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秀頼ルート 黒幕捜査3
ちゃぶ台返し(エロ度☆☆☆☆☆)
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「これで一先ずは大丈夫だな」
五大老が出て行った後、一息つくためにズズッと茶をすする。
「えと、あんな約束してしまって良かったんですか?」
ずっと傍に潜んで聞いていた桜としてはその内容に戸惑いを隠せないようだ。
「仕方ないだろう。それに成功すれば何の問題もない」
「いえ、他にも方法があったのでは、と」
「・・・・・・もしもお梅を五大老の倅の一人に嫁にやると言う方法なら却下だ」
確かに、それで利常や秀家を懐柔することは出来ただろう。
だが、それはやはり避けたかった。
「・・・・・・でも、お梅じゃなければ、まぁ」
正史では利常の正妻はお珠。
とても仲の良い夫婦で、子供も多かったらしい。
5女の出産時に体調を崩し亡くなるが、それまでずっと互いを想い合っていたそうだ。
弱った原因も彼女の乳母の策謀により利常に会えず、その心痛が大きかったそうだ。
だが、現実的に今のお珠の政治的価値は低い。
正史では2代将軍の娘として僅か3歳で嫁いだ彼女も、11歳の今嫁ぎ先も決まっていない。
いや、明日の身さえ不安な状況だ。
「俺の養女にして嫁がせるって言う手は有り、か」
徳川家康が良くやっていた方法だが、婚姻外交を多く行うための手段でもある。
「でも、可愛い妹を政略に使いたくないなぁ」
「ですが、それでいき遅れてはなおさら可哀想では?」
まぁ、それは確かに言えないでもない。
それに、徳川家が復権すれば皇后の妹で、俺の義妹であるお珠の政治的価値は高い。
正史より8年も遅いが、利常の下に送ればきっと大事にしてくれる。
・・・・・・乳母は・・・・・・まぁ、きつく言っておけば大丈夫か。
「うん。この件が終わったら、お珠は俺の養女にして、利常に嫁がせよう。それがきっとお珠にとっても幸せだし、豊臣家にとってもありがたい」
「はい。で、お梅ですが――
「さ。次の話だ!」
桜は最近事あるごとにお梅の婚姻話を持ち掛けてくる。
確かにお珠と1歳しか違わないのだから、お珠の婚姻話が出てこればそれも当然ではある。
「もう!」
「ハハ。お梅の事はもう少し考えさせてくれ」
安心して任せられる嫁ぎ先。
お梅の奔放な性格で息苦しくない家風。
そして、相手はお梅が好きになれるほどの人物か。
そのあたりの調査をずっと行っているのだ。
いっそ利常はかなりの優良物件だったが・・・・・・。
「・・・・・・で、羅山はどうなった?」
「はい。招聘に応じ、明日にでも大阪城に参上するそうでございます」
「来たら武器を隠し持ってないかどうかだけ調べ、直ぐに俺のもとに連れて来い」
「分かりました」
「ククッ、桜、ちゃぶ台返しってもんを見せてやる」
思わず思い返して笑ってしまう。
そう、反乱を望む者がいるなら、反乱を起こせ失くしてやればいいだけなのだ。
「ちゃぶ台返し、ですか?」
「ああ。奴らは一体なにをしようとしている?」
「え、と。朝廷を奉じての反乱、ですよね?」
「そうだ。もしかすると羅山は自身の考えを主張しているだけで、反乱を首謀する者達に利用されているだけかもしれない。だが、反乱を成功させるには幾つかの要素が必要となる」
そして、その要素を潰してやれば反乱を起こすことは出来ない。
「要素、ですか?」
「そう。先ずは指導者。主義・主張を叫びながら世の不満を俺に集める者だ」
通常はこの者達を殺すことで反乱を防ぐ。
だが、それは実際には問題の先送りでしかないのだ。
それは歴史が証明していること。
「次に金。今の時代、武器が無くては軍と戦えない」
これを潰すことは実際には難しい。
御用商人を多く抱えるので完全にそうとは言えないが、曲がりなりにも豊臣の支配地は楽市楽座の考えにより繁栄している。
商売の規制はそれと反する行為。
それを行えば余計に不満を溜めてしまう。
「それと、兵。このためにも金が必要なわけだが、豊臣に逆らおうってバカは、今は戦が無く食い扶持にあぶれた浪人どもだ」
正史の大坂の陣ではそういった者達を集めて徳川に対した。
基本的に関ケ原で西軍に味方した者達だったが、今あぶれているのは東軍、と言うか、徳川に付いた者達。
それに、治政の世となり腕の振るいどころのなくなった戦人達だ。
「成る程! それを排そうと」
「そう。豊臣で大々的に浪人をかき集め、明の征服に乗り出す。恩賞も明の土地を与えていく。日の本の土地が欲しいと言うものも多いだろうが、今後は大陸支配の戦が続くのだ。明の土地の方が大身に成り易い。現状に不満のある奴等なら相当数が乗ってくるだろう。そして、そういった者達がいなくなれば、とても反乱など起こせない」
ただ、少しだけ問題があるとすれば・・・・・・。
俺の代になってから、豊臣は大きな支出が多く、流石に資金が減ってきていることだろう。
「北京は俺達が獲らんとな」
その一都市だけで実入りが大きく変わるはずだ。
金も文化も人材もこの時代の全世界を見渡しても、北京ほど富んだ都市はほとんど無い。
ヌルハチの金軍との競争になるわけだが、南京から北上するなら黄河を挟んでの大戦となるだろう。
「見ていろ桜。一石二鳥、いや、三鳥にも四鳥にもしてやる」
「フフ、はい」
自信満々に笑ってやれば、それを見て桜も微笑んだ。
五大老が出て行った後、一息つくためにズズッと茶をすする。
