上 下
205 / 349
第6章 力を求めて -再臨ニケ編-

第170歩目 はじめての提供割合!②

しおりを挟む
前回までのあらすじ

1年もあったら色々あるよね!

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

□□□□ ~本当に都だったの?~ □□□□

『旧都トランジュ』

 数十年前まではフランジュの都だった都市。
 周囲を豊かすぎる程の自然に囲まれ天然の要塞と化しているが、開拓が進み肥沃な土地を手に入れたことと隣国カルディアと不可侵条約を締結したことにより、現在の王都の場所へと遷都することが決定し旧都となった。

 遷都して数十年経つが、いまだに都の名残が残っていて、フランジュ内では2番目に大きい都市となる。
 日本で言えば、東京に対する大阪に近いイメージとなる。但し、以前が都だっただけに、数十年経った今でも王都よりも勝っている部分がまだまだある。

 以下が、王都と旧都の比較図である。



 全体的に見ると、都という体裁を考えた時には、多少過密気味ではあるが王都のほうが良いと思う。
 ただ、ダンジョンに関して言えば、王都が5つに対し旧都が8つ(現在4つ閉鎖中)と大幅に勝っているので、旧都の魅力はそれぐらいだろうか。

 但し、住むとなると圧倒的に王都のほうが良い。これだけは断言できる。
 何故ならば、旧都には色々と問題があるからだ。


 まずは、無駄に広すぎる。

 俺的には王都でも十分に広いと感じたが、旧都はそれ以上で、なんと王都の2倍の広さがあるという。
 それに比例しているのか分からないが、施設一つ一つが無駄に大きくて、しかも、やたらと距離が離れているので、普段何気なく利用するにはあまりにも不便すぎる。
 よく利用する冒険者ギルドやダンジョンを訪れるだけでも一苦労だ。

「歩~。つかれたーr(・ω・`;)」
「はぁ.....。ほら、おぶってやるから、おとなしくしてろよ?」
「ありがとー( ´∀` )」

 自己顕示欲の強い者はやたらと大きなものを作りたがると言うが、ここ旧都はまさにその象徴たる都市と言えよう。
 きっと、中・下級貴族がここに多く残留しているのも、見映えだけは尊大に見えるからかもしれない。.....あ~やだやだ。これだから見栄っ張りは。


 その他の問題点としては、自然の中に無理矢理都市を建設した弊害なのか、王都と比べても明らかに環境が整っていない。

 王都は近代化された都市と言えばいいのか、道はきれいに舗装され、建物もしっかりと区分けされた上で建設されていたので、さすが王都!と言える程に町並みが非常に美しかった。

 一方、旧都は、馬車すらも通るのに一苦労しそうな荒れた通り、綿密な計画どころか最早好き勝手に建てられたと予想できるめちゃくちゃな建物の配列と、これはこれで趣のある風景なのだろうが、さすがに都というには無理がある町並みだった。

「ぐぬぬ!いちいち歩きにくい道なのじゃ!!」
「これで都だったとか信じられないよな.....。それとも、貴族区の周辺だけ整備されていたとかか?」
「貴族の活動範囲は限られておるし、案外そうかもしれぬの」

 少なくとも、俺達が行動する範囲内(庶民エリア)に、貴族達がそう頻繁に訪れることはないだろう。
 そして、必要ない部分には金を掛けないという理由なら、たとえ都であったとしても納得はできる。しかし、これだと商人達はさぞや大変だったろう。かわいそうに.....。


 更には、物価が高すぎる。

 ここ旧都は王の子供、所謂王子に相当する者が統治しているらしいが、王位継承権が低く王にはなれないと分かっているのだろう。それはもうやりたい放題に好き勝手な政治を行っている。
 本来であれば、そのような好き勝手を行っている王子を側近が諌めたりするのであろうが、その側近も中央からの出世コースから外れているということで、逆に王子に手を貸している始末。

 それが最も顕著となって表れているのが.....。

「はぁ!?一泊50万ルクア!?」

 当然、それなりの滞在を予定しているので、寝床兼活動拠点となる宿が必要だ。
 そこで、ギルドおすすめの宿を紹介してもらったら驚愕の値段が飛び出してきた。

「「はい。竜殺し様程のお方でしたら、そちらをおすすめします」」
「いやいや!一人一泊50万ルクアとか高すぎますよね!?」
「「はい。私達も十分に高いと思っています。それに、あそこはサービスも悪いですし」」

 ぼったくりじゃねえか!

