3 / 60
一章 予兆編
三話 暗黒剣士ダリル・ファブロ
しおりを挟む
「……行っちゃいましたね……」
受付の女の子が頭を掻きながら馬車に戻る。
「どこ行くの?」
ケラスターゼが受付の腕を掴む。
「どこって、馬車ですよ。あの二人ならウォミェイさん達を何事もなく……」
あたりが黒い靄に包まれる。
「……!総員、臨戦態勢をとれ!」
ギルドマスターが全員に指示をだす。
靄の向こうから誰かが歩いてきた。
「騎士か?」
漆黒の鎧に身を包んだ騎士が漆黒の剣を抜き払う。
「来るぞ!」
ギルドマスターが叫ぶ。
次の瞬間、ギルドマスターと近くに居た冒険者が切り裂かれた。
「マスター!」
アダマスがギルドマスターに駆け寄る。
「すぐヒールしますから」
「皆、アダマスと他の怪我人の援護を!」
ケラスターゼの指示に皆が頷く。
「……貴様らに構っている暇はないんだ」
漆黒の騎士が近づいてくる。
ケラスターゼが対峙する。
「名を名乗れ、名乗らなければ斬る」
漆黒の騎士がため息をつく。
「貴様にそんな実力は無いだろう……我が名は暗黒剣士ダリル・ファブロである。名だけは教えてやる、冥土の土産ってやつだな」
ダリルがケラスターゼに迫る。
「くっ!」
ダリルの刃をケラスターゼが弾いた。
「思ったよりやるではないか」
ダリルが技を繰り出す。
「喰らうがいい、『黒霧万斬』」
ダリルから発生した黒い靄が刃となってケラスターゼに襲いかかる。
「なんの!」
ケラスターゼは確実に一つずつ弾いていく。
「ケラスターゼ様、援護します!」
取り巻きの一人がケラスターゼに身体強化魔法をかける。
「ありがとう!」
ケラスターゼがダリルに斬りかかる。
「はあっ!」
近付いたり離れたりしながらケラスターゼとダリルの刃が火花を散らす。
ダリルが縦横無尽に動き回ってケラスターゼを翻弄する。
「くっ、まだだ」
ケラスターゼはなにかを待っているようだ。
「もういいだろう、終わりだ」
ダリルの剣に、黒い靄が集まっていく。
「さらばだ、『クーロン・ベネフィーク』」
黒い龍が大口を開けてケラスターゼに襲いかかる。
ケラスターゼの目が妖しく光る。
「『絶対反撃』!」
一日一回だけ、敵の攻撃を最大威力で弾き返すことが出来る『絶対反撃』によって、ダリルの『クーロン・ベネフィーク』がダリルに襲いかかる。
ダリルは為す統べなく首を跳ばされる。
「殺った!ダルメス!」
ケラスターゼが身体強化魔法をかけてくれた取り巻きを呼ぶ。
「『セイクリッド・ライトニング』」
聖なる力をはらんだ雷が降り注ぐが、ダリルはさっと飛び起き、頭を掴んで避けた。
「なっ、首を落としたのに!」
ケラスターゼ達が驚愕する。
『首を落としても生きてるなんて……どうやって致命傷を与えれば』
ケラスターゼが極度の焦りを見せる。
それをダリルは見逃さなかった。
「私はデュラハンだ、頭と身体の着脱は任意で出来る。それを抜いても、自分の技でやられる訳が無いだろう?」
ダリルがケラスターゼの後ろに回り込む。
「魔族の情報が広まっていなくて本当に良かったよ。終わったァ!」
ダリルの剣がケラスターゼに迫る。
『駄目だ、援護に入れる人は誰もいない、私も避けられないだろう。詰みか……』
その時、ものすごい勢いで細い棒がダリルに激突した。
「な、なんだ!」
ダリルがぶっ飛ぶ。
「おーおー、なんだってこんなところにデュラハンがいるんだぁ?」
「やっぱりアイツか」
アスフェンとブリエッタがウォミェイ達を抱えて入口から出てきていた。
「あ、アスフェン……」
