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第4章 女神降臨!
第83歩目 はじめての教会!
しおりを挟む前回までのあらすじ
ナイトさんの今後の事も考えて、お互いの依存関係を解消した
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□□□□ ~主人としての心遣い~ □□□□
王都に来て2日目。
昨日は旅の道中一緒だったナイトさんと別れ、そのまま観光に時間を費やした。
そこでアテナとドールに、お菓子やら服やらと散々出費をさせられてしまった。.....ちょ、貯蓄したい。
所持金:5052000ルクア【↓1512000】
そして明くる日の今日。
当初の目的通り、教会に赴こうと思うのだが、ここで一つの問題が浮上した。
問題というのは・・・
この王都全体が奴隷に対してすごく偏見を持っているということだ。
道行く奴隷達は、それこそ奴隷と呼ぶにふさわしい出で立ちに、扱いを受けていた。
「仕方あるまい。奴隷とは本来そのようなもの。主が特別なのじゃ」
ドールはなんてことのないように振る舞ってはいたが、俺はただただ胸糞悪かった。
実際、昨日の観光中にもドールを連れての来店を断られた店が何軒もある。
まさか入店拒否されるとは思ってもみなかったが、この王都ではそれが常識となっているらしい。
所詮、人間族の国という訳だ。
.....本当、人間族はどうしようもない。同じ人間族として恥ずかしい。
一般区や中央区でこの有り様なのだから、貴族区なんてところはきっとそれ以上だと考えたほうがいい。
つまり教会に行く為には、ドールの問題を解決しないといけない訳だ。
「簡単であろう。妾が獣となって、主の一部となればよい」
ドールがマフラーになると提案してくれたのだが・・・
「それだと根本的な解決にはならないだろ。今後もずっとそうするつもりか?」
「ではどうせよと言うのじゃ?一応言うておくが、留守番などはごめんなのじゃ。
妾の在るべきところは主の側。主を守る為にも、片時も側を離れることはできぬ」
「るすばんはダメーヽ(`Д´#)ノコンちゃんも一緒だよー!」
ドールの揺るがぬ意思は固いみたいだ。
そしてアテナのわがままな意思も固いようだ。
「歩~歩~。簡単だよー?私がおねがいすればー、コンちゃんも絶対だいじょぶー( ´∀` )」
「「・・・」」
.....それ、一番やっちゃあかんやつ!問題の先送りでしかないから!
アテナがかわいくお願いすれば、それこそあらゆる人々がそのお願いを聞き届けるだろう。
アテナの天賦の才とも言える『人に好かれやすい』はそれほどの威力がある。
ちなみに昨日、アテナが一緒だったにも係わらず入店拒否をされてしまったのは、単純にアテナが服に興味がないからだ。
もしそこでドールがアテナに頼んでいたら、まず間違いなく入店は出来ていただろう。
それはお菓子のお店だけは全店入店できていたことからも明らかだ。
「.....却下」
「.....姉さまは少し自重せよ」
「なんでー!?Σ(・ω・*ノ)ノ」
俺の言葉はまだしも、妹であるドールからも反対されたことに、アテナは動揺の色を隠せないようだ。
本当どちらが姉なのかわからなくなる。
「という訳で、これ」
とりあえずアテナは放っておいて、俺は袋をドールに渡した。
「なんじゃ、これは?」
「フルールにいた頃からずっと考えていたんだ。いずれはこういう日も来るんじゃないかって。
フルールは奴隷にそこまで酷い町じゃなかったから渡す機会もなかったんだが・・・」
ドールは俺に断りもなく、早速袋の中身を確認している。
.....いちお俺に聞こうぜ?まぁ、ドールの為に買ったやつだから別にいいけどさ・・・
「こ、これは?」
「帽子は耳を、スカーフは首輪を、服は尻尾を隠せるだろ?」
俺がドールに渡したのは、赤のニット帽と赤のスカーフ、そして白のロングワンピースだ。
「・・・」
「奴隷であることを隠せれば、多分大丈夫だと思うんだ」
「・・・」
「.....あれ?どうした?」
ドールが俯いている。その表情は伺い知れない。
尻尾は.....しなだれてはいないようだが、それでも振られてもいない。
な、なんだ?やっちまったか?
耳や尻尾を隠すなんて獣人族としての誇りがーーーーー!とかか?
俺が戦々恐々としていたら・・・
「.....センスが絶望的なのじゃ」
「.....え?」
「ワンピースにニット帽とか有り得ないのじゃ。
しかもニット帽とスカーフが赤なのに、ワンピースは白?
上の色合いが重すぎて、下とのバランスが不釣り合いになる。そうは思わなかったのか?」
「お、おう・・・。すまん」
よくわからないが、どうやら俺は怒られているらしい。
てっきり感謝されるとばかり思っていたので、意外な展開にどう対応したらいいのかわからない。
「なぜニット帽なのじゃ?」
「え、えっと.....それなら確実に耳を隠せるし、風とかに飛ばされにくいかなって思ったんだが・・・」
「機能面を重視したと?」
「あ、あぁ・・・」
「.....はぁ。それで?なぜ赤なのじゃ?」
ちょっ!?溜め息!?
そんなにダメだったのか!?だって風で帽子が飛ばされたら大騒ぎになるだろ!?
「い、色はドールのきれいな黄髪に似合いそうってだけの理由なんだが・・・」
「む?.....そ、そうか?わ、妾に似合うかの?」
「多分。俺はそう思ったんだけど.....ダメだったか?」
「ふ、ふん!まぁ色は良いのじゃ!スカーフも良い!.....わからぬのはなぜワンピースなのじゃ?」
「それは至って簡単な理由だな」
俺はそう言うと、膝上に座っているアテナの脇の下に手を差し込み持ち上げた。
「おおおおおおおおおお Σ(・ω・*ノ)ノあーはははははー!たかーい!たかーい!」
脇の下に手を差し込めば当然・・・
───むにゅ
アテナのでかぱいにさりげなく触れることができる。
脇腹ではなく、敢えて脇の下を持ったのはその為だ。
.....アテナのおっぱいは最高だぜ!
しかもこの位置関係なら、正面にいるドールには俺の表情を悟られずに済む。
まさに完璧な作戦。
「.....つまりは姉さまとお揃いにしたと?」
「そういう訳だ。姉妹なんだし、おかしくはないだろ?ちなみにアテナの分の帽子とかも買ってある」
「ほんとにー!?やったー!コンちゃんとおそろいだねー( ´∀` )」
下着は嫌がるくせに、帽子とかは問題ないようだ。
いや、ドールとお揃いというのが嬉しいのか・・・。
「まぁ、それならそれで良い。
それと.....妾がわからぬとでも思っておるのか?いい加減、姉さまから手を離さんか」
「!?」
「主の考えなど、顔を見ずともお見通しなのじゃ。妾を侮るでない」
.....なにそれ!?怖いんですけど!?もしかして一蓮托生となった影響か!?
ドールに名前を与えたことで、ドールは俺と一蓮托生となった。
これは一方通行的なもので、仮に俺が死ねばドールも死ぬが、ドールが死んでも俺は死なない。
つまりその影響はドールにしか及ばない。
言い方を変えれば、一蓮托生となった際に生じた可能性のある副次的な影響は、ドールにしかわからないということになる。
「主らはあくまでも、女神様とその従者という関係であろう?
それならば、あまりベタベタするでない!」
「なんでコンちゃんは怒ってるのー(。´・ω・)?」
「お、怒ってなどおらぬ!
.....姉さまは仕方ないとしても、主が注意すればいいだけであろう?」
「俺!?俺の責任なの!?」
「そもそも従者の分際で、女神様とベタベタしておるのがおかしいのじゃ!
そ、そんなに誰かとベタベタしたいのなら・・・」
「したいなら?」
「わ、妾にベタベタすれば良かろう!特別に許してやるのじゃ!」
「・・・」
ドールのことがよくわからない。
怒っているのか、怒っていないのか・・・。
見た感じ怒っているように見えるのだが、尻尾はご機嫌よろしく激しく振られている。
とにもかくにも、ドールはもっと構って欲しいということだろうか。
主人と奴隷という関係であり、一蓮托生にまでなってくれたドールだ。面倒を見るのは主人として当然の義務だ。
「じゃあ、お言葉に甘えて・・・今から触るけど大丈夫か?」
「う、うむ」
膝上にいるアテナをどかして、ドールに手を伸ばす。
───ビクッ!
案の定、俺に触れられたドールの体が一瞬強張った。
「.....す、すまぬ」
「いいから。いいから。少しずつ慣れていこう」
そのまま膝上に座らせる。
ふわりとドールのいい匂いが鼻をくすぐった。心が跳ねる。
ドールの男性恐怖症の克服の一環として、ブラッシングをする時はいつもこうするようにしている。
そうしようと二人で決めたことだ。接触する機会を増やして、少しずつ体を慣らしていく一般療法。
・・・。
ブラッシング効果もあったようで、ドールの謎のおしゃれ講座も終わった。
いよいよ教会に向けて出発しようとしたその時・・・
「.....ふむ。やはりいまいちなのじゃ」
さっそく着替えてもらって、この一言。
「悪かったな」
「まぁ、主人としての心遣いという点に関しては合格だから許してやろう」
「あ、ありがとう?」
「あくまで許しただけで、その罪は免れぬ。
罰として、妾が気に入るものを改めて買いに行くのじゃ!」
「はあああああ!?」
結局また余計に出費させられることが決まってしまった。
本来なら主人として奴隷のわがままに怒るべきなんだろうが・・・
年相応のかわいらしい笑顔を向けられてしまっては、怒るものも怒れない。かわいいし。
.....きっと娘を持った父親ってのはこういう気持ちなんだろうな。
童貞のくせに、既に娘を持った父親の気分に浸りながら教会を目指した。
□□□□ ~教会~ □□□□
大聖堂。
目の前に大聖堂がある。
実際は映画などでしか見たことがないが、それでも一目で大聖堂だとわかるものがそこにそびえ建っている。
そして、ザビエル。
教会入り口前にはザビエル、もとい神父様が立っている。
その昔、教科書で見たことがあるザビエルのような出で立ちをした神父様が入り口前で礼拝者を出迎えている。
「・・・」
こういう場面を見ると、改めて教会に来たのだと実感する。
実感すると同時に緊張もする。場違いなところに来てしまったのではないかと・・・。
.....くっ!小市民の血が騒ぐぜ!
俺が小市民モードになっていることを知ってか知らずか、当然アテナやドールもこの荘厳な雰囲気に気後れを・・・するはずもなく、すたこらと歩いてさっさと中に入っていってしまった。
「!?」
アテナはまだいいとしても、奴隷であるドールの豪胆さには驚かされる。
微塵も不安がっている素振りがない。堂々としていて、むしろ貴族然とすらしている。.....さすが大妖怪。
俺なんて、ドールが奴隷だとバレやしないか、とハラハラしているというのに・・・。
自分の小胆さにしょんぼりしつつ、教会の中に入った。
入り口でザビエルに声を掛けられた時なんて、あまりの緊張に心臓がバクバクしたものだ。
・・・。
教会の中は想像通りというか、まんま想像してたのとドンピシャ過ぎて驚いた。
教会は深い縦長の構造をしている。
天井はこうもりの羽みたいな形で、空間を天上へと誘っているような印象さえ受ける。
左右にある支柱の並びがつくりだす透視的な効果で、思わず内陣の祭壇に視線が引き寄せられてしまう。
そしてゴシック式というのだろうか、ステンドグラスによって作られた神秘的な光が荘厳さ、重厚さを醸し出している。
そして何よりも特徴的なのが・・・
祭壇の後ろにそびえ立つ、12体の巨大な彫刻ならぬ像だ。
「.....これは?」
「神の像に決まっておろう」
あまりの大きさに思わず見上げてしまった。
「こら!やめんか!他の場所ならともかく、ここで神の像を見上げるとか不敬も不敬。
神を恐れぬ所業として罰せられるのじゃ!知らぬこととは言え、主は無用心すぎるのじゃ!」
「!?」
.....マジか。やっぱりそういうのあるんだな。めんどくせえ。
「歩はもっと私を敬いなさーいヽ(`Д´#)ノ敬ってないからそんな非常識なことしちゃうんだよー!」
「・・・」
.....その前に俺に注意点などを教えろよ!このくそ駄女神!何かあってからじゃ遅いだろ!
特に何も信仰していない俺にとって、そういうしきたりなどはよくわからない。
土台理解することも、注意を払うことも無理な話だ。
「神って言ってたよな?アテナ達のことだろ?」
「もっちろーん( ´∀` )私の世界だしねー」
「どれがアテナなんだ?」
「これこれー!どうー?きれいー(。´・ω・)?」
アテナが指さしたのは、一番右端にある像。これがアテナ・・・?
それはいい。それはいいのだが・・・
色々おかしい。
アテナの像に限ったことではないのだが、今はそれは置いておく。
まずこの世界はアテナの世界だというのに、なぜその象徴たるアテナが一番右端にあるのか。
こういうのは普通真ん中に置くべきではないのだろうか。
そしてなによりも一番おかしいのは・・・
「.....なんでこんなポーズしてんの?」
「かわいいでしょー( ´∀` )」
かわいいかどうかは重要じゃない。
とにかく教会には似つかわしくないと思う。
アテナの像は、右手を頭の後ろに回し左手はお尻の後ろに、そして少し体をくねらせた、所謂グラビアポーズと呼ばれるポージングをしている。
いや、別にアテナの像だけがおかしいのではないのだが・・・
マッチョがよくするポージングだったり、なぜか隣同士で肩を繋いでいたり、終いには女豹のポーズの像もある。
.....ちょっと自由過ぎないか?いいのか教会よ、こんな自由な神達を信仰してても・・・
俺が教会に疑問を抱いていたら、
「ねぇーねぇー。どうー?きれいー(。´・ω・)?」
正直言ってよくわからない。芸術とかに興味はない。
美術館などに行って有名な絵を見ても、ぶっちゃけ子供の落書きとしか思えなかったりするような人間だ。
だから・・・
「きれいじゃない」
「ふええ(´;ω;`)」
───ぽふっ。ぽんぽん
「だって、本物のほうがずっときれいだしな」
「にへへー(*´∀`*)ありがとー。歩だいすきー!」
頭をぽんぽんされたアテナは、いつものように八重歯を覗かせながらにぱー☆と微笑んだ。かわいい。
ちゃんとしてれば可愛い子なんだよな~。胸大きいし
「だ・か・ら!何度も言うておろう!いちゃいちゃするでないと!第一、場所を弁えよ!」
.....怒るなよ。てか、ドールの大声のほうがきっと迷惑だぞ?
・・・。
ドールをなだめて、早速本題に移る。
教会にきた目的は、攻略の証を捧げてニケさんに会う為だ。
「それで?どうすればいいんだ?」
「神の像の前で祈れば良いのじゃ」
「どの像?」
「信仰している神でよい。例えば、妾なら森の神であるこのお方なのじゃ」
そう言ってドールが指差したのは、アテナの像の右隣にある弓を引っ提げた勇ましい女神像だ。
像からは、確かに活発そうでどこか猟奇的な妖しさのある印象を受ける。
.....アテナの姉だよな?何番目の姉だ?
それはいいとして、根本的な問題がある。
俺は誰の像の前で祈ればいいのだろう。誰にも信仰なんてしちゃいないんだが・・・
「むきーヽ(`Д´#)ノ私にきまってるでしょー!」
「.....え?信仰なんてこれっぽっちもしていないのに祈っても効果あるのか?
せっかくここまできたのに空振りとかはやめてくれよ?」
「敬ってよー!敬ってー!敬えーヽ(`Д´#)ノ」
アテナが悔しがって地団太を踏んでいる。
ともすれば当然・・・
───ぶるんぶるん
地団太を踏む度に、別の意味で敬えと主張してくる大正義。
.....さすがアテナ!おっぱいだけは敬うに値するな!
俺がその行動に釘付けになっていたら・・・
「.....主と姉さまは、本当に一度、神罰を喰らったほうがよいのではないか?」
.....それ死んじゃうから!そしたらドールも一緒に道連れだから!
・・・。
ドールの機嫌がすこぶる悪いし、いい加減ザビエルにも怒られそうなので、仕方なくアテナの像の前で祈る。
・・・。
・・・・・・。
・・・・・・・・・。
『?』
なにも起こらない。
なにも変化がない。
『なにも起こらないんだが?
やっぱりアテナの像に祈ったのは失敗だったんじゃないのか?』
・・・。
誰からの返事もない。
無視されたと思って右隣を見てみると、ドールは一心に祈っている。
祈る姿もかわいい。
.....聞こえていないのか?
『アテナ。どういうことだ?』
・・・。
当然返事がない。
同じく左隣を見てみると、アテナも一心に祈っている。
ドール同様、祈る姿もかわいい。
.....アテナも聞こえていないのか?
そして・・・
俺自身を見てみると、俺自身も一心に祈っている。
フツメンだと思う。中の下または下の上なはず。最悪、下の中。
客観的に自分自身を見てみると、こういうふうに見えているもんなんだな、と改めて感心した。
そう今俺は、俺自身を物理的な意味合いで、本当に客観視している最中だ。
『・・・』
まぁ所謂、幽体離脱ってやつですな。
・・・。
ちょっと!ちょっと!ちょっと!?
なんだよこれ!?シャレにならないんだが!?
大聖堂で幽体離脱って、あれしか脳裏に浮かばないんだけど!?
そして、やけくそになった俺は・・・
『パ〇ラッシュ……疲れたろう。僕も疲れたんだ。なんだかとても眠いんだ……パト〇ッシュ……』
その言葉を合図に、天から一人の天使がゆっくりと舞い降りてきた。
『おまたせー( ´∀` )じゃー、さっそくいこっかー!』
『早く出て来いよ!不安になるだろ!』
『あーはははははーo(≧∇≦)o歩もしっかり楽しんでたじゃなーい!お約束お約束ー!』
こうして俺は、アテナに導かれるまま天へと昇っていった。
何かが壊れるような音とともに。
『讃美歌でも鳴らすー(。´・ω・)?』
『いいから早く案内しろ!』
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後書き
次回、女神!
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今日のひとこま
~素直に喜べないドール~
「ごめんな。センスのないもの渡しちゃって」
「うむ。もっと色々と勉強するが良い」
「いや~。そもそも女の子に服のプレゼントとかしたことないからな~」
「.....む?そ、そうなのか?」
「他の物なら、付き合い上あったりはするんだが、服はさすがにな」
「.....となると、妾が初めてなのじゃな?」
「さっきそう言ったろ?やっぱりこういうのはちゃんと好みを聞くべきだったな。
変にサプライズを意識したのが失敗だったか・・・」
「そ、そうじゃな」
「一応お金にはまだ余裕があるし、新しいのを購入したら、それは神殿に寄付するか」
「!?」
「どうした?新しいのを購入したら、それはいらないだろ?ドールもセンスがないって言ってたし。
貧しい子達ならセンスうんぬんなんて気にせず着れるはずだしな。寄付だから一応善行にもなるし」
「な、なにもそこまでする必要はあるまい!?」
「いらない物を残しておくよりも、活用してくれる人に寄付したほうがいいだろ?」
「べ、別にいらないとは言っておらぬ!」
「そうなのか?でも着ないなら一緒じゃね?やっぱり寄付しよう」
「き、着ないとも言っておらぬであろう!」
「.....え?着るの?あんなに酷評してたのに?」
「わ、妾が着ずとも主が着れるであろう?」
「着ねえよ!なんで俺が着るんだよ!?ワンピース着た俺とか通報されるだろ!」
「ぐぬぬ・・・」
「?.....よくわからんが、ドールが着るつもりがないなら寄付するからな」
「いやじゃ!いやなのじゃ!!絶対寄付しないのじゃ!!!」
だったら着ろよ・・・。なにがしたいんだよ、ドールは。
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