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第一章 終わり。そして、新たな道へ。
Ep.2.0-③ 残念系女神様と真実。-③
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「う、うるせーな 。
今はどうでもいいだろ、そんなこと。」
「強がりはいけませんよ?」
ルアンメシアはまたクスクスと笑う。
やはりとても可愛いが、うん。
ひとまずもうこの話題はやめよう。
なんか本当にいやだ。
「分かった分かった。
もうそれはいいってば。
それよりもほら、榊原の事だろ?」
「そ、そうね。
それで、彼は貴方がそうであったように入学直後から佐川亜里沙に想いを寄せていた。
そして彼は、こうも考えていた。
自分がスクールカーストが高い佐川亜里沙と交際することができれば、相対的に、自分のカーストを上げることも、かつて自分を馬鹿にした奴らを見返すこともできるではないかって。」
「やっぱりゲス野郎だなアイツ。」
「ええ。
だから、さっきも言ったでしょ?
私はああ言う人が本当に大っ嫌いだって。
で、佐川亜里沙に振られてさらに貴方のことが好きだという事実を知らされて彼は貴方に対して強い憎しみを抱いた。
ここまでいいわね?」
黙って頷く。
「その後、彼は貴方のことを探した。
自分のシナリオをだめにした貴方をどうにかして殺すために。
そして、駅のホームで、列車を待つ列の最前列に並んでいる貴方を見つけてしまった。
この後は、、もう分かるわね。」
俺は再び黙って頷いた。
あの日こんな事が起こっていただなんて知らなかった。
佐川さんが自分に好意を抱いていてくれていたことも。
嬉しさや恨めさなどがぐちゃぐちゃに混ざり合っている。
「じゃあ次、心残りについてね。
ある?
心残り。」
心残りか。
言われてみればたくさんある。
まず、佐川さんにきちんと告白しておけばよかった。
もっと剣道をやりたかった。
もっと友達が欲しかった。
もっと色んな人と関わりたかった。
もっと親孝行しておくんだった。
もっと……。
あれ?
急に目頭が熱くなってきた。
慌てて下を向く。
だめだ。
堪えろ。
耐えるんだ!
ルアンメシアが目の前にいるんだぞ?
流石に恥ずかしいだろ。
必死に溢れそうになる涙を堪える。
その時急に、何か温かいものに包まれた。
ルアンメシアが抱きついてきていると分かるまでにそこまで時間は掛からなかった。
なんだ?
驚いて見上げようとした。
「いいよ。
こっち見なくても。
泣いていいんだよ。
て言うか、泣きなよ。
今はいっぱい、泣きたい限り泣けばいいよ。
辛かったね。
悔しかったね。」
だめだそんなこと言われたりしたら……。
その途端、涙が途轍もない勢いで溢れてきた。
一気に感情のコントロールが効かなくなる。
そうか。
忘れてた。
俺は悲しかったんだ。
辛かったんだ。
そして、悔しかったんだ。
まだ死にたくなかった。
こんなに後悔ばっかりな状態で死にたくなかった。
俺は、今まで出したことないほど大きな声で泣き続けた。
その間、ルアンメシアは黙って優しく俺の背中を撫で続けていてくれた。
どのぐらい経った頃だろうか俺は少しずつ落ち着いて来た。
「もう大丈夫?」
ルアンメシアが聞いてきた。
俺はまた、黙って頷いた。
「あなたが悔しいのは分かる。
でもね、もう前世はどうにもならない。
それは貴方も分かるでしょう?
だったら来世、これからはしっかり後悔のないように生きなさい。
分かった?」
ルアンメシアが頭を撫でてくれた。
「ああ。」
俺は決心した。
せっかく転生する権利を得たんだ。
今度こそ後悔のないように生きようと。
「その様子ならもう大丈夫そうね。」
ルアンメシアはまた可愛らしく笑った。
そこでふと疑問に思った。
「なあ、お前っていつもあんな感じで転生者が落ち込んでたら抱きついたり、頭撫でたりしてあげてんの?」
だとしたらなんかよく分からないけどちょっとやだ。
その途端ルアンメシアの顔が真っ赤になった。
「ふぁ?
そ、そんなわけないじゃん!
あんなの誰にでもするわけないじゃん!
本当だよ!」
ルアンメシアはなぜか必死になって否定している。
「じゃあなんで俺にだけしたんだ?」
ルアンメシアは益々顔を真っ赤にした。
「っ……!!
あーもうっ!
ばか!
さっきも言ったじゃない!
女性は気がない人に対してそんなことしないの!」
「ん?」
え?
それってもしかして……。
「だから!
私が貴方の事が好きなの!!!」
え?
ええ?
えーーー?
え、何、今この人俺の事好きって言った?
***
どうもおはよう御座います、錦木れるむです!
これで、Ep.2.0は終わりです。
今日の十八時からはEp.3.0 かわいい女神様と惚気話。を投稿していきます。
今後とも宜しくお願いします!