 なんでも、その宿は貴族区にあって、運営しているのは貴族達なのだとか。
 そして、『はじめてのおつかい』ならぬ『はじめての社会勉強』と銘打って、そこに自分の娘を働きに出しているらしい。

 ちなみに、説明をしてくれているのは受付嬢のナシーネ・ニシーネさんの二人だ。
 この二人、例の五十音姉妹の人達なのだが、「「二人で一人なのです」」とよく分からないことを言っていて、受付も案内も事務作業も全て二人一緒に行っているという変な人達だ。


「貴族のご令嬢なら働く必要はないのでは?」
「「そういう訳にもいかないそうですよ?
  最近の勇者様はそういう子を嫌う傾向にあるみたいですし」」

 やたらリアル!

 婚活事情に詳しいギルド職員だからこそ、勇者の好みも分かっているということなのだろう。
 俺としても、奥さんが専業主婦になるのは構わないが、過度な贅沢をされるのは許容できない。
 そういう意味では、一度働きに出ると言うのもありと言えばありなのかもしれない。.....まぁ、俺は勇者じゃないけど。

 結局、そんなぼったくりには乗る必要がないので、おすすめではないギルド公認の宿を紹介してもらうことになった。

「「本当によろしいんですか?」」
「お金は十分にあるのでケチるつもりはありませんが.....。
 だからと言って、そういう理不尽には屈しません。断固拒否します!」

「「そうですか。.....出ますよ?」」


 何が出るの!?.....と言うか、そういうことは先に言って!?


□□□□ ~やっぱり女の子なんだな~ □□□□

 おすすめではない宿に到着した。

 結局、ナシーネ・ニシーネさんの二人からは何が出るのかは教えてもらえなかった。
 なんでも、業務妨害がなんたらかんたらとか。.....公認なんだよね!?

 恐る恐る案内された部屋(この宿で一番いい部屋)に入ってみると.....。

「ふわぁー!おっきーベッドー( ´∀` )」
「なかなか良い部屋ではないか。これのどこに問題があると言うのじゃ?」
「我の部屋と同じぐらい広いのだ!」

 思った以上に快適そうな部屋だった。
 見栄っ張りな都市だけあって、想像以上に豪華である。

 この宿は5階建てとなっていて、最高級の部屋はその5階部分を丸々占拠している。
 通常一人一泊20000ルクアとなるが、ここ最上階は40000ルクアと少々お高めだ。
 しかし、その費用に見合った豪華な調度品や広さ、それにベッドの大きさと、文句なしの充実ぶりが窺える。

 竜族のお姫様であるモリオンが「我の部屋と同じぐらい広いのだ!」と言っているところからも、その絢爛豪華さは想像に難くはないだろう。とは言っても、モリオンの部屋を見たことはないが.....。

 ただ、俺が今まで宿泊してきたどの宿よりも立派だと思う。
 それに、アテナ達の反応も上々で、ドールの言う通り、これの何がおすすめできないのかさっぱり分からないぐらいだ。

「これならー、みんなで一緒にねれるねー( ´∀` )」
「ベ、ベッドが一つしかないのじゃから、と、当然であろう!」
「アユムとお姉ちゃんと一緒なのだ!」

 どうした?ドール?

 アテナとモリオンはベッドの上で楽しそうに飛び跳ね、ドールは何やらあたふたとしている。ドールも飛び跳ねたいのかな?

 俺達は普段、ツインの部屋に泊まることが多い。
 そうなると、自然と『俺✖アテナ』・『ドール✖モリオン』の組み合わせで寝ることがほとんどだ。
 たまに、『アテナ✖ドール』の組み合わせになることもあるのだが、気付くとアテナが俺のベッドに来ているので、最終的には『俺✖アテナ』・『ドール✖モリオン』の組み合わせに戻ってしまう。

 アテナにとって、一番の安らぎは俺ということなのだろう。照れる。

「歩は最高の枕だからねー(o゜ω゜o)」
「.....」

 とにもかくにも、部屋でまったりとくつろぎつつ今後の計画を話し合っていたら、それは起こった。

───プーン
───プーン
───プーン

「.....ん?なんだ蚊か?」

 旧都は自然の中に無理矢理建設した都市だけあって、とにかく蒸し蒸ししていて湿気が多い。
 外に比べればこの部屋自体は快適ではあるが、それでも多湿の影響は免れないらしい。

「.....(ぱちっ!).....蚊、うちとったりー!あーははははは( ´∀` )」
「なんじゃ。出るとは蚊のことか。トカゲは大変じゃな」
「.....(ぱちっ!).....(ぱちっ!).....お姉ちゃんに負けないのだ!」

 暴れるな、モリオン!汗かくぞ!?

