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第5.5章 モリオン
第147歩目 はじめての買い出し!モリオン④
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前回までのあらすじ
サキは最後までくそJKだった!
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1/30 世界観の世界編!に一部追記をしました。
追記箇所は、『周辺地図』のベルジュの地図の挿絵と各区の説明となります。
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□□□□ ~グルメと観光の都市ベルジュ~ □□□□
サキ達と別れた俺達一行はしばらく港周辺で楽しんだ後、宿を取ることにした。
今後の観光計画を立てるのと何よりも.....。
「具合大丈夫か?」
「うぅ.....。き、気持ち悪いのだ.....」
モリオンの船酔いを治すのが先決だと判断したからだ。
船旅中からそうだったのだが、どうやらモリオンは船が苦手らしい。
いや、もしかしたら乗り物自体が苦手なのかもしれない。
いま思えば、思い当たる節がある。
たまちゃんの依頼で奴隷を護送する時にモリオンと初めて出会った訳なのだが、あの時もモリオンは馬車には乗らずに俺と一緒にずっと歩いて過ごしていた。単になつかれただけだと思っていたがまさか.....。
それでも、船から降りてしばらくは『食い気>船酔い』状態だったみたいなのだが、そこそこ腹が満たされると同時に『食い気<船酔い』状態に戻ったらしく、今ではすっかりご覧の有り様だ。
「確か.....モリオンって状態異常Lv.4なんだろ?それでも酔うものなのか?」
「関係ないからねー。そもそもー、船酔いって状態異常じゃないしー(・ω・´*)」
酔ってるんだから異常なのでは?
そういうツッコミは、アテナが管理しているこの世界では今更だから敢えてしない。
アテナが「異常じゃない!」と言えば異常ではないのだ。
かの有名な「馬を鹿だ」と言った事件と同じだと考えてもらいたい。
権力者の言葉が絶対であり、世の中はそういう感じでなぁなぁと進んでいるものだ。
「それ知ってるー!中国のお話だよねー( ´∀` )」
「本当にそういうしょーもない知識だけは豊富だよな」
「智慧の女神だからねー(`・ω・´) シャキーン!!」
誉めてない、誉めてない。
とりあえず、(`・ω・´)シャキーン!!とドヤっている駄女神を軽くいなし、この時間を有効活用しよう。
「有効活用とは?」
「これからの観光計画を立てようと思う。俺達はあまりにも無計画過ぎる」
「それも今更じゃなぁ.....」
ほっとけ!
アテナというただ居るだけでお荷物化する奴がいると、ゆっくりと計画を立てる暇がないことぐらいはドールも百も承知なはず。
モリオンには申し訳ないけど、こういう事態でないと時間が取れないので敢えてそれを利用させてもらう。
アテナ、ドール、モリオンが見守る中、港でもらったベルジュの地図を机に広げる。
このベルジュは海上に浮く複数の『浮き島』で成り立っている海上国家だ。
『浮き島』は3つのグルメ区島と2つの観光区島、そして王侯貴族だけが住まう貴族区島、最後にダンジョンがある冒険区島の全部で7つにて構成される。
それぞれの『浮き島』の大きさは1つの平均的な町よりかは多少小さい程度だ。
だから王都フランジュよりかは当然ながら規模は小さい。と言うよりも、フランジュに慣れてしまったせいか、ベルジュがすごく狭く感じる。
港で聞いた話だと、ここ海都ベルジュよりも隣の海上要塞フラッペのほうが遥かにデカいらしい。
ここはあくまでもグルメと観光を楽しむところであって、機能面はそれほど重視されていないのだとか。
ただ経済はフラッペよりもベルジュのほうが回るので、対外的にはベルジュを都にしているだけで、本当の都はフラッペだと言われている。その証拠にフラッペにもちゃんとした王城があるらしい。
そういう意味ではベルジュにある王城は別荘みたいなものなのだろう。
「ふーん。お城が2つもあるとかすごいねー(・ω・´*)」
「だな。相当ベルジュで稼いでいるんだろうな」
「いや、何よりもすごいのは都が実質2つもあることであろう?普通権力はまとめるものではないのか?」
ドールの懸念はごもっとも。
普通は機能も経済も権力も全て首都に集める中央集権化が一般的だと思う。
そういう意味ではフラッペとベルジュの関係は、東京に対しての大阪みたいに少し日本の構造と似ている部分があるのかもしれない。
・・・。
話が逸れた。
観光計画に戻ろう。
いくら1つ1つの島がフランジュの1区よりも小さいと言えど、そこは1つの島だ。
1日で全てを見て回ることなど不可能に近い。ここは数日をかけてじっくりと観光していこうと思う。
「まぁ、ベルジュ滞在期間は1ヶ月ちょいといったところだな」
貴族区島と冒険区島を除くと全部で5島。
1つの島で約1週間の滞在となる計算だ。これで十分だろう。
「ダンジョンには行かぬのか?」
「いや、一応行こうとは思う。俺も色々と事情があるしな」
事情とは当然『付き人のレベルアップ』が主目的だ。
フランジュではアルテミス様やニケさんとのデートで忙しくてすっかり忘れてしまっていたが.....。
ただ、モリオンと再会を果たしたことや神界でのアルテミス様の事情もあるので、この機会に本気で取り組もうと思う。
「となると、行けるのはAランクダンジョンのみじゃな。妾達はまた留守番かの.....」
ドールが寂しそうに、申し訳なさそうに項垂れてしまった。
2本の尻尾もシュンとなって元気がない。
ドールの言う通り、俺が現在行けるダンジョンはAランクダンジョンのみとなる。
ベルジュの冒険区島にあるダンジョンはS・A・D・Fランクの全部で4つ。その内、DとFランクダンジョンは既に攻略されてしまったようで現在閉鎖中となっている。
残るダンジョンはSとAランクのみだが、Sランクの入場資格はSSSランクとなっているので、SSランクである俺は挑むことが不可能。つまり、Aランクダンジョンのみ攻略することが可能となる。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
【ダンジョンの立ち入り資格】
資格:冒険者Aランク以上
(冒険者ランク)(立ち入り許可ダンジョンランク)
『Aランク』 F、E
『Sランク』 F、E、D、C
『SSランク』 F、E、D、C、B、A
『SSSランク』F、E、D、C、B、A、S、SS
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
そして、ドールが落ち込む理由は単純に俺の力になれないからだ。(※第105歩目参照)
Bランクダンジョン以降の魔物が強すぎて(俺からすると雑魚なのだが)、現在のドールでは手に負えない状況となっている。それこそ成体化すればドールでも余裕なのだが、30分の制限が出てきてしまうので論外だ。
そういうことで、フランジュではアテナとドールはお留守番になってもらった経緯がある。
そして今回はフランジュよりも上のAランクダンジョン。
当然、アテナとドールはお留守番となる。
そう、本来はお留守番となるはずなのだが.....。
「いや、今回はちょっと試したいことがある」
「!?」
「あくまで実験だから成功するとは限らないぞ?
