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第二章 王国国立学園入学。
Ep.13.0-① 今、自分にできる全てを。-①
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ギッ、ギ、ギギー!!
俺の刀とグレイブの剣が強く擦れ、黒板を引っ掻いた時よりも何倍も何倍も不快な音が辺りに響き渡る。
今度は俺とグレイブがうまく鍔迫り合いをしているのを見て、ルアが現実の方で、大きな声を上げた。
「レイジ、それって……!」
やっぱりルアはよく分かってくれているみたいだ。
振り向かないまま、だが、笑顔で答える。
「ああ、コイツは、この刀は、俺の、霞ヶ浦佑介だった俺としての結晶だ……!」
「チッ。
……レイジ・アルフェリス!!
なんだ、そのふざけた片刃の剣は!!
やはり、お前は……殺す!」
グレイブはバツが悪そうな顔をしながら、舌打ちをして俺を脅してから、一度後ろに引き下がった。
おいおい、キャラ変わっちゃってますよ、グレイブさん。
でも、よし!
これなら……!
全く疲れを感じさせられないほどに相変わらずグレイブの押す力はすごかった。
それこそ、一瞬でも気を抜いたら一瞬でやられるであろうほどに。
だが、先程とは異なっているのは、今は俺の刀は少し刃こぼれはしてしまったものの、全く折れたりしていない。
よかった……。
俺はまた内心少しだけほっとした。
流石、硬いな、
なにせ、この刀は、俺が知っている中で最も硬い合金、二ホウ化レニウム:化学式ReB2で作られているのだから。
さっき生成を始めようとしていたときに、俺は考えた。
このまま普通の素材で新たな剣を作ってしまっても、またグレイブに折れるだけなのではないかと。
そこで、前世、霞ヶ浦佑介だった頃の父さんが仕事の関係で持っていた材料工学の本の事を思い出した。
そこに最も硬い合金として記されていたのが、この二ホウ化レニウムだった。
その僅かな記憶から、その合金のイメージを固めるのは少し難しかったが、前世での化学の授業で得ていた知識も利用したおかげで、どうやらちゃんと生成できていたようだ。
まあ、硬さでは魔鉱にはやはり劣ってしまっているというような感じだが、これぐらいなら充分にまだ時間は稼げそうだ。
刀だったっていうのは正直、結構、予想外だったけど。
それにしても、元々日本人だった俺が、かつてニホニウムとして扱われかけたレニウムを使った合金でできたまたこれ日本に馴染み深い刀を異世界で使うことになるだなんて不思議な巡り合わせだ。
過去に捨てたつもりでいた、霞ヶ浦佑介という人生で獲得した知識を使ったという事、そしてあの状況で自分が無意識に刀を欲してしまっていたという事も、また感慨深い物だし。
案外、あの人生、霞ヶ浦佑介として生きた俺のあの十六年間も……全てが無くなってしまったって訳じゃなかったのかもしれないな……。
いけねえ、気、引き締めねえと。
軽く息を吐き、呼吸を整える。
グレイブはこちらの動きを警戒しているためか、なかなか手を出してこない。
再び、ルアに念話で語りかけた。
『ルア!
反撃を始める!
援護、頼むぞ!』
『りょうかい!!!
後方支援は任せてー!!』
流石、やっぱりルアはすごいな。
ポンコツなとこ以外、いや、ポンコツなとこも含めて、愛してるよ、ルア。
覚悟を決め、火と光の合成魔素を練ろうとした時、体中を強烈な痛みが駆け巡った。
……!
……魔素切れが近い!
クッソ、それでも……!
頑張って練ろうと練ろうとするも、あまりの激痛に体中から悲鳴が上がる。
次の瞬間、グレイブが切り込んで来た。
……っ!
すぐに反応し、剣を軌道を妨げるように持っていく。
ガン!
グレイブの剣を受け止め、流す。
『レイジ、伏せて!』
言われた通りに伏せると、ルアの放った水でできた龍のような魔術、“龍神”が頭の上を通過する。
グレイブはそれを避け、また引き下がる。
『レイジ、集中して!』
分かってるよ、そんな事!
なんだ!?
何か方法はないのか!?
あー!
どうすれば……!!
何か重大な事を見落としている気がする……!
正面の方を向くと、ルアの“龍神”がグレイブに喰らい付いていた。
そして、グレイブがそれを切るがなかなか離れない。
!
俺の魔素因子って水と闇じゃん……!
この世界に転生した時から自分の魔素因子が水と闇って分かってたから、毎日毎日ずっと水と闇の魔術を練り続けて来たんじゃないか!!
刀に乗せる型が無くたっていい。
今は、自分にできる全てを出し切るべきだ。
それに、属性が持っている魔素因子と同じであれば、より使う魔素も少なくてすむ……!
手から莫大な量の闇と水の魔術を練り出し、刀に注ぎ込む。
アルフェリス家の剣とは反対に、刀は段々冷たくなり、黒いオーラを纏い始める。
後は。
今の俺には、前世で、霞ヶ浦佑介として六歳から始めた剣道の型がある。
レイジ・アルフェリスとして詰んだ金属の剣の扱いの理解がある。
もう、負けねえ!