 汗っかきな人は蚊に刺されやすいと言う。
 そして、モリオンは汗っかきである。蚊にとってはまさに最高の標的だろう。

───プーン
───プーン
───プーン

「.....(ぱちっ!).....あーははははは( ´∀` )」
「多いのぅ。さすがに少し気になるのじゃ」
「.....(ぱちっ!).....(ぱちっ!).....のだ!のだ!のだ!」

 その後も多数現れる蚊の大軍を蹴散らしていくアテナとモリオン。
 二人の両手には潰された蚊がびっしりと.....。さすがに気持ち悪いわっ!

 確かに、ナシーネ・ニシーネさんの二人がおすすめできないと言っていた理由がよく分かった。
 これはさすがに鬱陶しい。寝ている間にどれだけ蚊に刺されるか分かったものではない。

 しかし、高温多湿の真の恐怖はまだ始まってさえいなかった.....。

───プーン
───プーン
───プーン

「.....(ぱちっ!).....あーははははは( ´∀` )」
「あー!鬱陶しいのじゃ!さすがに多すぎであろう!!」
「.....」

「?」

 モリオンの様子が少しおかしい。
 先程まで押し寄せる蚊の大軍を楽しそうに撃退して遊んでいたのに、今は何やらおとなしい。

 いや、おとなしいというよりも.....何かを一心に見つめている?

「どうした?モリオン。何か気になることでも.....」

 そうモリオンに声を掛けた瞬間、それは起こった。
 高温多湿の真の恐怖が始まったのだ。

───カサカサカサ

「うおっ!?びっくりした!」
「!!(||゜Д゜)」
「!?」

「なんじゃ。ゴ.....」

 それ以上、言うんじゃない!

 驚く俺と慌てるアテナ、それとモリオン?
 ドールただ一人、至って冷静だ。.....と言うか、冷静すぎるだろ!?

───カサカサカサ

 すっかりと忘れていた。奴が高温多湿を好むことを.....。
 蚊が好む環境、すなわち奴も生息していて何ら不思議ではないのだ。

───カサカサカサ
───バシンッ!

「.....ちっ。外したか。意外とすばしっこいな」
「いやぁぁぁぁぁあああああ!こっちきたぁぁぁぁぁあああああ(´;ω;`)」
「姉さまうるさい。いちいち大袈裟すぎなのじゃ」

 ドールさん?
 それはさすがにアテナがかわいそうだぞ?

 俺は苦手という訳ではないが、いきなり出てこられるとさすがにびっくりする。
 アテナは.....説明するまでもなく、苦手なのだろう。

 恐らく、神界には居ないのだと思われる。
 それでも、奴の存在を知っているのは智慧の女神だからだろう。

 そして、一番意外だったのがモリオンだ。

「!!?.....ア、アユム!
 あれは何なのだ!?何なのだ!!?何なのだ!!!?」

 明らかに怯えきっているのに、その原因となっている奴を知らないらしい。
 モリオンの話では、竜族とは大森林の遥か遠く、それこそ絶海の地に生息しているとのことだったので、てっきり奴のことを知っているものだとばかり.....。

「何って、ゴキブリだけど?」
「ゴキブリ.....。な、何か変な動きをして怖いのだ.....。気持ち悪いのだ.....」

 ゴキブリ恐るべし。
 その存在を知らない者にも恐怖を与えるとは.....。

 最早、世界共通で恐れられている虫なのではないだろうか。
 どこかの国では食べられているというのを聞いたことがある。

 確かに、ゲテモノ料理として存在していることは知っているが、俺には無理!
 否定はしないが、食べたいとは決して思わない。.....例え、おいしくてもだ!

