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第一章 終わり。そして、新たな道へ。
Ep.2.0-② 残念系女神様と真実。-②
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ルアンメシアさんはゆっくりと語り始めた。
俺が知らなかった、あの日の事を。
ルアンメシアさんが言うには、俺を含めた多くの人々が文化祭の片付けに振り回されていたあの時、ちょうど榊原は、佐川さんを電話で体育館の倉庫の裏に呼び出して、告白していたらしい。
しかし、佐川さんからの返事は、
嬉しいけれども、自分には前から“好きな人“がいる。
だから本当に申し訳ないが、貴方とお付き合いすることはできない。
という物だったそうだ。
それを聞いた榊原は非常に動揺しながらも、平静を装い、その“好きな人“というのは一体誰のことなのかと尋ねた。
その答えは……。
なんと、俺、いや、俺だった人物、霞ヶ浦佑介だったそうだ。
これを聞いた時、俺は聞き間違えだろうと思い、
「い、今なんて言ったんですか?」
と聞き返した。
すると、ルアンメシアさんは悲しそうな、寂しそうな顔をしながらこう言った。
「佐川亜里沙は貴方のことが好きだったから、榊原玄弥とお付き合いすることはできないと言ったと言ったんです。
まあ、言うなれば貴方と、彼女は所謂両片想いと言う関係であったということですね。」
やはり聞き間違えではなかったようだ。
でも、佐川さんが、俺のことが好きだったってそんなことあり得るのだろうか?
「……え?
……俺と……佐川さんが?
ま、まさか。
何か、なんかしらの間違えだろ?
第一に、俺は佐川さんに好かれるような人間じゃないし。」
「はあ、なるほど。
これは佐川亜理紗も苦労していた訳ですね。
自己肯定感の低さがまさかここまでだとは……。」
と、ルアンメシアさんは、ひどく呆れたというような顔をし、そして一気にこう捲し立てた。
「あーもう!
貴方まじめんどくさい!
あのね?
いい?
一回しか言わないからよく聞きなさいよ?
貴方は気があるわけでもない男性を女性が気にかけるわけがあると思う?
それとも貴方はあれ?
自分は何も無くても誰にでも手を差し伸べられるような完璧超人ですからそんなこと理解できませんとでも言うの?」
急なタメ口に驚いたものの、俺はハッとした。
たしかに、言われてみればそうだ。
そうか。
彼女も俺に好意を抱いてくれたのか。
その事実を知った瞬間、俺は何故か急に悲しいような嬉しいような悔しいようなグチャグチャに混ざったよく分からない感情が込み上げてきて思わず下を向いた。
「まあ、それはそうとして。
本題の榊原玄弥の貴方の殺害動機よ。
さっきも話したけど、彼は、佐川亜理紗に交際を申し込んだけど断られた。
また、その時、彼女は彼に自分は霞ヶ浦佑介、つまり貴方のことが、好きだと告げた。
ここまではいいわね?」
俺はなぜ佐川さんが俺のことを好きになってくれたのかなどまだ気になっていることもあったが話が進まないだろうと思い、俺は黙って頷いた。
俺が頷いたのを確認して、ルアンメシアさんは静かにこう続けた。
「そして、そのことは榊原玄弥の貴方への強い嫉妬、いや、逆恨みを引き起こした。」
あ、そういえば、もうタメ口固定なのね、ルアンメシアさん。
というか、もう、さん付けしなくてよくね?
って!
そんなことどうでもいいんだよ!
それよりもなんだって?
逆恨み?
「おい、ちょっと待てよ!
榊原はそんな逆恨みとかするような奴じゃなかったと思うぞ?
性格いいっていろんな奴らから聞いてたし。
事実、周りからの人気も高かったし。」
ルアンメシアは顔を曇らせた。
「そうね。
“表面上“は、ね。」
今の会話の流れから推測するに、この“表面上“という言葉が意味するのは、本来の自分を偽っている状態、曝け出せないでいる状態、そのどちらかであろう。
ということはつまり、俺の知っている範囲での榊原玄弥は、榊原玄弥であり、榊原玄弥ではないと言うことを言いたいのでだろうか。
そう考えているとルアンメシアは再び語り始めた。
「彼、榊原玄弥の本来の性格は非常に傲慢で自己中。
まあ、言うなればクズね。
そのくせ完璧主義者だったから、中学校までは相当嫌われて、いじめも受けてたみたいね。」
「あの榊原が?
信じられねえ……。」
榊原がそんな人間だったと知り、俺はまた非常に驚いた。
「そうね。
だからこそ高校に入学するタイミングで、表面上の自分を偽るようになった。
まあ、言わば高校デビューってやつね、貴方のできなかった。」
ルアンメシアはクスッと笑った。
やはり可愛いが、今度は少し意地悪く見えた。
***
こんばんは、錦木れるむです。
明日の朝六時に更新する分でEp.2.0は終わりです。
引き続きよろしくお願いします!