ケラスターゼが涙目でアスフェンを見る。
「なんか被害大きくなってないか?」
「ギルドマスターがやられてんぞ、鍛え直してやらんとな」
「やめとけやめとけ」
ダリルが起き上がる。
「貴様は……アスフェンとブリエッタ!」
「親父から俺たちのことは聞いてるみたいだな、ガキンチョ」
アスフェンとブリエッタが武器を構える。
「母の仇、ここで討つ!」
ダリルが叫ぶ。
その頭は既にアスフェンに握られている。
「え、え、やめてよそれズルじゃん!」
ダリルが悲痛な声をあげる。
「こいつ母とおんなじこと言ってるな」
ブリエッタが笑う。
「なあ、ブリエッタ、野球って覚えてるか?」
アスフェンがダリルの頭をブリエッタに投げる。
「ああ覚えてるぜ!九回裏の駆け引きが……」
ブリエッタが棍棒を振り抜く。
「手に汗握るらしいなぁ!」
天高く吹っ飛んだダリルの頭が雲を切り裂く。
割れた雲から太陽が顔を覗かせる。
「倒しかたも昔と同じだな」
ブリエッタが彼方を見据える。
「ウォミェイ達の怪我は深くない。さっさと撤退するぞ」
アスフェンがダリルの身体をバラバラに解体して地面に埋める。
「封印するまでもないか」
そう言ってアスフェンが漆黒の剣を指差す。
「欲しい奴はあれ持ってって良いぞ」
「私が貰うわ」
ケラスターゼが漆黒の剣を持ち上げる。
「緊急クエストは解決です、皆さんお疲れさまでした!」
受付が皆を労う。
ケラスターゼが何か言いたげにアスフェンを見ていた。
「アイツも頑張ったみたいだし、今夜は付き合ってやれよ」
ブリエッタがアスフェンを肘でつつく。
「仕方ねぇな、てか全く魚釣れなかったんだけど、なんでか分かるか?」
「うーん、あれはなぁ」
二人は他愛ない話をしながら歩きだした。
受付の女の子が頭を掻きながら馬車に戻る。
「どこ行くの?」
ケラスターゼが受付の腕を掴む。
「どこって、馬車ですよ。あの二人ならウォミェイさん達を何事もなく……」
あたりが黒い靄に包まれる。
「……!総員、臨戦態勢をとれ!」
ギルドマスターが全員に指示をだす。
靄の向こうから誰かが歩いてきた。
「騎士か?」
漆黒の鎧に身を包んだ騎士が漆黒の剣を抜き払う。
「来るぞ!」
ギルドマスターが叫ぶ。
次の瞬間、ギルドマスターと近くに居た冒険者が切り裂かれた。
「マスター!」
アダマスがギルドマスターに駆け寄る。
「すぐヒールしますから」
「皆、アダマスと他の怪我人の援護を!」
ケラスターゼの指示に皆が頷く。
「……貴様らに構っている暇はないんだ」
漆黒の騎士が近づいてくる。
ケラスターゼが対峙する。
「名を名乗れ、名乗らなければ斬る」
漆黒の騎士がため息をつく。
「貴様にそんな実力は無いだろう……我が名は暗黒剣士ダリル・ファブロである。名だけは教えてやる、冥土の土産ってやつだな」
ダリルがケラスターゼに迫る。
「くっ!」
ダリルの刃をケラスターゼが弾いた。
「思ったよりやるではないか」
ダリルが技を繰り出す。
「喰らうがいい、『黒霧万斬』」
ダリルから発生した黒い靄が刃となってケラスターゼに襲いかかる。
「なんの!」
ケラスターゼは確実に一つずつ弾いていく。
「ケラスターゼ様、援護します!」
取り巻きの一人がケラスターゼに身体強化魔法をかける。
「ありがとう!」
ケラスターゼがダリルに斬りかかる。
「はあっ!」
近付いたり離れたりしながらケラスターゼとダリルの刃が火花を散らす。
ダリルが縦横無尽に動き回ってケラスターゼを翻弄する。
「くっ、まだだ」
ケラスターゼはなにかを待っているようだ。
「もういいだろう、終わりだ」