───カサカサカサ
───カサカサカサ
───カサカサカサ

 そんな恐ろしいゴキブリの集団が、一斉に仲良く襲う。

「『1匹見つけたら100匹はいると思え』とはよく言ったものだな。
 .....(バシンッ!).....さすがに多すぎだろ」
「いっぱいきたぁぁぁぁぁあああああ(´;ω;`)」

「.....(バシンッ!).....こんなもの叩けば終わりであろう?何を恐れるやら」
「.....(ビクッ!).....何か来たのだ!?何か来たのだ!!?何か来たのだ!!!?」

 最早、アテナとモリオンは恐慌状態に陥っていると言っても過言ではない。
 特に、アテナの場合は世界に愛されているからこそ余計にタチが悪い。

 世界に、人に愛されるアテナは、当然のことながら、その世界に生息する虫にも愛される。
 それはつまり、ゴキブリからしたら『アテナLOVE』ということに他ならない。モリオンにしてみたら、いい迷惑だろう。

───カサカサカサ
───カサカサカサ
───カサカサカサ

「ゴキブリ、いやぁぁぁぁぁあああああ!
 モーちゃーん、たすけてぇぇぇぇぇえええええ(´;ω;`)」
「のだぁぁぁぁぁあああああ!?.....お、お姉ちゃん!こっちに来ないで欲しいのだ!!」

「情けない姉と妹なのじゃ。こんなもの、なんともないであろう」
「逆に、ドールは逞しすぎるだろ.....」

 その後、アテナとモリオンに泣いてすがられたので、結局、俺達はナシーネ・ニシーネさんの二人がおすすめするぼったくり宿に宿泊することになった。


□□□□ ~ランダムの仕組み~ □□□□

 ぼったくり宿は、まぁ、ぼったくりと言うのにふさわしい程のぼったくり内容だった。
 ここに来る前に絢爛豪華な部屋を見た後だから、という言い訳もできない程に.....。

 まず、部屋が狭い。
 一応、ツインの部屋を頼んだ訳だが、4人では少し.....いや、かなり手狭だ。1人用の部屋と言っても過言ではないだろう。

 それと、これは俺のわがままなのかもしれないが、サービスが行き届いていない。
 今までのどの宿も、言うなれば、日本のホテルレベルの基本的なサービス(シーツがきれいに敷かれているとか)ぐらいはしっかりとなされていた。当然、チップ付きだが。

 しかし、ここは、敷いてあげたんだから感謝してよね?レベルで、煩雑な印象を受ける。
 単に働くだけで、従業員の教育係りとかいないのでは?と疑う程だ。
 恐らく、シーツとかも一回使用したら洗濯するのではなく、捨てているまであると思う。
 きれいさだけは新品級だ。だからこそ、煩雑さに余計に目がいってしまう。

 ただ、唯一、宿泊費用に見合っているサービスと言えば、虫が一切出てこないことだ。
 考えてみれば当たり前だが、ご令嬢が働く職場である。虫などが出てこられたら、おちおち働いてなどいられないのだろう。

 そんな、アテナとモリオンがにっこにこな素敵な笑顔になれる狭い部屋で、俺達は今後の計画について話し合った。
 お題は『神への祈り』についてだ。

「.....え?一日に一回しか祈れないの?」
「そだねー。祈ることはできるけどー、誰も出てこないよー(・ω・´*)」

 今までは、どんなに多くても2~3個ぐらいまでしか攻略の証を所持してはいなかった。
 だから、祈りについても2~3日程度、と特に問題にしてはいなかったが、現在の俺は攻略の証を9個所持している。
 さすがに、毎日祈りに行くのはめんどくさいので、一気に祈ろうと思っていたら、まさかの結果に.....。

「神への祈りってはねー、人間の生命力を基に行われるものだからねー!
 いくらなんでもー、特別扱いされてる歩であっても無理なもの無理だねー┐(´ー`)┌」
「.....生命力?体力とは違うのか?」

「ちがうねー。んー?魂の輝きみたいなものかなー(。´・ω・)?
 その輝きがなくなったら死んじゃうんだけどー、そのギリギリまで使用するんだよー!」
「マ、マジか.....」

 神と直接会うことができるなど特別扱いされている俺なら!と秘かに期待していたが、どうやら無理らしい。
 俺は特別扱いされているだけで、人間には変わりないのだから仕方がないか。

「それじゃあ、毎日祈りに行かないといけないのか.....。それはそれで大変だな」
「ううんー。そんなことはないよー?
 というかー、そんなことしてたら歩が怒られるからー!あーははははは( ´∀` )」

