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第二章 王国国立学園入学。
Ep.8.0-⑤ 誤算に次ぐ誤算。-⑤
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「ま、まあ。
うん、はい。
ともかく父さんと母さんが◯キ婚だってことは分かったよ……」
もうこの話辞めたい……。
「デ、◯キ婚って人聞きが悪いな、父さんと母さんは深い愛の果てにセリファを授かって結婚したんだぞ。
そ、それにレイジ、◯キ婚なんて言葉、お前一体誰から習ったんだ?
お前はその年齢に似合わない言葉や知識を持っているのは知っているが……さすがにな……そんな言葉は……」
あ、やばい、ついやっちまった……!
畜生!
余計な事を言うのは極力避けてるのに……!
「ほ、本で読んだんだよ!
俺、本好きだからさ。
ほ、ほら、俺よく家の書庫で本読んでるでしょ?
だから色んな言葉知ってるんだよ。」
「そうか、なるほどな。
知は力なりって言うし、色んな事を知っているのはいい事だけど……。
あまり公衆の面前でああ言う言葉を言うなよ?
この会場にいるたくさんの貴族達の中にはレイジの事を心よく思ってない人達ももしかしたら少なからずいるかもしれない。
今となってはお前はもう王女と婚約している身なんだから変な所で足元をすくわれないよう言動には慎重にな」
どうにか誤魔化せたみたいだ。
いつも書庫で魔力錬成の練習のために魔導書を読んでいたのが役立ったな。
これは本の賜物だな。
「分かってます、父さん……。
次からは気を付けます。
それで……さっきとりあえずって言ってたってことは、話は婚約祝いだけじゃないんでしょ? 」
そう言うと父さんは笑って頭を掻いた。
「さすが鋭いな、レイジは。
そう、話はそれだけじゃない。
お前の“技能”が恐ろしいほど強力なものだと言う事は分かった。
すごいことだし、父さんは親として誇りに思うし、一人の剣士として尊敬する。」
「うん。」
言いたいことは分かる。
俺の魔素因子の属性だろ?
「だが、父さんと母さんが心配しているのは、お前の魔素因子の事だ。」
やっぱりか。
「分かってる……。
アルフェリス家の剣の型は火と光の魔術を織り込んだ物。
それに対して俺の魔素因子は、水、そして闇。
型に使用する魔術とちょうど正反対だ。
だから、俺にはアルフェリス家の剣の型が使えないって言いたいんでしょう?」
俺がそう言うと父さんは申し訳なさそうな顔をして答えた。
「……そうだ。
ごめんな……レイジ」
「大丈夫さ、父さん。
父さん達みたいに火と光の魔素因子を持ってる人には及ばないと思う。
でも、そもそも魔素因子がない魔術を完全に使えないわけじゃないんだから、努力すればきっとアルフェリス家の剣の流儀を使いこなせるはずだよ。
鑑定士のおじいさんが言ってたじゃん。
俺にはランク測定不可な六次性能力、無限成長者があるって」
俺はゆっくりとそう言った。
「レイジ……」
父さんは驚いたような顔をした。
「だからさ、教えてよ、父さん。
俺に、アルフェリス家の剣を。
昔、父さん自身が言ってたじゃんか、普通アルフェリス家の剣聖を持つ人間は“技能”測定を終えた七歳から剣を握るんだろ?」
「レイジ……。
だめだ。
こればっかりは父さんの判断だけでどうこうできる問題じゃない。
そもそもお前のその無限成長者の効果も鑑定士の予想だけで、実際どういった物なのか全く分からないんだから……。
とりあえず、この祝賀会が終わったら、父さん……じいちゃんに相談しよう」
父さんはそう言うともう一度俺にすまないと言って黙ってしまった。
じいちゃんって言うのは俺、レイジ・アルフェリスの祖父にあたる人物、ベクタード・アルフェリスの事だ。
じいちゃんは今はもう自分の屋敷で隠居しているけど、現役だった頃は父さんと同じ、王国騎士団長だった。
そして、今の父さんとは比べ物にならないくらいに強かったそうだ。
そのじいちゃんに相談するのは……まあ妥当だろう。
いつも会う度に孫達のことを可愛がってくれるすっごくいいじいちゃんだから相談しやすいしね。
少しの間重たい空気が流れてたのを母さんの一言が打ち破った。
「レ、レイジ。
あれ……」
そう言って母さんが指差した方を見ると、またルアとエレナ様が揉めていた。
は?
この二人の問題はさっき解決してなかったっけ?
急いで二人の間に割って入った。
「ちょっとちょっと、落ち着いて?
何があった?」
そう聞くとルアが先に答えた。
「だって、お姉ちゃんが……!
私の方が先に婚約したから第一妻だって言ったら……」
は!?
「だってルアちゃんは正式な婚約じゃないじゃないですか?
だから私が第一妻だと思うんです!」
え?
「べ、別にそんな正式とか関係ないもん!
私が先だもん!」
くっそしょうもな……。
そんなのどうだっていいだろ……。
結局この問題は保留ということで落ち着いた。
保留にするほど大切か?
なんて、聞いてはいけない。
というか怖くて聞けたもんじゃない。
また、野球が、ルアから聞いたエレナ様によって広められ、アリシス王国で魔術を混ぜた魔球などによってヤキュウとして超人気スポーツとなるのはもっと後の話である。
***
おはよう御座います。錦木れるむです。
これからも応援よろしくお願いします!
