことかー」
「並大抵の人間じゃ魂喰われるほどの魔剣らしいですよ」
『魔剣は本来魔族だけが振るうことを許された剣だ。人間が振るうには魔王に見初められなければならないと聞いたことがある。俺が魔王を倒したとき、ケラスターゼは十歳位か?その時に魔王と接触していたのか?』
アスフェンが考え込む。
『そうだとしたら、ケラスターゼが魔王復活のカギを握っている可能性があるな。魔王の復活を目論む奴らの対象がケラスターゼに向いてもおかしくは無い』
「どうしたんですか?まさか、授業受けたくないなー、とか考えてます?」
「んなわけあるか。いや受けたくないけどさ」
アスフェンが寝転ぶ。
「明日は学校も休みらしいし、ゆっくりするか」
⭐⭐⭐
『じゃあ郊外にあるお城に行きましょうよ』
アスフェンとレグルスの会話が広間に響き渡る。
「お前を追い詰めたのはこいつらか?」
大柄な男が尋ねる。
「ええそうよ、ペルン。特にこの犬、絶対に許さない……!」
「ヨアン、この前みたいに正面から挑んでも……」
「うっさいわね、ディーノ!分かってるわよ!」
ヨアンが怒る。
「ねえ、こいつらが言ってるお城ってテラーノ城のことだよね、そこってあの吸血娘が住んでるところじゃなかった?」
パールが呑気そうに会話に割って入る。
「そのとうり、もしかしたら私達が行くまでもないかもしれませんね」
ディーノが顎に手を当てて頷く。
「いや、行きなさい」
凛とした声が響く。
全員が急いで立ち上がる。
「クローバー様!」
「あの獣人は『矢』に選ばれている。アレの復活には『矢』が必要だ。あの獣人を奪取するぞ」
「英雄アスフェンと他の者は?」
ディーノが尋ねる。
「アスフェン以外は全員殺しなさい。特にアリス・サイファーに単独で挑まないこと」
「えー?雑魚かったけど」
ヨアンが口を尖らす。
「舐めて掛かると痛い目にあうわよ。二度と私達に会えなくなるかもね」
ヨアンがムスっとしながら頷く。
「クローバー様がそう仰るなら……」
「ふふ、魔族側も私達が動くことは察知するだろう。そうなれば……」
「全面戦争ということですね?」
ペルンが答える。
クローバーが頷く。
「そうなると少々厄介なので外部からの侵入を防ぐ結界を張っておきます」
「そういえば魔族側はどうやって魔王を復活させるつもりなんでしょう」
パールが思い出したように言う。
「奴らは封印の聖剣を抜いて魔王を復活させようとしているらしい」
「それだけで?新しい器を用意してないの?」
「アスフェンは封印しただけよ、消滅させなかった。肉体は朽ち果て、魂だけが封印されている。器がなければきっと魂は行き場を失って成仏してしまうかもしれない」
「私達は封印を解いた上で、あれに魂を移すんですね」
「そのとうり。明日が我々の目標のターニングポイントになる。大胆かつ迅速に目標を達成しましょう」
⭐⭐⭐
次の日、アスフェン達は城に続く道を歩いていた。
「どんな方が住んでるんでしょうね」
「思ったより大きいな」
「門が見えてきましたよ、師匠!」
アリスが前方を指差す。
「ん?誰かいるぞ」
アスフェン達が門の前で立ち止まる。
貴族の服を着た若干十五歳くらいの少女がふんぞり返っている。
日の光に照らされて、ブロンドヘアが煌めいている。
「ふふん、我チュンチュン・ドラキュロル!人間よ、この先に進みたくば、私を倒して行けぇ~!」
レグルスがベッドに倒れ込む。
「冒険者学校ってこんな感じなんだな」
アスフェンもベッドに座り込む。
二人はその日のうちに合格が発表された。
そんなわけで次の日から授業に出ていたのだ。
「アリスのやつ、俺にばっかり話を振りやがる……!」
