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第一章 終わり。そして、新たな道へ。
番外編 Ep.1.5〈彼の後ろ姿〉-④ 計画
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そして、そんな風にもどかしいような悲しいような気分のまま毎日をただ待つだけで過ごしていたら、いつの間にか入学してから九ヶ月が経とうとしてしまっていた。
相変わらず佑介君は私の事を思い出すような素振りさえ全く見せなかった。
そんなある日、学校で私達の通う、桜花閣高校の文化祭、禊凛祭《ぎりんさい》の要項のプリントが配られた。
あ、忘れてた、そう、もう九日後は文化祭だった。
なんかクラスTシャツ作りとか、クラスでやるお化け屋敷作りとか色々やってきた筈なのに、何か実感湧かないなあ。
そう思いながら、後ろの席の人にプリントを手渡していると、近くの女子達の会話が聞こえてきた。
「ねえねえ、あんた榊原君のこと気になってるんでしょ?
告白しなよ~。
禊凛祭で告白したら必ず成功するって噂聞いたことあるよ?」
「ちょっと!
シーーー!
そういうあなたこそ霞ヶ浦君に告白したらいいじゃない!」
「ちょっと!
なんであんた知ってんのよ!」
思い出した。
そういえば、禊凛祭って告白すると必ず成功するって言う噂があるんだったっけ。
どうせ、しょうもない験担ぎ話だって事ぐらい、ちゃんと分かっている。
でも、もし万が一、文化祭というタイミングで、私が彼に告白したら、okしてくれて、それで、彼が私のことを思い出してくれたら……。
こんなの、くだらない、私の身勝手な妄想にすぎないって事ぐらい、分かってる。
分かってるけど……少しぐらい、夢を見させて欲しい。
例えば、彼に告白して、okされて、さらに彼が思い出してくれて、付き合うようになって……。
同じ大学に行って、お互い就職して、ある程度働いたら、結婚して、子供を二人ぐらい儲けて、二人とも成人したら、二人で畑でもやりながら笑い合って……そんな風に添い遂げたい。
分かってる。
無理だって。
まだ、本当は私はまだ彼に釣り合えるような人間になれてないって。
上部だけ誤魔化せたとしても、心はまだまだ弱いままなんだって……。
分かってる。
だけど……せめて、ただ、思い出して欲しいだけなの。
私にとっての、英雄に……。
そう、分かっていたつもりだった。
でも、頭ではそう分かっていても、行動を止める事は出来なかった。
きっと心が頭に勝ってしまったのと、物静かなのに真面目な今の彼が、一部の女子の間で快活の貴公子と呼ばれる榊原玄弥君と対照的に、寡黙の貴公子と呼ばれ、密かに人気になりつつあった事への焦りが原因だろう。
そうじゃなければ、私は、禊凛祭で佑介君に、全てを話し、告白することを決心したりはしなかった筈なのだから。
その日の放課後、私はまず、佑介君と仲がよく、私とも仲のいい、神楽坂君に全てを話した。
過去に彼に救われたことも、今私が彼に対して抱いているこの気持ちも。
神楽坂君は、突然のことに驚きつつも、
「それだったら俺に任せとくれや!
なんでも協力するで!」
と二つ返事をくれた。
本当に良い友達だ。
そこで私はさらに、禊凛祭の間に、佑介君に、この事を伝え、そして、今の私の気持ち伝えたいと思っていると言う事を彼に伝えた。
そこからは驚くほどに早く事が進んだ。
神楽坂君と私は、四日かけて、じっくりと佑介君への告白プランを練った。
その結果、
・二日間行われる禊凛祭のうち、二日目の夕方に、計画は実行する。
・私が佑介君を、屋上へと続く階段へ呼び出す。
・まず、きちんと過去に彼に救われた事、感謝している事を伝える。
・その後、しっかりと分かりやすく彼の事が好きなのだと言う事を彼に伝える。
という事になった。
それから残りの五日間、私は脳内で、彼への告白をシュミレートしては、急に顔を赤くし、周りの人から心配されるというとても恥ずかしい日々を過ごした。
「今日から、なのか……」
クラスみんなで作ったクラスTシャツを身に纏ったことで私は改めてそう実感した。
思っていたよりもずっと早く五日は経ってしまった。
そう、今日が禊凛祭初日だ。
自然と頑張ろうという気持ちになった。
そのせいか、
「亜里沙ちゃんなんか張り切りすぎじゃない?」
と、ちょっとだけ友達に引かれてしまっていた。
でも、それはそうなのだ、だって明日が運命の日なのだから。
そう思いながら、一日目をどうにか乗り切った。
***
ご気軽にコメントお願い致します。必ず返信させていただきます。応援、感想コメント頂けると嬉しいです。また、表現や、言葉などに間違えなどがあったら指摘してくださるとありがたいです。よろしければ、お気に入りをよろしくお願いいたします!
