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第6章 力を求めて -再臨ニケ編-
第176歩目 新しい出会いの始まり!
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前回までのあらすじ
『不協和音』とかいう不本意な加護をもらってしまった.....。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
最近長文が多かったので、今回は短めとなっています。
そう言えば、新元号が『令和』となりましたね。
意味は『人々が美しく心を寄せ合う中で、文化が生まれ育つ。
梅の花のように、日本人が明日への希望を咲かせる国でありますように』だそうです。
違和感がすごくてまだ慣れないですが、素敵な元号だと思います。
主人公である歩も、明日への希望を咲かせられるような出会いがあるのでしょうか。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
□□□□ ~出会い~ □□□□
───ブゥン
「ふごっ!?」
だから!
もうちょっとまともに扱ってくれよ!!
俺はまたしてもアレス様の時と同様に、次なる神の間へとゴミのように投げ捨てられた。
そもそも、十連ガチャは付き人専用みたいなものだと、エリスが言っていた。
と言うことは、歴代の付き人も俺と同じ待遇だったのだろうか。.....ま、まさか、俺だけとかないよね!?
───カン!カン!カン!
それに.....。
「うぅ.....。な、なんだこれ.....?」
何だかすごく気分が悪い。
目眩がするというか、フラフラするというか、足元がおぼつかない。
この感覚、とても久しぶりな感じがする。
例えるなら、軽い乗り物酔い状態になったような気持ち悪さだ。
───カン!カン!カン!
ヒールを掛けてみるも、目立った効果はなし。
(あ~。そう言えば、船酔いしたモリオンにもヒールは効かなかったんだっけ.....)
どういう理屈かはわからないが、ヒールでは乗り物酔いは回復しないようだ。
ちなみに、風邪や頭痛、腹痛なども回復したりはしない。
ただし、酒などの酩酊状態はヒールで回復できる。.....違いはなんだろう?
───カン!カン!カン!
それに、もう一つ気になることがある。
もうもうと立ち上る煙の中、まるで肌が焼けただれるような尋常ならざる蒸し暑さをピリピリと感じる。
(お、おかしい。状態異常耐性が効いていない.....?)
俺はレベル3の状態異常耐性持ちだ。
大抵のバッドステータスだったら防げるようにはなっている。
当然、そこには暑さや寒さに対する耐性なんかも含まれていたりする。
ただし、この場合の耐性とは、よくラノベとかにある『取得していれば常に一定の温度でいられる』とか『暑さや寒さは全く感じない』とかといった便利なものではない。
暖かい、寒いなどといった通常の気温レベルは普通に感じることができ、今回のような尋常ならざる暑さや死に至るような寒さというものになって初めて耐性の効果が表れたりするようなものだ。
当たり前だが、これはレベルによって効果が異なる。
良い例が、人間ver.のモリオンだ。
モリオンは、俺よりも強靭なステータスを誇っているものの、暑さや寒さに対しては滅法弱い。
これは恐らくだが、状態異常耐性が無い、またはレベルが低いからだと推測できる。少なくとも、俺のレベル3よりかは絶対に低く、ドールと同等またはそれよりも低いと思われる。
そう思うには、それなりの根拠がある。
実はドールもモリオン同様、暑さや寒さに対しては滅法弱い。
これは、元から暑さや寒さに弱かったというのもあるのだろうが、状態異常耐性がレベル1だからというのも原因の一つだろう。
二人して仲良く体を寄せあっている光景を度々見掛けることがあるが、これがまたすごくかわいらしい。俺の保護欲を絶妙にくすぐってくる抜群の破壊力だ。
更に、空が澄み渡るほど寒い日の夜の鍛練に付いてくる時などは、マフラー状態になって寒さを凌いでいることが多い。
とは言え、この場合は寒いなら付いて来なきゃいいだけの話なのだが.....。
しかし、そこは奴隷の矜持というやつのか、一向に聞き入れようとはしない。
忠誠心が高いのは結構だが、体を壊すような無理だけはしないでほしいものだ。まぁ、俺としても暖かいから助かるんだけどね。
話が逸れたので戻そう。
つまり、何が言いたいかというと、「色々とおかしい!」、そういうことだ。
相変わらず気持ち悪いままだし、この咽せ返るような暑さは不快だし、どうなっているのだろうか。
───カン!カン!カン!
しかし、俺のその疑問はすぐに解決することとなる。
───カン!カン!カン!
