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第6章 力を求めて -再臨ニケ編-

特別編 異世界と愉快な住人達!①

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今話から特別版の『異世界編』となります。

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□□□□ ~異世界さん、こんにちは!~ □□□□

 ここイリアスは、俺達が先程まで居た世界とは異なった次元軸にある異なった世界だ。
 とは言え、人や自然、建物や食事、果ては文化レベルに至ってはとても似通ってはいる。言うなれば、類似したもう一つの世界とも言うべきか、そんな印象を受ける。

 しかし、明確に異なるものが幾つかある。それは.....。

「.....? なんか、体に違和感が.....?」
「違和感ですか?」
「はい。こう、何かがまとわりついてくる感じというか.....」
「なるほど。それは魔力ですね。どうやら、この世界の魔力の質は私達の世界のそれとは異なりますので、体が自然とこの世界に順応しようとしているのでしょう」

 ニケさんに詳しく聞くと、こういうことはよくあることらしい。
 なんでも、魔力を持たない地球人を勇者召喚した際には必ず起こるものなんだとか。当然、勇者ではないが魔力を持たない地球人の一人である俺も経験したとのこと。.....と言うか、そんな経験したかな?

「神界から送り出された時、草原でおやすみになられておりましたよね?」
「アテナが俺の体の上で寝ていた件ですよね?」
「そうですね。あの時、体が順応したのです。もっと簡潔に言えば、体が生まれ変わったようなものですね」
「なるほど。.....と言うことは、いま俺の体は生まれ変わっている最中であると」

 よく小説やラノベ、アニメなどで、主人公が召喚された際に気を失っていることが多いのはご存じの方も多いだろう。
 それはつまり、その世界のシステムに体が自然と順応する為の準備期間だったらしい。

 要は、何の力も持たない一般人が突然スキルや魔法を使えるようになったのではなく、気を失っている間に体が自然とその世界用に作り変えられたという訳なのだ。

 実際、その体験をすることで、本当にここが異世界なのだとようやく実感することができた。
 そればかりか、ここが異世界であるという誰にでも分かりやすい明確な違いが、向こうから自然とやってくることに.....。

「○☆◇▼★◆?」
「何を言っているのか分からない.....」

 考えてみれば当然のことだが、世界が異なれば言葉も異なるのは当たり前のことだ。
 しかも、俺達は誰かの屋敷の庭と思わしき場所に突如現れたことになるので、こうして誰何されるのは当然のことだろう。.....これ、ヤバくね? 不法侵入とかで訴えられるんじゃ!?

「落ち着いてください、歩様。この人間には敵対する意思はないとのことです」
「そ、そうですか。良かったです。.....と言うか、言葉が分かるんですか!?」
「はい。『言葉の壁に勝利』してしまえば問題にもなりません。交渉は全て私にお任せを」
「あっ。はい。そうですよね」

 今更、ニケさんの神護『勝利』についての説明は要らないだろう。
 言葉の壁に勝利できるのだから、異世界人と会話できるのは当然なのである。

 理屈ではない。勝利なのだ。
 ハァ.....。それでもういいじゃん? HAHAHA。

 ちなみに、ニケさんと同じ女神であるアテナはどうかと言うと.....。

「話せる訳ないじゃーん! ここは異次元世界なんだよー! あーははははは( ´∀` )」
「だと思った。.....と言うか、お前、一応智慧の女神だろ? ニケさんみたいに智慧で言葉の壁とかどうにかならないのか?」
「だれがいちおーよーヽ(`Д´#)ノ」
「はいはい。アテナかわいいよアテナ」

 結局、智慧の女神様(笑)ではどうにもならないらしい。
 改めて、ニケさんが規格外な女神様であることを思い知らされた。.....いや、アテナがこんなへっぽこ女神だからこそのニケさんなのか。

「だれがへっぽこよーヽ(`Д´#)ノ」
「うるせえなぁ.....。文句があるなら、全てをニケさんに任せていないで、せめて智慧の女神様らしいことの一つでもやってみやがれってんだ! この駄女神がッ!!」