ダリルの剣に、黒い靄が集まっていく。
「さらばだ、『クーロン・ベネフィーク』」
黒い龍が大口を開けてケラスターゼに襲いかかる。
ケラスターゼの目が妖しく光る。
「『絶対反撃』!」
一日一回だけ、敵の攻撃を最大威力で弾き返すことが出来る『絶対反撃』によって、ダリルの『クーロン・ベネフィーク』がダリルに襲いかかる。
ダリルは為す統べなく首を跳ばされる。
「殺った!ダルメス!」
ケラスターゼが身体強化魔法をかけてくれた取り巻きを呼ぶ。
「『セイクリッド・ライトニング』」
聖なる力をはらんだ雷が降り注ぐが、ダリルはさっと飛び起き、頭を掴んで避けた。
「なっ、首を落としたのに!」
ケラスターゼ達が驚愕する。
『首を落としても生きてるなんて……どうやって致命傷を与えれば』
ケラスターゼが極度の焦りを見せる。
それをダリルは見逃さなかった。
「私はデュラハンだ、頭と身体の着脱は任意で出来る。それを抜いても、自分の技でやられる訳が無いだろう?」
ダリルがケラスターゼの後ろに回り込む。
「魔族の情報が広まっていなくて本当に良かったよ。終わったァ!」
ダリルの剣がケラスターゼに迫る。
『駄目だ、援護に入れる人は誰もいない、私も避けられないだろう。詰みか……』
その時、ものすごい勢いで細い棒がダリルに激突した。
「な、なんだ!」
ダリルがぶっ飛ぶ。
「おーおー、なんだってこんなところにデュラハンがいるんだぁ?」
「やっぱりアイツか」
アスフェンとブリエッタがウォミェイ達を抱えて入口から出てきていた。
「あ、アスフェン……」
ケラスターゼが涙目でアスフェンを見る。
「なんか被害大きくなってないか?」
「ギルドマスターがやられてんぞ、鍛え直してやらんとな」
「やめとけやめとけ」
ダリルが起き上がる。
「貴様は……アスフェンとブリエッタ!」
「親父から俺たちのことは聞いてるみたいだな、ガキンチョ」
アスフェンとブリエッタが武器を構える。
「母の仇、ここで討つ!」
ダリルが叫ぶ。
その頭は既にアスフェンに握られている。
「え、え、やめてよそれズルじゃん!」
ダリルが悲痛な声をあげる。
「こいつ母とおんなじこと言ってるな」
ブリエッタが笑う。
「なあ、ブリエッタ、野球って覚えてるか?」
アスフェンがダリルの頭をブリエッタに投げる。
「ああ覚えてるぜ!九回裏の駆け引きが……」
ブリエッタが棍棒を振り抜く。
「手に汗握るらしいなぁ!」
天高く吹っ飛んだダリルの頭が雲を切り裂く。
割れた雲から太陽が顔を覗かせる。
「倒しかたも昔と同じだな」
ブリエッタが彼方を見据える。
「ウォミェイ達の怪我は深くない。さっさと撤退するぞ」
アスフェンがダリルの身体をバラバラに解体して地面に埋める。
「封印するまでもないか」
そう言ってアスフェンが漆黒の剣を指差す。
「欲しい奴はあれ持ってって良いぞ」
「私が貰うわ」
ケラスターゼが漆黒の剣を持ち上げる。
「緊急クエストは解決です、皆さんお疲れさまでした!」
受付が皆を労う。
ケラスターゼが何か言いたげにアスフェンを見ていた。
「アイツも頑張ったみたいだし、今夜は付き合ってやれよ」
ブリエッタがアスフェンを肘でつつく。
「仕方ねぇな、てか全く魚釣れなかったんだけど、なんでか分かるか?」
「うーん、あれはなぁ」
二人は他愛ない話をしながら歩きだした。
0
お気に入りに追加
16
あなたにおすすめの小説
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
セクスカリバーをヌキました!