先程からずっと聞こえてくる、何かを叩くような謎の音。
それに、もうもうと煙が立ち上り、一寸先も見えない状態になっているこの現状。
色々不可思議な現象は起きているが、それも『神界ならしゃーない』と割り切れば意外と冷静になれた。
───カン!カン!カン!
何かを叩くような謎の音は一向に止む気配がない。
俺が神の間に来ていることぐらいは、神様ならば当然分かっていることだろう。その上で、放置されている、との認識でいいのだろうか。
・・・。
───カン!カン!カン!
その後も、神様からのアクションを待つも、何かが起きる気配は全くない。
時はゆっくりと、それでも、肌が焼けただれるような暑さは激しく続いていく。
(.....え?本当に放置プレイですか!?)
───カン!カン!カン!
結局、このままでは埒が開かないので行動に移ることにした。
俺はもうもうと立ち上る煙をかき分け、音がするほうに慎重に歩いていくと.....。
「ふんっ!」
───カン!
「それっ!もう一息だ!」
───カン!
「頑張れっ!今の君はとても美しいよ!!」
───カン!
「.....」
え!?
武器と会話してるの!?
そこには、鎚で叩いている剣か何かに、まるで恋人に愛を囁くかのように夢中になって口説いている一人の青年が居た。.....この人、変なんです!
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「なんだチミはってー!?あーははははは( ´∀` )」
「やかましいわ!」
「そうでーす!私がかわいいアテナちゃんでーす(`・ω・´)キリッ!!」
「だっふんだ!」
「私のセリフとらないでよー(´;ω;`)」
いつまでもお前のターンだと思うなよ!
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
失礼、よく見ると青年ではなく神様だった。
神の間にいるのだから当然といえば当然なのだが、それでも素で青年だと間違ってしまった。
しかし、それも仕方がないというものだ。
その神様は余りにも特徴がない。いや、強烈な特徴はちゃんとある。
しかし、地味というかなんというか、言っては悪いが影が薄い。どこか俺に似たものを感じる。
(アテナじゃないが、まだ変なおじさんのほうがマシなのではないだろうか?)
そう思ってしまう程に、この神様の存在は希薄過ぎる。
鎚で叩く音と神様の姿を目の当たりにしていないと、思わず見失ってしまいそうなほどだ。
「.....」
日本に居た時の俺を見ているようでどこか悲しくなる。
「特技はなんですか?」と聞かれたら、「空気になることです!」と自信を持って言えちゃう、今日この頃。.....HAHAHA。
しかし、ここで落ち込んでいる猶予はない。
時間が惜しいのもこれまた事実だ。
「あ、あの.....」
ただ、どこか目の前の神様に親近感を覚えたのは確かである。
なので、愛の語らい?を邪魔することに少し気が咎めつつも意を決して話し掛けた。
「大丈夫っ!君の美しさは誰よりも僕が分かっているよ!!」
───カン!
おや?
聞こえていないのか?
だが、神様からの返事はない。
スルーされたというよりも全く聞こえていない。
いや、耳に入りすらしていないといった印象を受ける。
それはまるで、二人の世界に入り込んでいる、と言ったほうが適切な感じだ。
「さあ、もう少しだ!一緒に頑張ろう!!」
───カン!
「.....」
全身汗だく状態になりつつも、神様の熱情は少しも衰える気配がない。
そう言えば、ナイトさんもこんな感じで、俺の『竜墜の剣』と楽しそうに話していたような気がする。
(話せると案外楽しいものなのだろうか?ちょっと興味が出てきたな。
それにしても.....なんだかナイトさんが恋しくなってきた。今度、手紙でも出してみるか)
仕事バカなナイトさんは、遠慮しているのか、恥ずかしいのか、あまり積極的に手紙を出してこようとはしない。
それこそ俺が手紙を出さなければ、1年や2年当たり前のように出してこないので驚かされる。ねこみなんて、ラズリさんに負けず劣らずの頻度で出してくるというのに.....。
「仕上げだっ!君の全てを僕に委ねてくれ!!」
───カン!
くっさぁぁあああ!
これ、俺が聞いているって分かったらどうなるんだ!?
神様の、どこか一生懸命なナイトさんにも通じるその姿に、俺は安心感と尊敬の念を捧げつつ、神様と剣か何かの武器の二人の恋の行く末を静かに見守ることにした。
これが、俺と義兄さんの初めての出会いだった───。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
後書き
次回、本編『類は友を呼ぶ』!