「ふぇぇえええ(´;ω;`)」
「主、本当のことを言い過ぎなのじゃ。姉さまの役立たずさは百も承知であろう?」

「ドール。お前も大概だけどな?」

 しかし、泣きながらドールの胸に逃げ込んだアテナに、俺はこう言ってやりたい。
「泣いている暇があるなら、さっさとニケさんを手伝ってこい!」と.....。

 それと言うのも、アテナとは長い付き合いでなんとなく分かるのだが、恐らく智慧の女神の力で何とかできそうな気がする。.....いや、間違いなくできるだろう。

 伊達に、智慧の女神様ではないってことだ。

 つまり、このくそ駄女神は、それをできる力を有していながらやろうとはしないのである。
 特に周りの状況を鑑みて、自らが動かなくても解決できそうだと判断した案件の場合は、絶対に動こうとしない節がありありと見てとれる。

「さっすがー! 私の歩だねー! よくわかってるじゃーん( ´∀` )」
「誰がお前のだ、誰が! そんなことより、さっさとニケさんを手伝ってこい!」
「いいのー? 私が動いた時は全てが解決する時だよー? ニケの出番うばっていいのー?」
「つまり、なんだ? アテナはニケさんに出番を譲っているとでも言いたいのか?」
「とうぜーん! 部下に功を譲るのも上司の役目でしょー(`・ω・´) 」

 まるで「ドヤッ!」とでも言いたげに、えっへん! と胸を張るアテナ。
 とても嘘臭いが、本当に嘘臭いが、ぶるんッと揺れたおっぱいに罪は無いので、ここはそういうことにしておこう。

「それで良いのか!?」
「いいんだよ。おっぱいは正義。それに『おっぱいに勝る説明ものは無し』とも言うしな」
「それ知ってるー! 昔の偉人あゆむの言葉だよねー(*´∀`*)」
「誰が偉人だ! やかましいわッ!」


 こうして、俺がアテナといつものようなやり取りをしている間に、ニケさんと異世界人の交渉は何事もなく無事に.....? 終わることとなった。


□□□□ ~女神の付き人と真の勇者~ □□□□

 うん。なんか色々とあって、異世界住人達とは会話ができるようになった。
 その色々については後ほど話そうとは思う。

 それよりも、まずは異世界住人達を交流がてら紹介していこう。
 順々に紹介していくので、しばらくお付き合い願いたい。

「はじめまして。異世界の女神及び勇者を、俺は歓迎します」
「どうも。はじめまして。俺は『舞日 歩』です」

 まず最初に紹介するのは、異世界住人の一人で、でもある若き少年だ。(※以降、現地勇者)

 年は18歳で、背の丈は俺とほぼ一緒。一目で日本人であることがよく分かるベビーフェイス。
 なんでも、このイリアスに召喚された当時は高校生だったらしく短髪で、目はクールさが窺える三白眼。イメージ的には「無知蒙昧にして天下不滅の無一文!」のような少年に近いかもしれない。
 体格は一目見ただけでは細く見えるが、自然スカウター機能を持つドールさん曰く「凄まじいほどの力を有しているのじゃ」ということなので、見た目で判断すると痛い目を見そうだ。

 それよりも、気になることが一つある。

「あの、間違っていたらすいません。.....普段はそんな話し方ではないですよね?」
「あ~。分かります?」
「一応。仕事柄、相手をよく観察する癖がありますので」

 別に少年だからといってこれっぽっちも侮るつもりはない。
 でも、どこか敬語が似合わないというか、たどたどしい印象を受けるのは事実だ。なんか無理をしているような、そんな印象.....。

「普段通りでいいですよ。俺は気にしませんので」
「OK! そうさせてもらう。舞日さんも敬語じゃなくていいから」
「俺は職業病みたいなものなんですよ」

 敬語は営業職あるあるだから仕方がない。
 それに、初対面や親しくない相手にタメ口で話せるほど胆も座ってはいない。.....え? アテナの時はって? アテナはおバカだから敬語である必要はなくね?

