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第二章 王国国立学園入学。
Ep.13.0-③ 今、自分にできる全てを。-③
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すると、グレイブが腕を噛みつかれながら、何かを取り出した。
……藁人形……?
その藁人形のような物を地面に落とし、思いっきり踏みつけ、警備兵のみなさんとグレイブ以外の黒ローブの連中が戦っていた方を指差した。
何してんだ……?
コイツ……。
見ろってことなのか?
グレイブが指差した方を見る。
その途端、警備兵のみなさんが戦っていた黒いローブの奴のうちの一人が、大きな悲鳴をあげた。
「うわあああああああああああああああああああああああああああああああああああ!」
周りで戦っていた警備兵のみなさんや、他の黒ローブの連中も悲鳴のした方を振り向く。
見ると、なんとそいつについ先程までグレイブの体に食いついていた黒い奴らが食いついていた。
急いでグレイブの方を向き直るとルアの“龍神”以外、つまり俺が発生させた黒い奴らが消えていた。
身代わり……!?
「ぎゃああああああああああああああああああああああああああああああ!!」
大きな悲鳴がまた上がる。
恐る恐る見ると、その男が黒い奴らに文字通り、食われていた。
その男は必死にもがくが、黒い奴らはぐるりと男に巻きつき、離れない。
激痛を受けているのか、男は倒れて激しくのたうち回った。
そして……。
グシャッ!
周囲に血が……飛び散った……。
最初の方聞こえていた男の悲鳴は段々小さくなっていき、やがて途絶えた。
男に貪りついていた黒い奴らは四秒ほどして、灰のような砂のような黒い粒子になって消えた。
その消えた後には、男の激しい抵抗が窺えるほどに広く飛び散った血飛沫のみが残った。
……。
……俺が……?
……俺が……殺してしまったのか……?
あの男を……?
……俺が……人を……殺した?
飛び散った血飛沫の匂いがした途端、俺は強烈な吐き気に襲われた。
頭もクラクラする。
気持ち悪いのに耐えられず、思わずしゃがみ込む。
グレイブは先程の落ち着いた感じとは全く異なり、声をあげて笑い始めた。
その笑い声は、俺を突き落とした時の榊原のあの悍ましい笑い声を想起させられるような物だった。
「ヒャヒャヒャ!
これはこれは、まさか死ぬとは!
まあ、それもそうか!
奴は出来損ないの失敗作だからなぁ!
血、血、血!
素晴らしい!
それに、レイジ・アルフェリス!
貴様の、その顔と言ったら!
なんという傑作だ!
ヒャヒャヒャヒャヒャヒャ!」
だめだ……気持ちが悪い。
あれほど、俺を殺した榊原を恨んだのに……。
あれほど、警備兵のみなさんには殺さないようにとか言ってたのに……、俺が……。
今、自分にできる全ての結果が……殺しだったのか?
『レイジ!』
ルアの叫び声がしたような気がした。
でも……よくわからない。
周囲の音がかき消されて行く。
視界が赤く、黒く、濁って行く……。
駄目ダ、何も分からナイ。
只々、脳内が、血ノ匂イで埋メツクセレテイク……。
頭ガ働カナイ。
アレ?
ナンデ俺、立チ止マッテイルンダ?
何シテタンダッケ……?
周リヲミマワスガ、視界ガ赤黒ク濁ッテイテ、ヨク見エナイ。
……ソウダ、アイツヲ。
アイツヲ……。
何ダッケ?
……ソウダ、殺ソウト思ッタンダッケ?
立チ上ガリ、刀ヲ握リ直ス。
「……?
レイジ・アルフェリス、まだやるのか!?
どうせお前は、俺には勝てない……。
さっきと同じ事をされても、またこれを使うだけだ!
ヒャヒャヒャヒャヒャヒャ!」
ソウ言ッテ、目ノ前ノ男ハ藁人形ノヨウナ物ヲ取リ出シタ。
何ダロウ、アレ、見タコトアル。
マア、イッカ。
壊バイインダヨネ、コイツゴト。
瞬間的ニ、飛ビカカル。
「何!?
お前、さっきはあれほど……。
グアアアア!」
肩ヲ切リツケタ。
……ウルサイナァ……!
