関白の息子!

アイム

文字の大きさ
上 下
280 / 323
秀頼ルート 黒幕捜査3

徳本の診断ー前編ー(エロ度☆☆☆☆☆)

しおりを挟む
 政治班に浪人たちを効率良く召し出し、活用するように指示を出す。
 すると、各国の大名からも浪人による騒動の陳述が非常に多く、それにも対応できると喜んでいた。

 戦争を公共事業として与えているようで少し気が咎めるが、帰農しようとしない浪人達は実際治安を悪化させる原因でもある。
 これを排除すれば治安は改善し、民の満足度も上がる事だろう。

 やはり一石投じるだけで大きな効果を期待できる。
 もっとも、それで問題が無いわけでもないが・・・・・・。

「ただの無法者を送ったのでは、一時は良くてもその後がない。反乱を招き、結果支配が揺らぎ次につながることが無い。良く検討するように」

 三成にそう伝え、後は任せる。

 本当であれば俺が直接指示をしたいのだが、今日は大事な客がいるのだ。

 そう、この時代において医聖と謳われる永田徳本、その人だ。



 その男は98と聞いていただけあり、大阪城に入るのに自分の足では歩いては来なかった。

 ・・・・・・牛に乗って来たのだ。

「まさか、牛に乗って大阪城に現れる者がいるとは思わなかった」

 だが、ノソリノソリと進む牛は、確かにその背に乗る皺枯れた爺を天下一の巨城に運ぶ。
 城門まで俺が迎えに来るのはあらゆる客の中で初めての行為。
 天皇陛下だって迎えには来なかったのだ。

「・・・・・・おまけにみすぼらしい」

 98まで多くの患者を診て来ただろうに、碌な診療を受け取って来なかったからだろうか、着ている服は節々が擦り切れている。
 ヨボヨボでもしもこんな爺さんが患者を診ようとしたら、誤診を恐れてチェンジをお願いするだろう。
 俺が迎えに来たので、周りの皆もどんな人物が現れるのかと期待していたのに、がっかりと言う感じだ。

 そんな爺さんが近づいてきて、この俺にこう言うのだ。

「もし、門番のお方。此処に儂の弟子がおるそうでな。会いたいのじゃが」

「・・・・・・俺は門番じゃない」

 不敬に当たるとして処罰することも出来るだろうが、正直デコピン一発で死んじまいそうな爺さん。
 周りも流石に「無礼者!」と手討ちにしようと言う気はないらしい。
 まぁ、俺が絶対に不敬の無いようにと念を押していたのも効いたのだろう。

「ほ? じゃぁ、門番さんを呼んで貰えぬかのう?」

「使いっぱでもない」

 怒り心頭、と言うわけでもなく、少し俺もこの問答を愉しみだしていた。
 滅多に城を出ないこともあり、俺にこんな口を利く者は珍しいのだ。
 ついでに、俺の正体を知った時の変化も楽しみでもある。

「はて? 若いように見えるがのう」

 確かに、下女や下男を除けば、この城にいる者の中でも俺は最も若い部類。
 もちろん白寿などもいるが・・・・・・。

 あれ? 今俺ってすっごい豪華な着物着ているのに、下男と間違われたってこと?

「ほっほ、思ったよりも懐は深いと見える」

「おい、爺さん」

 いまだ牛から降りてこない徳本を見て笑ってしまう。
 その表情は悪戯がバレたお梅のようだ。
 つまり、本質的に子供と変わらない。

「最初っから俺が誰かを分かっていてやってんのか?」

「知らん知らん。じゃが、随分と頭痛の種を抱えておるようじゃ。儂が診てやろうか? 一回16文(現在の価値で約200円)じゃ」

「いらん」

「ほ? 金が無いのか? 金が無いのなら飯でもよいぞ?」

 果たして、この世に俺以上に金を持っている者がどれだけいるだろうか。
 世界を見渡せば、恐らく一人二人は要るだろう。
 だが、日の本であれば相手になる者はいない。
 権力だけでなく、単純な資金でも当然圧倒的にあるのだ。

「金はいくらでもある」

「ほっほ、16文で良い。それ以上の金があるなら、おっかさんに美味いもんを食わせてやれい」

 言っておくが、母上は恐らく常に日本で一番美味いものを喰っている。
 高額の砂糖菓子を毎日喰える者など、俺の家族くらいのものだろう。

「親は何時までも生きていると思うでない。しっかりと尽くすのじゃぞ?」

「・・・・・・徳本、診てもらいたい者がいる」

 ところが、俺の言葉など聞こえない様に、徳本は城を見つめる。

「此処には、3年と生きられない者がおるのう。主の母かと思うたが、もっと若いようじゃ」

「・・・・・・なんだと?」

 患者を診てすらいないのに・・・・・・。
 いや、それが桜のことかどうかは分からない。
 大体――

「患者の元に案内せい、坊主」

 思わず吹き出して笑ってしまった。
しおりを挟む
新作「プニプニホッペの魔王様」を連載し始めました。ご一読いただけると幸いです。……ただ、あれは女性目線の小説に挑戦してみたというものなので、こっちの雰囲気は一切関係ないですけどw
感想 61

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

クラスメイトの美少女と無人島に流された件

桜井正宗
青春
 修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。  高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。  どうやら、漂流して流されていたようだった。  帰ろうにも島は『無人島』。  しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。  男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?

生残の秀吉

Dr. CUTE
歴史・時代
秀吉が本能寺の変の知らせを受ける。秀吉は身の危険を感じ、急ぎ光秀を討つことを決意する。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

アイドルグループの裏の顔 新人アイドルの洗礼

甲乙夫
恋愛
清純な新人アイドルが、先輩アイドルから、強引に性的な責めを受ける話です。

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

体育座りでスカートを汚してしまったあの日々

yoshieeesan
現代文学
学生時代にやたらとさせられた体育座りですが、女性からすると服が汚れた嫌な思い出が多いです。そういった短編小説を書いていきます。

サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由

フルーツパフェ
大衆娯楽
 クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。  トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。  いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。  考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。  赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。  言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。  たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。

処理中です...