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9.リク、シルヴィオについて語る
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「リク様、オレの船に乗るがスヴァールに行かないとは?まさか『ペルル』号を乗っ取ってどこか別の国に行こうとお考えですか?」
「まさか、それなら、そこに行く船に密航するよ。ちゃんと考えがあってスヴァール王国行きの船を探したんだ。」
その通りだ。乗っ取りが成功するとは限らないし、余計な手間をかける必要もない。
普通に名前を偽って乗船すれば済むことだ。密航する必要すら無い。
「何かお考えあって、スヴァール行きの船を探されていたんですね。」
「うん、クロード船長は、シルヴィオという地名を聞いたことはあるかい?」
「シルヴィオですか?誰かに聞いたことがあるような。」
クロードは必死に記憶を探る。
「北方航路に従事していればひょっとしたら、と思ったけど聞いたこと無いか。無理も無い。もう二十年は行ってないと思う。父の別荘のある地、れっきとした父の、そして僕が受け継いだ所領なんだ。」
「所領ですか?」
「うん、シルヴィオ辺境伯としての所領さ。」
「シルヴィオ辺境伯、侯爵位以外にも爵位をお持ちなのですか?」
「うん、一人が複数の爵位を持つことはある。シルヴィオ辺境伯も父が正式に先々王ヴィルジール陛下から叙任された爵位さ。冗談みたいな爵位だよ。爵位に付属する所領が狭いのはさておいても、領民がいないんだ。」
「領民がいない?シルヴィオとは、そんな辺鄙な土地なのですか?」
「うん、ほぼ人跡未踏だ。カタランヌ山脈は知っているか?」
リクは、恐ろしいことをさらっと言い切りながら質問する。
「我が国の北壁というべき山脈ですね。スヴァールへ向かう航海では常に左舷に眺めながら航海しています。」
大体が岩壁になっている光景を思い浮かべる。
「そのカタランヌ山脈を越えた所にシルヴィオはある。」
「ちょっと、待って下さい。カタランヌ山脈は、三千mくらいの山々が連なる山脈です。登山を愛する人々が多く亡くなっていると聞いたことがあります。そんなところに、別荘を建てるような土地があると?」
「父の知り合いのエルフが三百年ほど前に、人間と関わりたくないからって、移り住んだ土地なんだ。」
ローレンツ家は、人間社会に積極的に交わったが、人間との関りを嫌うエルフも少なくない。
「そのエルフ、タイスト・シルヴィオさんだけど四十年ほど前亡くなった。その今際の際に、父に森を譲渡したんだ。受け継ぐことを決めた父は、北方航路の船でカタランヌ山脈を迂回して、シルヴィオさんの指示した森に赴き、森やその周辺を探索、森の中心や入江の入り口などにガリア王国の旗を立てて領有を宣言したんだ。」
「私の産まれる前の話ですな。」
目の前のリクが二十代にしか見えないだけに、三十代のクロードが産まれる前の話をされても違和感がある。
叙任したというのが、やはり歴史上の人物でしかないヴィルジール王だと言われ、エルフと人間との時間感覚の違いに、クロードはめまいを起こしそうだった。
「それにしても、シルヴィオさんという方はどうやってカタランヌ山脈の向こうに同名のシルヴィオという土地があることを知ったのでしょう。」
「春にカタランヌ山脈に入って、放浪している間に、偶然見つけたらしいよ。」
「カタランヌ山脈では、夏でも場合によっては死人が出るそうですが。それに食料などはどうしていたのですか?」
「僕らエルフの身体能力なら、少々の険しい崖でも登れるし、転落死を回避できる。食料は、動物を狩ったり、雪が解けたところに生えている野草などを採取したと思うよ。森の守護者たるエルフは、草木に関しては、ものすごく精通してるはずだから食べる物に困ることは無かったと思う。」
「リク様も精通しているのですか。」
「まあね。」
リクはあっさりと言い切った。
「ちなみに地名は、父がシルヴィオさんの名前を取ってつけた。そしてヴィルジール陛下に領有を宣言したことを報告した。陛下は、すごく喜ばれ、シルヴィオ辺境伯の爵位を父に授けたんだ。」
その後、コンラートは、跡を継いだベルトラン王より、長年ガリア王国へ貢献した功績を認められて、候爵位を授けられ、ローレンツ候爵となる。
「なるほど。でもそれは侯爵の爵位とともに取り上げられたのでは?」
「いいや、そういう書類は無かった。あればマウノは間違いなく僕に見せただろうから、取り上げられていない。」
確信がある。あの時のマウノなら確実にやる。
「なぜでしょう。」
「忘れられたんだと思う。言ったろう、冗談みたいな叙任だって。ヴィルジール陛下も冗談半分だったって父も言っていた。半世紀近く、納税も何もない土地の事なんか記録しようもない。父にしても侯爵位だけで十分だったから、特にこれまで主張しなかった。」
ただ、叙任の書類はちゃんと残っている。
故に、爵位が取り上げられておらず、「貴族としての身分は全てリクに」という遺言がある以上、リクは「シルヴィオ辺境伯」である。
「コンラート様は、入植させて港を作ったりしようと考えなかったのでしょうか?」
「二百mくらいの小高い山々を覆う森以外は、ささやかな平原と砂浜、入江があるだけの小さな土地だ。港を作って北方交易の寄港地にするには、食料などの生産力が足りないと父は判断してた。」
クロードは、慣れた航海で見るカタランヌ山脈を思い浮かべる。
切り立った崖の上に三千mくらいの山々がそびえているくらいしか印象に残っていない。
「で、リク様はそこを目指すのですな。」
「うん、誰もが忘れているような土地なら、そこに追手を送るという考えも出ないだろう。」
「そうですが、食糧とか大丈夫でしょうか?」
「大丈夫、何度か父と行って、現地の草木などについての知識はある。向こうでは狩りもできた。それに向こうには父の遺産がある。」
それこそ魔力が弱った原因なのだが。
「問題はソフィーだね。僕の脱走に協力してくれるのはありがたいけど、シルヴィオのような僻地にまで来る必要は無い。スヴァール王国にでも移り住んでくれないかな。」
「リク様、お一人で暮らされるのですか?」
「男一人で暮らすくらいできるさ。」
「大丈夫ですか?人跡未踏でしょう。一人で心細くありませんか。」
「そうだけどね、ソフィーを逃亡生活に付き合わせたくない。不自由も予想される。そんな思いをさせるくらいなら、一人でいい。」
「なら、反撃されては?亡命して他国の貴族などの力を借りるのも手でしょう。」
「めんどくさい。爵位なんてどうでもいいしね。」
それでいいのだろうか。
偉ぶらない人だと思っていたが、思っていた以上に地位とかにこだわらない人のようだ、とクロードは判断していた。
「下手をすれば戦争だ。大勢に迷惑もかける。それならひっそりと隠れ住むのも悪くない。」
人のことも考えている。
だからこそ、領民、特に貧しい人々に慕われたのだ。
「それにしても何故あのお嬢さんは、リク様にこうも従うのですか?」
クロードは、リクが考えを変えまいと思い、話題を変えた。
「僕の専属メイドと思っているからこその責任感だろう。もういいのにな。給料も出せない。」
「それが連れていこうとしない理由ですか。」
「そうだよ。」
「彼女を一人にして問題ないとお考えですか?」
「うん、マウノも、彼女のことは、歯牙にもかけていまい。ひっそりと生きるなら、特に何もしないだろう。彼女はしっかり者だけど、ただのメイドだからね。」
そう話しているうちに「敗者総取り」亭の三階に戻っていた。
「ソフィー、お待たせ。」
「リク様ぁ、お待ちしてましたわぁ。」
ドアを開けた部屋の中にいたのは、眼鏡のレンズを異様に輝かせたソフィーだった。
「まさか、それなら、そこに行く船に密航するよ。ちゃんと考えがあってスヴァール王国行きの船を探したんだ。」
その通りだ。乗っ取りが成功するとは限らないし、余計な手間をかける必要もない。
普通に名前を偽って乗船すれば済むことだ。密航する必要すら無い。
「何かお考えあって、スヴァール行きの船を探されていたんですね。」
「うん、クロード船長は、シルヴィオという地名を聞いたことはあるかい?」
「シルヴィオですか?誰かに聞いたことがあるような。」
クロードは必死に記憶を探る。
「北方航路に従事していればひょっとしたら、と思ったけど聞いたこと無いか。無理も無い。もう二十年は行ってないと思う。父の別荘のある地、れっきとした父の、そして僕が受け継いだ所領なんだ。」
「所領ですか?」
「うん、シルヴィオ辺境伯としての所領さ。」
「シルヴィオ辺境伯、侯爵位以外にも爵位をお持ちなのですか?」
「うん、一人が複数の爵位を持つことはある。シルヴィオ辺境伯も父が正式に先々王ヴィルジール陛下から叙任された爵位さ。冗談みたいな爵位だよ。爵位に付属する所領が狭いのはさておいても、領民がいないんだ。」
「領民がいない?シルヴィオとは、そんな辺鄙な土地なのですか?」
「うん、ほぼ人跡未踏だ。カタランヌ山脈は知っているか?」
リクは、恐ろしいことをさらっと言い切りながら質問する。
「我が国の北壁というべき山脈ですね。スヴァールへ向かう航海では常に左舷に眺めながら航海しています。」
大体が岩壁になっている光景を思い浮かべる。
「そのカタランヌ山脈を越えた所にシルヴィオはある。」
「ちょっと、待って下さい。カタランヌ山脈は、三千mくらいの山々が連なる山脈です。登山を愛する人々が多く亡くなっていると聞いたことがあります。そんなところに、別荘を建てるような土地があると?」
「父の知り合いのエルフが三百年ほど前に、人間と関わりたくないからって、移り住んだ土地なんだ。」
ローレンツ家は、人間社会に積極的に交わったが、人間との関りを嫌うエルフも少なくない。
「そのエルフ、タイスト・シルヴィオさんだけど四十年ほど前亡くなった。その今際の際に、父に森を譲渡したんだ。受け継ぐことを決めた父は、北方航路の船でカタランヌ山脈を迂回して、シルヴィオさんの指示した森に赴き、森やその周辺を探索、森の中心や入江の入り口などにガリア王国の旗を立てて領有を宣言したんだ。」
「私の産まれる前の話ですな。」
目の前のリクが二十代にしか見えないだけに、三十代のクロードが産まれる前の話をされても違和感がある。
叙任したというのが、やはり歴史上の人物でしかないヴィルジール王だと言われ、エルフと人間との時間感覚の違いに、クロードはめまいを起こしそうだった。
「それにしても、シルヴィオさんという方はどうやってカタランヌ山脈の向こうに同名のシルヴィオという土地があることを知ったのでしょう。」
「春にカタランヌ山脈に入って、放浪している間に、偶然見つけたらしいよ。」
「カタランヌ山脈では、夏でも場合によっては死人が出るそうですが。それに食料などはどうしていたのですか?」
「僕らエルフの身体能力なら、少々の険しい崖でも登れるし、転落死を回避できる。食料は、動物を狩ったり、雪が解けたところに生えている野草などを採取したと思うよ。森の守護者たるエルフは、草木に関しては、ものすごく精通してるはずだから食べる物に困ることは無かったと思う。」
「リク様も精通しているのですか。」
「まあね。」
リクはあっさりと言い切った。
「ちなみに地名は、父がシルヴィオさんの名前を取ってつけた。そしてヴィルジール陛下に領有を宣言したことを報告した。陛下は、すごく喜ばれ、シルヴィオ辺境伯の爵位を父に授けたんだ。」
その後、コンラートは、跡を継いだベルトラン王より、長年ガリア王国へ貢献した功績を認められて、候爵位を授けられ、ローレンツ候爵となる。
「なるほど。でもそれは侯爵の爵位とともに取り上げられたのでは?」
「いいや、そういう書類は無かった。あればマウノは間違いなく僕に見せただろうから、取り上げられていない。」
確信がある。あの時のマウノなら確実にやる。
「なぜでしょう。」
「忘れられたんだと思う。言ったろう、冗談みたいな叙任だって。ヴィルジール陛下も冗談半分だったって父も言っていた。半世紀近く、納税も何もない土地の事なんか記録しようもない。父にしても侯爵位だけで十分だったから、特にこれまで主張しなかった。」
ただ、叙任の書類はちゃんと残っている。
故に、爵位が取り上げられておらず、「貴族としての身分は全てリクに」という遺言がある以上、リクは「シルヴィオ辺境伯」である。
「コンラート様は、入植させて港を作ったりしようと考えなかったのでしょうか?」
「二百mくらいの小高い山々を覆う森以外は、ささやかな平原と砂浜、入江があるだけの小さな土地だ。港を作って北方交易の寄港地にするには、食料などの生産力が足りないと父は判断してた。」
クロードは、慣れた航海で見るカタランヌ山脈を思い浮かべる。
切り立った崖の上に三千mくらいの山々がそびえているくらいしか印象に残っていない。
「で、リク様はそこを目指すのですな。」
「うん、誰もが忘れているような土地なら、そこに追手を送るという考えも出ないだろう。」
「そうですが、食糧とか大丈夫でしょうか?」
「大丈夫、何度か父と行って、現地の草木などについての知識はある。向こうでは狩りもできた。それに向こうには父の遺産がある。」
それこそ魔力が弱った原因なのだが。
「問題はソフィーだね。僕の脱走に協力してくれるのはありがたいけど、シルヴィオのような僻地にまで来る必要は無い。スヴァール王国にでも移り住んでくれないかな。」
「リク様、お一人で暮らされるのですか?」
「男一人で暮らすくらいできるさ。」
「大丈夫ですか?人跡未踏でしょう。一人で心細くありませんか。」
「そうだけどね、ソフィーを逃亡生活に付き合わせたくない。不自由も予想される。そんな思いをさせるくらいなら、一人でいい。」
「なら、反撃されては?亡命して他国の貴族などの力を借りるのも手でしょう。」
「めんどくさい。爵位なんてどうでもいいしね。」
それでいいのだろうか。
偉ぶらない人だと思っていたが、思っていた以上に地位とかにこだわらない人のようだ、とクロードは判断していた。
「下手をすれば戦争だ。大勢に迷惑もかける。それならひっそりと隠れ住むのも悪くない。」
人のことも考えている。
だからこそ、領民、特に貧しい人々に慕われたのだ。
「それにしても何故あのお嬢さんは、リク様にこうも従うのですか?」
クロードは、リクが考えを変えまいと思い、話題を変えた。
「僕の専属メイドと思っているからこその責任感だろう。もういいのにな。給料も出せない。」
「それが連れていこうとしない理由ですか。」
「そうだよ。」
「彼女を一人にして問題ないとお考えですか?」
「うん、マウノも、彼女のことは、歯牙にもかけていまい。ひっそりと生きるなら、特に何もしないだろう。彼女はしっかり者だけど、ただのメイドだからね。」
そう話しているうちに「敗者総取り」亭の三階に戻っていた。
「ソフィー、お待たせ。」
「リク様ぁ、お待ちしてましたわぁ。」
ドアを開けた部屋の中にいたのは、眼鏡のレンズを異様に輝かせたソフィーだった。
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