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岳鶯ルート 金軍撃退戦
金軍撃退戦2
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「この粉は、胡椒と花椒(山椒と近いもの)を粉末にしたものだ。これを敵軍めがけて風に乗せる。そのために強弩と火薬、それに導火線を用意しろ」
胡椒も花椒も高価な漢方ではあるが、この明の都であれば大量にある。それを粉にしてやるだけで良い。
「出来れば敵と平原で会敵し、騎兵の混乱に乗じて一息に突き崩す。楊再雲!」
「応!」
「その際はお前がヌルハチを狙え、牛憲は副将となり補佐を頼む」
「むぅ、またこの方とですか・・・・・・」
「なんだと、てめぇ」
牛憲の一声に楊再雲が噛み付く。
もう毎度のことなので誰も止めようとはしない。苦笑交じりに見守るだけだ。それに少なくとも彼等が組めば百戦百将、二人同時であればこの俺でさえ敵わないかもしれない。極端に性格の違う二人はそのおかげで互いの端緒を補い合い、長所を引き立たせているのだ。
「いえ、何時も一人突っ走ってしまわれるので、私はその尻を拭かされてばかり。たまには別の方と組ませてもらえると有り難いのですが」
「俺だっててめぇみてぇな奴と組みたかねぇよ!」
もっとも、普段は犬猿の仲という奴だ。・・・・・・が、わりと頻繁に連れ立って酒を呑みに行くなど、結局仲が良いのか悪いのか良く分からない。
「牛憲、楊再雲、頼む。この国のためにこの戦は勝つ必要がある」
「応!」「承知!」
そして、俺が念を押せば何時も通り二人とも応じてくれる。もしかすると、初めての大規模戦闘に緊張する諸将に何時も通りで良いのだと伝えるための演技だったのかもしれない。
「兄者、それは無いかと」
「クク、高布よ、その方が夢があるじゃないか」
俺の考えを読んだ高布が間違いを訂正してくる。
「さて、高布よ。お前には遊軍として騎馬隊を率いてもらう」
「フム、役目は?」
「任せる。状況を見、自身の判断で自由に行動しろ」
正直に言えば高布は敢えて事前の指示で動かすのではなく、実際の戦況に合わせて柔軟に対応させる方がより強力な軍となる。そして、これは全幅の信頼を置く高布にしか出来ないことであり、これによりこの軍の軍略は俺の軍略を超えることが出来る。
「心得ました」
「張憲、お前は強弩隊の指揮を取れ。それと、今のうちに兵達にしっかり訓練させておけ、出発まであと二日、その間にこの胡椒を自在に空中散布できるようにな」
「ははっ!」
「俺は残りの歩兵を率い、敵の攻撃を引き付ける。概略は以上だ。今回は互いの連携が非常に重要だ。その事を肝に刻んでおけ!」
「「「「「はっ!」」」」」
俺の軍の核になる人材はとても少ない。だが、この者達とならばどのような敵とも戦える。それだけの信頼関係と力を長年の戦で培ってきた。
「では、俺達も春風酒家に向かおうか」
「応、兄者! そうこなくてはな!」
「・・・・・・全く、楊兄者まで連れて行けばまた奥方にどやされてしまう」
二人の義弟は全く違う反応を返す。だが、どちらも顔は朗らかだ。今夜は夜深くまで呑み明かすことになるだろう。
「ただ兄者。倭軍にはどう対応します」
「いや、あちらの方はしばらく攻めてきまい」
その分防衛線を固められると言う事だが、一度に二ヶ所では戦えない以上考えても仕方ない。
「早く鋭いが脆い槍と、遅くても重く頑強な斧。どちらも恐ろしい敵ですな」
「ああ。そして、俺達は斧との戦いを経験したことがない。はたしてどんな相手か」
まだ見ぬ倭軍を想像することは俺にも出来ない。情報が余りにも少なすぎるのだ。
「実は岳安に南に潜入させることにした」
「なんと!?」
「あいつももう16だ。役に立って見せるさ」
・・・・・・それに、若い方が純粋な目で見ることが出来るかもしれない。何せ、南京では味方から降将が出た。祖国を裏切り言葉も通じぬ他国に走る。俺には理解できないが、もしもそこに何かがあるのなら、次代の者まで俺に付き合わせる必要はない。