ご気軽にコメントお願い致します。必ず返信させていただきます。応援、感想コメント頂けると嬉しいです。また、表現や、言葉などに間違えなどがあったら指摘してくださるとありがたいです。よろしければ、お気に入りもよろしくお願いいたします!
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ともかく父さんと母さんが◯キ婚だってことは分かったよ……」
もうこの話辞めたい……。
「デ、◯キ婚って人聞きが悪いな、父さんと母さんは深い愛の果てにセリファを授かって結婚したんだぞ。
そ、それにレイジ、◯キ婚なんて言葉、お前一体誰から習ったんだ?
お前はその年齢に似合わない言葉や知識を持っているのは知っているが……さすがにな……そんな言葉は……」
あ、やばい、ついやっちまった……!
畜生!
余計な事を言うのは極力避けてるのに……!
「ほ、本で読んだんだよ!
俺、本好きだからさ。
ほ、ほら、俺よく家の書庫で本読んでるでしょ?
だから色んな言葉知ってるんだよ。」
「そうか、なるほどな。
知は力なりって言うし、色んな事を知っているのはいい事だけど……。
あまり公衆の面前でああ言う言葉を言うなよ?
この会場にいるたくさんの貴族達の中にはレイジの事を心よく思ってない人達ももしかしたら少なからずいるかもしれない。
今となってはお前はもう王女と婚約している身なんだから変な所で足元をすくわれないよう言動には慎重にな」
どうにか誤魔化せたみたいだ。
いつも書庫で魔力錬成の練習のために魔導書を読んでいたのが役立ったな。
これは本の賜物だな。
「分かってます、父さん……。
次からは気を付けます。
それで……さっきとりあえずって言ってたってことは、話は婚約祝いだけじゃないんでしょ? 」
そう言うと父さんは笑って頭を掻いた。
「さすが鋭いな、レイジは。
そう、話はそれだけじゃない。
お前の“技能”が恐ろしいほど強力なものだと言う事は分かった。
すごいことだし、父さんは親として誇りに思うし、一人の剣士として尊敬する。」
「うん。」
言いたいことは分かる。
俺の魔素因子の属性だろ?
「だが、父さんと母さんが心配しているのは、お前の魔素因子の事だ。」
やっぱりか。
「分かってる……。
アルフェリス家の剣の型は火と光の魔術を織り込んだ物。
それに対して俺の魔素因子は、水、そして闇。
型に使用する魔術とちょうど正反対だ。
だから、俺にはアルフェリス家の剣の型が使えないって言いたいんでしょう?」
俺がそう言うと父さんは申し訳なさそうな顔をして答えた。
「……そうだ。
ごめんな……レイジ」
「大丈夫さ、父さん。
父さん達みたいに火と光の魔素因子を持ってる人には及ばないと思う。
でも、そもそも魔素因子がない魔術を完全に使えないわけじゃないんだから、努力すればきっとアルフェリス家の剣の流儀を使いこなせるはずだよ。
鑑定士のおじいさんが言ってたじゃん。
俺にはランク測定不可な六次性能力、無限成長者があるって」
俺はゆっくりとそう言った。
「レイジ……」
父さんは驚いたような顔をした。
「だからさ、教えてよ、父さん。
俺に、アルフェリス家の剣を。
昔、父さん自身が言ってたじゃんか、普通アルフェリス家の剣聖を持つ人間は“技能”測定を終えた七歳から剣を握るんだろ?」
「レイジ……。
だめだ。
こればっかりは父さんの判断だけでどうこうできる問題じゃない。
そもそもお前のその無限成長者の効果も鑑定士の予想だけで、実際どういった物なのか全く分からないんだから……。
とりあえず、この祝賀会が終わったら、父さん……じいちゃんに相談しよう」
父さんはそう言うともう一度俺にすまないと言って黙ってしまった。
じいちゃんって言うのは俺、レイジ・アルフェリスの祖父にあたる人物、ベクタード・アルフェリスの事だ。
じいちゃんは今はもう自分の屋敷で隠居しているけど、現役だった頃は父さんと同じ、王国騎士団長だった。
そして、今の父さんとは比べ物にならないくらいに強かったそうだ。
そのじいちゃんに相談するのは……まあ妥当だろう。
いつも会う度に孫達のことを可愛がってくれるすっごくいいじいちゃんだから相談しやすいしね。
少しの間重たい空気が流れてたのを母さんの一言が打ち破った。
「レ、レイジ。
あれ……」
そう言って母さんが指差した方を見ると、またルアとエレナ様が揉めていた。
は?
この二人の問題はさっき解決してなかったっけ?
急いで二人の間に割って入った。
「ちょっとちょっと、落ち着いて?
何があった?」
そう聞くとルアが先に答えた。
「だって、お姉ちゃんが……!
私の方が先に婚約したから第一妻だって言ったら……」
は!?
「だってルアちゃんは正式な婚約じゃないじゃないですか?
だから私が第一妻だと思うんです!」
え?
「べ、別にそんな正式とか関係ないもん!
私が先だもん!」
くっそしょうもな……。
そんなのどうだっていいだろ……。
結局この問題は保留ということで落ち着いた。
保留にするほど大切か?
なんて、聞いてはいけない。
というか怖くて聞けたもんじゃない。
また、野球が、ルアから聞いたエレナ様によって広められ、アリシス王国で魔術を混ぜた魔球などによってヤキュウとして超人気スポーツとなるのはもっと後の話である。
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