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第二章 王国国立学園入学。
Ep.13.0-④ 今、自分にできる全てを。-④
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それと同時に魔素が切れたようで、俺は地面にぶっ倒れた。
チッ、まずい!
動けねえ!
顔を上げると、もう目の前にグレイブが立っていた。
悍ましい笑顔で剣先を俺に向けながら。
「……さようならだな、レイジ・アルフェリス……。
……久しぶりに楽しめたぞ」
そう言って剣を俺の頭目掛けて下ろした。
ヤバい!
死ぬ!
しかし、避けようにも体に力が入らず、動けない。
ここまで……なのか……?
『レイジ!』
ルアの叫び声が聞こえた。
ダーンッ!
遠くで、銃の発砲音が聞こえたと同時にグレイブが剣を下ろすのを止め、自分の体の前に持って来た。
カーン!
その直後、グレイブが剣で銃か何か弾の様な物を弾いた。
カラン。
グレイブが弾いた弾が俺の目の前に落ちる。
……この弾丸……。
王国騎士団銃撃部隊の特務弾……いや、母さんのカスタムの……!
思考が鈍り切った脳が、そう気づいた、次の瞬間。
紅あかい一筋の稲妻が俺の横を通過して、グレイブに衝突し、俺から十メートルぐらい遠くに押し込んだ。
途端に半端じゃない強さの衝撃があたりに広がる。
「おう、お前達。
うちの可愛い子供達とこの屋敷の大事な人たちに、何てことしてくれてんだ?」
「チッ。
長居し過ぎたか……」
舞っていた土埃が落ち着く。
ギリッ!
……ギリッ!
そこにはグレイブと鍔迫り合いをする、父、レナード・アルフェリスの姿があった。
……父……さん……?
って事はさっきの弾丸は母さんのだったのか……。
助かった……。
まじで死ぬかと思った……。
と言うか父さん、大丈夫なのか?
ソイツの剣は魔鉱でできてるんだぞ!?
俺は体が魔素切れと痛みで苦しいのを我慢しながら、できる限りの大声で、父さんに向かって叫んだ。
「……父……さん……!
ソイツの剣は魔鉱製だ……!
気を付けて……!」
「お父さん……!」
「遅れてすまなかったな、レイジ、ルア!
魔鉱製、通りで硬いわけか……。
厄介だが、コイツは問題ない!
お前達は下がってろ!」
父さんはこちらに振り向かぬまま、答えた。
そうだな、このままここにいても邪魔になるだけだ。
下がった方が……いい。
でもこれ……俺魔素切れで動けねえじゃん。
「ルア……肩を貸して……。
魔素が切れてて動けない……」
はあ、体だるい……。
魔素切れって辛い……。
「う、うん。
はは……私も“龍神”の使いすぎで相当魔素使っちゃった……
人間の体って限界低いね……」
ルアは疲れた顔をしながらも、駆け寄ってすぐに肩を貸してくれて、俺は刀を握り締めながら俺はゆっくりと立ち上がって歩き始めた。
歩きながら、ルアは尋ねた。
「……だ、大丈夫?
ほら、その……さっきの……」
ルアは本気で心配してくれているようだった。
しかし、そう聞く表情は少し怯えているように見えた。
?
どうしたんだコイツ?
何のことを言ってるんだ?
「何のことだ?」
ルアは俺がそう言ったのを聞くと驚いたような顔をして、答えた。
「え?
あ、あのよく分からない黒い蛇みたいなよく分からない奴の事と……あの黒ローブの一人がグチャってなった事……。
で……さっきの急に無口になってあのグレイブって奴に切り掛かった事……」
何で忘れてたんだろ……そうだ……俺、人を……。
急に気持ち悪くなった。
やばい……吐きそう……。
それになんだ?
は?
無口で切り掛かるって……。
吐き気を必死で我慢しながら、ルアに尋ねた。
「……最初の二つは覚えてるけど……三つ目の無口で切り掛かるってなんだ……?
……どのタイミングのこと……だ?」
父さんとグレイブから四〇メートル程離れた瓦礫の後ろに着き、そこに二人で座り込む。
最後の無口で切り掛かったっていうのが、どうも覚えがない。
「え……。
その……黒ローブを一人やっちゃった後……。
大丈夫。
しょうがないよ、あれは……。
そうじゃなかったら死んでたよ……みんな……」
そう言ってくれる人がいるだけマシなのだろうか……。
でも、あの人にもきっと家族がいて……。
そう考えるとまた気持ち悪くなって口で手を塞いだ。
でも……それに……なんだ!?
その黒ローブの男を手にかけてしまった後って……。
考えてみると、そこから魔素切れで倒れるまでの記憶がない……。
気を失っていたのか……それとも疲労で記憶がぐちゃぐちゃになっているのか……。
「……あ、えっと、その、なんか……。
それ……記憶がない……。
どんな感じだった?」
ルアはそう聞くと、驚いたような、恐ろしいものを見るような目をして、こちらを見た。
「っ……!?
レイジ、本気で言ってるの……?」
今嘘つくような状況じゃないだろ……。
「ああ。」
そう答えた途端、意識が朦朧として来た。
……あれ、これ……。
「おかしい…… レイジの意識障害はない……“技能スキル”のせいというのも所持している物からはまず考えられない……。
どういう事……?」
ルアのぶつぶつ呟く声がだんだんと小さくなって行った。
***
ご気軽にコメントお願い致します。必ず返信させていただきます。応援、感想コメント頂けると嬉しいです。また、表現や、言葉などに間違えなどがあったら指摘してくださるとありがたいです。よろしければ、お気に入りもよろしくお願いいたします!