もしかしたら、ちょっとはダメージを喰らうかもしれない。.....それでも来るか?」
「当然なのじゃ!」
ドールの表情がパァっと一気に華やいだ。
2本の尻尾もぶんぶんと振られ、とても嬉しそう。かわいい。
(やっぱりドールは笑顔が似合う。
聞いてみて正解だったな。多分、実験も俺の予想通りなら問題ないだろうし)
一方───。
「しかたないなー。私が力をかしてあげるー( ´∀` )」
「「.....」」
このバカは何かを勘違いしているようだ。
そもそもドールがお留守番になった原因はこいつであるというのに.....。
確かにドール自身の力不足も否めないが、それでもドールだけなら上手く立ち回ることはできただろう。
しかし、そこに最早戦力ともならないアテナが追加されてしまうと、ドールだけに限らず、この俺でさえも苦戦を強いられる結果となる。
だからドールには申し訳ないが、二人はいないほうがマシと判断してお留守番になってもらった訳だ。
それなのに、このバカときたら.....。
「歩は私がいないと本当にダメだよねー!感謝してよー!あーははははは( ´∀` )」
「はぁ.....。姉さまのこの厚顔無恥さ。本当に敵わぬのぅ.....」
「.....おー。.....お姉ちゃん.....すごいのだ.....」
「.....とりあえずモリオンは横になってろ」
気持ち悪そうにしているモリオンが健気にも姉をヨイショしているが、別に誉められたことでもなんでもない。むしろ呆れてなんぼのものだ。
いや、それよりも.....。
───ぎゅむ!
「な~にが「感謝してよー!」だ!黙ってろ!くそ駄女神!!」
「ふえええええん(´;ω;`)ごめんなさーい」
俺に頬をつねられたことで駄女神が呻いだ。
(全く.....。俺に感謝を求める前に少しは自分を省みろよ)
□□□□ ~1つの約束~ □□□□
いま俺とモリオンは夕食の買い出しに出ている。
アテナとドールは宿でお留守番中だ。
正確には、観光計画を立てている最中にアテナがそのまま寝入ってしまった。
あの駄女神は不思議なことに、例えどんなに楽しい内容の話し合いであっても、なぜかすぐに飽きてしまう性分らしく決まって寝入ってしまう。
さすがにベルジュ到着早々アテナを一人っきりにするのは不安だったので、悩んだ結果、ドールに残ってもらうようお願いした。そもそもアテナとモリオンの組み合わせも不安でしかないし.....。
そして、いざ買い出しに行こうと思った矢先に、復調したモリオンが付いてきたという訳だ。
「もう具合は大丈夫なのか?」
「だいじょうぶなのだ!」
意気揚々と答えるモリオン。
どうやら本当に本復したようだ。
「これからどこにいくのだ?」
「夕食の買い出し。宿では出さないんだってよ」
ここベルジュの宿は少し変わっている。
どの宿も食事は無しで、素泊まりのみとなっている。
理由は当然、グルメ区島で金を落としてもらいたいから。
その為、グルメ区島の全飲食店は24時間営業となっている。『夜は寝るもの』との共通認識が一般的なこの世界においては、なかなかにブラックな企業だと思われる。
そういう訳で、寝てしまっているアテナを連れ出すのも可哀想なので、宿で食べられるものを買いに来たという訳だ。
「それにしても、モリオンって意外とダメなものが多いよな?」
「ごめんなさい、なのだ.....」
「いやいや。怒っている訳じゃないんだ」
元気いっぱいな姿から、一気にしおらしくなってしまったモリオンに慌てて訂正する。
俺が言いたかったことはそういうことじゃない。
強大な力を持つ竜族にしては意外というか、単純に疑問に思っただけだ。
事実、モリオンは苦手なものが多いような気がする。
前述した通り、恐らくだが乗り物は苦手だと思われる。
それに寒いのも苦手みたいだし(※第145歩目参照)、実は暑いのも苦手ときている。ちなみに熱いのもだ。モリオンは竜族なのに(関係ないか?)猫舌さんだ。
「だから意外だな~って思っただけだ」
「別に我は苦手じゃないのだ」
「苦手じゃない?どういうことだ?」
「この体が苦手なだけで、我は全然苦手じゃないのだ」
なにやら訳のわからないことを言い出したモリオン。
モリオンの言葉そのままの意味なら、つまり人間形態の時だけ弱点が増えるということだろうか。
「そういうことなのだ」
「そうなのか.....」
「そうなのだ」
まぁ、ドラゴン形態から人間形態になるのだから、弱点が増えるのもある意味納得できる。
大げさに言えば、ドラゴンの硬い皮膚から人間の柔らかい皮膚になるだけでも弱点になると言えば弱点になる訳なのだから。
でも、だからこそある疑問が残る。
「そもそもモリオンってなんなんだ?なんで人間に変身できるんだ?」
「.....」
竜族を獣人族と同じ扱いにしてもいいのかはわからないが、それでも変身できる種族は多い。
ドールの妖狐族然り、ゼオライトさんの白狼族然り、ねこみやねここの猫人族然り。
だから竜族全体が人間に変身できると言われれば、「はい、そうですか」と納得はできる人はきっと多いだろう。
しかし、俺はドールから聞いて知っている。