静ニシテヨ……。
着地シテ、ソイツニ向キ直ル。
「お、お前……!
本当に、レイジ・アルフェリスなのか……!?
先程と力の違いが段違い……、いや、言うなれば、獣だ……!」
次デ、オ終イダ……ウッ!
ナンダ!?
コノ頭痛ハ!?
ドーーーーン!!
盛大な銃声が聞こえた。
あれ、俺は何を……?
目の前には怯えた表情をしたグレイブがいた。
赤黒く染まっていた視界が澄んで行く。
?
そして、俺の持つ刀には、血が付着していた。
……は?
***
こんばんは、錦木れるむです!
この作品をカクヨムのドラゴンノベルスコンテストに出品しました!
応援よろしくお願い致します!
ご気軽にコメントお願い致します。必ず返信させていただきます。応援、感想コメント頂けると嬉しいです。また、表現や、言葉などに間違えなどがあったら指摘してくださるとありがたいです。よろしければ、♡、☆、フォローもよろしくお願いいたします!
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その藁人形のような物を地面に落とし、思いっきり踏みつけ、警備兵のみなさんとグレイブ以外の黒ローブの連中が戦っていた方を指差した。
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「うわあああああああああああああああああああああああああああああああああああ!」
周りで戦っていた警備兵のみなさんや、他の黒ローブの連中も悲鳴のした方を振り向く。
見ると、なんとそいつについ先程までグレイブの体に食いついていた黒い奴らが食いついていた。
急いでグレイブの方を向き直るとルアの“龍神”以外、つまり俺が発生させた黒い奴らが消えていた。
身代わり……!?
「ぎゃああああああああああああああああああああああああああああああ!!」
大きな悲鳴がまた上がる。
恐る恐る見ると、その男が黒い奴らに文字通り、食われていた。
その男は必死にもがくが、黒い奴らはぐるりと男に巻きつき、離れない。
激痛を受けているのか、男は倒れて激しくのたうち回った。
そして……。
グシャッ!
周囲に血が……飛び散った……。
最初の方聞こえていた男の悲鳴は段々小さくなっていき、やがて途絶えた。
男に貪りついていた黒い奴らは四秒ほどして、灰のような砂のような黒い粒子になって消えた。
その消えた後には、男の激しい抵抗が窺えるほどに広く飛び散った血飛沫のみが残った。
……。
……俺が……?
……俺が……殺してしまったのか……?
あの男を……?
……俺が……人を……殺した?
飛び散った血飛沫の匂いがした途端、俺は強烈な吐き気に襲われた。
頭もクラクラする。
気持ち悪いのに耐えられず、思わずしゃがみ込む。
グレイブは先程の落ち着いた感じとは全く異なり、声をあげて笑い始めた。
その笑い声は、俺を突き落とした時の榊原のあの悍ましい笑い声を想起させられるような物だった。
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今、自分にできる全ての結果が……殺しだったのか?
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でも……よくわからない。
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視界が赤く、黒く、濁って行く……。
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頭ガ働カナイ。
アレ?
ナンデ俺、立チ止マッテイルンダ?
何シテタンダッケ……?
周リヲミマワスガ、視界ガ赤黒ク濁ッテイテ、ヨク見エナイ。
……ソウダ、アイツヲ。
アイツヲ……。
何ダッケ?
……ソウダ、殺ソウト思ッタンダッケ?
立チ上ガリ、刀ヲ握リ直ス。
「……?
レイジ・アルフェリス、まだやるのか!?
どうせお前は、俺には勝てない……。
さっきと同じ事をされても、またこれを使うだけだ!
ヒャヒャヒャヒャヒャヒャ!」
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何ダロウ、アレ、見タコトアル。
マア、イッカ。
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「何!?
お前、さっきはあれほど……。
グアアアア!」
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着地シテ、ソイツニ向キ直ル。
「お、お前……!
本当に、レイジ・アルフェリスなのか……!?
先程と力の違いが段違い……、いや、言うなれば、獣だ……!」
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ナンダ!?
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ドーーーーン!!
盛大な銃声が聞こえた。
あれ、俺は何を……?
目の前には怯えた表情をしたグレイブがいた。
赤黒く染まっていた視界が澄んで行く。
?
そして、俺の持つ刀には、血が付着していた。
……は?
***
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