「でも、俺の方が年下なのに何か悪いな」
「年下でも勇者歴は俺よりも長い訳ですから、先輩勇者ってことでお気にせず」

 そう、この現地勇者は俺よりも勇者歴が長い。
 あっ。いや、俺は正確には勇者ではないのだが、この場は勇者ということにしてある。「本当は付き人なんです」とか説明がめんどくさいしさ。

 俺のことはともかく、現地勇者のことだ。
 なんでも、現地勇者は過去に2回勇者を経験しているベテラン勇者で、今回が3回目の勇者となるらしい。

 ちなみに、先程現地勇者のことを『』と紹介したのには訳がある。

 それと言うのも、過去2回の召喚は現地勇者一人のみだったようだが、今回はクラス転移で召喚された結果、この世界には多数の勇者が居るのだとか。
 こちらの世界もそうだが、神様というやつはホイホイと人を召喚しすぎではないだろうか?

「と言うことは、クラスメートがみんな勇者なんですよね?」
「その通り」
「それはいいですね。見知った仲間が多いというのは、それはそれでなんか安心しますから」
「うん? 女はともかく男はどうでもいいかな?」
「HAHAHA.....」

 そうそう。紹介を忘れていた。この現地勇者はおもいっきし男嫌いなのである。(本人談)
 今は異世界からの来訪者ということで探りをいれているのか、俺との会話に素直に応じているが、その視線の先にはアテナが.....。いいや、正確にはアテナのおっぱいが映っている.....ような気がする。

(この、女たらしがッ! お前には素敵なおっぱい.....もとい、嫁候補がたくさんいるだろ! アテナは絶対にやらんぞ!)

 そもそも、現地勇者の嫁候補は紹介されただけでも10人以上は余裕でいる。
 女神を始め、魔王やお姫様、幼馴染みといったもはやテンプレのような存在から、担任であったり、奴隷やクラスメート、、果ては魔物娘? といったような存在まで。

 つまりはハーレム野郎という訳だ。
 ニケさんへ一途な想いを抱く俺とは違って、まさに対極にいる存在だと言ってもいいだろう。

「舞日さんの言いたいことは分かる。でも、俺はそれ以上に女の子の悲しむ顔は見たくない」
「!?」

「力を持った優秀な男がモテるのは自然の摂理。それを一人の女にだけ搾るっていう日本の考え方自体が、俺は間違っていると思う」
「唐突な政治.....いや、倫理観批判!?」

「だから、そんな下らない思想の元で選ばれなかった女の子が泣くぐらいなら、俺はハーレムこそが正しいと断言するよ」
「.....」

 こんなことを言っている以上、現地勇者の故郷は重婚が禁止なのだろう。

 ちなみに説明するまでもないと思うが、現地勇者は日本人だ。本人もそう言っていることだし。
 しかし、次元軸が異なる以上、俺と同じ日本出身かは定かではない。俺が日本(A)だとしたら、現地勇者は日本(B)という可能性もあるのだから。

 話を戻そう。

 現地勇者の言葉は少し過激というか極端過ぎるような気もするが、理解できなくはない。
 よく小説やラノベ、アニメなどで主人公のハーレム化を否定する人達が多いが、そもそもチートなんかを貰った主人公がモテるのは当たり前のことなんだと思う。

 むしろ、モテない世界はおかしいとさえ言える。
 いくら文明レベルが地球よりも低い設定とは言っても、そこまで女性もバカではないはずだからだ。

 特に重婚が禁止されていない世界ならそれは顕著だろうし、主人公がハーレム化するかどうかは別としても悪いことでも何でもない。

 そう考えると、現地勇者のような考え方をする人が出てきても不思議でもなんでもない。
 むしろ、女性を悲しませたくないというのが本音であるならば、これも一つの正義であり誠実さでもあると言えるだろう。

 だから、現地勇者はここイリアスに残る決断をしたらしい。
 だから、現地勇者は日本への帰還は望んではいないらしい。

「むしろ、舞日さんはどうなの?」
「と言いますと?」

「舞日さん達の関係は分からないけど、仮に舞日さんに好意を抱いている女の子が複数居るとしたら、泣かせては、悲しませてはいないかってこと」
「うっ.....」

「もし、女の子を悲しませているようなら.....」

 その先は語られることはなかった。
 でも、現地勇者からはそれはもう許さないオーラが出ているので、そういうことなのだろう。

「.....(ごくっ)」

 急速に喉が渇いていく感覚を覚える。
 現地勇者の無言の圧で、俺の全身は嫌な汗でびっしょりだ。

 ただ、それでも体が恐怖に支配されないのは半神のおかげだろうか?