別の姿に変身できる種族は多いものの、人間に変身できる種族は1つもないと.....。
では、なぜモリオンは人間の姿になることができるのだろうか。
これが「実は竜族と人間のハーフなのだ!」というオチなら理解できる。
ナイトさんの講義からすると、父親が人間族の場合はハーフ種族が産まれ、元から人間族に近い容姿を持つドワーフと獣人族以外は人間族寄りの姿になるらしい。
つまりモリオンが仮にハーフ竜族なら、人間とドラゴン形態を併せ持っていてもなんらおかしくはなくなる。
しかし、俺はアテナから聞いて知っている。
モリオンはハーフ竜族などではなく、純粋な竜族だということを.....。
では、なぜモリオンは人間の姿になることができるのだろうか。
「それも父親との約束で言えないのか?」
「ちがうのだ。約束してないのだ。.....でも、言いたくないのだ」
「どうして?」
「きっとアユムは怒るのだ。我は悪い子になりたくないのだ」
そういうモリオンの表情はどこか真剣で、どこかもの悲しそうでもある。
余程言いたくない事情でもあるのだろう。
(う、う~ん。参ったな.....)
別に俺はモリオンを困らせるつもりは全くなかった。
ただ純粋に、疑問に思ったことを尋ねただけだったのだが.....。
そもそも全てはアテナが悪い。
アテナが『なんでも見通すことができる』と自慢するゴッドあい(笑)で本当に全てを見通せていたのなら、今頃こんな気まずい雰囲気になることはなかったはずだ。所詮はゴッドシリーズ(笑)と言わざるを得ない。
さて、どうしたものかと考えあぐねていたら───。
「言わないと.....旅はダメなのだ?」
おおぅ.....。
なんと言うか、身を切られるような思いだ。
一緒に旅をする上で必要なことだったとは言え、これは俺やドールの責任だと思う。秘密ごとに対して、軽い脅迫観念がモリオンに植え付けられてしまっている。
まずはそれを払拭しないと.....。
「それは.....俺やアテナ達にとって危険なことか?」
「危険じゃないのだ」
「じゃあ、言わなくてもいい」
「い、いいのだ!?」
まぁ、気になると言えば気にはなるが、危険じゃないのなら別にいい。
ここにドールがいなくて本当に良かった。ドールはきっと許さないだろうから。
「モリオンだって言いたくないことはあるだろうからな」
「わ、悪い子にならないのだ?」
「ならないぞ。第一、秘密の一つや二つ誰だってある。全部を言う必要はない」
「そうなのだ?アユムにもあるのだ?」
バ、バカにすんな!
俺にだって秘密の一つや二つ.....。あれ?
いま改めて考えてみると、特に何もないかもしれない。
強いて言うのなら、『夜の不真面目な鍛練』ぐらいだろうか。
ただあれも、別に秘密にするようなことはモリオンにはしていないし.....。
「すごいのだ!アユムは真っ白なのだ!」
「HAHAHA」
こんな微妙な気持ちになるヨイショは初めてだ。
なんか楽観的かつ能天気な人間に思われたりしないだろうか。
とりあえず、俺が清廉潔白な人物かどうかは置いといて.....モリオンには伝えなければならないことがある。
「モリオン。俺と一つ約束をしよう」
「なんなのだ?」
「モリオンが本当に言いたくないことは言わなくてもいい。
でも、必ず言わないといけないことは正直に言うこと」
「言わないといけないこと.....なのだ?」
まだまだ無知なモリオンには難しいことを教えるよりも、『やってもいいこと』や『やらなければならないこと』を教えていくほうが重要だろう。そこから自分なりに色々と考えていってもらいたい。
「そうだ。言わないといけないことだ。まずは簡単に喜怒哀楽。
喜び。怒り。悲しい。楽しいを始めとして、思ったことや感じたことを口にしてみよう」
「それなら我はできてるのだ!」
「本当にそうか?」
「どういうことなのだ?」
いまいち理解できていないモリオンに一つ一つ諭していく。
船旅中、俺に隠れてアテナとともに盗み食いしていたことをなぜ言わなかったのか。
船酔いで気分が悪くなったことをなぜ言わなかったのか。
気分が悪い中で食べ過ぎによる腹痛をなぜ言わなかったのか。
「な、なんで.....なんで知っているのだ!?」
「そんなことはいつもモリオンを見ていれば分かる」
驚き慌てるモリオンにまだまだ余罪を突き付ける。
とは言え、そのほとんどが『アテナと』の枕詞がつくものばかりなのだが.....。
「これら全ては言わないといけないことだな。.....もう一度聞くが、言えているのか?」
「言ってないのだ。ごめんなさいなのだ.....」
「今日のモリオンはちょっと悪い子だったな」
それでもなんとなく原因はわかる。
船酔いで気分が悪くなったことをなぜ言わなかったのか? → 言ったら何も食べられなくなる。
気分が悪い中で食べ過ぎによる腹痛をなぜ言わなかったのか? → 言ったら何も食べられなくなる。
「悪いことや言いにくいことは敢えて言わないとダメだ」
「でも.....言ったら怒られるのだ」
「まず怒られるようなことをするなよ.....。そもそも言わないともっと怒られるぞ?」
なんか微妙にアテナに毒されていないか?
バレなきゃOK!みたいな精神は俺とアテナだけで十分だ。
モリオンにはいつまでも素直でいてほしい。
「じゃー、やっぱり秘密は言わないといけないのだ?」
「さっきも言ったが、本当に言いたくないことだけは言わなくてもいい。
但し!隠す以上は隠すなりに大変だと思わないとダメだぞ?誰も助けてはくれないからな」
「うーん。よくわからないのだ」
「悪いことをしない。もし、しちゃったらちゃんと言う。
言ったほうがいいのかわからなかったら、自分の気持ちと俺に聞いてみる。こんなところだな」
随分と簡略化してしまったが、こんなところだろう。
悪いことをしたら隠す子ではなく謝れる子になってほしい。
これは(自称教育)親としては切実なる願いだ。身近にダメな子がいるので余計にそう思う。
「それならわかったのだ!我はもっといい子になるのだ!」
「期待しているぞ?」
俺と沈む夕日にそう高らかに約束するモリオン。
なのだー!とかわいく万歳しているその姿に嘘偽りはないだろう。
海都ベルジュに着いて初めての観光は俺とモリオンの買い出しから始まることとなった。
・・・。
ちなみに、これ以降モリオンが悪いことをしても、俺に隠すことは一切なくなった。
それは同時にアテナの悪事が明るみに出ることにも繋がる訳なのだが、おバカなアテナはなぜ悪事が俺にバレてしまうのか全く見当もついていないらしい。
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『アテナ』 レベル:3 危険度:極小
種族:女神
年齢:ーーー
性別:♀
職業:女神
称号:智慧の女神
体力:50
魔力:50
筋力:50
耐久:50
敏捷:50
装備:殺戮の斧
女神ポイント:348,140【↑135,000】(91日分)
【一言】だってー、お話つまんないんだもーん(´-ε -`)
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アユムの所持金:3,851,702,200ルクア【↓50,000】(91日分)
冒険者のランク:SS(クリア回数:14回)
このお話の歩数:約2,280,000歩(91日分)
ここまでの歩数:約49,025,200歩
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『アユム・マイニチ』 レベル:9901【↑233】
種族:人間
年齢:26
性別:♂
職業:凡人
称号:女神の付き人/竜殺し
所有:ヘリオドール/ねこみ/ねここ
体力:9911(+9901)【↑233】
魔力:9901(+9901)【↑233】
筋力:9906(+9901)【↑233】
耐久:9906(+9901)【↑233】
敏捷:12361(+12301)【↑233】
装備:竜墜の剣(敏捷+2400)
技能:言語理解/ステータス/詠唱省略
Lv.1:初級光魔法/初級闇魔法
Lv.2:浄化魔法
Lv.3:鑑定/剣術/体術/索敵/感知/隠密
偽造/捜索/吸収/治癒魔法/共有
初級火魔法/初級水魔法/初級風魔法
初級土魔法/ 物理耐性/魔法耐性
状態異常耐性
Lv.4:初級風魔法 (※『竜墜の剣』装備時のみ)
共有:アイテムボックスLv.3
パーティー編成Lv.3
ダンジョンマップLv.3
検査Lv.3
造形魔法Lv.3
奴隷契約Lv.3
加護:『ウォーキング』Lv.9901 5344/9902
『NTR』 Lv.3470 3280/3471
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後書き
次回、本編『観光その2』!
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今日のひとこま
~バレなきゃOK!~
これは船旅中のお話
「お姉ちゃん、なに食べてるのだ?」
「もぐもぐもぐもぐもぐー!」
「なに言ってるのかわからないのだ」
「.....(ごくんっ)モーちゃんもたべるー(。´・ω・)?」
「食べるのだ!これどうしたのだ?」
「もぐもぐもぐもぐもぐー!」
「はむはむはむはむはむだ!」
「.....(ごくんっ)おいしーねー(*´μ`*)もう一個いるー?」
「いるのだ!これどうしたのだ?」
「もぐもぐもぐもぐもぐー!」
「はむはむはむはむはむだ!」
「.....(ごくんっ)あまーい(*´μ`*)どんどんたべよー!」
「どんどん食べるのだ!でも、いいのだ?」
「もぐもぐもぐもぐもぐー!」
「はむはむはむはむはむだ!」
「.....(ごくんっ)だいじょぶだよー!」
こうして、知らず知らずのうちにモリオンもアテナの悪事に加担することになった。
サキは最後までくそJKだった!
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1/30 世界観の世界編!に一部追記をしました。
追記箇所は、『周辺地図』のベルジュの地図の挿絵と各区の説明となります。
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□□□□ ~グルメと観光の都市ベルジュ~ □□□□
サキ達と別れた俺達一行はしばらく港周辺で楽しんだ後、宿を取ることにした。
今後の観光計画を立てるのと何よりも.....。
「具合大丈夫か?」
「うぅ.....。き、気持ち悪いのだ.....」
モリオンの船酔いを治すのが先決だと判断したからだ。
船旅中からそうだったのだが、どうやらモリオンは船が苦手らしい。
いや、もしかしたら乗り物自体が苦手なのかもしれない。
いま思えば、思い当たる節がある。
たまちゃんの依頼で奴隷を護送する時にモリオンと初めて出会った訳なのだが、あの時もモリオンは馬車には乗らずに俺と一緒にずっと歩いて過ごしていた。単になつかれただけだと思っていたがまさか.....。
それでも、船から降りてしばらくは『食い気>船酔い』状態だったみたいなのだが、そこそこ腹が満たされると同時に『食い気<船酔い』状態に戻ったらしく、今ではすっかりご覧の有り様だ。
「確か.....モリオンって状態異常Lv.4なんだろ?それでも酔うものなのか?」
「関係ないからねー。そもそもー、船酔いって状態異常じゃないしー(・ω・´*)」
酔ってるんだから異常なのでは?
そういうツッコミは、アテナが管理しているこの世界では今更だから敢えてしない。
アテナが「異常じゃない!」と言えば異常ではないのだ。
かの有名な「馬を鹿だ」と言った事件と同じだと考えてもらいたい。
権力者の言葉が絶対であり、世の中はそういう感じでなぁなぁと進んでいるものだ。
「それ知ってるー!中国のお話だよねー( ´∀` )」
「本当にそういうしょーもない知識だけは豊富だよな」
「智慧の女神だからねー(`・ω・´) シャキーン!!」
誉めてない、誉めてない。
とりあえず、(`・ω・´)シャキーン!!とドヤっている駄女神を軽くいなし、この時間を有効活用しよう。
「有効活用とは?」
「これからの観光計画を立てようと思う。俺達はあまりにも無計画過ぎる」
「それも今更じゃなぁ.....」
ほっとけ!
アテナというただ居るだけでお荷物化する奴がいると、ゆっくりと計画を立てる暇がないことぐらいはドールも百も承知なはず。
モリオンには申し訳ないけど、こういう事態でないと時間が取れないので敢えてそれを利用させてもらう。
アテナ、ドール、モリオンが見守る中、港でもらったベルジュの地図を机に広げる。
このベルジュは海上に浮く複数の『浮き島』で成り立っている海上国家だ。
『浮き島』は3つのグルメ区島と2つの観光区島、そして王侯貴族だけが住まう貴族区島、最後にダンジョンがある冒険区島の全部で7つにて構成される。
それぞれの『浮き島』の大きさは1つの平均的な町よりかは多少小さい程度だ。
だから王都フランジュよりかは当然ながら規模は小さい。と言うよりも、フランジュに慣れてしまったせいか、ベルジュがすごく狭く感じる。
港で聞いた話だと、ここ海都ベルジュよりも隣の海上要塞フラッペのほうが遥かにデカいらしい。
ここはあくまでもグルメと観光を楽しむところであって、機能面はそれほど重視されていないのだとか。
ただ経済はフラッペよりもベルジュのほうが回るので、対外的にはベルジュを都にしているだけで、本当の都はフラッペだと言われている。その証拠にフラッペにもちゃんとした王城があるらしい。
そういう意味ではベルジュにある王城は別荘みたいなものなのだろう。
「ふーん。お城が2つもあるとかすごいねー(・ω・´*)」
「だな。相当ベルジュで稼いでいるんだろうな」
「いや、何よりもすごいのは都が実質2つもあることであろう?普通権力はまとめるものではないのか?」
ドールの懸念はごもっとも。
普通は機能も経済も権力も全て首都に集める中央集権化が一般的だと思う。
そういう意味ではフラッペとベルジュの関係は、東京に対しての大阪みたいに少し日本の構造と似ている部分があるのかもしれない。
・・・。
話が逸れた。
観光計画に戻ろう。
いくら1つ1つの島がフランジュの1区よりも小さいと言えど、そこは1つの島だ。
1日で全てを見て回ることなど不可能に近い。ここは数日をかけてじっくりと観光していこうと思う。
「まぁ、ベルジュ滞在期間は1ヶ月ちょいといったところだな」
貴族区島と冒険区島を除くと全部で5島。
1つの島で約1週間の滞在となる計算だ。これで十分だろう。
「ダンジョンには行かぬのか?」
「いや、一応行こうとは思う。俺も色々と事情があるしな」
事情とは当然『付き人のレベルアップ』が主目的だ。
フランジュではアルテミス様やニケさんとのデートで忙しくてすっかり忘れてしまっていたが.....。
ただ、モリオンと再会を果たしたことや神界でのアルテミス様の事情もあるので、この機会に本気で取り組もうと思う。
「となると、行けるのはAランクダンジョンのみじゃな。妾達はまた留守番かの.....」
ドールが寂しそうに、申し訳なさそうに項垂れてしまった。
2本の尻尾もシュンとなって元気がない。
ドールの言う通り、俺が現在行けるダンジョンはAランクダンジョンのみとなる。
ベルジュの冒険区島にあるダンジョンはS・A・D・Fランクの全部で4つ。その内、DとFランクダンジョンは既に攻略されてしまったようで現在閉鎖中となっている。
残るダンジョンはSとAランクのみだが、Sランクの入場資格はSSSランクとなっているので、SSランクである俺は挑むことが不可能。つまり、Aランクダンジョンのみ攻略することが可能となる。
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【ダンジョンの立ち入り資格】
資格:冒険者Aランク以上
(冒険者ランク)(立ち入り許可ダンジョンランク)
『Aランク』 F、E
『Sランク』 F、E、D、C
『SSランク』 F、E、D、C、B、A
『SSSランク』F、E、D、C、B、A、S、SS
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そして、ドールが落ち込む理由は単純に俺の力になれないからだ。(※第105歩目参照)
Bランクダンジョン以降の魔物が強すぎて(俺からすると雑魚なのだが)、現在のドールでは手に負えない状況となっている。それこそ成体化すればドールでも余裕なのだが、30分の制限が出てきてしまうので論外だ。
そういうことで、フランジュではアテナとドールはお留守番になってもらった経緯がある。
そして今回はフランジュよりも上のAランクダンジョン。
当然、アテナとドールはお留守番となる。
そう、本来はお留守番となるはずなのだが.....。
「いや、今回はちょっと試したいことがある」
「!?」
「あくまで実験だから成功するとは限らないぞ?
もしかしたら、ちょっとはダメージを喰らうかもしれない。.....それでも来るか?」
「当然なのじゃ!」
ドールの表情がパァっと一気に華やいだ。
2本の尻尾もぶんぶんと振られ、とても嬉しそう。かわいい。
(やっぱりドールは笑顔が似合う。
聞いてみて正解だったな。多分、実験も俺の予想通りなら問題ないだろうし)
一方───。
「しかたないなー。私が力をかしてあげるー( ´∀` )」
「「.....」」
このバカは何かを勘違いしているようだ。
そもそもドールがお留守番になった原因はこいつであるというのに.....。
確かにドール自身の力不足も否めないが、それでもドールだけなら上手く立ち回ることはできただろう。
しかし、そこに最早戦力ともならないアテナが追加されてしまうと、ドールだけに限らず、この俺でさえも苦戦を強いられる結果となる。
だからドールには申し訳ないが、二人はいないほうがマシと判断してお留守番になってもらった訳だ。
それなのに、このバカときたら.....。
「歩は私がいないと本当にダメだよねー!感謝してよー!あーははははは( ´∀` )」
「はぁ.....。姉さまのこの厚顔無恥さ。本当に敵わぬのぅ.....」
「.....おー。.....お姉ちゃん.....すごいのだ.....」
「.....とりあえずモリオンは横になってろ」
気持ち悪そうにしているモリオンが健気にも姉をヨイショしているが、別に誉められたことでもなんでもない。むしろ呆れてなんぼのものだ。
いや、それよりも.....。
───ぎゅむ!
「な~にが「感謝してよー!」だ!黙ってろ!くそ駄女神!!」
「ふえええええん(´;ω;`)ごめんなさーい」
俺に頬をつねられたことで駄女神が呻いだ。
(全く.....。俺に感謝を求める前に少しは自分を省みろよ)
□□□□ ~1つの約束~ □□□□
いま俺とモリオンは夕食の買い出しに出ている。
アテナとドールは宿でお留守番中だ。
正確には、観光計画を立てている最中にアテナがそのまま寝入ってしまった。
あの駄女神は不思議なことに、例えどんなに楽しい内容の話し合いであっても、なぜかすぐに飽きてしまう性分らしく決まって寝入ってしまう。
さすがにベルジュ到着早々アテナを一人っきりにするのは不安だったので、悩んだ結果、ドールに残ってもらうようお願いした。そもそもアテナとモリオンの組み合わせも不安でしかないし.....。
そして、いざ買い出しに行こうと思った矢先に、復調したモリオンが付いてきたという訳だ。
「もう具合は大丈夫なのか?」
「だいじょうぶなのだ!」
意気揚々と答えるモリオン。
どうやら本当に本復したようだ。
「これからどこにいくのだ?」
「夕食の買い出し。宿では出さないんだってよ」
ここベルジュの宿は少し変わっている。
どの宿も食事は無しで、素泊まりのみとなっている。
理由は当然、グルメ区島で金を落としてもらいたいから。
その為、グルメ区島の全飲食店は24時間営業となっている。『夜は寝るもの』との共通認識が一般的なこの世界においては、なかなかにブラックな企業だと思われる。
そういう訳で、寝てしまっているアテナを連れ出すのも可哀想なので、宿で食べられるものを買いに来たという訳だ。
「それにしても、モリオンって意外とダメなものが多いよな?」
「ごめんなさい、なのだ.....」
「いやいや。怒っている訳じゃないんだ」
元気いっぱいな姿から、一気にしおらしくなってしまったモリオンに慌てて訂正する。
俺が言いたかったことはそういうことじゃない。
強大な力を持つ竜族にしては意外というか、単純に疑問に思っただけだ。
事実、モリオンは苦手なものが多いような気がする。
前述した通り、恐らくだが乗り物は苦手だと思われる。
それに寒いのも苦手みたいだし(※第145歩目参照)、実は暑いのも苦手ときている。ちなみに熱いのもだ。モリオンは竜族なのに(関係ないか?)猫舌さんだ。
「だから意外だな~って思っただけだ」
「別に我は苦手じゃないのだ」
「苦手じゃない?どういうことだ?」
「この体が苦手なだけで、我は全然苦手じゃないのだ」
なにやら訳のわからないことを言い出したモリオン。
モリオンの言葉そのままの意味なら、つまり人間形態の時だけ弱点が増えるということだろうか。
「そういうことなのだ」
「そうなのか.....」
「そうなのだ」
まぁ、ドラゴン形態から人間形態になるのだから、弱点が増えるのもある意味納得できる。
大げさに言えば、ドラゴンの硬い皮膚から人間の柔らかい皮膚になるだけでも弱点になると言えば弱点になる訳なのだから。
でも、だからこそある疑問が残る。
「そもそもモリオンってなんなんだ?なんで人間に変身できるんだ?」
「.....」
竜族を獣人族と同じ扱いにしてもいいのかはわからないが、それでも変身できる種族は多い。
ドールの妖狐族然り、ゼオライトさんの白狼族然り、ねこみやねここの猫人族然り。
だから竜族全体が人間に変身できると言われれば、「はい、そうですか」と納得はできる人はきっと多いだろう。
しかし、俺はドールから聞いて知っている。
別の姿に変身できる種族は多いものの、人間に変身できる種族は1つもないと.....。
では、なぜモリオンは人間の姿になることができるのだろうか。
これが「実は竜族と人間のハーフなのだ!」というオチなら理解できる。
ナイトさんの講義からすると、父親が人間族の場合はハーフ種族が産まれ、元から人間族に近い容姿を持つドワーフと獣人族以外は人間族寄りの姿になるらしい。
つまりモリオンが仮にハーフ竜族なら、人間とドラゴン形態を併せ持っていてもなんらおかしくはなくなる。
しかし、俺はアテナから聞いて知っている。
モリオンはハーフ竜族などではなく、純粋な竜族だということを.....。
では、なぜモリオンは人間の姿になることができるのだろうか。
「それも父親との約束で言えないのか?」
「ちがうのだ。約束してないのだ。.....でも、言いたくないのだ」
「どうして?」
「きっとアユムは怒るのだ。我は悪い子になりたくないのだ」
そういうモリオンの表情はどこか真剣で、どこかもの悲しそうでもある。
余程言いたくない事情でもあるのだろう。
(う、う~ん。参ったな.....)
別に俺はモリオンを困らせるつもりは全くなかった。
ただ純粋に、疑問に思ったことを尋ねただけだったのだが.....。
そもそも全てはアテナが悪い。
アテナが『なんでも見通すことができる』と自慢するゴッドあい(笑)で本当に全てを見通せていたのなら、今頃こんな気まずい雰囲気になることはなかったはずだ。所詮はゴッドシリーズ(笑)と言わざるを得ない。
さて、どうしたものかと考えあぐねていたら───。
「言わないと.....旅はダメなのだ?」
おおぅ.....。
なんと言うか、身を切られるような思いだ。
一緒に旅をする上で必要なことだったとは言え、これは俺やドールの責任だと思う。秘密ごとに対して、軽い脅迫観念がモリオンに植え付けられてしまっている。
まずはそれを払拭しないと.....。
「それは.....俺やアテナ達にとって危険なことか?」
「危険じゃないのだ」
「じゃあ、言わなくてもいい」
「い、いいのだ!?」
まぁ、気になると言えば気にはなるが、危険じゃないのなら別にいい。
ここにドールがいなくて本当に良かった。ドールはきっと許さないだろうから。
「モリオンだって言いたくないことはあるだろうからな」
「わ、悪い子にならないのだ?」
「ならないぞ。第一、秘密の一つや二つ誰だってある。全部を言う必要はない」
「そうなのだ?アユムにもあるのだ?」
バ、バカにすんな!
俺にだって秘密の一つや二つ.....。あれ?
いま改めて考えてみると、特に何もないかもしれない。
強いて言うのなら、『夜の不真面目な鍛練』ぐらいだろうか。
ただあれも、別に秘密にするようなことはモリオンにはしていないし.....。
「すごいのだ!アユムは真っ白なのだ!」
「HAHAHA」
こんな微妙な気持ちになるヨイショは初めてだ。
なんか楽観的かつ能天気な人間に思われたりしないだろうか。
とりあえず、俺が清廉潔白な人物かどうかは置いといて.....モリオンには伝えなければならないことがある。
「モリオン。俺と一つ約束をしよう」
「なんなのだ?」
「モリオンが本当に言いたくないことは言わなくてもいい。
でも、必ず言わないといけないことは正直に言うこと」
「言わないといけないこと.....なのだ?」
まだまだ無知なモリオンには難しいことを教えるよりも、『やってもいいこと』や『やらなければならないこと』を教えていくほうが重要だろう。そこから自分なりに色々と考えていってもらいたい。
「そうだ。言わないといけないことだ。まずは簡単に喜怒哀楽。
喜び。怒り。悲しい。楽しいを始めとして、思ったことや感じたことを口にしてみよう」
「それなら我はできてるのだ!」
「本当にそうか?」
「どういうことなのだ?」
いまいち理解できていないモリオンに一つ一つ諭していく。
船旅中、俺に隠れてアテナとともに盗み食いしていたことをなぜ言わなかったのか。
船酔いで気分が悪くなったことをなぜ言わなかったのか。
気分が悪い中で食べ過ぎによる腹痛をなぜ言わなかったのか。
「な、なんで.....なんで知っているのだ!?」
「そんなことはいつもモリオンを見ていれば分かる」
驚き慌てるモリオンにまだまだ余罪を突き付ける。
とは言え、そのほとんどが『アテナと』の枕詞がつくものばかりなのだが.....。
「これら全ては言わないといけないことだな。.....もう一度聞くが、言えているのか?」
「言ってないのだ。ごめんなさいなのだ.....」
「今日のモリオンはちょっと悪い子だったな」
それでもなんとなく原因はわかる。
船酔いで気分が悪くなったことをなぜ言わなかったのか? → 言ったら何も食べられなくなる。
気分が悪い中で食べ過ぎによる腹痛をなぜ言わなかったのか? → 言ったら何も食べられなくなる。
「悪いことや言いにくいことは敢えて言わないとダメだ」
「でも.....言ったら怒られるのだ」
「まず怒られるようなことをするなよ.....。そもそも言わないともっと怒られるぞ?」
なんか微妙にアテナに毒されていないか?
バレなきゃOK!みたいな精神は俺とアテナだけで十分だ。
モリオンにはいつまでも素直でいてほしい。
「じゃー、やっぱり秘密は言わないといけないのだ?」
「さっきも言ったが、本当に言いたくないことだけは言わなくてもいい。
但し!隠す以上は隠すなりに大変だと思わないとダメだぞ?誰も助けてはくれないからな」
「うーん。よくわからないのだ」
「悪いことをしない。もし、しちゃったらちゃんと言う。
言ったほうがいいのかわからなかったら、自分の気持ちと俺に聞いてみる。こんなところだな」
随分と簡略化してしまったが、こんなところだろう。
悪いことをしたら隠す子ではなく謝れる子になってほしい。
これは(自称教育)親としては切実なる願いだ。身近にダメな子がいるので余計にそう思う。
「それならわかったのだ!我はもっといい子になるのだ!」
「期待しているぞ?」
俺と沈む夕日にそう高らかに約束するモリオン。
なのだー!とかわいく万歳しているその姿に嘘偽りはないだろう。
海都ベルジュに着いて初めての観光は俺とモリオンの買い出しから始まることとなった。
・・・。
ちなみに、これ以降モリオンが悪いことをしても、俺に隠すことは一切なくなった。
それは同時にアテナの悪事が明るみに出ることにも繋がる訳なのだが、おバカなアテナはなぜ悪事が俺にバレてしまうのか全く見当もついていないらしい。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
『アテナ』 レベル:3 危険度:極小
種族:女神
年齢:ーーー
性別:♀
職業:女神
称号:智慧の女神
体力:50
魔力:50
筋力:50
耐久:50
敏捷:50
装備:殺戮の斧
女神ポイント:348,140【↑135,000】(91日分)
【一言】だってー、お話つまんないんだもーん(´-ε -`)
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
アユムの所持金:3,851,702,200ルクア【↓50,000】(91日分)
冒険者のランク:SS(クリア回数:14回)
このお話の歩数:約2,280,000歩(91日分)
ここまでの歩数:約49,025,200歩
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
『アユム・マイニチ』 レベル:9901【↑233】
種族:人間
年齢:26
性別:♂
職業:凡人
称号:女神の付き人/竜殺し
所有:ヘリオドール/ねこみ/ねここ
体力:9911(+9901)【↑233】
魔力:9901(+9901)【↑233】
筋力:9906(+9901)【↑233】
耐久:9906(+9901)【↑233】
敏捷:12361(+12301)【↑233】
装備:竜墜の剣(敏捷+2400)
技能:言語理解/ステータス/詠唱省略
Lv.1:初級光魔法/初級闇魔法
Lv.2:浄化魔法
Lv.3:鑑定/剣術/体術/索敵/感知/隠密
偽造/捜索/吸収/治癒魔法/共有
初級火魔法/初級水魔法/初級風魔法
初級土魔法/ 物理耐性/魔法耐性
状態異常耐性
Lv.4:初級風魔法 (※『竜墜の剣』装備時のみ)
共有:アイテムボックスLv.3
パーティー編成Lv.3
ダンジョンマップLv.3
検査Lv.3
造形魔法Lv.3
奴隷契約Lv.3
加護:『ウォーキング』Lv.9901 5344/9902
『NTR』 Lv.3470 3280/3471
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
後書き
次回、本編『観光その2』!
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
今日のひとこま
~バレなきゃOK!~
これは船旅中のお話
「お姉ちゃん、なに食べてるのだ?」
「もぐもぐもぐもぐもぐー!」
「なに言ってるのかわからないのだ」
「.....(ごくんっ)モーちゃんもたべるー(。´・ω・)?」
「食べるのだ!これどうしたのだ?」
「もぐもぐもぐもぐもぐー!」
「はむはむはむはむはむだ!」
「.....(ごくんっ)おいしーねー(*´μ`*)もう一個いるー?」
「いるのだ!これどうしたのだ?」
「もぐもぐもぐもぐもぐー!」
「はむはむはむはむはむだ!」
「.....(ごくんっ)あまーい(*´μ`*)どんどんたべよー!」
「どんどん食べるのだ!でも、いいのだ?」
「もぐもぐもぐもぐもぐー!」
「はむはむはむはむはむだ!」
「.....(ごくんっ)だいじょぶだよー!」
こうして、知らず知らずのうちにモリオンもアテナの悪事に加担することになった。
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