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三日後、あの日来て下さった方々や、バジリオ君アリアンナちゃん兄妹、カリスト君を交えて食事会となりました。
お店は格式などにこだわらない、下町のお店です。
私としては、それなりのお店を、と思ったのですが、彼らが気をつかうから高めな店は避けて欲しいとオラシオからの要望に応じたお店です。
「ごちになりまーす!」
16人の男たちの前に積み上げられた量は……。
顔を引きつらすに足る量でした。
まぁ、あの時バルリオス将軍の手回しがあったとはいえ、断る自由があるにも関わらず来てくれた彼らの恩には報いねばなりません。
恩を受けたのが私である以上、私が費用を負担するのは当然でしょう。
「あなた達も遠慮しないで食べてね。」
カリスト、バジリオ、アリアンナの三人にも声をかけます。
「俺もか?バジリオに誘われたから来たけど。」
カリスト君は、落ち着かない感じで座っています。
お店で食事するのが初めてみたいで。
バジリオ君とアリアンナちゃんも同じでしたが、目の前に食事が並べられると、それに釘付けで落ち着く着かないなど、どこかに吹っ飛んでます。
テーブルに並ぶ料理に目を輝かせるアリアンナちゃん、カワイイです。
「先日渡した品、バスケットごとお父さんにとられたじゃない。やっぱりあなたに直接お礼したいと思ってたの。遠慮せずに食べて頂戴。」
「なら遠慮なく。」
「うん、いっぱい食べてね。」
私は、グラス片手に立ち上がります。
軍人さん達は、オラシオ、アズナールもエールのジョッキ。
イシドラ達はワイングラス。
私やカリスト君達は、果物の果汁のグラス。
「先日は、皆さん私達のためにお集まり頂きありがとうございました。本日、ささやかですけど、お礼させて頂きます、乾杯!」
「カンパーイ!」
イヤー、あっという間に食事が減るように見えるのは、気のせい?
軍人さん達よく食べるなぁ。
「はい、バジリオ君達も食べてね。」
「いただきます。」
バジリオ君、アリアンナちゃんにパンを渡してから自分の分を取ります。
優しいお兄ちゃんだなぁ。
カリスト君も、フォークを手にパスタを食べ始めます。
三人が食べ始めたのを見て、ちょっと席を離れ、軍人さん達の方に挨拶に行きます。
「先日はどうも、ありがとうございました。」
「なんの、あの程度のことならいつでもどうぞ。」
リーダー格の下士官、ファルケさんが、上機嫌で返事をしてくれます。
ちょび髭を生やした年配の方で、オラシオやアズナールが生まれる前から軍にいる大ベテラン。
「いや、オラシオが仕えるお嬢様が、こんなかわいらしい方とは思いませんでした。」
やーん、ファルケさんってば。
口がお上手なんだから。
「すいません、ワインこちらに持って来て下さい。」
こう言っちゃうじゃないですか。
「いや、こんな小娘で申し訳ないです。」
後1、2年もすれば、グッと美人なってスタイルもよくなるんですが。
「いや、こうきちんとお礼するのは大したもの。二人が、気前のいい寛大な主に恵まれたようで安心しました。」
「そんなほめられることじゃ。」
「いや、貴族の私兵になった部下に会うと、主の気前の悪さなどのグチを聞かされます。ですが、オラシオもアズナールも、そんなこと一言も言わない。」
あははは、照れちゃいますね、そんなほめられると。
「それにあの子達にも、食事を振る舞っていらっしゃる。なかなか、できることじゃない。」
そういうものでしょうか。
どこの誰であれお礼をするのは当然です。
「バジリオ君達、おかわりいる?」
気軽に頼めるよう声をかけるのだって。
「すいません、鶏肉の串焼、アリアンナが食べたいって。」
見れば、確かにアリアンナちゃん、すがるような顔してる。
でもバジリオ君も食べたそうな顔してるね。
「すいません、串焼もう10本こっちのテーブルに。」
おーお、びっくりした顔になっちゃってるよ、二人とも。
「残さず食べてね。」
一言言うのも忘れない。
「ははは、バジリオ君、アズナールから聞いたが、君アズナールから方角と大体の距離を聞いただけでヒメネス伯爵家に正確に早く辿り着けたそうだね。」
「うん、そ、そうだ、よ。」
食べながらバジリオ君はファルケさんに返事します。
「早く辿り着くために貴族の屋敷をいくつか、通り抜けただろう、無断で。」
「んぐぐぐ。」
ミートボール、よく噛んで食べないと。
「いいんだ、咎めたい訳じゃない。どこからも侵入者の届けは無い。ただ、気付かれぬよう潜入したその技、軍で生かす気は無いか?」
「えっ?」
「バジリオ君、歳はいくつだ?」
「13歳です。」
「14になれば軍に入隊できる。どうだい?君なら優秀な軽装歩兵になれると思う。アズナールのような、な。」
うまい、バジリオ君が慕うアズナールの名前を出して興味を引いてる。
バジリオ君も悩んでいる。
でも、返ってきた答は。
「ごめん、おいら軍人じゃなくて冒険者になりたい。」
「冒険者か。」
「軍人も悪くないんだけどさ、冒険者になった方が儲かるし。」
「そう言われると、な。」
ファルケさんは、苦笑してます。
「確かに給料も安い。」
「オラシオ、余計なこと言うな。」
「事実じゃないっすか、ファルケさん。」
オラシオは、澄ました顔でジョッキを傾けます。
「カリスト君だったか。君もバジリオ君と同じ歳だそうだが、将来何になろうと思っているんだい?」
ファルケさん、話を変えようとしてか、カリスト君に話しかけます。
ファルケさんの言葉にカリストは、表情を消しました。
「ヤクザになろうと思っています。誘われているので。」
お店は格式などにこだわらない、下町のお店です。
私としては、それなりのお店を、と思ったのですが、彼らが気をつかうから高めな店は避けて欲しいとオラシオからの要望に応じたお店です。
「ごちになりまーす!」
16人の男たちの前に積み上げられた量は……。
顔を引きつらすに足る量でした。
まぁ、あの時バルリオス将軍の手回しがあったとはいえ、断る自由があるにも関わらず来てくれた彼らの恩には報いねばなりません。
恩を受けたのが私である以上、私が費用を負担するのは当然でしょう。
「あなた達も遠慮しないで食べてね。」
カリスト、バジリオ、アリアンナの三人にも声をかけます。
「俺もか?バジリオに誘われたから来たけど。」
カリスト君は、落ち着かない感じで座っています。
お店で食事するのが初めてみたいで。
バジリオ君とアリアンナちゃんも同じでしたが、目の前に食事が並べられると、それに釘付けで落ち着く着かないなど、どこかに吹っ飛んでます。
テーブルに並ぶ料理に目を輝かせるアリアンナちゃん、カワイイです。
「先日渡した品、バスケットごとお父さんにとられたじゃない。やっぱりあなたに直接お礼したいと思ってたの。遠慮せずに食べて頂戴。」
「なら遠慮なく。」
「うん、いっぱい食べてね。」
私は、グラス片手に立ち上がります。
軍人さん達は、オラシオ、アズナールもエールのジョッキ。
イシドラ達はワイングラス。
私やカリスト君達は、果物の果汁のグラス。
「先日は、皆さん私達のためにお集まり頂きありがとうございました。本日、ささやかですけど、お礼させて頂きます、乾杯!」
「カンパーイ!」
イヤー、あっという間に食事が減るように見えるのは、気のせい?
軍人さん達よく食べるなぁ。
「はい、バジリオ君達も食べてね。」
「いただきます。」
バジリオ君、アリアンナちゃんにパンを渡してから自分の分を取ります。
優しいお兄ちゃんだなぁ。
カリスト君も、フォークを手にパスタを食べ始めます。
三人が食べ始めたのを見て、ちょっと席を離れ、軍人さん達の方に挨拶に行きます。
「先日はどうも、ありがとうございました。」
「なんの、あの程度のことならいつでもどうぞ。」
リーダー格の下士官、ファルケさんが、上機嫌で返事をしてくれます。
ちょび髭を生やした年配の方で、オラシオやアズナールが生まれる前から軍にいる大ベテラン。
「いや、オラシオが仕えるお嬢様が、こんなかわいらしい方とは思いませんでした。」
やーん、ファルケさんってば。
口がお上手なんだから。
「すいません、ワインこちらに持って来て下さい。」
こう言っちゃうじゃないですか。
「いや、こんな小娘で申し訳ないです。」
後1、2年もすれば、グッと美人なってスタイルもよくなるんですが。
「いや、こうきちんとお礼するのは大したもの。二人が、気前のいい寛大な主に恵まれたようで安心しました。」
「そんなほめられることじゃ。」
「いや、貴族の私兵になった部下に会うと、主の気前の悪さなどのグチを聞かされます。ですが、オラシオもアズナールも、そんなこと一言も言わない。」
あははは、照れちゃいますね、そんなほめられると。
「それにあの子達にも、食事を振る舞っていらっしゃる。なかなか、できることじゃない。」
そういうものでしょうか。
どこの誰であれお礼をするのは当然です。
「バジリオ君達、おかわりいる?」
気軽に頼めるよう声をかけるのだって。
「すいません、鶏肉の串焼、アリアンナが食べたいって。」
見れば、確かにアリアンナちゃん、すがるような顔してる。
でもバジリオ君も食べたそうな顔してるね。
「すいません、串焼もう10本こっちのテーブルに。」
おーお、びっくりした顔になっちゃってるよ、二人とも。
「残さず食べてね。」
一言言うのも忘れない。
「ははは、バジリオ君、アズナールから聞いたが、君アズナールから方角と大体の距離を聞いただけでヒメネス伯爵家に正確に早く辿り着けたそうだね。」
「うん、そ、そうだ、よ。」
食べながらバジリオ君はファルケさんに返事します。
「早く辿り着くために貴族の屋敷をいくつか、通り抜けただろう、無断で。」
「んぐぐぐ。」
ミートボール、よく噛んで食べないと。
「いいんだ、咎めたい訳じゃない。どこからも侵入者の届けは無い。ただ、気付かれぬよう潜入したその技、軍で生かす気は無いか?」
「えっ?」
「バジリオ君、歳はいくつだ?」
「13歳です。」
「14になれば軍に入隊できる。どうだい?君なら優秀な軽装歩兵になれると思う。アズナールのような、な。」
うまい、バジリオ君が慕うアズナールの名前を出して興味を引いてる。
バジリオ君も悩んでいる。
でも、返ってきた答は。
「ごめん、おいら軍人じゃなくて冒険者になりたい。」
「冒険者か。」
「軍人も悪くないんだけどさ、冒険者になった方が儲かるし。」
「そう言われると、な。」
ファルケさんは、苦笑してます。
「確かに給料も安い。」
「オラシオ、余計なこと言うな。」
「事実じゃないっすか、ファルケさん。」
オラシオは、澄ました顔でジョッキを傾けます。
「カリスト君だったか。君もバジリオ君と同じ歳だそうだが、将来何になろうと思っているんだい?」
ファルケさん、話を変えようとしてか、カリスト君に話しかけます。
ファルケさんの言葉にカリストは、表情を消しました。
「ヤクザになろうと思っています。誘われているので。」
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