「.....怒られる?どういうことだ?」

 アテナが言うにはこうだ。
 神々は暇ではないのだから、人間如きが毎日会いに行っていたらブチギレられるらしい。会いに来るのなら、まとめてこんかい!と。

「まとめてって.....。確か、ランダムで神様は選ばれるんだろ?
 だったら、人間側ではどうしようもなくないか?」

 9回も祈れば、恐らくだが、被る神様が出てきても仕方がないだろう。
 俺も神様を不快にさせたくはないので、まとめられるものならまとめていきたいとは思う。

「だいじょーぶ!十連ガチャをすればいいんだよー!」
「十連ガチャって.....。ソシャゲかよっ!?」
「ソシャゲだよーΣヾ(´∀`*」

 ツッコミ返し、、だと!?
 と言うか、神様をソシャゲ扱いはマズいだろ.....。

「いいのー、いいのー!どうせみんな暇してるんだしねー(o゜ω゜o)」
「忙しいんじゃねえのかよ!?」

 最早、ツッコんだら負けなのだろう。

 神は気まぐれだと言うが、まさにその通り。
 その気まぐれに付き合わないといけないのはいつも人間側なのだ。アテナやアルテミス様でもう慣れた.....。HAHAHA。

 とりあえず、攻略の証を10個集めれば、神様十連ガチャができるのは分かった。
 そうなると、気になるのはランダムの仕組みだ。

 アテナは神様十連ガチャをソシャゲだと見事に言い切った。
 もし仮に、それが本当だとしたら、排出率または提供割合が決まっているはずだ。

「あるよー!ランダムってのはねー、平等って意味じゃないしねー!
 最近もあったでしょー?(・ω・´*)」
「最近?」

「ランダムとか言っておいてー、実は内容で決めてたやつだよー!あーははははは( ´∀` )」
「割と最近の時事ネタはやめろ!」
「「?」」

 ドールとモリオンが頭に?を浮かべるのも無理はない。
 地球の、それもかなり最近の時事ネタを知る由もないのだから。

 さすがに、このネタをあまり引っ張ると怒られそうなので、アテナにランダムの仕組みを尋ねる。

「神格の違いだねー!神とは言ってもー、みんな同列って訳じゃないしねー(・ω・´*)」
「その理論でいくと.....一番当たりやすいのはニケさんになるのか?」
「そのとーり!ほとんどがニケになるねー!」

 その理論はおかしい!

 思わず、そう叫びたくなった。
 俺はニケさんやアルテミス様のクリスタルを使った祈りを除くと、一回だけちゃんと祈ったことがある。結果がアレス様だったあれだ。

「そだねー。私もびっくりしちゃったよー。普通はほとんどがニケになるんだけどねー!
 でもー、当たらなくもないのかなー(。´・ω・)?」
「どういうことだ?.....と言うか、ガチャなら提供割合を表示しろ!法律違反だぞ!?」

「ぇぇえええΣ(・ω・*ノ)ノ」

 ソシャゲだと言い張るなら表示してください!
 お願いします!!

 あまりソシャゲで遊ばない俺でも、ガチャがあるなら提供割合を表示しないといけないことぐらいは知っている。
 詳しくは知らないが、TVや新聞などで割と有名になっていたはずだ。

 ・・・。

 その後、株式会社アテナに猛抗議した結果、どうやら緊急で提供割合を作ってくれたらしい。
 それが以下となる。



「☆6ってなんやねん!?まんまガチャかよっ!?」
「ガチャだよーΣヾ(´∀`*」

 またツッコミ返し、、だと!?

 バカは放っておいて、アテナ渾身の作である提供割合を改めて見てみる。
 ニケさんが☆3というのは納得できないが、俺からしてみればラッキーとも言える。.....いや、デートをできるのは嬉しいが、力を求める上ではアンラッキーか?

「ねー。言ったでしょー?ほとんどがニケになるんだよー(o゜ω゜o)」
「それはそうだが.....。でも、☆4?も35%あるのなら、意外と当たるんじゃないのか?」
「それは十連ガチャだからでしょー?単ガチャだと普通はニケになるんだよー?」

 そうなのか.....?
 ほとんどガチャったことがないからよく分からん。

 ただ、ニケさんの割合が半分以上を占めているとなると、そういうものなのかもしれない。
 だとすると、アテナの言葉を信じるなら、『デートをしたいなら単ガチャ』、『力を求めるなら十連ガチャ』がいいということになるのだろうか。