ご気軽にコメントお願い致します。必ず返信させていただきます。応援コメント頂けると嬉しいです。また、表現や、言葉などに間違えなどがあったら指摘してくださるとありがたいです。よろしければ、お気に入りをお願いいたします!
俺が知らなかった、あの日の事を。
ルアンメシアさんが言うには、俺を含めた多くの人々が文化祭の片付けに振り回されていたあの時、ちょうど榊原は、佐川さんを電話で体育館の倉庫の裏に呼び出して、告白していたらしい。
しかし、佐川さんからの返事は、
嬉しいけれども、自分には前から“好きな人“がいる。
だから本当に申し訳ないが、貴方とお付き合いすることはできない。
という物だったそうだ。
それを聞いた榊原は非常に動揺しながらも、平静を装い、その“好きな人“というのは一体誰のことなのかと尋ねた。
その答えは……。
なんと、俺、いや、俺だった人物、霞ヶ浦佑介だったそうだ。
これを聞いた時、俺は聞き間違えだろうと思い、
「い、今なんて言ったんですか?」
と聞き返した。
すると、ルアンメシアさんは悲しそうな、寂しそうな顔をしながらこう言った。
「佐川亜里沙は貴方のことが好きだったから、榊原玄弥とお付き合いすることはできないと言ったと言ったんです。
まあ、言うなれば貴方と、彼女は所謂両片想いと言う関係であったということですね。」
やはり聞き間違えではなかったようだ。
でも、佐川さんが、俺のことが好きだったってそんなことあり得るのだろうか?
「……え?
……俺と……佐川さんが?
ま、まさか。
何か、なんかしらの間違えだろ?
第一に、俺は佐川さんに好かれるような人間じゃないし。」
「はあ、なるほど。
これは佐川亜理紗も苦労していた訳ですね。
自己肯定感の低さがまさかここまでだとは……。」
と、ルアンメシアさんは、ひどく呆れたというような顔をし、そして一気にこう捲し立てた。
「あーもう!
貴方まじめんどくさい!
あのね?
いい?
一回しか言わないからよく聞きなさいよ?
貴方は気があるわけでもない男性を女性が気にかけるわけがあると思う?
それとも貴方はあれ?
自分は何も無くても誰にでも手を差し伸べられるような完璧超人ですからそんなこと理解できませんとでも言うの?」
急なタメ口に驚いたものの、俺はハッとした。
たしかに、言われてみればそうだ。
そうか。
彼女も俺に好意を抱いてくれたのか。
その事実を知った瞬間、俺は何故か急に悲しいような嬉しいような悔しいようなグチャグチャに混ざったよく分からない感情が込み上げてきて思わず下を向いた。
「まあ、それはそうとして。
本題の榊原玄弥の貴方の殺害動機よ。
さっきも話したけど、彼は、佐川亜理紗に交際を申し込んだけど断られた。
また、その時、彼女は彼に自分は霞ヶ浦佑介、つまり貴方のことが、好きだと告げた。
ここまではいいわね?」
俺はなぜ佐川さんが俺のことを好きになってくれたのかなどまだ気になっていることもあったが話が進まないだろうと思い、俺は黙って頷いた。
俺が頷いたのを確認して、ルアンメシアさんは静かにこう続けた。
「そして、そのことは榊原玄弥の貴方への強い嫉妬、いや、逆恨みを引き起こした。」
あ、そういえば、もうタメ口固定なのね、ルアンメシアさん。
というか、もう、さん付けしなくてよくね?
って!
そんなことどうでもいいんだよ!
それよりもなんだって?
逆恨み?
「おい、ちょっと待てよ!
榊原はそんな逆恨みとかするような奴じゃなかったと思うぞ?
性格いいっていろんな奴らから聞いてたし。
事実、周りからの人気も高かったし。」
ルアンメシアは顔を曇らせた。
「そうね。
“表面上“は、ね。」
今の会話の流れから推測するに、この“表面上“という言葉が意味するのは、本来の自分を偽っている状態、曝け出せないでいる状態、そのどちらかであろう。
ということはつまり、俺の知っている範囲での榊原玄弥は、榊原玄弥であり、榊原玄弥ではないと言うことを言いたいのでだろうか。
そう考えているとルアンメシアは再び語り始めた。
「彼、榊原玄弥の本来の性格は非常に傲慢で自己中。
まあ、言うなればクズね。
そのくせ完璧主義者だったから、中学校までは相当嫌われて、いじめも受けてたみたいね。」
「あの榊原が?
信じられねえ……。」
榊原がそんな人間だったと知り、俺はまた非常に驚いた。
「そうね。
だからこそ高校に入学するタイミングで、表面上の自分を偽るようになった。
まあ、言わば高校デビューってやつね、貴方のできなかった。」
ルアンメシアはクスッと笑った。
やはり可愛いが、今度は少し意地悪く見えた。
***
こんばんは、錦木れるむです。
明日の朝六時に更新する分でEp.2.0は終わりです。
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