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第二章 王国国立学園入学。
Ep.10.0-② 気づき、不穏な予感。-②
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「わ、分かってるって、冗談冗談……アハハハ……」
父さんにちょっとだけキレ口調なそう言われると、兄さんはバツが悪そうに笑った。
さらにそれを笑顔で言っているというのが、またさらに怖い……。
一瞬、気まずい沈黙が三人を包みこんだ。
だがちょうどその時、俺の頭に念話が飛んできた。
『レイジー!
来たよー!』
声のうるささから、一瞬にしてその声の主がルアだと言う事が分かった。
まあ、そもそもの問題、俺と念話ができるのなんてルアしかいないんだけどね……。
しかも、実際の会話でも声大っきいし、念話でも大して変わらないんだよなぁ、コイツ。
で、一体何の用だ?
「来たよー!」ってことは、多分近くにいるはずだ。
どこにいるのか周囲を見回してみると、父さんの後ろの方、つまり俺と兄さんにとって正面の方から、こちらの方へ手を振りながら猛スピードで走ってくるルアの姿を見つけた。
通常のルアの三倍の速さだと!?
ま、間違いない。
奴だ。
奴が来たんだ。
滅茶苦茶興奮しまくってて我を見失ってる時のルアだ……!
脳内で某ロボットアニメ風のアフレコを再生しつつ、ルアの走ってくる方向に指を指しながら棒読みで言う。
「あ、ルアだ。
すっごいスピードで走ってくるよー」
俺のその言葉に反応した父さんと兄さんが俺の指差した方を見る。
「おーーーい!
レイジー!
ハックお兄ちゃーん!
お父さーん!」
俺達が自分に気づいた事が分かったようで、ルアは嬉しそうに俺達を呼び、さらにスピードを上げて走ってくる。
ん?
なんか予感がするぞ?
ズッテーーンッ!
次の瞬間、俺達のいるところから三十メートルぐらいのところまで来たところで、ルアは見事と言うしかないほど綺麗にスカートの端っこを踏んづけてしまい、盛大にコケて、顔面を地面にぶつけた。
はーい、やっぱりフラグ回収!
ルアのことだし、なんとなくコケたりとかなんかしらするだろうなとは思ってたよ……うん。
というか、普通に痛そう……。
そして、案の定ワンワンと泣き始めたので、急いで駆け寄る。
「おい、大丈夫か?
ルア。
はあ、だから前からあれほどスカートの時は走るなよって言っておいたのに……お前なあ……」
涙と鼻水で顔をグチュグチュにしながらルアは答えた。
「グズッ!
だってえ!
お手ちゅだいさん達とクッキー作ったからぁ!
あったかいうちに食べて欲しいからぁ!
ウエーーーーーーン」
はあ、やっぱりこいつ本当に女神なのか怪しいレベルだな……。
というか精神年齢何歳だよ……。
クッキーでそんなにはしゃぐなよ。
まあ、そういうのも可愛いんだけどさ……。
「とりあえずほら、ハンカチ。
痛かったな。」
そう言って背中をさすりながら、ハンカチを取り出し、ルアに渡す。
ところがルアの泣き声は収まりそうもない。
父さんも兄さんもどう対応したらいいのか分からず、あたふたしている。
仕方ない、奥の手を使おう……。
これ使うとコイツいっつも調子に乗りまくるから本当はあんまり使いたくないんだけどなあ……。
スウッと深呼吸をしてから俺は口を開いた。
「ルア、泣いてるとせっかくの可愛さが勿体無いよ?
だから、泣き止んで?
ほら」
そう言って笑顔でルアの手を握る。
そう言うとルアはスッと泣き止んで顔をすっごく赤くした。
「えへへ。
そう?
んー!
もー、レイジったら///」
ルアはそう言って顔を真っ赤にしたまんま、俺の背中をバンバン叩いた。
普通に痛いからやめてくれ……。
それにそんなにこんな事ずっとやってるこっちは恥ずかしいんだよ。
クソッ、普通に可愛いし……。
そこで父さんと兄さんにキョトンとした目を向けられ、今度は俺の顔が熱くなった。
みんなで訓練場から、家の方へと歩く。
「ふんふんふんふん~♪」
前の方にいるルアは上機嫌で鼻歌を歌いながら、スキップしている。
本当に調子のいい奴め。
こっちの気も知らないで……。
そして、後ろから兄さんと父さんがさっきの言葉をすっごくいじってくる。
「レイジ~かっけえ!
俺は女の子にあんな事言えないわ~」
「父さん今度母さんに言ってみようかなあ(笑)」
チッ、やっぱり言わなきゃよかった。
もうやだ。
この人達……。
ーーー
暗い廃墟となった教会の中で、その集まりはひっそりと行われていた。
「……いいな?
計画はこの通り実行する。
もう一度言うぞ?