「どっちもかわらないけどねー(・ω・´*)」
「どっちやねんっ!?」

 いや、アテナの言う通りなのかもしれない。
 確か、会社の食堂でこんな話を耳にしたことがある。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「先輩!今日の超獣心祭、楽しみっすねー!」
「あぁ!この日の為に節約してきたからな!俺の20万円が火を噴くぜ!」
「20万っすかー!気合入ってるっすねー!俺は5万が限界ですよー」
「お前は結婚してるから仕方がない。俺は独身だからな。ソシャゲが恋人よ!」
「いやいや(笑)さすがにそれは笑えないっす」
「笑ってるじゃねえか(笑)とりあえず、十連しまくりだぜ!」
「あ、先輩は十連教なんすか?俺は単発教なんすよ」
「十連のほうが当たりやすく感じないか?」
「どっすかね?俺は単発のほうが当たりやすいような?あっ!でも、金は無駄にならないっすよ?」
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 ガチャに金を使っている時点で無駄になっているだろっ!

 と、心の中でツッコミを入れていたことはよく覚えている。
 別に、ソシャゲを否定するつもりはないが、興味のない俺からしたら無駄金だとしか思えない。

 じゃあ、俺は何に金を使っているかって?
 
 俺はひたすら貯金しているけどな!
 無趣味な上に、唯一の趣味がウォーキングだから、金が貯まる!貯まる!!

 まぁ、つまり、何が言いたいかと言うと、十連だろうが単発だろうが結果は変わらないんじゃないか、ということだ。
 本当にそうなのかどうかは正確には分からん。

「どっちにするのー(。´・ω・)?」
「んー.....」

 どっちも結果が変わらないとしたら、ここは神様の機嫌を損ねない為にも十連ガチャのほうがいいだろう。
 それに、毎日祈りに行くのも正直めんどくさい。

「あー!それとねー!」
「なんだよ?」
「十連ガチャだからってー、特典は何にもないからねー?あーははははは( ´∀` )」
「.....特典?なんだそれ?」

 アテナが、さも当たり前のように言うので気になった。
 十連ガチャには特典があって然るべきものなのだろうか。

「しらないのー?
 ガチャに必要なアイテムが少しお得になったりー、特定のレアが保証されたりするんだよー」
「ふ~ん。そういうものなのか」

「それがないガチャは総じてくそゲーだねー!あーははははは( ´∀` )」
「くそゲーって.....。じゃあ、特典がない神様ガチャはくそゲーなんじゃないか?」

 アテナの言葉を信じるなら、神様ガチャは特典がない以上、女神公認のくそゲーとなる。
 自分も担当しているガチャをくそゲー扱いするのはいかがなものだろうか。と言うか、くそゲーだと分かっているなら改善しろよ.....。

「んー。今まではくそゲーでもよかったんだけどー.....」
「?」
「歩が神界に来るようになったからねー(・ω・´*)」

 あー、なるほど。言われてみれば、その通りだ。
 今までは神に祈っても、祈った者は神界に行けずに、神様が代わりにダーツをしていたので不都合はなかったのだろう。

 しかし、そこに、俺が特別扱いされて神界に行くようになった。
 神様側からしたら意味は同じであっても、他の者とは事情が少し異なってくるのかもしれない。多分?

「歩は特典あったほうがいいー(。´・ω・)?」
「まぁ、ないよりかはあったほうが嬉しい、かな?」
「わかったー!パパにおねがいしてみるねー!」
「ちょっ!?いいの!?」

 驚く俺に、かわいい笑顔でサムズアップするアテナ。
 恐らくは、相当昔から定められている規定なんだと思うが、それを俺の為に改善してくれるらしい。

「だいじょーぶ!パパは私のいうことならなーんでもきいてくれるからねー( ´∀` )」
「お前はどんだけイージーモードな人生を送っているんだよ.....」
「あー!でもー、今回は無理だからねー?」
「分かってるって。.....でも、ありがとな?よろしく頼む」

───ぽふっ。ぽんぽん

「にへへー(*´∀`*)
 ぜーんぶ私にまっかせなさーい!」

 頭をぽんぽんされたアテナは、いつものように八重歯を覗かせながらにぱー☆と微笑んだ。かわいい。

(ちゃんとしてれば可愛い子なんだけどな~。胸大きいし)


 こうして、神様十連ガチャに向けて攻略の証を貯めるべく、俺はダンジョンへと向かうのだった───。


 さぁ!次はいよいよ神様十連ガチャだ!!