***
こんばんは、設定の見直しに追われている錦木れるむです。
ご気軽にコメントお願い致します。必ず返信させていただきます。応援、感想コメント頂けると嬉しいです。また、表現や、言葉などに間違えなどがあったら指摘してくださるとありがたいです。よろしければ、お気に入りもよろしくお願いいたします!
俺の刀とグレイブの剣が強く擦れ、黒板を引っ掻いた時よりも何倍も何倍も不快な音が辺りに響き渡る。
今度は俺とグレイブがうまく鍔迫り合いをしているのを見て、ルアが現実の方で、大きな声を上げた。
「レイジ、それって……!」
やっぱりルアはよく分かってくれているみたいだ。
振り向かないまま、だが、笑顔で答える。
「ああ、コイツは、この刀は、俺の、霞ヶ浦佑介だった俺としての結晶だ……!」
「チッ。
……レイジ・アルフェリス!!
なんだ、そのふざけた片刃の剣は!!
やはり、お前は……殺す!」
グレイブはバツが悪そうな顔をしながら、舌打ちをして俺を脅してから、一度後ろに引き下がった。
おいおい、キャラ変わっちゃってますよ、グレイブさん。
でも、よし!
これなら……!
全く疲れを感じさせられないほどに相変わらずグレイブの押す力はすごかった。
それこそ、一瞬でも気を抜いたら一瞬でやられるであろうほどに。
だが、先程とは異なっているのは、今は俺の刀は少し刃こぼれはしてしまったものの、全く折れたりしていない。
よかった……。
俺はまた内心少しだけほっとした。
流石、硬いな、
なにせ、この刀は、俺が知っている中で最も硬い合金、二ホウ化レニウム:化学式ReB2で作られているのだから。
さっき生成を始めようとしていたときに、俺は考えた。
このまま普通の素材で新たな剣を作ってしまっても、またグレイブに折れるだけなのではないかと。
そこで、前世、霞ヶ浦佑介だった頃の父さんが仕事の関係で持っていた材料工学の本の事を思い出した。
そこに最も硬い合金として記されていたのが、この二ホウ化レニウムだった。
その僅かな記憶から、その合金のイメージを固めるのは少し難しかったが、前世での化学の授業で得ていた知識も利用したおかげで、どうやらちゃんと生成できていたようだ。
まあ、硬さでは魔鉱にはやはり劣ってしまっているというような感じだが、これぐらいなら充分にまだ時間は稼げそうだ。
刀だったっていうのは正直、結構、予想外だったけど。
それにしても、元々日本人だった俺が、かつてニホニウムとして扱われかけたレニウムを使った合金でできたまたこれ日本に馴染み深い刀を異世界で使うことになるだなんて不思議な巡り合わせだ。
過去に捨てたつもりでいた、霞ヶ浦佑介という人生で獲得した知識を使ったという事、そしてあの状況で自分が無意識に刀を欲してしまっていたという事も、また感慨深い物だし。
案外、あの人生、霞ヶ浦佑介として生きた俺のあの十六年間も……全てが無くなってしまったって訳じゃなかったのかもしれないな……。
いけねえ、気、引き締めねえと。
軽く息を吐き、呼吸を整える。
グレイブはこちらの動きを警戒しているためか、なかなか手を出してこない。
再び、ルアに念話で語りかけた。
『ルア!
反撃を始める!
援護、頼むぞ!』
『りょうかい!!!
後方支援は任せてー!!』
流石、やっぱりルアはすごいな。
ポンコツなとこ以外、いや、ポンコツなとこも含めて、愛してるよ、ルア。
覚悟を決め、火と光の合成魔素を練ろうとした時、体中を強烈な痛みが駆け巡った。
……!
……魔素切れが近い!
クッソ、それでも……!
頑張って練ろうと練ろうとするも、あまりの激痛に体中から悲鳴が上がる。
次の瞬間、グレイブが切り込んで来た。
……っ!
すぐに反応し、剣を軌道を妨げるように持っていく。
ガン!
グレイブの剣を受け止め、流す。
『レイジ、伏せて!』
言われた通りに伏せると、ルアの放った水でできた龍のような魔術、“龍神”が頭の上を通過する。
グレイブはそれを避け、また引き下がる。
『レイジ、集中して!』
分かってるよ、そんな事!
なんだ!?
何か方法はないのか!?
あー!
どうすれば……!!
何か重大な事を見落としている気がする……!
正面の方を向くと、ルアの“龍神”がグレイブに喰らい付いていた。
そして、グレイブがそれを切るがなかなか離れない。
!
俺の魔素因子って水と闇じゃん……!
この世界に転生した時から自分の魔素因子が水と闇って分かってたから、毎日毎日ずっと水と闇の魔術を練り続けて来たんじゃないか!!
刀に乗せる型が無くたっていい。
今は、自分にできる全てを出し切るべきだ。
それに、属性が持っている魔素因子と同じであれば、より使う魔素も少なくてすむ……!
手から莫大な量の闇と水の魔術を練り出し、刀に注ぎ込む。
アルフェリス家の剣とは反対に、刀は段々冷たくなり、黒いオーラを纏い始める。
後は。
今の俺には、前世で、霞ヶ浦佑介として六歳から始めた剣道の型がある。
レイジ・アルフェリスとして詰んだ金属の剣の扱いの理解がある。
もう、負けねえ!
***
こんばんは、設定の見直しに追われている錦木れるむです。
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