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第二章 王国国立学園入学。
Ep.16.0-① 後片付け。
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三重にもなる巨大な門を通り過ぎると、馬車の窓から見える景色の中に、煉瓦製の巨大構造物が見えてきた。
辺境の地に位置するここに来るための長い馬車での座りっぱなしのせいで、少し疲れが溜まっていたものの、それが見えた途端、心が引き締まる。
その構造物、国立大牢獄からは、王宮とはまた異なる威圧感のような、恐ろしさのようなものを感じさせられた。
グレイブとの戦闘による怪我が完治して二日が経過した今日、俺は父さんにグレイブを含む「悪夢の領域」のメンバーが収監されている、ここ、国立大牢獄に連れて来られていた。
どうして俺が、国中の犯罪者たちの中でも特にやばい奴らが集められている、こんな物騒なところに連れてこられなくてはならないのか、正直、不満だ。
いや、不満以外の物が何一つとしてない。
そして、よりにもよって、今日ここに来た理由が、グレイブへの直接の尋問を俺が行うためなのだ。
正直、なんで俺がやらなきゃならないのか、と言う事自体にも本当に不満しかない。
何がどうしてこんなことになってしまったのか。
実は、グレイブが自分の事を正当な方法で相当なダメージを負わせた俺からの尋問でないと、答えるつもりはないと言っているそうなのだ。
どうやら、父さんがアイツを無力化する時に使った巨剣の手元の部分を破壊して使えなくすると言う方法が本人には気に食わなかったらしく、父さんからの尋問を拒否しているらしい。
いや、気に食うとか食わねえとかとかどうでもいいだろ、くっだらねぇ。
しかし、くだらない事ではあるものの、父さん曰く、今回の襲撃は王族の人間であるエレナ様を暗殺しようとしていたと言う点から、騎士団として流石に放置しておく事ができなかったのだと言う。
さらに、
「レイジ、すまん!
頼む……!
この通りだ……!」
「「「「「レイジさん、お願いします……!」」」」」
と、こんな風に実の自分の父親とその部下達に土下座されながら頼まれなんかされてしまったら、流石に断ることはできなかった。
また、正直、俺自身、アイツらの動機に興味がないと言えば嘘になるし、そして何よりも警備兵の方二名の命を奪った事と、他の方々にも人によっては一生物の怪我を負わせたことが許せなかったのだ。
構造物、もとい大牢獄の建物に近づき、だんだんと馬車の速度が落ちていき、やがて、止まった。
「レイジ、降りるぞ」
父さんのその言葉に無言で頷き、父さんや父さんの部下の人達続き、馬車を降りた。
やはり予想していた通り、いや、予想以上に、馬車の窓越しに見えていたさっきよりもさらに、どこか恐ろしく感じさせられる建物がそこにはあった。
思っていたよりも建物自体は綺麗ではあるけど……明らかに空気が全体的に澱んでいるな。
でも、無理もないかもしれない……。
高い塀で囲まれているせいで風通しが悪いし、日当たりもあまり良いとは言えないな。
まぁ、でもそれ以前に国中のやばい連中が全部ここにいるからって方が妥当かもしれないな……。
そう思いつつ、入り口の方へと向かっていく父さん達の後を追っていくと、建物に入った所でこの大牢獄の所長(?)と思われるメガネに騎士団のものとは少し違うデザインの服の男の人出迎えてくれた。
「レナード団長、皆様、それにレイジ様。
長い時間の馬車での移動、お疲れ様でした」
すかさず、父さんが返す。
「ソウガイ殿、そちらこそご苦労……ブッハ!」
「……プッ!」
そこまで言った所で、父さんとソウガイさんは同時に吹き出し、大笑いを始めた。
は?
え、全く意味が分からないんだけど?
何?
父さんの部下達は父さんに年が近い人達と、離れている人間で反応が違っていた。
近い年齢の人達は二人と同じように大笑いしているものの、反対に歳が離れている人達は、俺と同じように困惑している。
全く意味が分からなかったものの、一通り笑い終えた後、父さんが説明してくれた。
「あー、すまんすまん。
実はな、俺とソウガイは王国学園時代の同期なんだよ」
便乗してソウガイさんも話し始める。
「そうそう、二人でイタズラしてよく教頭に怒られたっけなぁ。
あのハゲの教頭、まだ元気にしてんのか?」
「それが驚くことにさぁ!
ほら、俺の長女と長男が今通ってるからさ、去年、学園祭に行ったんだわ、そしたらなんと、いたんだよ。
なんか腰がちょっと曲がってたけど、相変わらず、生徒叱ってた」
「マジ?
まだ現役なのかよ」
あ……なんか二人の世界に没頭しちゃっててまたこっち忘れてね?
