関白の息子!

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秀頼ルート 黒幕捜査3

徳本の診断ー中編ー(エロ度☆☆☆☆☆)

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「爺さん、今俺を坊主って」

「ほ? 何じゃ、お主なぞ儂にとっては赤子も同然。坊主で良かろう?」

 これでも俺ももう18。
 と言うか、年齢もそうだが、人並み外れたこの巨躯で坊主と言われるとは思わなかった。
 何故か新鮮な心地にいっそ晴れ晴れとしてしまう。

「いや、良いよ坊主で。でも爺さん、患者を見せるのは良いが、まだ耄碌してないだろうな?」

 如何せん呆けているのでは? と疑いたくなる徳本の様子についついそう聞いてしまう。

「なんじゃ坊主! 年寄りを馬鹿にするとはけしからん!」

 コツッ

 ・・・・・・軽くとは言え、殴られたのは何時ぶりだろう?
 いや、頭を殴られたのは恐らく初めてだ。
 もっとも、母上にケツを叩かれたことは数え切れないほどだが。

「ハハ、悪い悪い。でも、何せ死ぬかもしれないような患者を見せるわけだからさ」

 俺が笑っているので周りは耐えているが、相当数の部下が無礼討ちにしてやろうと刀に手をかけている。
 まぁ、天下人に対する態度としては知らぬこととは言え、確かにまずいだろう。
 知らないかどうかも分からないが・・・・・・。

「安心せい坊主。儂は患者と向き合う時は命を懸ける。この100年近い人生の全てで立向う。儂が間違えた時は、そうさな、儂の牛に縄でもくくり付けて牛轢きにでもするが良い」

 その一瞬、徳本の目が鋭く光る。
 この俺が少したじろぐほどに鋭く。

「坊主、侍に産まれれば分からんかもしれんがな。お主らが百人殺す間に儂は一人の命を救うてきた。あちこちで人が殺されていくのを知りながら、ほんの一握りの者を生き永らえさせてきた」

 ・・・・・・それは、この時代に医療に生きた者の本音なのだろう。
 救えど救えど更に多くの患者で溢れ、どんなに優秀でも救いきれない。
 そんな無念さが伝わってくるようだ。

「坊主。儂は100年生きて来た。その間ずっと侍の世じゃ。その世の中に儂ほど刃向かってきた者は他におらん」

 応仁の乱より約150年。
 化け物の様な長寿のこの男でも、平和な御世は知らない。
 常に余は戦に溢れ、そしてこの男はそれを嫌い続けたのだ。

「坊主は産まれてまだ20年も経っておるまい。儂にとっては赤子も同じ。じゃと言うのに、何と多くの者を殺してきたか!」

 ・・・・・・直接殺したのは、前田茂勝くらいのもの。
 だが、俺が指示して死んだ人間は恐らく既に数十万。
 俺の治世の失敗で死んだ者はそれに倍するかもしれない。

「儂にとっても、坊主の様な患者は初めてじゃ」

「・・・・・・患者は俺じゃない」

「いいや、お主も患者じゃ。もう一人の患者を診た後に診てやるので少し待っておれ。医(旧字:醫)とは本来、神前で魔を払う行為じゃ。儂に直せるものであれば、神に誓って誠心誠意力を尽くそう。お主の想い人も、当然お主もな」

 天海とはまるで違う。
 あれは裏に謀略を隠していたが、この男はそうじゃない。
 そうになるのが悪いとは言わない。
 だが、己のために積み重ねた生と、ただただ他人のために積み重ねた生。
 同じ百歳間際の者だとしても、同じようにどこか超然とした存在だとしても、その本質はまるで違うのだ。

「・・・・・・先生、是非俺も診てほしい」

 素直に、彼ともっと話がしたい、そう思った。
 もちろん、俺には十人以上の典医が付いているし、健康面に問題はない。
 だが、彼が言っているのはそれだけではないはずだ。

 彼となら――

「カァーッ、長旅で疲れたわい! 坊主。腰を揉めい」

 腰の方を指し示し、徳本がそう言う。
 その姿はすっかり耄碌爺に戻っていた。

 ・・・・・・俺の感動を返してほしい。
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新作「プニプニホッペの魔王様」を連載し始めました。ご一読いただけると幸いです。……ただ、あれは女性目線の小説に挑戦してみたというものなので、こっちの雰囲気は一切関係ないですけどw
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