相変わらず佑介君は私の事を思い出すような素振りさえ全く見せなかった。
そんなある日、学校で私達の通う、桜花閣高校の文化祭、禊凛祭《ぎりんさい》の要項のプリントが配られた。
あ、忘れてた、そう、もう九日後は文化祭だった。
なんかクラスTシャツ作りとか、クラスでやるお化け屋敷作りとか色々やってきた筈なのに、何か実感湧かないなあ。
そう思いながら、後ろの席の人にプリントを手渡していると、近くの女子達の会話が聞こえてきた。
「ねえねえ、あんた榊原君のこと気になってるんでしょ?
告白しなよ~。
禊凛祭で告白したら必ず成功するって噂聞いたことあるよ?」
「ちょっと!
シーーー!
そういうあなたこそ霞ヶ浦君に告白したらいいじゃない!」
「ちょっと!
なんであんた知ってんのよ!」
思い出した。
そういえば、禊凛祭って告白すると必ず成功するって言う噂があるんだったっけ。
どうせ、しょうもない験担ぎ話だって事ぐらい、ちゃんと分かっている。
でも、もし万が一、文化祭というタイミングで、私が彼に告白したら、okしてくれて、それで、彼が私のことを思い出してくれたら……。
こんなの、くだらない、私の身勝手な妄想にすぎないって事ぐらい、分かってる。
分かってるけど……少しぐらい、夢を見させて欲しい。
例えば、彼に告白して、okされて、さらに彼が思い出してくれて、付き合うようになって……。
同じ大学に行って、お互い就職して、ある程度働いたら、結婚して、子供を二人ぐらい儲けて、二人とも成人したら、二人で畑でもやりながら笑い合って……そんな風に添い遂げたい。
分かってる。
無理だって。
まだ、本当は私はまだ彼に釣り合えるような人間になれてないって。
上部だけ誤魔化せたとしても、心はまだまだ弱いままなんだって……。
分かってる。
だけど……せめて、ただ、思い出して欲しいだけなの。
私にとっての、英雄に……。
そう、分かっていたつもりだった。
でも、頭ではそう分かっていても、行動を止める事は出来なかった。
きっと心が頭に勝ってしまったのと、物静かなのに真面目な今の彼が、一部の女子の間で快活の貴公子と呼ばれる榊原玄弥君と対照的に、寡黙の貴公子と呼ばれ、密かに人気になりつつあった事への焦りが原因だろう。
そうじゃなければ、私は、禊凛祭で佑介君に、全てを話し、告白することを決心したりはしなかった筈なのだから。
その日の放課後、私はまず、佑介君と仲がよく、私とも仲のいい、神楽坂君に全てを話した。
過去に彼に救われたことも、今私が彼に対して抱いているこの気持ちも。
神楽坂君は、突然のことに驚きつつも、
「それだったら俺に任せとくれや!
なんでも協力するで!」
と二つ返事をくれた。
本当に良い友達だ。
そこで私はさらに、禊凛祭の間に、佑介君に、この事を伝え、そして、今の私の気持ち伝えたいと思っていると言う事を彼に伝えた。
そこからは驚くほどに早く事が進んだ。
神楽坂君と私は、四日かけて、じっくりと佑介君への告白プランを練った。
その結果、
・二日間行われる禊凛祭のうち、二日目の夕方に、計画は実行する。
・私が佑介君を、屋上へと続く階段へ呼び出す。
・まず、きちんと過去に彼に救われた事、感謝している事を伝える。
・その後、しっかりと分かりやすく彼の事が好きなのだと言う事を彼に伝える。
という事になった。
それから残りの五日間、私は脳内で、彼への告白をシュミレートしては、急に顔を赤くし、周りの人から心配されるというとても恥ずかしい日々を過ごした。
「今日から、なのか……」
クラスみんなで作ったクラスTシャツを身に纏ったことで私は改めてそう実感した。
思っていたよりもずっと早く五日は経ってしまった。
そう、今日が禊凛祭初日だ。
自然と頑張ろうという気持ちになった。
そのせいか、
「亜里沙ちゃんなんか張り切りすぎじゃない?」
と、ちょっとだけ友達に引かれてしまっていた。
でも、それはそうなのだ、だって明日が運命の日なのだから。
そう思いながら、一日目をどうにか乗り切った。
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