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
今日のひとこま
~???と神剣の恋物語!?~ side -???-
「頑張れっ!今の君はとても美しいよ!!」
『そ、そんな.....。私なんてただの鉄クズに過ぎません』
「大丈夫っ!君の美しさは誰よりも僕が分かっているよ!!」
『う、嘘です!貴方様の周りには美しい方々がおられるじゃないですか!!』
確かにこの子 (素材名『鉄』)の言う通りだ。
僕の周りには、オリハルコンやアダマンタイト、ミスリルやヒヒイロカネなどといった、そうそうたるお嬢様方が勢揃いしている。
「それは否定しないよ。否定することなんてできやしない。僕はみんなを愛しているからね」
『.....』
「そして、それは君も例外じゃない。僕は、鉄だろうとオリハルコンだろうと差別はしない」
『.....ほ、本当?こんな脆い存在の私でもいいの?』
純度100%の鉄は非常に脆い。
しかし、そこがたまらなくいい。僕のモノづくりの心を絶妙にくすぐってくる。
どんなに固くても僕の手にかかればなんてことはないけれど、逆に脆いもののほうが難しいのだから楽しくて楽しくて仕方がない。
そして、この子は鉄のように脆い意思と鉄のように熱しやすい性格を有している。
「本当だよ。確かに君は脆い存在なのかもしれない。
でも、僕に任せてもらえれば、君は今よりももっと美しくなれる」
『こ、こんな私が今よりも.....。分かりました。貴方様を信じてみようと思います』
「ありがとう。さあ、もう少しだ!一緒に頑張ろう!!」
『はい!お願いします!』
他のどの子よりも慎重に、かつ繊細に鎚を振るっていく。
一打一打に僕の想いの全てを込めて.....。
「仕上げだっ!君の全てを僕に委ねてくれ!!」
『す、全てを.....。ちょっと恥ずかしいです///』
「ははは!そんな君も愛らしい。大丈夫、安心してくれ。
今から君はただの鉄クズなんかじゃない。神が作りし伝説の剣、神剣へと生まれ変わるのだから」
『あ~.....。なんて暖かい光なのでしょう.....。温かいお心なのでしょう.....。
体が、心が満たされていきます.....』
神なる鉄、『神鉄』へと生まれ変わったこの子を淡く優しい光が包んでいく。
僕の想いが伝わったようだ。成功だ。
早速、新しい家族に挨拶をしよう。
「ふぅ~~~~~。完成だ。気分はどうかな?」
『.....おはようございます。お父様。とても清々しい気分です』
「おはよう。愛しき娘よ。早速だが、名前を付けてあげよう。希望はあるかい?」
『強くて美しい名前がいいですわ!お姉様にも負けない強くて美しい名前が!』
ちょっと想いを乗せすぎたかな?
どうやら、生まれ変わっても熱しやすい性格はそのままのようだ
「ははは!君は生まれ変わっても相変わらずだね」
『ただの鉄クズだった私に、勇気と自信をくれたのはお父様ですわ!
例え生まれ変わろうとも、私が変わるものではありません!』
「その通りだよ。さすが僕の娘だ。
ならばそうだね。『デュランダル』。君は今から『デュランダル』だ」
『『デュランダル』.....。どういう意味があるのでしょう?』
「不滅の剣。主人とともに生涯をかけて生きる剣という意味さ」
『生涯を.....。でも、私は自分が気に入った方にしか、マスターとして認めませんわ』
「それでいい。生涯をかけるのだから、君が、デュランダルが、気にいった主人に仕えればいいさ」
『当然ですわ!ですが.....。マスターが見つかるその日までは、お父様のお側に居たいと思います』
「あぁ、好きにしたらいいよ。よろしく、デュランダル」
「はい!好きにしますわ!よろしくお願いします、ヘパイストスお父様!!」
こうして、ただの鉄クズから神剣へと生まれ変わった新しい娘『デュランダル』が誕生したのだった。
『熱しやすく冷めやすい』。
こんなわがまま子の主人が果たして見つかるどうか.....。
今から親として心配でならないよ。
「あ、あの.....。もう、よろしいでしょうか?」
「どっひゃぁぁあああ!?に、人間!?なんでこんなところに!?」
『不協和音』とかいう不本意な加護をもらってしまった.....。
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最近長文が多かったので、今回は短めとなっています。
そう言えば、新元号が『令和』となりましたね。
意味は『人々が美しく心を寄せ合う中で、文化が生まれ育つ。
梅の花のように、日本人が明日への希望を咲かせる国でありますように』だそうです。
違和感がすごくてまだ慣れないですが、素敵な元号だと思います。
主人公である歩も、明日への希望を咲かせられるような出会いがあるのでしょうか。
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□□□□ ~出会い~ □□□□
───ブゥン
「ふごっ!?」
だから!