 しかし、半神状態になっている今の状態でもこれということは、俺と現地勇者の実力差は圧倒的ということだ。
 いや、むしろ現地勇者の足元にも及ばないような気がする。

(それにしても、現地勇者は若いのに凄いな.....)

 徹底した女性尊重主義というかなんというか、自分の考えをしっかりと持っている。
 そして、それを曲げない強い信念も.....。

 更には、人の主義主張、意見や考え方を全て無視した上で、己の思想感を押し付けてくるこの勇者全ごうまんさ
 これが、これこそが、一握りの選ばれし勇者の本当の姿なのかもしれない。

「と言いたいところだけど、そこの女神さんが怖いから、この話は止めにしよう」
「賢明な判断ですね。これ以上、私の歩様に愚かな行為をするつもりでいたのなら、それこそあなたの魂ごと消滅させて、その大切な女の子やらと永遠の別れをさせていたところですよ?」

「神ふぜいがふざけたことを言うなッ!」
「.....死にたいのですか?」

「「ハァ.....。またか」」

 俺と現地勇者は同時に呆れの溜め息を吐いた。

 まただ。またとしてもである。
 詳細は後程説明するが、またしてもニケさんと現地勇者一行の一人が激しく対立し合っているのだ。

(ハァ.....。これで何度目だよ?)

 正直、何度注意しても改める様子が全くないので、結構イライラしている。
 これがある度に、(ニケさんとこの人を除いた)交流会はとても和やかな雰囲気なのに一気に気まずくなるのである。本当に勘弁してほしい。

 それは現地勇者も同じようで.....。

「ニケさん。いい加減にしてください。.....本当に怒りますよ?」
「も、申し訳ありません。歩様。どうかお許しください」
「お前もいい加減にしろ。.....俺に嫌われたいのか?」
「ごめんね~。我のこと~、許してくれるよね~?」

 俺と現地勇者に少し荒々げに叱られたことで、シュンとなる原因の二人。
 しかし、この二人に反省の色は全く窺い知れない。あるのは両者間にある憎悪のみ。

 これで両者が収まるとは全く思ってはいなかったが、それでも多少の沈火剤になってくれたら嬉しいもので───。

「あなたのせいで、歩様に怒られたじゃないですか!」
「ふざけるなッ! お前のせいで、我が怒られた!」

「「いい加減にしろッ!!」」


 とにもかくにも、現地勇者との交流は得るものが非常に多かった。
 とは言え、言っちゃ悪いが、現地勇者は人として(傲慢過ぎるので)尊敬できる部類ではないけれど、それでも女性に対する考え方は確かに真摯の一言だった。そこだけは大いに尊敬できると思う。

(さて、俺はどうするかな?)

 今後も、ニケさん一筋なのは変わらないと思う。
 それでも、現地勇者の女性に対する真摯な考え方に負けない程度には、ラズリさんのことを真剣に考えないといけないのは確かだろう。
 そうでなければ、俺もまた現地勇者同様に尊敬できる部類の人間にはなれないだろうから。


 そして、まだずっと先の話になるけれど、この現地勇者の考え方が、後に俺の人生に多大な影響を与えたことだけは言うまでもないだろう。


□□□□ ~女神と元女神~ □□□□

 続いて紹介するのは恐ろしく美人なお姉さんである。
 以前にも軽く紹介はしたが、きれいの極致に至っていると言っても過言ではないほどの美しさだ。

 しかも、本来なら(普通な)俺なんかが声を掛けていいどころか、目にすることすら畏れ多いほどの美人である。
 やっべ。凄い緊張する.....。ここは俺のヘタレさを隠す為にも、奴に協力を願おう。

「よろしくね? 異世界からの来訪りょこう者なんて驚いたよ?」
「よ、よろしくお願いし───」
「やっほー! アテナだよー( ´∀` )」
「.....」

 このくそ駄女神!
 俺がまだ話している最中だろ!!