桂
ファンタジー
とある世界の森の奥地に真の勇者だけに抜けると言い伝えられている聖剣「セクスカリバー」が岩に刺さって存在していた。
国一番の剣士の少女ステラはセクスカリバーを抜くことに成功するが、セクスカリバーはステラの膣を鞘代わりにして収まってしまう。
ステラはセクスカリバーを抜けないまま武闘会に出場して……

貧弱の英雄
カタナヅキ
ファンタジー
この世界では誰もが生まれた時から「異能」と「レベル」呼ばれる能力を身に付けており、人々はレベルを上げて自分の能力を磨き、それに適した職業に就くのが当たり前だった。しかし、山奥で捨てられていたところを狩人に拾われ、後に「ナイ」と名付けられた少年は「貧弱」という異能の中でも異質な能力を身に付けていた。
貧弱の能力の効果は日付が変更される度に強制的にレベルがリセットされてしまい、生まれた時からナイは「レベル1」だった。どれだけ努力してレベルを上げようと日付変わる度にレベル1に戻ってしまい、レベルで上がった分の能力が低下してしまう。
自分の貧弱の技能に悲観する彼だったが、ある時にレベルを上昇させるときに身に付ける「SP」の存在を知る。これを使用すれば「技能」と呼ばれる様々な技術を身に付ける事を知り、レベルが毎日のようにリセットされる事を逆に利用して彼はSPを溜めて数々の技能を身に付け、落ちこぼれと呼んだ者達を見返すため、底辺から成り上がる――
※修正要請のコメントは対処後に削除します。

せっかくのクラス転移だけども、俺はポテトチップスでも食べながらクラスメイトの冒険を見守りたいと思います
霖空
ファンタジー
クラス転移に巻き込まれてしまった主人公。
得た能力は悪くない……いや、むしろ、チートじみたものだった。
しかしながら、それ以上のデメリットもあり……。
傍観者にならざるをえない彼が傍観者するお話です。
基本的に、勇者や、影井くんを見守りつつ、ほのぼの?生活していきます。
が、そのうち、彼自身の物語も始まる予定です。
異世界でぺったんこさん!〜無限収納5段階活用で無双する〜
KeyBow
ファンタジー
間もなく50歳になる銀行マンのおっさんは、高校生達の異世界召喚に巻き込まれた。
何故か若返り、他の召喚者と同じ高校生位の年齢になっていた。
召喚したのは、魔王を討ち滅ぼす為だと伝えられる。自分で2つのスキルを選ぶ事が出来ると言われ、おっさんが選んだのは無限収納と飛翔!
しかし召喚した者達はスキルを制御する為の装飾品と偽り、隷属の首輪を装着しようとしていた・・・
いち早くその嘘に気が付いたおっさんが1人の少女を連れて逃亡を図る。
その後おっさんは無限収納の5段階活用で無双する!・・・はずだ。
上空に飛び、そこから大きな岩を落として押しつぶす。やがて救った少女は口癖のように言う。
またぺったんこですか?・・・

特殊部隊の俺が転生すると、目の前で絶世の美人母娘が犯されそうで助けたら、とんでもないヤンデレ貴族だった
なるとし
ファンタジー
鷹取晴翔(たかとりはると)は陸上自衛隊のとある特殊部隊に所属している。だが、ある日、訓練の途中、不慮の事故に遭い、異世界に転生することとなる。
特殊部隊で使っていた武器や防具などを召喚できる特殊能力を謎の存在から授かり、目を開けたら、絶世の美女とも呼ばれる母娘が男たちによって犯されそうになっていた。
武装状態の鷹取晴翔は、持ち前の優秀な身体能力と武器を使い、その母娘と敷地にいる使用人たちを救う。
だけど、その母と娘二人は、
とおおおおんでもないヤンデレだった……
第3回次世代ファンタジーカップに出すために一部を修正して投稿したものです。

異世界転移しましたが、面倒事に巻き込まれそうな予感しかしないので早めに逃げ出す事にします。
sou
ファンタジー
蕪木高等学校3年1組の生徒40名は突如眩い光に包まれた。
目が覚めた彼らは異世界転移し見知らぬ国、リスランダ王国へと転移していたのだ。
「勇者たちよ…この国を救ってくれ…えっ!一人いなくなった?どこに?」
これは、面倒事を予感した主人公がいち早く逃げ出し、平穏な暮らしを目指す物語。
なろう、カクヨムにも同作を投稿しています。
スライム10,000体討伐から始まるハーレム生活
昼寝部
ファンタジー
この世界は12歳になったら神からスキルを授かることができ、俺も12歳になった時にスキルを授かった。
しかし、俺のスキルは【@&¥#%】と正しく表記されず、役に立たないスキルということが判明した。
そんな中、両親を亡くした俺は妹に不自由のない生活を送ってもらうため、冒険者として活動を始める。
しかし、【@&¥#%】というスキルでは強いモンスターを討伐することができず、3年間冒険者をしてもスライムしか倒せなかった。
そんなある日、俺がスライムを10,000体討伐した瞬間、スキル【@&¥#%】がチートスキルへと変化して……。
これは、ある日突然、最強の冒険者となった主人公が、今まで『スライムしか倒せないゴミ』とバカにしてきた奴らに“ざまぁ”し、美少女たちと幸せな日々を過ごす物語。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる