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第5章 最愛の女神!

第130歩目 ほんとうの降臨!女神ニケ③

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前回までのあらすじ

女神ニケの準備も整った。初デートはこれからだ!

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

□□□□ ~本当の降臨~ □□□□

今日はニケさんとのデートの日だ。
朝9時に降臨すると言われたので、教会にて大人しく待つ。

この朝9時というのもどうやら規定で決まっているらしい。
まぁ、超規定バカのニケさんだから今更それはいいのだが、問題は.....。

「楽しみなのじゃ。主が慕うニケとやらをこの目で見定めてやるのじゃ」
「歩~。ひまー。どっかいこー(´-ε -`)」

お邪魔虫達が付いてきてしまったことだ。

今日が俺の年齢=彼女なし人生に於ける初デートだというのにこの気の遣わなさ。
と言っても、仕方がない理由もあるのだが.....。

「.....いいから帰れよ」
「ダメじゃな。妾との交尾を主が頑なに拒むのは全てはニケとやらが原因なのじゃ。
 だとしたら、それほどの価値ある女なのかを見定めるは必定。仮に価値無しと判断した場合は.....」

価値無しならどうなっちゃうの!?

そもそも女神相手に価値を見定めると息巻いているドールのその自信が凄い。
尻尾が優雅にゆったりと振られているところからもどうやら本気なようだ。

「.....アテナは?」
「んー?コンちゃんのつきそいだよー(・ω・´*)」

おぉ!さすがはお姉ちゃんだな!

などと思うはずがなかった。
恐らくだが、俺の金目当てだろう。

アルテミス様の降臨以降、『神の降臨=お小遣いが貰える』と思っている節がある。
俺に怒られず、自由に買い食いできるこのチャンスはアテナにとっても楽しみの一つなのだろう。

(.....まぁ、別にいいか。俺とニケさんのデートの邪魔さえしなければ.....)

そんな感じでお邪魔虫達については諦めかけていたら、

───ざわざわ
───ざわざわ

教会内が突如騒々しくなった。

教会内にいるザビエル達が一斉に外に走り出す。
そして、空を見上げ涙を流し始めたかと思えば、口々に何やら叫びつつ祈り出す始末。
よく見るとザビエル達だけではなく、礼拝に来ていた一般市民もザビエル達と同じ行動をしている。.....何があった!?

こんな光景は王都に来てから一度も見たことがないので正直面食らってしまった。
そんな俺に一人のザビエルが話し掛けてきた。

「貴方も早く祈りなさい」
「は、はぁ.....?何があったんですか?」
「神です。今まさに神が地上に降臨されようとしているのです」
「あぁ.....」

全てに合点がいった。

そう言えば、「降臨には決まりがある」とアルテミス様が以前言っていた気がする。
つまり、降臨にも正式な手続きというか決まった手順みたいなものが定められていて、それをニケさんがちゃんと守っているという訳だ。

俺達もザビエルに続いて急いで外に出てみると.....。

朝だというのに外は真っ暗。
頭上には雷雲がひしめき、ゴロゴロと雷が鳴っている。

それだけなら、まだ単なる自然現象だと思えるのだが、

───バリバリバリッ!

「「「「おぉ!!神が今まさに降臨されようとしておられる!」」」」
「「「「偉大なる神よ!どうか愚かなる我々に神のお導きを!」」」」
「「「「☆○◇□△♀◎!☆○◇□△♀◎!☆○◇□△♀◎!」」」」

その雷を見て、歓喜に震える群衆。

そして、

「ふぁ!?」
「な、なんなのじゃ!?あれは!?」

群衆同様に驚く俺とドール。

「かーぎやー( ´∀` )」

おまけに、まるで花火を楽しんでいるかのようなアテナ。


俺達が驚くのも理由がある。

いま目の前で鳴っている雷そのものがまさに異様。
東洋の姿を象った龍。龍の形をした雷。雷より生まれし龍。
いろんな表現があるだろうが、そんな雷龍が人々の、俺達の目の前で奔流していた。

「これが伝承に記されている神の降臨の前触れなのです。
 私が生きているうちにこうして拝めるとは.....。今日のよき日に、神に、感謝を致します」

そう言うと、隣に控えていたザビエルが神に祈りを捧げ始めた。

「ま、まさか.....。ニケとやらがこれを.....?」
「だろうなぁ.....」

開いた口が塞がらない。

まさに圧倒的シチュエーションだ。
確かに神の降臨にふさわしいものだと言える。

「し、自然をも操れるとは.....。ま、まさに神なのじゃ.....」
「私もこれぐらいならできるよー(。´・ω・)?神界にいたらだけどねー!」
「マジか!?」
「なんと!?」

衝撃的だった。
この圧倒的なシチュエーションを前にしての「これぐらい」発言。

アテナに限らずニケさんもそうなのだが、あまりにも身近な存在過ぎてイマイチ『神』という実感が沸きにくい。
特にアテナなどは、そのへんの一般市民に溶け込み過ぎていて、本当に女神なのかですら疑いたくなるほどだ。


俺は日本に居たときは完全な無宗教派だった。
召喚されるまでは『神』や『仏』なんて存在は信じてはいなかったし、信じるに足る根拠もなかった。

例え、本当に居たとしても信奉することはなかっただろう。
そもそも、それらの尊さや偉大さがよくわからなかったからだ。

ありがたい説法を聞かされようとも、ありがたい教典を説かれようとも、自分には一切関係のないものだと思っていた。
繰り返すが、尊さや偉大さがよくわかっていなかったからだ。


しかし、いま目の前で繰り広げられている現象を見せられてしまうと.....。

『神』という存在の尊さや偉大さをしみじみと感じてしまう。
古来より、人々が神を奉る気持ちがよくわかった。

(さすがはニケさん.....。さすがは女神.....。あれ?実は俺の願いって大それていた?)

今更かよっ!というツッコミはご遠慮願いたい。
だって、一目惚れしてしまったものは仕方がない。

俺は神に惚れたのではない。
ニケさんに惚れてしまったのだから.....。

(ニケさんが神であろうとなかろうと関係ない!)

そう結論付けたところで、この壮大な降臨劇も終わりを迎えようとしていた。

【いと儚くも小さき存在。あなた方に神託を授けます。これをもって神を畏れ、敬いなさい】

天より降り注ぐ威厳のある声。
その声は無機質ながらも有無を言わさぬ圧倒的な迫力がある。

そして、そのお告げとともに、

───ピカッ!

この王都全体を、頭上の空全体を包み込む轟音と激しい閃光。

それを合図に、この場にいるアテナを除く全員が一斉に神に対して跪き祈りを捧げた。
作法なんてまるで知らない俺でも、思わずそうせざるを得ないほどの圧倒的な強制力がこの場にはあった。

そんな周りに流されてしまったかのような形の俺に、

「やっほー!ニケー( ´∀` )」
「はい。お久しぶりです、アテナ様。
 それとお待たせしました、歩様。本日はよろしくおね.....何をされているんですか?」

背後から待ち望んでいた人の不思議そうな声が聞こえてきた。

「な、なんと言うか.....、つい周りに流されてしまいました」
「まぁ。歩様ったら。ふふ」

ニケさんに笑われてしまった。.....うぅ、恥ずかしい。

悲しき日本人の性というか、凡人の性というか.....。
周りの大勢がそうしていたら、ついつい同じ行動を取ってしまうのは悲しいところだ。

「それにしても、なんというかすごいですね」
「なにがですか?」
「降臨です。ここまで壮大で荘厳なものだとは思いませんでした」

事実、まだ多くの人々は跪き祈りを捧げている最中だ。
もう既に、あの圧倒的なシチュエーションは終わっているというのに。

「そもそも神の降臨とは『神託』のことを指しますからね。
 あれぐらいはしないと神の威光というやつを示せません」
「なるほど。降臨する度にこんなことをしないといけないなんて、神というのも大変ですね」

「.....と言いましても、してない神々が大半ですけどね」
「HAHAHA」

そんな神様の一人を俺は知っている。
最初に『ア』の付くわがままな女神様だ。

「それって私のことー(。´・ω・)?」
「お前じゃない。.....と言うか、自覚があるなら直せ」

「私じゃないんだってー!やったー!」
「良かったですね。アテナ様」
「なんで喜んじゃった!?それにニケさんも!?」

喜び回るアテナを我が子のように優しい眼差しで見守るニケさん。
俺もアテナに対しては相当甘い自覚はあるが、ニケさんも大概な気がする。.....いや、今更か。

アテナの日常生活に於ける物の知らなさを見れば、付き神であるニケさんがどれだけ甘やかしてきたのかは一目瞭然だ。

とは言っても、仕方がない側面もある。
アテナにはそうさせてしまう不思議な魅力があるのだから。.....ぐぬぬ。

俺がアテナに対してぐぬぬをしていたら、

「それはそうと歩様?もう祈らなくてもいいですから」
「すいません。まだ周りがしていたものですから、つい.....」

ニケさんの言う通り、実は俺もまだ祈りの体勢のままだった。
なんと言うかこう、周りがまだしているから的な意味合いで。

「どうして謝られるんですか?」
「あっ、すいません」
「ほら、また。歩様ったら可笑しいです。ふふ」
「すいま.....ありがとうございます」

慌てる俺の様子を見て、くすっと笑うニケさんはやはり美しい。

そんなにニケさんに完全に見惚れていたら、

「それにですね?」
「なんでしょう?」
「そ、その.....」
「.....?」

ニケさんの様子がどこかおかしい。
何か言い出しにくそう.....いや、これは恥ずかしがっているようだ。

「せ、折角捧げて頂けるのでしたら.....」
「はい」
「祈りではなく、そ、その.....、あ、愛を捧げて欲しいです!」
「ぶふっ!?」

ド直球ですか!?

顔をまるでりんごのように真っ赤にしながらも愛を求めてくるその姿は、先程とは違ってどこかかわいらしい。
俺のニケさんは今日も純粋な愛で溢れている。


□□□□ ~ヒロインとヒロイン~ □□□□

いろいろと驚くことはあったが、ニケさんの降臨は成された。
俺とアテナ、ニケさんが和やかに挨拶を交わす中、ドールはというと.....。

───カチカチカチ

全身の毛を逆立たせつつぶるぶると震え、歯をカチカチと激しくかち鳴らし、俺の後ろへと隠れてすっかりと怯えきってしまっている。
見目麗しい双眸には涙をいっぱい溜めてさえいる。

おや?
既視感あるような.....。

「どうした?」
「あ、主にはわからぬか?こ、この絶対的な死への恐怖が.....」
「.....?」

ニケさんのことだろうか。
いや、間違いなくそうだろう。

確かにニケさんの圧倒的な力は恐怖に値するが、かと言って、怯えすぎなような気もする。
何も俺達を取って喰おうとしている訳ではないのだし。

と、思っていたのだが、

「ふふ。何やら私を見定めるとかなんとか大層なことを言っておりましたが、結果はどうなりましたか?」

ニケさんは目を細め微笑を湛えながら、怯えているドールを静かに煽っているその姿にちょっと小悪魔的なものを感じてしまった。

これはこれでいい気がする。
お姉さん的、女王様的なその雰囲気が俺のM心を.....いや、違う。俺のお姉さん属性好きにはドンピシャだ。

(ニケさんは断然着物が似合うが、ハイヒールを履いてもらった上で踏んでもらうのも案外いいかもしれない)

などと妄想に耽っていたら、

「それは出来ません。歩様を踏むなど私には.....」
「ふぁ!?げ、下界でも読めるんですか!?」
「ええ、それぐらい容易いことですが」
「マ、マジか.....。さっきのは忘れてください.....」

心を読まれた上に、ニケさんを困らせてしまった。
困ったニケさんの顔もまた乙なものだ。

「ね、念のため聞くが、アテナはどうなんだ?」
「私はむりー。下界では少女Aみたいなものだしねー( ´∀` )」

しょ、少女Aって.....。

実際は10000歳を越えてるBBAだろっ!とのツッコミはしないでおく。
ニケさんに何やら言ってはいけないとの目配せをされてしまったので.....。アテナも気にするのだろうか?


少女アテナ(笑)な件は置いといて、とりあえず今はドールを落ち着かせるのが最優先だ。
アルテミス様の時と同じような危険な状態になっているので、このままだと失神しかねない。

───もふもふ

「大丈夫だ、安心しろ」
「あ、主.....」

俺の腕に巻き付いている尻尾をもふもふしながら優しく語りかける。
危機的生存本能に直面すると、毛が逆立つだけではなく、こうして救いでも求めるかのように尻尾を巻き付けてくるのは新たな発見だ。頼りにされていてちょっと嬉しい。

「今回はアルテミス様の時のような反抗的な態度は取っていないんだから大丈夫だよ」
「う、うむ.....」

それでもドールの震えは一向に治まらない。
生きていく上で自然と身に付けた、相手の強さを計るスカ○ターみたいな力を持つドールだからこその恐怖なのだろう。

「.....ニケさんが怖いか?」
「こ、怖すぎるのじゃ.....」

「.....そうか。でも、アルテミス様のように気まぐれな神様ではないから、徐々に慣れていくといいさ」
「な、慣れる慣れぬの話ではないのじゃ」

「どういうことだ?」
「ニ、ニケ.....様はヤバい存在だと体全体が訴えかけてくるのじゃ」

女神様だし、ヤバい存在なのは間違いないだろう。
と、いう感じのヤバさではないのはドールの様子を見ていればなんとなくわかる。

と言うことは.....

「アルテミス様の時のように本能が訴えてきているようなものか?」
「そ、それに近いかもしれぬが.....。少し違うのじゃ」
「少し違う?」
「アルテミス様の時は『森の神様』という枷があったからこそ反抗できずにおったが、
 それさえ無ければ反抗しようと思えばできたのじゃ」

するなよ.....。死ぬぞ?
俺をこれ以上困らせるな。

「じゃ、じゃが、ニケ.....様は全く違う。絶対に反抗してはいけない存在なのじゃ。
 いや、反抗するしないではない。反抗という選択肢すら許されぬ。そう体が訴えかけてきておるのじゃ」
「本能すらも凌駕する恐怖というやつか.....」

これは余程のものなのだろう。
気安く「慣れればいいさ」なんて言うべきではなかった。

そして、更に俺を驚かせたのは、

「す、すまぬ.....。妾では主をニケ.....様から守ることはできぬ。
 だ、だから!絶対に主はニケ.....様を怒らせるようなことはしないで欲しいのじゃ!」
「おおぅ.....」

高慢でいつも自信たっぷり、もっと付け加えるなら、忠誠心に富んでいたあのドールが白旗をあげてきた。
しかも、守れる保証がないからニケさんを怒らせないで欲しい、とまで懇願してくる始末。
ぶるぶると震えつつも、俺の腕を掴むその小さくもか細い手の力には真に迫るものがあった。

忠誠バカのドールをして、ここまで謂わさしめてしまうニケさん。
わかっちゃいたが、改めて女神であることを再認識させられてしまった。


かと言って、ドールをこのままにしていていい訳ではない。
これではデートどころではない。

だから、

「じゃあ、こうしよう」
「な、なんじゃ?」

「ニケさんからは俺が守ってやるよ。
 だから、ドールは他のことから俺を守ってくれ。これでおあいこだろ?」
「わ、妾を守ってくれるのか?」

「信じられないなら誓ってもいいぞ?」
「!!!」

ニケさんからは守ってくれなくてもいいと言ってあげることにした。
ただ、これではドールが納得しないだろうから、お互いに守り守られつつを提案してみた。

そもそも守ってもらう必要は一切ないのだが、ドールはそこをいつも強く主張してくる。
奴隷としての矜持.....。と言うとおかしな話だが、譲れないなにかがあるのだろう。
そこを悪戯に刺激するのは良くないので、お互いがカバーしあうという結果が一番無難かつ、ドールを説得しやすくはあると思う。

実際に効果はてきめんなようで、

「う、嬉しいのじゃ。妾をそこまで想ってくれるなんて.....」
「当然だろ?俺は主人なんだからさ」
「.....」
「あれ?どうした?」

───ぎゅっ!

「主の馬鹿者!」
「いてぇええええ!なんで!?」

すっかりいつも通りのドールに戻っていた。
なぜか腹をつねられるという理不尽なおまけ付きで.....。

(主人らしく振る舞ったのになんでだよっ!)


・・・。


ドールの一件も片付いたので、早速デートを開始しようと思う。
そう思うのだが.....。

「歩となにはなしてたのー(。´・ω・)?」
「姉さまには関係のないことじゃ」

やはり、このお邪魔虫達がネックなような気がする。特にアテナ。
ニケさんとゆっくりとデートを楽しめる未来が想像できない。

そう考えていたら、

「(歩様。歩様)」

ニケさんがお邪魔虫達に聞かれないようにこっそりと耳打ちをしてきた。
美しい顔が急接近してきたので心がすごく跳ねる。.....キ、キスしちゃってもいいのかな?

「(な、なんでしょう?)」
「(アテナ様には申し訳ないのですが.....、私は歩様とふ、二人っきりで楽しみたいのです。
  その辺りについて、歩様はどうお考えですか?)」
「(それは俺も同じですが.....。ただ、アテナとドールの二人だけにするのも心配になります)」

事実、アテナとドールの面倒を頼める相手がいない。
こういうのは普通、ご都合主義的に誰かが空いているのがセオリーなのだが、こういう時に限って誰も空いてはいないのだから口惜しい。

まず最有力候補のトキオさん夫婦は、ダンジョンの実績報告とやらで王城に出向いてしまっている。

定期的にそのような機会が設けられてはいるらしい。
国がバックアップしているのだから報告の有無は当然だろう。
実績としては、現在はEとDのダンジョンが閉鎖しているので、トキオさんのダンジョンはウハウハみたいだ。
もしかしたら恩賞も期待できると盛大に自慢されてしまった。

次にナイトさんは、武器フェスティバル以降お店が大繁盛してしまっているので、気軽に二人の面倒を頼むのは気が引ける。

それに、コシーネさんから聞いたのだが、この二人が店先に立つと変な評判が流れるのも頂けない。
ナイトさんなら気にしないのだろうが、俺が気にしてしまうからアルバイトにすら出せない状況だ。


そんな事情もあって、二人の同行を許していたのだが.....。

「(ご安心ください。私に考えがあります)」
「(本当ですか!?お願いします!)」

ニケさんに考えがあるらしい。
俺としても二人っきりになりたかったのでかなり助かる。

ニケさんの考えとはどのようなものなのだろうと思っていたら、

「おいでなさい」

───ピカッ!

その言葉とともに再びの雷鳴。

そして「再度神が降臨なされた!」と口々に叫び、再び神に祈りを捧げる人々。
それを見て再び釣られる俺とドール。同じくそれを見てくすっと笑うニケさん。
再び教会周辺が騒然となった。.....一大コントだろうか?

そして、コントにおいて一番重要なオチが、

「な"ー!な"ー!」
「キュ、キュ、キュ」

猫とぬいぐるみの登場だった。

なるほど。
ニケさんの考えはわかった。

それはいいのだが、

「あー!な"ーちゃんだーo(≧∇≦)o」
「な"ー?」

な"ーがアテナに対して「誰だ?お前?」みたいな反応をしているのは大丈夫なのだろうか。
もはや忘れられてしまっているのでは.....。


一方、ニケさんとテディの間では、

「テディ。その身に代えてもアテナ様をお守りしなさい」
「キュ、キュ、キュ」
「わかっているとは思いますが、もし万が一アテナ様に何かあったときは.....」
「キュ、キュ、キュー!」

何やらテディがアテナ達の面倒を見てくれることになるらしい。.....大丈夫かな?
テディはテディで、ニケさんの迫力に畏れ、まるで「アイアイサー!」とでも言っているかのような敬礼の仕草には驚かされる。

ちなみにこの時は気付かなかったのだが、テディの護衛対象にドールは含まれていなかったみたいだ。


さて、こちらでもお邪魔虫達をどう説得しようかと思っていたら、

「ねぇーねぇー。歩~。な"ーちゃんのお散歩してきていいー(。´・ω・)?」
「いいぞ。行ってこい」
「やったーo(≧∇≦)o」

お邪魔1号から意外な提案が.....。
これでアテナの除去は終了。

問題は忠誠バカのドールさんだ。
ドールをちらっと見る。

「妾も姉さまと一緒に行け、というのであろう?」
「ア、アテナを頼む」
「はぁ.....。便利な言葉じゃのぅ」

お邪魔虫2号の説得にも成功。
意外とすんなり引き下がってくれた。

後でブラッシングのお礼をしてあげなくては.....。


こうして、俺とニケさんの二人っきりのデートがようやく始まることとなった。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
後書き

次回、外伝!

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【更新頻度のお知らせ】

今までは毎日更新を心掛けていましたが、リアルの事情により2~3日に1話の頻度とさせて頂きます。
エタる予定はありませんので、応援してくださっている皆様にはご安心頂けたらと思います。

大変申し訳ありませんが、ご理解のほど宜しくお願い致します。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

今日のひとこま

~な"ーのぐ~たらは世界一ぃぃぃぃぃ!~

「のぅ、主。気になることがあるのじゃ」
「なんだ?」
「猫に散歩っておかしくはないか?」
「まぁ、確かに」

「それに、リードも何も付けておらぬようじゃが大丈夫なのか?」
「それは大丈夫だ」
「なぜじゃ?逃げてしまうかもしれぬぞ?」
「な"ーを見てみろ」

ドールと一緒にな"ーを観察する。

「な"ー!な"ー!」
「な"ーちゃん、かーわいいー(*´∀`*)お手ー!」

「(くんくん)な"ー?」

───どてっ。

な"ーはアテナの手の臭いを嗅いだ後、まるで興味を失ったかのようにそのまま横たわってしまった。

「まぁ、あんな感じだ」
「どういうことじゃ?」
「な"ーは基本的に動かないんだよ。動くのは餌を食べるときのみなんだ」
「なら散歩などいらぬではないか」

「それはアテナに言え。俺に言われても困る」
「と言うよりも、動かぬのであれば散歩などできまい。どうするのじゃ?」
「抱っこしてやればいいだろ?」
「それは散歩と言えるのか!?」

「大丈夫だ。多分な"ーは抱っこされたまま寝るだろうがな」
「だから、それは散歩と言えるのか!?」

ツッコミありがとうございます。
な"ーのぐ~たらは世界一ぃぃぃぃぃ!
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