魔王を倒した勇者

大和煮の甘辛炒め

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三章 人魔戦線

二十四話 いざアンデラート冒険者学園へ

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結局交流会は無かったことになった。

アスフェン達はアヴェンドに事情を説明した。

「なるほど、早速紹介状を書こう」

アヴェンドはすぐにアンデラートへの紹介状を書いてくれた。

「また君が世界を救ってくれることを信じてるよ」

アスフェン達はそのまま大鷲に乗ってオベリスクに飛び立った。

「魔王ってどれぐらい強かったんですか?」

ケラスターゼがアスフェンに尋ねる。

「さあな、俺たちが倒したときは魔王を極限まで弱体化させてたからなぁ、わかんないわ」

アスフェンが懐かしむように言う。

「それに俺もやばい身体強化かけてたしな」

「へー、どんな?」

「リミット終了後一生魔力が激減する代わりに身体能力を爆上げする奴とか」

「え、魔力による身体強化してなくてあれですか?」

ケラスターゼがドン引きする。

『この人ヤバ……』

「魔王が復活したらまた戦争だらけの世界になっちゃうのかな」

レグルスが呟く。

「どんな状態で復活するかにもよる。あの時と同じなら勝機はある。弱体化無しなら……わからん」

アスフェンが大鷲を岩場におろす。

「今日はここいらで野宿するか」

「じゃあ私薪集めてきますね」

「なら私は今日の晩御飯だ」

「俺も行く、ケラスターゼはテント張っといてくれ」

「まかせて!」


⭐⭐⭐

アスフェン達はさらに二日かけてオベリスクに到着した。

「す、すごい……おっきな建物がいっぱい」

レグルスが高層ビルを見上げて感嘆する。

「オベリスクは、特にこの街『カンティーナ』が発展してるのよ」

ケラスターゼが歩きながら説明する。

「『オーディナリー』とは違いますね」

「そりゃ、あんな辺鄙なところにあっちゃ発展なんてできないわ。カンティーナレベルのインフラをあそこに設置しようとしたなら、何百年かかるかわからないわ」

アリスが呆れる。

「俺の故郷を悪く言うな」

「あ、師匠すいません!」

「ちょっと、もうすぐアンデラートにつくわよ」

ケラスターゼが前方を指差す。

巨大なガラス張りの建物が空高くそびえ立っている。

「ここがケラスターゼとアリスが行っていたアンデラート……」

「ええ、さっさと行きましょ」

ケラスターゼ達が自動ドアをくぐる。

「ご用件を……ってケラスターゼさん、それにアリスさんも!」

受付の男が驚く。

「卒業式以来じゃないですか!あの、そちらは?」

「ああ、この人はアスフェン。そしてこっちの愛くるしい子はレグルス」

「どうもわたくしアンデラートの受付兼入学試験官のバーミックスと申します。それでご用件は……?」

アスフェンが紹介状を差し出す。

「カルテット国王の紹介状?入学希望ということですが……」

「そうだ。何か問題でも?」

「いえ、では早速実技試験を始めましょうか。ついてきてください」


⭐⭐⭐

アスフェン達はバーミックスに連れられて、訓練所にやってきた。

何人かの生徒が訓練を行っている。

「最初は的当てです」

「的当て?」

「的当てです。バカみたいな火力で消し飛ばしたら入学をみとめませんからね。精密性を重要視しますから」

アスフェンが的の前に立つ。

「魔法は使えないからナイフでいっか」

アスフェンがナイフを投げる。

物凄いスピードで飛んでいったナイフは的を貫通した。

「すごいスピードだ……!それでいてナイフは中心を貫いている。精密性もすごい」

バーミックスが興味深そうに呟く。

場所を移動する。

「今度はパワーとスピードを重要視する試験です。こちらの棒で本気で計測器を殴ってください」

「わかった」

アスフェンが棒を振る。

ベキッ!と大きな音を立てて計測器がひしゃげる。

「あのー、魔力による身体強化は不正行為ですけど」

「してないよ」

「してなくてこれ!?」

バーミックスが唾を飲む。

『アスフェンという男、恐るべし……!彼がもう少し早く来ていれば、交流会に出せたのに……』

バーミックスが溜め息をつく。

「アスフェンさんはきっと合格出来るでしょう、次はレグルスさん、あなたの番です」

レグルスが頷く。


⭐⭐⭐

「いやー、二人とも晴れて合格!めでたいね~!」

ケラスターゼがウキウキでスキップする。

「まだ決まって無いだろ。今日の結果を鑑みて合否を判断するって言ってただろ」

「もし二人が落ちたら猛抗議してやりますよ」

アリスが不敵な笑みを浮かべる。

そんな四人を陰から伺う人影あった。

「なぜ奴らがアンデラートに……早急に始末する必要があるな」

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