 この美人なお姉さんは年をかなり気にしているらしく秘密にされた。
 ただ、見た目は16~18歳の高校生ぐらいにしか見えない。実は結構なお姉さんだったりするのだろうか?
 背の丈はアテナより少し高めだが、金髪碧眼、むっちり我儘ボディと、アテナと似通っている部分はとても多い。
 髪型はヘスティア様のようなゆるふわウェーブの掛かったロングヘアーで、これまたヘスティア様のようにとてもでかい。何がでかいって、おっぱいに決まっている。アテナよりでかいとかたまげてしまった。

「ねぇーねぇー。お姉さんってー、もしかして女神(。´・ω・)?」
「え!? そうなんですか!?」

「元、だよ? 私は脱神したの」
「だ、脱神って.....。そんな「脱サラしちゃった!」みたいなノリで言われても.....。と言うか、アテナはよく分かったな?」

「とうぜーん! 私は智慧の女神だからねー(`・ω・´) 」
「それ、この世界では関係ないだろ.....」

 とりあえず、アテナの言う通り、この美人なお姉さんは女神様らしい。正確には『元』ではあるが。
 なんでも、この美人なお姉さんは現地勇者の側に居たいが為に脱神を決意したのだとか。

 ここまで聞くとなんだか素敵な恋愛話に聞こえてくるが、実際はそうでもなかったらしい。
 そもそも、脱神そのものが極めて困難なことであって、実際は現地勇者による強奪愛に近いものなんだとか。当然、強奪というのは神の世界からの強奪ということになる。

「強奪って.....。揉めなかったんですか?」
「揉めたな」
「揉めたよ?」
「もめるに決まってるでしょー! 歩はバカだねー! あーははははは( ´∀` )」

「.....」

 う、うぜぇ.....。
 俺だって、分かった上で聞いたんだい!

「.....で、ですよね。しかも、相手は神々.....。大丈夫なんですか?」
「神々だから、とか関係ない。俺が欲しいから奪った。邪魔をするようなら神でも殺す。ただそれだけ」
「本当、頑張ったよね? えらいえらい」
「あっ。こっちの神は殺せるんですね」
「そりゃー、世界が違うんだから殺せるでしょー! 歩はバカだねー! あーははははは( ´∀` )」

「.....」

 くそうざすぎる.....。
 この駄女神に協力を要請したのは失敗だったか?

 つまり、現地勇者がこの世界の神々に逆らってまで、女神の美人なお姉さんを獲得したということだ。
 と言うか、神々に逆らうとか.....。現地勇者カッコ良すぎだろ!? 究極の愛とでもいうのか!?

「感謝なら、なでなでよりも別のがいいな」
「ふふっ。じゃあ、夜にね? 交代してもらえるようお願いするよ?」
「子供達の前では止めてくれます!?」
「交代~? なにするのー? 夜は寝るだけじゃないのー(。´・ω・)?」
「知らないの? 夜だけじゃないんだけどね? 男女で───」
「アテナは知らなくてもいい! それと、余計なこと教えないでくださいッ!」

 現地勇者一行は、隙あらば大衆の面前でもいちゃいちゃし出すから、油断も隙もあったものではない。
 しかも、キスだけならまだしも、こうして男女関係も平然と示唆するのだから、アテナ達の教育上においても悪影響過ぎる。.....いや、俺的にはキスもどうかと思うけどさ?