「えと、あんな約束してしまって良かったんですか?」
ずっと傍に潜んで聞いていた桜としてはその内容に戸惑いを隠せないようだ。
「仕方ないだろう。それに成功すれば何の問題もない」
「いえ、他にも方法があったのでは、と」
「・・・・・・もしもお梅を五大老の倅の一人に嫁にやると言う方法なら却下だ」
確かに、それで利常や秀家を懐柔することは出来ただろう。
だが、それはやはり避けたかった。
「・・・・・・でも、お梅じゃなければ、まぁ」
正史では利常の正妻はお珠。
とても仲の良い夫婦で、子供も多かったらしい。
5女の出産時に体調を崩し亡くなるが、それまでずっと互いを想い合っていたそうだ。
弱った原因も彼女の乳母の策謀により利常に会えず、その心痛が大きかったそうだ。
だが、現実的に今のお珠の政治的価値は低い。
正史では2代将軍の娘として僅か3歳で嫁いだ彼女も、11歳の今嫁ぎ先も決まっていない。
いや、明日の身さえ不安な状況だ。
「俺の養女にして嫁がせるって言う手は有り、か」
徳川家康が良くやっていた方法だが、婚姻外交を多く行うための手段でもある。
「でも、可愛い妹を政略に使いたくないなぁ」
「ですが、それでいき遅れてはなおさら可哀想では?」
まぁ、それは確かに言えないでもない。
それに、徳川家が復権すれば皇后の妹で、俺の義妹であるお珠の政治的価値は高い。
正史より8年も遅いが、利常の下に送ればきっと大事にしてくれる。
・・・・・・乳母は・・・・・・まぁ、きつく言っておけば大丈夫か。
「うん。この件が終わったら、お珠は俺の養女にして、利常に嫁がせよう。それがきっとお珠にとっても幸せだし、豊臣家にとってもありがたい」
「はい。で、お梅ですが――
「さ。次の話だ!」
桜は最近事あるごとにお梅の婚姻話を持ち掛けてくる。
確かにお珠と1歳しか違わないのだから、お珠の婚姻話が出てこればそれも当然ではある。
「もう!」
「ハハ。お梅の事はもう少し考えさせてくれ」
安心して任せられる嫁ぎ先。
お梅の奔放な性格で息苦しくない家風。
そして、相手はお梅が好きになれるほどの人物か。
そのあたりの調査をずっと行っているのだ。
いっそ利常はかなりの優良物件だったが・・・・・・。
「・・・・・・で、羅山はどうなった?」
「はい。招聘に応じ、明日にでも大阪城に参上するそうでございます」
「来たら武器を隠し持ってないかどうかだけ調べ、直ぐに俺のもとに連れて来い」
「分かりました」
「ククッ、桜、ちゃぶ台返しってもんを見せてやる」
思わず思い返して笑ってしまう。
そう、反乱を望む者がいるなら、反乱を起こせ失くしてやればいいだけなのだ。
「ちゃぶ台返し、ですか?」
「ああ。奴らは一体なにをしようとしている?」
「え、と。朝廷を奉じての反乱、ですよね?」
「そうだ。もしかすると羅山は自身の考えを主張しているだけで、反乱を首謀する者達に利用されているだけかもしれない。だが、反乱を成功させるには幾つかの要素が必要となる」
そして、その要素を潰してやれば反乱を起こすことは出来ない。
「要素、ですか?」
「そう。先ずは指導者。主義・主張を叫びながら世の不満を俺に集める者だ」
通常はこの者達を殺すことで反乱を防ぐ。
だが、それは実際には問題の先送りでしかないのだ。
それは歴史が証明していること。
「次に金。今の時代、武器が無くては軍と戦えない」
これを潰すことは実際には難しい。
御用商人を多く抱えるので完全にそうとは言えないが、曲がりなりにも豊臣の支配地は楽市楽座の考えにより繁栄している。
商売の規制はそれと反する行為。
それを行えば余計に不満を溜めてしまう。
「それと、兵。このためにも金が必要なわけだが、豊臣に逆らおうってバカは、今は戦が無く食い扶持にあぶれた浪人どもだ」
正史の大坂の陣ではそういった者達を集めて徳川に対した。
基本的に関ケ原で西軍に味方した者達だったが、今あぶれているのは東軍、と言うか、徳川に付いた者達。
それに、治政の世となり腕の振るいどころのなくなった戦人達だ。
「成る程! それを排そうと」
「そう。豊臣で大々的に浪人をかき集め、明の征服に乗り出す。恩賞も明の土地を与えていく。日の本の土地が欲しいと言うものも多いだろうが、今後は大陸支配の戦が続くのだ。明の土地の方が大身に成り易い。現状に不満のある奴等なら相当数が乗ってくるだろう。そして、そういった者達がいなくなれば、とても反乱など起こせない」
ただ、少しだけ問題があるとすれば・・・・・・。
俺の代になってから、豊臣は大きな支出が多く、流石に資金が減ってきていることだろう。
「北京は俺達が獲らんとな」
その一都市だけで実入りが大きく変わるはずだ。
金も文化も人材もこの時代の全世界を見渡しても、北京ほど富んだ都市はほとんど無い。
ヌルハチの金軍との競争になるわけだが、南京から北上するなら黄河を挟んでの大戦となるだろう。
「見ていろ桜。一石二鳥、いや、三鳥にも四鳥にもしてやる」
「フフ、はい」
自信満々に笑ってやれば、それを見て桜も微笑んだ。
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新作「プニプニホッペの魔王様」を連載し始めました。ご一読いただけると幸いです。……ただ、あれは女性目線の小説に挑戦してみたというものなので、こっちの雰囲気は一切関係ないですけどw
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