(369日分の取得品)

①ダンジョン攻略の報酬      (↑20,000,000ルクア)
②各都市での滞在費        (↓546,000ルクア)
③キュルルナでの攻略の権利購入費 (↓100,000,000ルクア)
④369日分の馬の餌代       (↓1,304,000ルクア)

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
『アテナ』 レベル:3 危険度:極小

種族:女神
年齢:ーーー
性別:♀

職業:女神
称号:智慧の女神

体力:50
魔力:50
筋力:50
耐久:50
敏捷:50

装備:殺戮の斧

女神ポイント:486,340【↑369,000】(369日分)

【一言】あー。ゴキブリこわかったー(´;ω;`)初めてみたよー。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
アユムの所持金:3,574,452,200ルクア【↓81,850,000】(369日分)
冒険者のランク:SS(クリア回数:25回)

このお話の歩数:約39,931,000歩(369日分)
ここまでの歩数:約101,276,200歩

アユムの旅行年:44ヶ月+13日(↑369日)
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
『アユム・マイニチ』 レベル:14230【↑3154】

種族:人間
年齢:26
性別:♂

職業:凡人
称号:女神の付き人/竜殺しドラゴンスレイヤー
所有:ヘリオドール/ねこみ/ねここ

体力:14240(+14230)【↑3154】
魔力:14230(+14230)【↑3154】
筋力:14235(+14230)【↑3154】
耐久:14235(+14230)【↑3154】
敏捷:16690(+16630)【↑3154】

装備:竜墜の剣ドラゴンキラー(敏捷+2400)

技能:言語理解/ステータス/詠唱省略

Lv.1:初級光魔法/初級闇魔法

Lv.2:浄化魔法

Lv.3:鑑定/剣術/体術/索敵/感知/隠密
   偽造/捜索/吸収/治癒魔法/共有
   初級火魔法/初級水魔法/初級風魔法
   初級土魔法/ 物理耐性/魔法耐性
   状態異常耐性

Lv.4:初級風魔法 (※『竜墜の剣』装備時のみ)

共有:アイテムボックスLv.3
   パーティー編成Lv.3
   ダンジョンマップLv.3
   検査Lv.3
   造形魔法Lv.3
   奴隷契約Lv.3

待機:申請魔法Lv.3
   ワールドマップLv.3
   マッピングLv.3

加護:『ウォーキング』Lv.14230 8339/14231
   『NTR』   Lv.10795 5055/10796
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
後書き


次回、本編『神様十連ガチャ』!
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

無能なので辞めさせていただきます!

サカキ カリイ
ファンタジー
ブラック商業ギルドにて、休みなく働き詰めだった自分。 マウントとる新人が入って来て、馬鹿にされだした。 えっ上司まで新人に同調してこちらに辞めろだって? 残業は無能の証拠、職務に時間が長くかかる分、 無駄に残業代払わせてるからお前を辞めさせたいって? はいはいわかりました。 辞めますよ。 退職後、困ったんですかね?さあ、知りませんねえ。 自分無能なんで、なんにもわかりませんから。 カクヨム、なろうにも同内容のものを時差投稿しております。

神の宝物庫〜すごいスキルで楽しい人生を〜

月風レイ
ファンタジー
 グロービル伯爵家に転生したカインは、転生後憧れの魔法を使おうとするも、魔法を発動することができなかった。そして、自分が魔法が使えないのであれば、剣を磨こうとしたところ、驚くべきことを告げられる。  それは、この世界では誰でも6歳にならないと、魔法が使えないということだ。この世界には神から与えられる、恩恵いわばギフトというものがかって、それをもらうことで初めて魔法やスキルを行使できるようになる。  と、カインは自分が無能なのだと思ってたところから、6歳で行う洗礼の儀でその運命が変わった。  洗礼の儀にて、この世界の邪神を除く、12神たちと出会い、12神全員の祝福をもらい、さらには恩恵として神をも凌ぐ、とてつもない能力を入手した。  カインはそのとてつもない能力をもって、周りの人々に支えられながらも、異世界ファンタジーという夢溢れる、憧れの世界を自由気ままに創意工夫しながら、楽しく過ごしていく。

転移した場所が【ふしぎな果実】で溢れていた件

月風レイ
ファンタジー
 普通の高校2年生の竹中春人は突如、異世界転移を果たした。    そして、異世界転移をした先は、入ることが禁断とされている場所、神の園というところだった。  そんな慣習も知りもしない、春人は神の園を生活圏として、必死に生きていく。  そこでしか成らない『ふしぎな果実』を空腹のあまり口にしてしまう。  そして、それは世界では幻と言われている祝福の果実であった。  食料がない春人はそんなことは知らず、ふしぎな果実を米のように常食として喰らう。  不思議な果実の恩恵によって、規格外に強くなっていくハルトの、異世界冒険大ファンタジー。  大修正中!今週中に修正終え更新していきます!