「ごめんね? それと、アテナちゃんも女神だよね?」
「そだねー! 智慧の女神なんだー! すごいでしょー!」
「うん、すごいね。仲良くしよ?」
「はーい( ´∀` )」

 元女神の美人なお姉さんに誘われるまま、ここが定位置だと言わんばかりに膝の上に座るアテナ。
 女神同士波長が合うのか、すっかりと長年の朋友みたいに二人とも打ち解けてしまっている。と言うか、なんか姉妹っぽいな。

「アテナちゃん。お菓子食べる?」
「とうぜーん! お姉さーん、たべさせてー!」
「はい、どうぞ」
「ありがとー(*´∀`*)」

 いや、アテナの愛され特性が異世界でも効いているのかもしれない。
 それと言うのも、アテナのにぱー☆を見て、幸せそうな弛んだ表情をしている元女神の美人なお姉さんを見ると、なんかそんな気がしてくる。

「ふふっ。ねぇ? この子、凄くかわいいよ?」
「確かに」
「私もこんな子が欲しいかも?」
「そ、そのうちな?」

 よし! 頑張れ、現地勇者!


 げに恐ろしきはアテナの愛され特性。
 世界に愛されるアテナは、どうやら世界にも愛されるようだ。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
後書き

次回、異世界編『こんにちは!異世界さん②』!

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交流の時間軸はバラバラではありますが、異世界住人をメイン軸にして展開していきます。
なお、異世界編に関しては、このような形式でお送りしていこうと思います。

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今日のひとこま

~真の勇者の倫理観~

「聞いた話だと、強い人が好きなんですってね」
「ん? そうだけど? 特に強い女性は惹かれるものがあるよ」
「それは別にいいんですが、なんでニケさんではなくアテナを狙っているんですか?」
「あのアテナという子は、見掛けによらず凄い力を持っているから」

「まぁ、一応智慧の女神ですし?」
「だれがいちおーよーヽ(`Д´#)ノ」
「はいはい。アテナかわいいよアテナ」
「でも、無理そうかな。舞日さんにベッタリな感じだしさ」

「無理そうも何も.....。お嫁さんたくさんいますよね? それで満足じゃないんですか?」
「女の子にはそれぞれ違った魅力があるから、これで満足、これで十分なんてはことはないよ。むしろ、そう思うのは女の子に失礼さえある」
「そ、そうですか.....(やっべ。考え方が根本的に違う!)」
「舞日さんもそうだから、女の子ばかりを仲間にしているのでは?」

「全然違いますからね!? たまたまですよ!」
「でも、男がPTに加わると揉めるけど?」
「そんな話は他の冒険者からも聞きましたが.....」
「女の子側が嫁や彼女というふうに立場がハッキリしている場合ならともかく、そうじゃないなら絶対に揉める。断言するよ」

「そ、そうなんですか? 仲間としての意識が───」
「はっはははは! 男と女の間に友情が存在しないように、仲間意識なんてものも存在しない。第一、そんな甘っちょろいこと言っているPTは大体が全滅するのがオチだって」
「は、はぁ.....」
「命が掛かっている世界では男と女、オスとメスしか存在しない。だから、良い女はみんな自分のものにするのが正しくて、それこそがその女の子の為でもある」

「うむ。異世界の勇者様の言葉は正しいのじゃ」
「え!? ドールも賛成派なのか!?」
「むしろ、主にもそうなって欲しいものだがの?」
「う、う~ん.....」

「主の考え方は主の世界の、安全な世界の安全な考え方なのじゃ。命の危機がある世界では、それ相応の考え方のほうが良いのじゃぞ?」
「そっちの子は良く分かっているじゃないか。どうかな? 君さえ良ければ、こっちで暮らす気はない?」
「断る。妾の幸せは主とともにある。主が情け深い主人なら、妾が支えれば良いだけのこと」
「はっはははは! 力は大したことないけれど、なかなか気骨のある女の子だ。舞日さんも仲間に恵まれているね」

「ど、どうも。と言うか、節操なしに勧誘しないでくださいよ.....」
「これも男の魅力の一つだよ。それに奪われたくないのなら、自分のものにしておけばいいんだしさ」
「そ、そうですか.....。だったら、なんでニケさんには目を付けないんですか? 俺らの中では一番の実力者ですが?」
「だって、あの女神さんは怖そうだしさ? それに、あの女神さんはなんというか男は必要なさそうな気がする。自己完結できそうで、甘えてきそうがないところに魅力を感じないな」


現地勇者は分かってないなぁ.....。
そういう完璧なお姉さんというところにそそられるんじゃないか!

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