【どうにか必死で奮闘中!】前世ではコミュ症だった俺、漆黒剣聖に転生する。 ~陰キャだった俺とポンコツ元駄女神の異世界セカンドライフ~

錦木れるむ

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第一章 終わり。そして、新たな道へ。

番外編 Ep.1.5〈彼の後ろ姿〉-⑤ 想定外

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そして、遂に勝負の二日目を迎えた。

しかし、そんな大切な日なのに、不安と期待のせいで前日はなかなか寝れず、私は朝から頭があまり働いていなかった。
そんな時、想定外のことが起こった。
あの人が、声を掛けてきたのだ。

「ねえ、佐川さん。
 文化祭終わった後にさ、体育館裏に来てくれない?」

榊原玄弥君という、同じクラスの男子だった。
本当は、佑介君にあの事を伝えるために夕方は、空けておいたのに、私は、前述の通り頭が働いておらず、特に何も考えないで、うん分かったと、返事をしてしまった。
気づいた時にはもう、榊原玄弥はどこかに行ってしまっていて、どうにもできなかった。

その事を私はすぐに神楽坂君に相談した。
私が一通り説明すると、神楽坂君はハッと閃いたような顔をし、こう提案してくれた。

「だったら……打ち上げに俺が誘っといて、そこでおまえがアタックしたらええんちゃうか?」


なるほど、その手があったか。
そういえば、文化祭終わったら打ち上げする事になってたんだっけ?

「ありがとう神楽坂君。
 ナイスアイデアだよ!
 じゃあお願いしてもいい……?」

「おう、まかせとくれや!」

神楽坂君は笑顔で答えた。
そして、今度は少しだけ表情を曇らせながらこう続けた。

「でもよ……気をつけや?
 誰にも言っとらんかったんやけど、榊原と俺、実は同中なんや。
 で、あいつ……今でこそチヤホヤされる人気モンやけど……中学の頃はあんな感じじゃあらへんかったんや」


一体どういう事だろう?
中学時代の榊原玄弥君はもっと違ったのだろうか?

「それってどういう事?
 榊原君が今と昔で違うの?」

昔と違うって、どこか、佑介君に似てるな……。

「ああ。
 ちょっと中学時代な……まあ、色々あったんよ、アイツ」

そう語る神楽坂君の表情はどこか苦しそうで、私はあまり詮索するのがよくない気がしてきた。

「わ、分かった。
 どちらかにせよ告白だとしても私は佑介君以外とか考えられないし、大丈夫!」

「そうやな……。
 ま、まあ、大丈夫やと思うわ!
 ただの高校デビューやろなあ、きっと。
 佑介の事はわいにまかせとき!」


ーー数時間後

「……俺と付き合ってください!」

そう言って目の前の彼は私に手を差し出してきた。

やはり予想していた通り、榊原玄弥君の用事は、私への告白だった。
事前に考えた通りの言葉で断る事にした。

早く打ち上げに行きたい。

私の頭の中は

「ごめんなさい。
 本当に、嬉しいんだけど、私、実はずっと昔から“好きな人“がいるんだ。
 だから本当にごめんなさい。
 私は貴方とお付き合いすることはできません。」

私が彼にそう言うと、彼は驚いたような顔をし、俯きながら、頭を掻きむしり、何か呟き始めた。

「……な……よ!……なんで……だよ!……なんで俺じゃ……んだよ!……なんで俺じゃダメなんだよ!……」

急に人が変わったかのような豹変の仕方をした彼は私はとても恐ろしく見えた。

「さ、榊原君?
 ね、ねえ、大丈夫?」

そう私が聞くと彼は作り笑いを浮かべながら、私に聞いてきた。

「なななな、なあ!
 だだだ、誰なんだ?
 その“好きな人“って一体誰なんだ?
 まさか、あの、寡黙の貴公子様、霞ヶ浦佑介とかじゃないよなあ。
 さ、佐川さんに限ってあんな見かけだけのクソコミュ症隠キャな奴な好きなわけねえよな。
 アイツさあ、いつもキモくね?
 ずっと黙っててなんも言わねえし、はっきり言ってキモ……」

佑介君の悪口を言われ続け、私は我慢できなくなってしまった。

「黙って!」

つい、大きな声で叫んでしまった。

「は?
 ど、どうしたんだよ佐川さん?
 もしかしてあのキモ陰キャの事……」

駄目だ。
もう抑えられない。

「どうしたもこうしたもない!
 佑介君の事悪く言わないで!
 いや、仮に佑介君じゃなくても、きっとみんな一人一人悩みがあってその人なりに努力してる!
 そ、それを悪く言わないで!」

「は?
 し、知らねえし。
 そんなの。
 な、なんだよおまえ、誰に言ってるんだよ!
 い、言いふらしてやる、お、俺に恥かかせやがって!
 佐川亜里沙はキモイ隠キャコミュ症貴公子の霞ヶ浦佑介君の事が好きだって言いふらしてやる!」
 
もう、止まらない。

「言いふらせばいいじゃない!
 そう、私は好きなの!
 霞ヶ浦佑介君が!
 彼は私を救ってくれた!
 だから今の私がある!
 ずっと好きなの!
 佑介君が!!!」

最後の方にはもう、泣いていた。

そんな私の態度を見て、今度は彼は笑い始めた。

「アヒャヒャヒャ!
 きめえ!
 きめえよ!
 知らねえし、そんなの!
 ふざけんな、よくも俺に恥をかかせたな!
 だったらぶっ壊してやるよ!
 ぜってえ許さねえ!」

その瞬間、どこからか現れた握り拳が榊原君の左頬に刺さった。

「もうやめろや。
 榊原。」

神楽坂君だった。

***
こんにちは!錦木れるむです。いやーかっこいいっすね!佐川さん!書いてて泣きそうになりました。(いや、書いてるおまえが泣くなよ(ベシッ Ep.1.5ももうそろそろ終わりです。最後まで見届けてくれると嬉しいです。

この続きのEp.1.5-⑥は今週末の日曜日にカクヨムと同時更新します!

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