もうちょっとまともに扱ってくれよ!!
俺はまたしてもアレス様の時と同様に、次なる神の間へとゴミのように投げ捨てられた。
そもそも、十連ガチャは付き人専用みたいなものだと、エリスが言っていた。
と言うことは、歴代の付き人も俺と同じ待遇だったのだろうか。.....ま、まさか、俺だけとかないよね!?
───カン!カン!カン!
それに.....。
「うぅ.....。な、なんだこれ.....?」
何だかすごく気分が悪い。
目眩がするというか、フラフラするというか、足元がおぼつかない。
この感覚、とても久しぶりな感じがする。
例えるなら、軽い乗り物酔い状態になったような気持ち悪さだ。
───カン!カン!カン!
ヒールを掛けてみるも、目立った効果はなし。
(あ~。そう言えば、船酔いしたモリオンにもヒールは効かなかったんだっけ.....)
どういう理屈かはわからないが、ヒールでは乗り物酔いは回復しないようだ。
ちなみに、風邪や頭痛、腹痛なども回復したりはしない。
ただし、酒などの酩酊状態はヒールで回復できる。.....違いはなんだろう?
───カン!カン!カン!
それに、もう一つ気になることがある。
もうもうと立ち上る煙の中、まるで肌が焼けただれるような尋常ならざる蒸し暑さをピリピリと感じる。
(お、おかしい。状態異常耐性が効いていない.....?)
俺はレベル3の状態異常耐性持ちだ。
大抵のバッドステータスだったら防げるようにはなっている。
当然、そこには暑さや寒さに対する耐性なんかも含まれていたりする。
ただし、この場合の耐性とは、よくラノベとかにある『取得していれば常に一定の温度でいられる』とか『暑さや寒さは全く感じない』とかといった便利なものではない。
暖かい、寒いなどといった通常の気温レベルは普通に感じることができ、今回のような尋常ならざる暑さや死に至るような寒さというものになって初めて耐性の効果が表れたりするようなものだ。
当たり前だが、これはレベルによって効果が異なる。
良い例が、人間ver.のモリオンだ。
モリオンは、俺よりも強靭なステータスを誇っているものの、暑さや寒さに対しては滅法弱い。
これは恐らくだが、状態異常耐性が無い、またはレベルが低いからだと推測できる。少なくとも、俺のレベル3よりかは絶対に低く、ドールと同等またはそれよりも低いと思われる。
そう思うには、それなりの根拠がある。
実はドールもモリオン同様、暑さや寒さに対しては滅法弱い。
これは、元から暑さや寒さに弱かったというのもあるのだろうが、状態異常耐性がレベル1だからというのも原因の一つだろう。
二人して仲良く体を寄せあっている光景を度々見掛けることがあるが、これがまたすごくかわいらしい。俺の保護欲を絶妙にくすぐってくる抜群の破壊力だ。
更に、空が澄み渡るほど寒い日の夜の鍛練に付いてくる時などは、マフラー状態になって寒さを凌いでいることが多い。
とは言え、この場合は寒いなら付いて来なきゃいいだけの話なのだが.....。
しかし、そこは奴隷の矜持というやつのか、一向に聞き入れようとはしない。
忠誠心が高いのは結構だが、体を壊すような無理だけはしないでほしいものだ。まぁ、俺としても暖かいから助かるんだけどね。
話が逸れたので戻そう。
つまり、何が言いたいかというと、「色々とおかしい!」、そういうことだ。
相変わらず気持ち悪いままだし、この咽せ返るような暑さは不快だし、どうなっているのだろうか。
───カン!カン!カン!
しかし、俺のその疑問はすぐに解決することとなる。
───カン!カン!カン!
先程からずっと聞こえてくる、何かを叩くような謎の音。
それに、もうもうと煙が立ち上り、一寸先も見えない状態になっているこの現状。
色々不可思議な現象は起きているが、それも『神界ならしゃーない』と割り切れば意外と冷静になれた。
───カン!カン!カン!
