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秀頼ルート 黒幕捜査3
槿姫(エロ度☆☆☆☆☆)
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槿姫という名を聞いた時、一瞬思い出すことも出来なかった。
冷たいと思うかもしれないが、てっきりとうの昔に何処かに嫁に出されているはずだと思っていたのだ。
確かに、大名同士の結婚は豊臣家の許可が必要だが、実質的にその判断は五大老、つまり、ほぼ秀次叔父上が行っている。
つまり、自分の娘の結婚など、俺にその情報が伝わる前に終わらせられるのだ。
「・・・・・・えっと、お久しぶり? で良いのかな?」
藤堂高虎に伴われての突然の訪問に、流石の俺も困惑してしまった。
「はい。と、申しましても、お会いしたのはお互い赤子の頃の話にございます。陛下がお忘れとしても、それは当然の事かと」
確かに、彼女と会ったのはもう十七年も前。
当時の関白であり、豊臣の後継者だった秀次叔父上の娘として、俺との婚約を行った時、ただその一回限り。
秀次事件の落着をもって、婚約を解消したものの、その後どうなったかまでは知らなかった。
結構な美人に成長していたようで何よりではある。
・・・・・・でも、何故今?
「そ、それで、槿殿は何をしに?」
要件もなく大名の子女が外に出てくるはずもない。
まして、今高虎は大和豊臣家の筆頭家老、主君の叔父上が京で政治を行っていることもあり、こんなところに出張って来る暇もないはずだ。
「フフ。実はわたくし、この年でまだ結婚をしておりません」
「そ、それが?」
「ですので、お見合いをさせて頂こうかと」
「・・・・・・誰と?」
「もちろん、陛下と」
そう言うと槿姫はにっこりと微笑む。
家格と言うか、そもそも一度はあった話なのだから、そう言う話がもち上がっても仕方ない。
だが、今その話が上がると言うのは・・・・・・。
正室に我が娘を、と叔父上が考えていると思うべきなのだろうか。
それはつまり、叔父上も疑ってかからねばならないと言うことに・・・・・・。
「陛下、某から一言よろしいでしょうか?」
俺が百面相をしていると、おもむろにお付きの高虎が声を上げる。
「・・・・・・何だ?」
「これは、牽制にございます」
・・・・・・牽制?
「誰に対して? いや、当然大名達か。と、すれば・・・・・・そうか!」
秀次叔父上の権力が高ければ高い程、その娘の婚約話が持ち上がっている限り他の者達は指を咥えて見ているしかない。
つまり、時間稼ぎをしようとしてくれている。
「実は、先日我が殿の下へ大政所様が参り、助力を求めて来られました。これはその一環にございます」
こんなことをすればさらに娘の婚期が遅れかねないだろうに、それでも偽の婚約話を持ち上げ、俺の正室の議論を吹き飛ばそうと言うのだ。
これにより思惑が外れる人間がどれだけいることだろう。
「・・・・・・かたじけない」
槿姫の目を見てしっかりと頭を下げる。
「フフ、いえ、陛下のためでございます。ただ、もしも、千姫様が失敗してしまった場合には・・・・・・そのまま貰っていただけますか?」
もう一度、先程より大分茶目っ気の多い微笑みを向けられる。
「ハハ、考えとくよ。ただ、お千は失敗させないから、意味がない事だけどね。せっかくだし、あとで一緒に大阪見物にでも行こうか」
「フフ。はい、喜んで」
槿姫の結婚話が本当であるかのように、仲睦まじい姿を見せつける。
せっかくの叔父上の策、存分に使わせてもらおう。
今回の一番の成果は叔父上が完全に此方の味方と分かったことだな。
・・・・・・それにしても。
これだけ綺麗なら、ちょっとくらい手を出しても良い、かな?
冷たいと思うかもしれないが、てっきりとうの昔に何処かに嫁に出されているはずだと思っていたのだ。
確かに、大名同士の結婚は豊臣家の許可が必要だが、実質的にその判断は五大老、つまり、ほぼ秀次叔父上が行っている。
つまり、自分の娘の結婚など、俺にその情報が伝わる前に終わらせられるのだ。
「・・・・・・えっと、お久しぶり? で良いのかな?」
藤堂高虎に伴われての突然の訪問に、流石の俺も困惑してしまった。
「はい。と、申しましても、お会いしたのはお互い赤子の頃の話にございます。陛下がお忘れとしても、それは当然の事かと」
確かに、彼女と会ったのはもう十七年も前。
当時の関白であり、豊臣の後継者だった秀次叔父上の娘として、俺との婚約を行った時、ただその一回限り。
秀次事件の落着をもって、婚約を解消したものの、その後どうなったかまでは知らなかった。
結構な美人に成長していたようで何よりではある。
・・・・・・でも、何故今?
「そ、それで、槿殿は何をしに?」
要件もなく大名の子女が外に出てくるはずもない。
まして、今高虎は大和豊臣家の筆頭家老、主君の叔父上が京で政治を行っていることもあり、こんなところに出張って来る暇もないはずだ。
「フフ。実はわたくし、この年でまだ結婚をしておりません」
「そ、それが?」
「ですので、お見合いをさせて頂こうかと」
「・・・・・・誰と?」
「もちろん、陛下と」
そう言うと槿姫はにっこりと微笑む。
家格と言うか、そもそも一度はあった話なのだから、そう言う話がもち上がっても仕方ない。
だが、今その話が上がると言うのは・・・・・・。
正室に我が娘を、と叔父上が考えていると思うべきなのだろうか。
それはつまり、叔父上も疑ってかからねばならないと言うことに・・・・・・。
「陛下、某から一言よろしいでしょうか?」
俺が百面相をしていると、おもむろにお付きの高虎が声を上げる。
「・・・・・・何だ?」
「これは、牽制にございます」
・・・・・・牽制?
「誰に対して? いや、当然大名達か。と、すれば・・・・・・そうか!」
秀次叔父上の権力が高ければ高い程、その娘の婚約話が持ち上がっている限り他の者達は指を咥えて見ているしかない。
つまり、時間稼ぎをしようとしてくれている。
「実は、先日我が殿の下へ大政所様が参り、助力を求めて来られました。これはその一環にございます」
こんなことをすればさらに娘の婚期が遅れかねないだろうに、それでも偽の婚約話を持ち上げ、俺の正室の議論を吹き飛ばそうと言うのだ。
これにより思惑が外れる人間がどれだけいることだろう。
「・・・・・・かたじけない」
槿姫の目を見てしっかりと頭を下げる。
「フフ、いえ、陛下のためでございます。ただ、もしも、千姫様が失敗してしまった場合には・・・・・・そのまま貰っていただけますか?」
もう一度、先程より大分茶目っ気の多い微笑みを向けられる。
「ハハ、考えとくよ。ただ、お千は失敗させないから、意味がない事だけどね。せっかくだし、あとで一緒に大阪見物にでも行こうか」
「フフ。はい、喜んで」
槿姫の結婚話が本当であるかのように、仲睦まじい姿を見せつける。
せっかくの叔父上の策、存分に使わせてもらおう。
今回の一番の成果は叔父上が完全に此方の味方と分かったことだな。
・・・・・・それにしても。
これだけ綺麗なら、ちょっとくらい手を出しても良い、かな?
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新作「プニプニホッペの魔王様」を連載し始めました。ご一読いただけると幸いです。……ただ、あれは女性目線の小説に挑戦してみたというものなので、こっちの雰囲気は一切関係ないですけどw
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