おーい。
***
ご気軽にコメントお願い致します。必ず返信させていただきます。応援、感想コメント頂けると嬉しいです。また、表現や、言葉などに間違えなどがあったら指摘してくださるとありがたいです。よろしければ、♡、☆、フォローもよろしくお願いいたします!これからよろしくお願いします!
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辺境の地に位置するここに来るための長い馬車での座りっぱなしのせいで、少し疲れが溜まっていたものの、それが見えた途端、心が引き締まる。
その構造物、国立大牢獄からは、王宮とはまた異なる威圧感のような、恐ろしさのようなものを感じさせられた。
グレイブとの戦闘による怪我が完治して二日が経過した今日、俺は父さんにグレイブを含む「悪夢の領域」のメンバーが収監されている、ここ、国立大牢獄に連れて来られていた。
どうして俺が、国中の犯罪者たちの中でも特にやばい奴らが集められている、こんな物騒なところに連れてこられなくてはならないのか、正直、不満だ。
いや、不満以外の物が何一つとしてない。
そして、よりにもよって、今日ここに来た理由が、グレイブへの直接の尋問を俺が行うためなのだ。
正直、なんで俺がやらなきゃならないのか、と言う事自体にも本当に不満しかない。
何がどうしてこんなことになってしまったのか。
実は、グレイブが自分の事を正当な方法で相当なダメージを負わせた俺からの尋問でないと、答えるつもりはないと言っているそうなのだ。
どうやら、父さんがアイツを無力化する時に使った巨剣の手元の部分を破壊して使えなくすると言う方法が本人には気に食わなかったらしく、父さんからの尋問を拒否しているらしい。
いや、気に食うとか食わねえとかとかどうでもいいだろ、くっだらねぇ。
しかし、くだらない事ではあるものの、父さん曰く、今回の襲撃は王族の人間であるエレナ様を暗殺しようとしていたと言う点から、騎士団として流石に放置しておく事ができなかったのだと言う。
さらに、
「レイジ、すまん!
頼む……!
この通りだ……!」
「「「「「レイジさん、お願いします……!」」」」」
と、こんな風に実の自分の父親とその部下達に土下座されながら頼まれなんかされてしまったら、流石に断ることはできなかった。
また、正直、俺自身、アイツらの動機に興味がないと言えば嘘になるし、そして何よりも警備兵の方二名の命を奪った事と、他の方々にも人によっては一生物の怪我を負わせたことが許せなかったのだ。
構造物、もとい大牢獄の建物に近づき、だんだんと馬車の速度が落ちていき、やがて、止まった。
「レイジ、降りるぞ」
父さんのその言葉に無言で頷き、父さんや父さんの部下の人達続き、馬車を降りた。
やはり予想していた通り、いや、予想以上に、馬車の窓越しに見えていたさっきよりもさらに、どこか恐ろしく感じさせられる建物がそこにはあった。
思っていたよりも建物自体は綺麗ではあるけど……明らかに空気が全体的に澱んでいるな。
でも、無理もないかもしれない……。
高い塀で囲まれているせいで風通しが悪いし、日当たりもあまり良いとは言えないな。
まぁ、でもそれ以前に国中のやばい連中が全部ここにいるからって方が妥当かもしれないな……。
そう思いつつ、入り口の方へと向かっていく父さん達の後を追っていくと、建物に入った所でこの大牢獄の所長(?)と思われるメガネに騎士団のものとは少し違うデザインの服の男の人出迎えてくれた。
「レナード団長、皆様、それにレイジ様。
長い時間の馬車での移動、お疲れ様でした」
すかさず、父さんが返す。
「ソウガイ殿、そちらこそご苦労……ブッハ!」
「……プッ!」
そこまで言った所で、父さんとソウガイさんは同時に吹き出し、大笑いを始めた。
は?
え、全く意味が分からないんだけど?
何?
父さんの部下達は父さんに年が近い人達と、離れている人間で反応が違っていた。
近い年齢の人達は二人と同じように大笑いしているものの、反対に歳が離れている人達は、俺と同じように困惑している。
全く意味が分からなかったものの、一通り笑い終えた後、父さんが説明してくれた。
「あー、すまんすまん。
実はな、俺とソウガイは王国学園時代の同期なんだよ」
便乗してソウガイさんも話し始める。
「そうそう、二人でイタズラしてよく教頭に怒られたっけなぁ。
あのハゲの教頭、まだ元気にしてんのか?」
「それが驚くことにさぁ!
ほら、俺の長女と長男が今通ってるからさ、去年、学園祭に行ったんだわ、そしたらなんと、いたんだよ。
なんか腰がちょっと曲がってたけど、相変わらず、生徒叱ってた」
「マジ?
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