アリスとケラスターゼはゲスト講師として教鞭を取っている。
「ケラスターゼさん、魔剣使いだったんですね」
「あのデュラハンの剣のことかー」
「並大抵の人間じゃ魂喰われるほどの魔剣らしいですよ」
『魔剣は本来魔族だけが振るうことを許された剣だ。人間が振るうには魔王に見初められなければならないと聞いたことがある。俺が魔王を倒したとき、ケラスターゼは十歳位か?その時に魔王と接触していたのか?』
アスフェンが考え込む。
『そうだとしたら、ケラスターゼが魔王復活のカギを握っている可能性があるな。魔王の復活を目論む奴らの対象がケラスターゼに向いてもおかしくは無い』
「どうしたんですか?まさか、授業受けたくないなー、とか考えてます?」
「んなわけあるか。いや受けたくないけどさ」
アスフェンが寝転ぶ。
「明日は学校も休みらしいし、ゆっくりするか」
⭐⭐⭐
『じゃあ郊外にあるお城に行きましょうよ』
アスフェンとレグルスの会話が広間に響き渡る。
「お前を追い詰めたのはこいつらか?」
大柄な男が尋ねる。
「ええそうよ、ペルン。特にこの犬、絶対に許さない……!」
「ヨアン、この前みたいに正面から挑んでも……」
「うっさいわね、ディーノ!分かってるわよ!」
ヨアンが怒る。
「ねえ、こいつらが言ってるお城ってテラーノ城のことだよね、そこってあの吸血娘が住んでるところじゃなかった?」
パールが呑気そうに会話に割って入る。
「そのとうり、もしかしたら私達が行くまでもないかもしれませんね」
ディーノが顎に手を当てて頷く。
「いや、行きなさい」
凛とした声が響く。
全員が急いで立ち上がる。
「クローバー様!」
「あの獣人は『矢』に選ばれている。アレの復活には『矢』が必要だ。あの獣人を奪取するぞ」
「英雄アスフェンと他の者は?」
ディーノが尋ねる。
「アスフェン以外は全員殺しなさい。特にアリス・サイファーに単独で挑まないこと」
「えー?雑魚かったけど」
ヨアンが口を尖らす。
「舐めて掛かると痛い目にあうわよ。二度と私達に会えなくなるかもね」
ヨアンがムスっとしながら頷く。
「クローバー様がそう仰るなら……」
「ふふ、魔族側も私達が動くことは察知するだろう。そうなれば……」
「全面戦争ということですね?」
ペルンが答える。
クローバーが頷く。
「そうなると少々厄介なので外部からの侵入を防ぐ結界を張っておきます」
「そういえば魔族側はどうやって魔王を復活させるつもりなんでしょう」
パールが思い出したように言う。
「奴らは封印の聖剣を抜いて魔王を復活させようとしているらしい」
「それだけで?新しい器を用意してないの?」
「アスフェンは封印しただけよ、消滅させなかった。肉体は朽ち果て、魂だけが封印されている。器がなければきっと魂は行き場を失って成仏してしまうかもしれない」
「私達は封印を解いた上で、あれに魂を移すんですね」
「そのとうり。明日が我々の目標のターニングポイントになる。大胆かつ迅速に目標を達成しましょう」
⭐⭐⭐
次の日、アスフェン達は城に続く道を歩いていた。
「どんな方が住んでるんでしょうね」
「思ったより大きいな」
「門が見えてきましたよ、師匠!」
アリスが前方を指差す。
「ん?誰かいるぞ」
アスフェン達が門の前で立ち止まる。
貴族の服を着た若干十五歳くらいの少女がふんぞり返っている。
日の光に照らされて、ブロンドヘアが煌めいている。
「ふふん、我チュンチュン・ドラキュロル!人間よ、この先に進みたくば、私を倒して行けぇ~!」
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