【完結】【勇者】の称号が無かった美少年は王宮を追放されたのでのんびり異世界を謳歌する

雪雪ノ雪
ファンタジー
ある日、突然学校にいた人全員が【勇者】として召喚された。 その召喚に巻き込まれた少年柊茜は、1人だけ【勇者】の称号がなかった。 代わりにあったのは【ラグナロク】という【固有exスキル】。 それを見た柊茜は 「あー....このスキルのせいで【勇者】の称号がなかったのかー。まぁ、ス・ラ・イ・厶・に【勇者】って称号とか合わないからなぁ…」 【勇者】の称号が無かった柊茜は、王宮を追放されてしまう。 追放されてしまった柊茜は、特に慌てる事もなくのんびり異世界を謳歌する..........たぶん….... 主人公は男の娘です 基本主人公が自分を表す時は「私」と表現します

スキル喰らい(スキルイーター)がヤバすぎた 他人のスキルを食らって底辺から最強に駆け上がる

けんたん
ファンタジー
レイ・ユーグナイト 貴族の三男で産まれたおれは、12の成人の儀を受けたら家を出ないと行けなかった だが俺には誰にも言ってない秘密があった 前世の記憶があることだ  俺は10才になったら現代知識と貴族の子供が受ける継承の義で受け継ぐであろうスキルでスローライフの夢をみる  だが本来受け継ぐであろう親のスキルを何一つ受け継ぐことなく能無しとされひどい扱いを受けることになる だが実はスキルは受け継がなかったが俺にだけ見えるユニークスキル スキル喰らいで俺は密かに強くなり 俺に対してひどい扱いをしたやつを見返すことを心に誓った

スキルスティール〜悪い奴から根こそぎ奪って何が悪い!能無しと追放されるも実はチート持ちだった!

KeyBow
ファンタジー
 日常のありふれた生活が一変!古本屋で何気に手に取り開けた本のタイトルは【猿でも分かるスキルスティール取得法】  変な本だと感じつい見てしまう。そこにはこう有った。  【アホが見ーる馬のけーつ♪  スキルスティールをやるから魔王を倒してこい!まお頑張れや 】  はっ!?と思うとお城の中に。城の誰かに召喚されたが、無能者として暗殺者をけしかけられたりする。  出会った猫耳ツインズがぺったんこだけど可愛すぎるんですが!エルフの美女が恋人に?何故かヒューマンの恋人ができません!  行き当たりばったりで異世界ライフを満喫していく。自重って何?という物語。  悪人からは遠慮なくスキルをいただきまーーーす!ざまぁっす!  一癖も二癖もある仲間と歩む珍道中!

チートがちと強すぎるが、異世界を満喫できればそれでいい

616號
ファンタジー
 不慮の事故に遭い異世界に転移した主人公アキトは、強さや魔法を思い通り設定できるチートを手に入れた。ダンジョンや迷宮などが数多く存在し、それに加えて異世界からの侵略も日常的にある世界でチートすぎる魔法を次々と編み出して、自由にそして気ままに生きていく冒険物語。

ダンマス(異端者)

AN@RCHY
ファンタジー
 幼女女神に召喚で呼び出されたシュウ。  元の世界に戻れないことを知って自由気ままに過ごすことを決めた。  人の作ったレールなんかのってやらねえぞ!  地球での痕跡をすべて消されて、幼女女神に召喚された風間修。そこで突然、ダンジョンマスターになって他のダンジョンマスターたちと競えと言われた。  戻りたくても戻る事の出来ない現実を受け入れ、異世界へ旅立つ。  始めこそ異世界だとワクワクしていたが、すぐに碇石からズレおかしなことを始めた。  小説になろうで『AN@CHY』名義で投稿している、同タイトルをアルファポリスにも投稿させていただきます。  向こうの小説を多少修正して投稿しています。  修正をかけながらなので更新ペースは不明です。

処理中です...