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一章 予兆編
五話 赤髪の魔人
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獣人はつかつかとケラスターゼのほうへ歩いてきた。
「名乗るのが遅れました。私は獣人族のレグルスです。今日のことは感謝してもしきれません。本当にありがとう」
レグルスが頭を下げる。
「いやあ、あなたが生きてるのは私じゃなくてウォミェイのお陰なんだけどね」
ケラスターゼが訂正する。
レグルスが頭をあげる。
「お強いあなた達にお願いがあるのですが」
「お願い?」
ケラスターゼが怪訝な顔をする。
アスフェンがチラリとレグルスを見る。
「私のすむ村を助けて貰えないでしょうか。私のすむ村はオークの奇襲をうけ、危機的な状況に陥っているんです」
「オ、オーク?なんで?」
「オークが他種族を襲うなんてな」
「私もそう思いました、でもオークの首領のほかにもう一人謎の魔人がオーク達を率いているんです」
「その魔人を見たのか?」
アスフェンが尋ねる。
レグルスがコクりと頷く。
「とても恐ろしかったです。奴一人に何人もの獣人兵士がやられました……」
ケラスターゼが立ち上がる。
「わかった、助けてあげる」
レグルスの顔が明るく輝く。
「ほんとですか!」
「おい、お前には無理だ」
アスフェンがケラスターゼを止める。
「だって、ほっとけないでしょ」
ケラスターゼがアスフェンに指を突きつける。
「それにこっちには魔人とまともに戦ったことがある男がいるんだから」
アスフェンがキョロキョロする。
「魔人と戦ったことある人います~?」
「あんただよ、おっさん!」
「ったく、わかったよ」
「よかったわね、レグルス。これで勝ったも同然よ!」
「はい!」
ケラスターゼとレグルスががっつり握手をかわす。
「俺は魔人の相手だけをする。オークの相手はお前らがやれ」
「わかった、アダマス達も連れていくけど良いわよね?」
「好きにしろ」
アスフェンがカウンターに二人分の会計をおいて出ていく。
⭐⭐⭐
次の日、
アスフェンとレグルス、ケラスターゼとアダマスの複合パーティーが小高い丘からレグルスの住む村を眺めていた。
何十匹ものオークが村を取り囲んでいる。
「とんでもない数ね……それで」
ケラスターゼがゴテゴテした装飾のオークキングの隣にたつ赤髪の人間を指差す。
「アイツが例の魔人ね?」
レグルスが頷く。
「こっちにはまだ気づいていないようだ、このまま一気に叩こう。僕が全体魔法で奴らの包囲を突き崩すから……」
アダマスの作戦をアスフェンが遮る。
『殺気がこっちに向いてる、気づかれてるぞ」
「まさか、ありえない」
「あり得ないことはないぞ」
若い男の声と金属がぶつかる音が響く。
「あ、あぁ……」
アダマスが腰を抜かす。
「お前、見たことねぇやつだな、何者だ?」
アスフェンが魔人を押し返す。
魔人はくるっと一回転して着地した。
「僕の攻撃を受け止めた人間なんて初めてだよ、僕はクーティだ。君のことはよく知ってるよ。英雄アスフェン君」
クーティがニヤッと笑う。
「お前らは村を助けに行け」
アスフェンが肉包丁を構え直す。
「わかった!」
ケラスターゼ達が丘を駆け降りていく。
「俺のすんでる街の周りでうろちょろすんな、うっとうしい」
「そんなつもりはないんだけどね」
クーティが心外だと言わんばかりに否定する。
二人の間に殺気が乱れ飛ぶ。
「名乗るのが遅れました。私は獣人族のレグルスです。今日のことは感謝してもしきれません。本当にありがとう」
レグルスが頭を下げる。
「いやあ、あなたが生きてるのは私じゃなくてウォミェイのお陰なんだけどね」
ケラスターゼが訂正する。
レグルスが頭をあげる。
「お強いあなた達にお願いがあるのですが」
「お願い?」
ケラスターゼが怪訝な顔をする。
アスフェンがチラリとレグルスを見る。
「私のすむ村を助けて貰えないでしょうか。私のすむ村はオークの奇襲をうけ、危機的な状況に陥っているんです」
「オ、オーク?なんで?」
「オークが他種族を襲うなんてな」
「私もそう思いました、でもオークの首領のほかにもう一人謎の魔人がオーク達を率いているんです」
「その魔人を見たのか?」
アスフェンが尋ねる。
レグルスがコクりと頷く。
「とても恐ろしかったです。奴一人に何人もの獣人兵士がやられました……」
ケラスターゼが立ち上がる。
「わかった、助けてあげる」
レグルスの顔が明るく輝く。
「ほんとですか!」
「おい、お前には無理だ」
アスフェンがケラスターゼを止める。
「だって、ほっとけないでしょ」
ケラスターゼがアスフェンに指を突きつける。
「それにこっちには魔人とまともに戦ったことがある男がいるんだから」
アスフェンがキョロキョロする。
「魔人と戦ったことある人います~?」
「あんただよ、おっさん!」
「ったく、わかったよ」
「よかったわね、レグルス。これで勝ったも同然よ!」
「はい!」
ケラスターゼとレグルスががっつり握手をかわす。
「俺は魔人の相手だけをする。オークの相手はお前らがやれ」
「わかった、アダマス達も連れていくけど良いわよね?」
「好きにしろ」
アスフェンがカウンターに二人分の会計をおいて出ていく。
⭐⭐⭐
次の日、
アスフェンとレグルス、ケラスターゼとアダマスの複合パーティーが小高い丘からレグルスの住む村を眺めていた。
何十匹ものオークが村を取り囲んでいる。
「とんでもない数ね……それで」
ケラスターゼがゴテゴテした装飾のオークキングの隣にたつ赤髪の人間を指差す。
「アイツが例の魔人ね?」
レグルスが頷く。
「こっちにはまだ気づいていないようだ、このまま一気に叩こう。僕が全体魔法で奴らの包囲を突き崩すから……」
アダマスの作戦をアスフェンが遮る。
『殺気がこっちに向いてる、気づかれてるぞ」
「まさか、ありえない」
「あり得ないことはないぞ」
若い男の声と金属がぶつかる音が響く。
「あ、あぁ……」
アダマスが腰を抜かす。
「お前、見たことねぇやつだな、何者だ?」
アスフェンが魔人を押し返す。
魔人はくるっと一回転して着地した。
「僕の攻撃を受け止めた人間なんて初めてだよ、僕はクーティだ。君のことはよく知ってるよ。英雄アスフェン君」
クーティがニヤッと笑う。
「お前らは村を助けに行け」
アスフェンが肉包丁を構え直す。
「わかった!」
ケラスターゼ達が丘を駆け降りていく。
「俺のすんでる街の周りでうろちょろすんな、うっとうしい」
「そんなつもりはないんだけどね」
クーティが心外だと言わんばかりに否定する。
二人の間に殺気が乱れ飛ぶ。
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