暗殺対象は第三王女、エレナ・アリシスだ。
分かったな?」
「「「「「ハッ」」」」」
黒いローブを羽織った集団は返事をすると一斉に外へと飛び出して行った。
***
こんばんは、錦木れるむです。
出先だったので、更新遅れました。
本当に申し訳ございません💦
ご気軽にコメントお願い致します。必ず返信させていただきます。応援、感想コメント頂けると嬉しいです。また、表現や、言葉などに間違えなどがあったら指摘してくださるとありがたいです。よろしければ、お気に入りもよろしくお願いいたします!
父さんにちょっとだけキレ口調なそう言われると、兄さんはバツが悪そうに笑った。
さらにそれを笑顔で言っているというのが、またさらに怖い……。
一瞬、気まずい沈黙が三人を包みこんだ。
だがちょうどその時、俺の頭に念話が飛んできた。
『レイジー!
来たよー!』
声のうるささから、一瞬にしてその声の主がルアだと言う事が分かった。
まあ、そもそもの問題、俺と念話ができるのなんてルアしかいないんだけどね……。
しかも、実際の会話でも声大っきいし、念話でも大して変わらないんだよなぁ、コイツ。
で、一体何の用だ?
「来たよー!」ってことは、多分近くにいるはずだ。
どこにいるのか周囲を見回してみると、父さんの後ろの方、つまり俺と兄さんにとって正面の方から、こちらの方へ手を振りながら猛スピードで走ってくるルアの姿を見つけた。
通常のルアの三倍の速さだと!?
ま、間違いない。
奴だ。
奴が来たんだ。
滅茶苦茶興奮しまくってて我を見失ってる時のルアだ……!
脳内で某ロボットアニメ風のアフレコを再生しつつ、ルアの走ってくる方向に指を指しながら棒読みで言う。
「あ、ルアだ。
すっごいスピードで走ってくるよー」
俺のその言葉に反応した父さんと兄さんが俺の指差した方を見る。
「おーーーい!
レイジー!
ハックお兄ちゃーん!
お父さーん!」
俺達が自分に気づいた事が分かったようで、ルアは嬉しそうに俺達を呼び、さらにスピードを上げて走ってくる。
ん?
なんか予感がするぞ?
ズッテーーンッ!
次の瞬間、俺達のいるところから三十メートルぐらいのところまで来たところで、ルアは見事と言うしかないほど綺麗にスカートの端っこを踏んづけてしまい、盛大にコケて、顔面を地面にぶつけた。
はーい、やっぱりフラグ回収!
ルアのことだし、なんとなくコケたりとかなんかしらするだろうなとは思ってたよ……うん。
というか、普通に痛そう……。
そして、案の定ワンワンと泣き始めたので、急いで駆け寄る。
「おい、大丈夫か?
ルア。
はあ、だから前からあれほどスカートの時は走るなよって言っておいたのに……お前なあ……」
涙と鼻水で顔をグチュグチュにしながらルアは答えた。
「グズッ!
だってえ!
お手ちゅだいさん達とクッキー作ったからぁ!
あったかいうちに食べて欲しいからぁ!
ウエーーーーーーン」
はあ、やっぱりこいつ本当に女神なのか怪しいレベルだな……。
というか精神年齢何歳だよ……。
クッキーでそんなにはしゃぐなよ。
まあ、そういうのも可愛いんだけどさ……。
「とりあえずほら、ハンカチ。
痛かったな。」
そう言って背中をさすりながら、ハンカチを取り出し、ルアに渡す。
ところがルアの泣き声は収まりそうもない。
父さんも兄さんもどう対応したらいいのか分からず、あたふたしている。
仕方ない、奥の手を使おう……。
これ使うとコイツいっつも調子に乗りまくるから本当はあんまり使いたくないんだけどなあ……。
スウッと深呼吸をしてから俺は口を開いた。
「ルア、泣いてるとせっかくの可愛さが勿体無いよ?
だから、泣き止んで?
ほら」
そう言って笑顔でルアの手を握る。
そう言うとルアはスッと泣き止んで顔をすっごく赤くした。
「えへへ。
そう?
んー!
もー、レイジったら///」
ルアはそう言って顔を真っ赤にしたまんま、俺の背中をバンバン叩いた。
普通に痛いからやめてくれ……。
それにそんなにこんな事ずっとやってるこっちは恥ずかしいんだよ。
クソッ、普通に可愛いし……。
そこで父さんと兄さんにキョトンとした目を向けられ、今度は俺の顔が熱くなった。
みんなで訓練場から、家の方へと歩く。
「ふんふんふんふん~♪」
前の方にいるルアは上機嫌で鼻歌を歌いながら、スキップしている。
本当に調子のいい奴め。
こっちの気も知らないで……。
そして、後ろから兄さんと父さんがさっきの言葉をすっごくいじってくる。
「レイジ~かっけえ!
俺は女の子にあんな事言えないわ~」
「父さん今度母さんに言ってみようかなあ(笑)」
チッ、やっぱり言わなきゃよかった。
もうやだ。
この人達……。
ーーー
暗い廃墟となった教会の中で、その集まりはひっそりと行われていた。
「……いいな?
計画はこの通り実行する。
もう一度言うぞ?
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分かったな?」
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黒いローブを羽織った集団は返事をすると一斉に外へと飛び出して行った。
***
こんばんは、錦木れるむです。
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