何かを叩くような謎の音は一向に止む気配がない。
俺が神の間に来ていることぐらいは、神様ならば当然分かっていることだろう。その上で、放置されている、との認識でいいのだろうか。
・・・。
───カン!カン!カン!
その後も、神様からのアクションを待つも、何かが起きる気配は全くない。
時はゆっくりと、それでも、肌が焼けただれるような暑さは激しく続いていく。
(.....え?本当に放置プレイですか!?)
───カン!カン!カン!
結局、このままでは埒が開かないので行動に移ることにした。
俺はもうもうと立ち上る煙をかき分け、音がするほうに慎重に歩いていくと.....。
「ふんっ!」
───カン!
「それっ!もう一息だ!」
───カン!
「頑張れっ!今の君はとても美しいよ!!」
───カン!
「.....」
え!?
武器と会話してるの!?
そこには、鎚で叩いている剣か何かに、まるで恋人に愛を囁くかのように夢中になって口説いている一人の青年が居た。.....この人、変なんです!
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「なんだチミはってー!?あーははははは( ´∀` )」
「やかましいわ!」
「そうでーす!私がかわいいアテナちゃんでーす(`・ω・´)キリッ!!」
「だっふんだ!」
「私のセリフとらないでよー(´;ω;`)」
いつまでもお前のターンだと思うなよ!
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失礼、よく見ると青年ではなく神様だった。
神の間にいるのだから当然といえば当然なのだが、それでも素で青年だと間違ってしまった。
しかし、それも仕方がないというものだ。
その神様は余りにも特徴がない。いや、強烈な特徴はちゃんとある。
しかし、地味というかなんというか、言っては悪いが影が薄い。どこか俺に似たものを感じる。
(アテナじゃないが、まだ変なおじさんのほうがマシなのではないだろうか?)
そう思ってしまう程に、この神様の存在は希薄過ぎる。
鎚で叩く音と神様の姿を目の当たりにしていないと、思わず見失ってしまいそうなほどだ。
「.....」
日本に居た時の俺を見ているようでどこか悲しくなる。
「特技はなんですか?」と聞かれたら、「空気になることです!」と自信を持って言えちゃう、今日この頃。.....HAHAHA。
しかし、ここで落ち込んでいる猶予はない。
時間が惜しいのもこれまた事実だ。
「あ、あの.....」
ただ、どこか目の前の神様に親近感を覚えたのは確かである。
なので、愛の語らい?を邪魔することに少し気が咎めつつも意を決して話し掛けた。
「大丈夫っ!君の美しさは誰よりも僕が分かっているよ!!」
───カン!
おや?
聞こえていないのか?
だが、神様からの返事はない。
スルーされたというよりも全く聞こえていない。
いや、耳に入りすらしていないといった印象を受ける。
それはまるで、二人の世界に入り込んでいる、と言ったほうが適切な感じだ。
「さあ、もう少しだ!一緒に頑張ろう!!」
───カン!
「.....」
全身汗だく状態になりつつも、神様の熱情は少しも衰える気配がない。
そう言えば、ナイトさんもこんな感じで、俺の『竜墜の剣』と楽しそうに話していたような気がする。
(話せると案外楽しいものなのだろうか?ちょっと興味が出てきたな。
それにしても.....なんだかナイトさんが恋しくなってきた。今度、手紙でも出してみるか)
仕事バカなナイトさんは、遠慮しているのか、恥ずかしいのか、あまり積極的に手紙を出してこようとはしない。
それこそ俺が手紙を出さなければ、1年や2年当たり前のように出してこないので驚かされる。ねこみなんて、ラズリさんに負けず劣らずの頻度で出してくるというのに.....。
「仕上げだっ!君の全てを僕に委ねてくれ!!」
───カン!
くっさぁぁあああ!
これ、俺が聞いているって分かったらどうなるんだ!?
神様の、どこか一生懸命なナイトさんにも通じるその姿に、俺は安心感と尊敬の念を捧げつつ、神様と剣か何かの武器の二人の恋の行く末を静かに見守ることにした。
これが、俺と義兄さんの初めての出会いだった───。
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後書き
次回、本編『類は友を呼ぶ』!