胡椒も花椒も高価な漢方ではあるが、この明の都であれば大量にある。それを粉にしてやるだけで良い。
「出来れば敵と平原で会敵し、騎兵の混乱に乗じて一息に突き崩す。楊再雲!」
「応!」
「その際はお前がヌルハチを狙え、牛憲は副将となり補佐を頼む」
「むぅ、またこの方とですか・・・・・・」
「なんだと、てめぇ」
牛憲の一声に楊再雲が噛み付く。
もう毎度のことなので誰も止めようとはしない。苦笑交じりに見守るだけだ。それに少なくとも彼等が組めば百戦百将、二人同時であればこの俺でさえ敵わないかもしれない。極端に性格の違う二人はそのおかげで互いの端緒を補い合い、長所を引き立たせているのだ。
「いえ、何時も一人突っ走ってしまわれるので、私はその尻を拭かされてばかり。たまには別の方と組ませてもらえると有り難いのですが」
「俺だっててめぇみてぇな奴と組みたかねぇよ!」
もっとも、普段は犬猿の仲という奴だ。・・・・・・が、わりと頻繁に連れ立って酒を呑みに行くなど、結局仲が良いのか悪いのか良く分からない。
「牛憲、楊再雲、頼む。この国のためにこの戦は勝つ必要がある」
「応!」「承知!」
そして、俺が念を押せば何時も通り二人とも応じてくれる。もしかすると、初めての大規模戦闘に緊張する諸将に何時も通りで良いのだと伝えるための演技だったのかもしれない。
「兄者、それは無いかと」
「クク、高布よ、その方が夢があるじゃないか」
俺の考えを読んだ高布が間違いを訂正してくる。
「さて、高布よ。お前には遊軍として騎馬隊を率いてもらう」
「フム、役目は?」
「任せる。状況を見、自身の判断で自由に行動しろ」
正直に言えば高布は敢えて事前の指示で動かすのではなく、実際の戦況に合わせて柔軟に対応させる方がより強力な軍となる。そして、これは全幅の信頼を置く高布にしか出来ないことであり、これによりこの軍の軍略は俺の軍略を超えることが出来る。
「心得ました」
「張憲、お前は強弩隊の指揮を取れ。それと、今のうちに兵達にしっかり訓練させておけ、出発まであと二日、その間にこの胡椒を自在に空中散布できるようにな」
「ははっ!」
「俺は残りの歩兵を率い、敵の攻撃を引き付ける。概略は以上だ。今回は互いの連携が非常に重要だ。その事を肝に刻んでおけ!」
「「「「「はっ!」」」」」
俺の軍の核になる人材はとても少ない。だが、この者達とならばどのような敵とも戦える。それだけの信頼関係と力を長年の戦で培ってきた。
「では、俺達も春風酒家に向かおうか」
「応、兄者! そうこなくてはな!」
「・・・・・・全く、楊兄者まで連れて行けばまた奥方にどやされてしまう」
二人の義弟は全く違う反応を返す。だが、どちらも顔は朗らかだ。今夜は夜深くまで呑み明かすことになるだろう。
「ただ兄者。倭軍にはどう対応します」
「いや、あちらの方はしばらく攻めてきまい」
その分防衛線を固められると言う事だが、一度に二ヶ所では戦えない以上考えても仕方ない。
「早く鋭いが脆い槍と、遅くても重く頑強な斧。どちらも恐ろしい敵ですな」
「ああ。そして、俺達は斧との戦いを経験したことがない。はたしてどんな相手か」
まだ見ぬ倭軍を想像することは俺にも出来ない。情報が余りにも少なすぎるのだ。
「実は岳安に南に潜入させることにした」
「なんと!?」
「あいつももう16だ。役に立って見せるさ」
・・・・・・それに、若い方が純粋な目で見ることが出来るかもしれない。何せ、南京では味方から降将が出た。祖国を裏切り言葉も通じぬ他国に走る。俺には理解できないが、もしもそこに何かがあるのなら、次代の者まで俺に付き合わせる必要はない。
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新作「プニプニホッペの魔王様」を連載し始めました。ご一読いただけると幸いです。……ただ、あれは女性目線の小説に挑戦してみたというものなので、こっちの雰囲気は一切関係ないですけどw
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