必ず返信させていただきます。応援コメント頂けると嬉しいです。また、表現や、言葉などに間違えなどがあったら指摘してくださるとありがたいです。よろしければ、お気に入りもよろしくお願いいたします!
今はどうでもいいだろ、そんなこと。」
「強がりはいけませんよ?」
ルアンメシアはまたクスクスと笑う。
やはりとても可愛いが、うん。
ひとまずもうこの話題はやめよう。
なんか本当にいやだ。
「分かった分かった。
もうそれはいいってば。
それよりもほら、榊原の事だろ?」
「そ、そうね。
それで、彼は貴方がそうであったように入学直後から佐川亜里沙に想いを寄せていた。
そして彼は、こうも考えていた。
自分がスクールカーストが高い佐川亜里沙と交際することができれば、相対的に、自分のカーストを上げることも、かつて自分を馬鹿にした奴らを見返すこともできるではないかって。」
「やっぱりゲス野郎だなアイツ。」
「ええ。
だから、さっきも言ったでしょ?
私はああ言う人が本当に大っ嫌いだって。
で、佐川亜里沙に振られてさらに貴方のことが好きだという事実を知らされて彼は貴方に対して強い憎しみを抱いた。
ここまでいいわね?」
黙って頷く。
「その後、彼は貴方のことを探した。
自分のシナリオをだめにした貴方をどうにかして殺すために。
そして、駅のホームで、列車を待つ列の最前列に並んでいる貴方を見つけてしまった。
この後は、、もう分かるわね。」
俺は再び黙って頷いた。
あの日こんな事が起こっていただなんて知らなかった。
佐川さんが自分に好意を抱いていてくれていたことも。
嬉しさや恨めさなどがぐちゃぐちゃに混ざり合っている。
「じゃあ次、心残りについてね。
ある?
心残り。」
心残りか。
言われてみればたくさんある。
まず、佐川さんにきちんと告白しておけばよかった。
もっと剣道をやりたかった。
もっと友達が欲しかった。
もっと色んな人と関わりたかった。
もっと親孝行しておくんだった。
もっと……。
あれ?
急に目頭が熱くなってきた。
慌てて下を向く。
だめだ。
堪えろ。
耐えるんだ!
ルアンメシアが目の前にいるんだぞ?
流石に恥ずかしいだろ。
必死に溢れそうになる涙を堪える。
その時急に、何か温かいものに包まれた。
ルアンメシアが抱きついてきていると分かるまでにそこまで時間は掛からなかった。
なんだ?
驚いて見上げようとした。
「いいよ。
こっち見なくても。
泣いていいんだよ。
て言うか、泣きなよ。
今はいっぱい、泣きたい限り泣けばいいよ。
辛かったね。
悔しかったね。」
だめだそんなこと言われたりしたら……。
その途端、涙が途轍もない勢いで溢れてきた。
一気に感情のコントロールが効かなくなる。
そうか。
忘れてた。
俺は悲しかったんだ。
辛かったんだ。
そして、悔しかったんだ。
まだ死にたくなかった。
こんなに後悔ばっかりな状態で死にたくなかった。
俺は、今まで出したことないほど大きな声で泣き続けた。
その間、ルアンメシアは黙って優しく俺の背中を撫で続けていてくれた。
どのぐらい経った頃だろうか俺は少しずつ落ち着いて来た。
「もう大丈夫?」
ルアンメシアが聞いてきた。
俺はまた、黙って頷いた。
「あなたが悔しいのは分かる。
でもね、もう前世はどうにもならない。
それは貴方も分かるでしょう?
だったら来世、これからはしっかり後悔のないように生きなさい。
分かった?」
ルアンメシアが頭を撫でてくれた。
「ああ。」
俺は決心した。
せっかく転生する権利を得たんだ。
今度こそ後悔のないように生きようと。
「その様子ならもう大丈夫そうね。」
ルアンメシアはまた可愛らしく笑った。
そこでふと疑問に思った。
「なあ、お前っていつもあんな感じで転生者が落ち込んでたら抱きついたり、頭撫でたりしてあげてんの?」
だとしたらなんかよく分からないけどちょっとやだ。
その途端ルアンメシアの顔が真っ赤になった。
「ふぁ?
そ、そんなわけないじゃん!
あんなの誰にでもするわけないじゃん!
本当だよ!」
ルアンメシアはなぜか必死になって否定している。
「じゃあなんで俺にだけしたんだ?」
ルアンメシアは益々顔を真っ赤にした。
「っ……!!
あーもうっ!
ばか!
さっきも言ったじゃない!
女性は気がない人に対してそんなことしないの!」
「ん?」
え?
それってもしかして……。
「だから!
私が貴方の事が好きなの!!!」
え?
ええ?
えーーー?
え、何、今この人俺の事好きって言った?
***
どうもおはよう御座います、錦木れるむです!
これで、Ep.2.0は終わりです。
今日の十八時からはEp.3.0 かわいい女神様と惚気話。を投稿していきます。
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