チッ、まずい!
動けねえ!
顔を上げると、もう目の前にグレイブが立っていた。
悍ましい笑顔で剣先を俺に向けながら。
「……さようならだな、レイジ・アルフェリス……。
……久しぶりに楽しめたぞ」
そう言って剣を俺の頭目掛けて下ろした。
ヤバい!
死ぬ!
しかし、避けようにも体に力が入らず、動けない。
ここまで……なのか……?
『レイジ!』
ルアの叫び声が聞こえた。
ダーンッ!
遠くで、銃の発砲音が聞こえたと同時にグレイブが剣を下ろすのを止め、自分の体の前に持って来た。
カーン!
その直後、グレイブが剣で銃か何か弾の様な物を弾いた。
カラン。
グレイブが弾いた弾が俺の目の前に落ちる。
……この弾丸……。
王国騎士団銃撃部隊の特務弾……いや、母さんのカスタムの……!
思考が鈍り切った脳が、そう気づいた、次の瞬間。
紅あかい一筋の稲妻が俺の横を通過して、グレイブに衝突し、俺から十メートルぐらい遠くに押し込んだ。
途端に半端じゃない強さの衝撃があたりに広がる。
「おう、お前達。
うちの可愛い子供達とこの屋敷の大事な人たちに、何てことしてくれてんだ?」
「チッ。
長居し過ぎたか……」
舞っていた土埃が落ち着く。
ギリッ!
……ギリッ!
そこにはグレイブと鍔迫り合いをする、父、レナード・アルフェリスの姿があった。
……父……さん……?
って事はさっきの弾丸は母さんのだったのか……。
助かった……。
まじで死ぬかと思った……。
と言うか父さん、大丈夫なのか?
ソイツの剣は魔鉱でできてるんだぞ!?
俺は体が魔素切れと痛みで苦しいのを我慢しながら、できる限りの大声で、父さんに向かって叫んだ。
「……父……さん……!
ソイツの剣は魔鉱製だ……!
気を付けて……!」
「お父さん……!」
「遅れてすまなかったな、レイジ、ルア!
魔鉱製、通りで硬いわけか……。
厄介だが、コイツは問題ない!
お前達は下がってろ!」
父さんはこちらに振り向かぬまま、答えた。
そうだな、このままここにいても邪魔になるだけだ。
下がった方が……いい。
でもこれ……俺魔素切れで動けねえじゃん。
「ルア……肩を貸して……。
魔素が切れてて動けない……」
はあ、体だるい……。
魔素切れって辛い……。
「う、うん。
はは……私も“龍神”の使いすぎで相当魔素使っちゃった……
人間の体って限界低いね……」
ルアは疲れた顔をしながらも、駆け寄ってすぐに肩を貸してくれて、俺は刀を握り締めながら俺はゆっくりと立ち上がって歩き始めた。
歩きながら、ルアは尋ねた。
「……だ、大丈夫?
ほら、その……さっきの……」
ルアは本気で心配してくれているようだった。
しかし、そう聞く表情は少し怯えているように見えた。
?
どうしたんだコイツ?
何のことを言ってるんだ?
「何のことだ?」
ルアは俺がそう言ったのを聞くと驚いたような顔をして、答えた。
「え?
あ、あのよく分からない黒い蛇みたいなよく分からない奴の事と……あの黒ローブの一人がグチャってなった事……。
で……さっきの急に無口になってあのグレイブって奴に切り掛かった事……」
何で忘れてたんだろ……そうだ……俺、人を……。
急に気持ち悪くなった。
やばい……吐きそう……。
それになんだ?
は?
無口で切り掛かるって……。
吐き気を必死で我慢しながら、ルアに尋ねた。
「……最初の二つは覚えてるけど……三つ目の無口で切り掛かるってなんだ……?
……どのタイミングのこと……だ?」
父さんとグレイブから四〇メートル程離れた瓦礫の後ろに着き、そこに二人で座り込む。
最後の無口で切り掛かったっていうのが、どうも覚えがない。
「え……。
その……黒ローブを一人やっちゃった後……。
大丈夫。
しょうがないよ、あれは……。
そうじゃなかったら死んでたよ……みんな……」
そう言ってくれる人がいるだけマシなのだろうか……。
でも、あの人にもきっと家族がいて……。
そう考えるとまた気持ち悪くなって口で手を塞いだ。
でも……それに……なんだ!?
その黒ローブの男を手にかけてしまった後って……。
考えてみると、そこから魔素切れで倒れるまでの記憶がない……。
気を失っていたのか……それとも疲労で記憶がぐちゃぐちゃになっているのか……。
「……あ、えっと、その、なんか……。
それ……記憶がない……。
どんな感じだった?」
ルアはそう聞くと、驚いたような、恐ろしいものを見るような目をして、こちらを見た。
「っ……!?
レイジ、本気で言ってるの……?」
今嘘つくような状況じゃないだろ……。
「ああ。」
そう答えた途端、意識が朦朧として来た。
……あれ、これ……。
「おかしい…… レイジの意識障害はない……“技能スキル”のせいというのも所持している物からはまず考えられない……。
どういう事……?」
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