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今日のひとこま
~???と神剣の恋物語!?~ side -???-
「頑張れっ!今の君はとても美しいよ!!」
『そ、そんな.....。私なんてただの鉄クズに過ぎません』
「大丈夫っ!君の美しさは誰よりも僕が分かっているよ!!」
『う、嘘です!貴方様の周りには美しい方々がおられるじゃないですか!!』
確かにこの子 (素材名『鉄』)の言う通りだ。
僕の周りには、オリハルコンやアダマンタイト、ミスリルやヒヒイロカネなどといった、そうそうたるお嬢様方が勢揃いしている。
「それは否定しないよ。否定することなんてできやしない。僕はみんなを愛しているからね」
『.....』
「そして、それは君も例外じゃない。僕は、鉄だろうとオリハルコンだろうと差別はしない」
『.....ほ、本当?こんな脆い存在の私でもいいの?』
純度100%の鉄は非常に脆い。
しかし、そこがたまらなくいい。僕のモノづくりの心を絶妙にくすぐってくる。
どんなに固くても僕の手にかかればなんてことはないけれど、逆に脆いもののほうが難しいのだから楽しくて楽しくて仕方がない。
そして、この子は鉄のように脆い意思と鉄のように熱しやすい性格を有している。
「本当だよ。確かに君は脆い存在なのかもしれない。
でも、僕に任せてもらえれば、君は今よりももっと美しくなれる」
『こ、こんな私が今よりも.....。分かりました。貴方様を信じてみようと思います』
「ありがとう。さあ、もう少しだ!一緒に頑張ろう!!」
『はい!お願いします!』
他のどの子よりも慎重に、かつ繊細に鎚を振るっていく。
一打一打に僕の想いの全てを込めて.....。
「仕上げだっ!君の全てを僕に委ねてくれ!!」
『す、全てを.....。ちょっと恥ずかしいです///』
「ははは!そんな君も愛らしい。大丈夫、安心してくれ。
今から君はただの鉄クズなんかじゃない。神が作りし伝説の剣、神剣へと生まれ変わるのだから」
『あ~.....。なんて暖かい光なのでしょう.....。温かいお心なのでしょう.....。
体が、心が満たされていきます.....』
神なる鉄、『神鉄』へと生まれ変わったこの子を淡く優しい光が包んでいく。
僕の想いが伝わったようだ。成功だ。
早速、新しい家族に挨拶をしよう。
「ふぅ~~~~~。完成だ。気分はどうかな?」
『.....おはようございます。お父様。とても清々しい気分です』
「おはよう。愛しき娘よ。早速だが、名前を付けてあげよう。希望はあるかい?」
『強くて美しい名前がいいですわ!お姉様にも負けない強くて美しい名前が!』
ちょっと想いを乗せすぎたかな?
どうやら、生まれ変わっても熱しやすい性格はそのままのようだ
「ははは!君は生まれ変わっても相変わらずだね」
『ただの鉄クズだった私に、勇気と自信をくれたのはお父様ですわ!
例え生まれ変わろうとも、私が変わるものではありません!』
「その通りだよ。さすが僕の娘だ。
ならばそうだね。『デュランダル』。君は今から『デュランダル』だ」
『『デュランダル』.....。どういう意味があるのでしょう?』
「不滅の剣。主人とともに生涯をかけて生きる剣という意味さ」
『生涯を.....。でも、私は自分が気に入った方にしか、マスターとして認めませんわ』
「それでいい。生涯をかけるのだから、君が、デュランダルが、気にいった主人に仕えればいいさ」
『当然ですわ!ですが.....。マスターが見つかるその日までは、お父様のお側に居たいと思います』
「あぁ、好きにしたらいいよ。よろしく、デュランダル」
「はい!好きにしますわ!よろしくお願いします、ヘパイストスお父様!!」
こうして、ただの鉄クズから神剣へと生まれ変わった新しい娘『デュランダル』が誕生したのだった。
『熱しやすく冷めやすい』。
こんなわがまま子の主人が果たして見つかるどうか.....。
今から親として心配でならないよ。
「あ、あの.....。もう、よろしいでしょうか?」
「どっひゃぁぁあああ!?に、人間!?なんでこんなところに!?」
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始めこそ異世界だとワクワクしていたが、すぐに碇石からズレおかしなことを始めた。
小説になろうで『AN@CHY』名義で投稿している、同タイトルをアルファポリスにも投稿させていただきます。
向こうの小説を多少修正して投稿しています。
修正をかけながらなので更新ペースは不明です。
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