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秀頼ルート 黒幕捜査3
重要人物(エロ度☆☆☆☆☆)
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島津家に協力を求めれば、当主・島津忠恒もそれを快諾してきた。
まぁ、俺の頼みをまともに断れるわけもないのだが・・・・・・。
密偵には佐助を派遣している。
明との戦争を理由に、豊臣・朝廷共に延暦寺への寄進も止まり、今はまだ大丈夫そうではあるが、その内に街まで僧たちが降りて来るだろう。
「・・・・・・が、まぁ、やはりこうなったか」
開いたままの文に居並ぶ名前は俺以外の者であれば、見ただけで奮えてしまうかもしれない。
五大老全員の署名が並び、その先頭は大老筆頭・豊臣秀次。
内容は、徳川家の処置への疑問と、明で指揮を執っているお千について。
厳しい論調で、あくまで臣として諌言いたします、ということだ。
「うん、見なかったことにしよう」
「良いんですか!?」
膝枕が随分と驚く。
「ん~、お梅、火遁の術とか使って間違って燃やしちゃってよ」
「は~い」「駄目です!」
お梅はやる気満々だが、母親に止められれば実行は出来ない。
・・・・・・いや、え、てか、火遁の術ってあるの?
「陛下はこうなることが分かっていたんでしょう? でしたら、当然その対策も考えられていらっしゃるはずです!」
・・・・・・あ~、自信満々に言ってくれちゃって。
まぁ、信頼感バッチリでありがたいんだけどさ。
「アハハァ、お梅ぇ、紙飛行機って知ってるかぁ?」
って、言っといてなんだが、飛行機が無いんだから知るわけがない。
「かみしこうき?」
「いや、しこうき、じゃなく飛行機ね。ん? 指向機、もしくは嗜好機なら完全な間違いじゃないんじゃないか?」
どうしてこう頭を悩ませる時というのは、別のことを考えたくなるのだろう。
お梅に見せるようにして文で紙飛行機を折る。
「そーら、どうだぁ」
分厚い和紙で折られた紙飛行機が、大阪の天守の中を飛ぶ。
スーッと進み、カーブを描きながら畳に落ちる。
うーん、飛距離が不満。
「う、うわぁ、まるでムササビの術みたい!」
「そうだろ、そうだろ・・・・・・なんて?」
ムササビの術って、たしかたっかい木の上から風呂敷もって滑空するやつだろ!?
「陛下! 現実逃避なさらないでください!」
「い、いや、てか、桜。お梅に危ない忍術修行なんてさせてないよね? ね?」
思わず膝枕から飛び起き、桜の肩を掴んでガクガクと揺さぶる。
「・・・・・・え~、お梅なら大丈夫です」
目を逸らすな!
「ま、まぁ、でも、桜の言う通りだ。何れ言われるであろうことは分かっていた。問題はすっ呆けてどこまで時間を伸ばせるか。そこに尽きる」
「それ、無策って言いませんか?」
「うん。ちょっとね、五大老の方まで手が回らなかったんだよね」
桜が信じられないものを見るような目で俺を見てくる。
いやぁ、信頼を裏切られた時の顔ってこういう顔なんだなぁ?
「でも、ま、心配すんな」
「心配するに決まってます!」
「いやいや、だってさ、署名の先頭が秀次叔父上だぜ?」
「だからこそです! 豊臣の屋台骨たるお方ではございませんか! その方からの諫言を無視出来ると!?」
お千がああなってしまっている以上、日本における権力構造は歪になってしまっている。
圧倒的トップにいるのが俺なのは間違いないが、第二位にいた皇后という存在が虚ろになってしまっているのだ。
皇太后、つまり母上が第三位という形ではあるが、同時に唯一の成人した一門でもある叔父上を第四位としている。
と言うか、女性は政に口出ししない時代、実際の権力第二位はずっと秀次叔父上だ。
ただ、仮に今俺が死んだとすると、叔父上などということはなく、当然白寿が後継となる。
それはまぁ、当然と言えば当然のこと。
だが同時に白寿はまだたったの五つ、当然摂政が必要になる。
その時、お駒の実家最上家は既に廃れている以上は父方、つまり豊臣家から選出されるわけだが、選択肢は一択しかないのだ。
それが秀次叔父上。
元関白で現五大老筆頭、その経歴からも誰も文句のつけようはないだろう。
そう言った意味で叔父上という存在は日本にとって非常に大きいものだ。
更に言うなら、彼は戦国を経験し、大戦の総大将も務めている。
「ま、桜が俺を信頼してくれるように、俺は秀次叔父上を信用しているんだ。同時にあの人であれば、俺の言い様にしておいてくれると言う信頼もな」
なにせ、あの人は母上に次いで俺との付き合いが長いのだ。
「で、でも、あの文にはしっかり署名も」
「ああ、他の四人を抑え込むためにそうしたんだろう。ま、そう言う風に心配しているからこそ今は無視だ。そのうち五人で大阪まで乗り込んでくるだろうさ」
それぞれが連絡を取りながら、大阪に集まるのであれば最短で二日ほどか?
いや、(前田)利常は加賀にいるはずだから、揃うのを待てばどんなに短くても七日はかかるはず。
「・・・・・・だが、お千。あまり時間はないぞ」
西の空を眺めながら、明のお千を想う。
向こうでは、明軍が上海に向けて出発した頃だろう。
まぁ、俺の頼みをまともに断れるわけもないのだが・・・・・・。
密偵には佐助を派遣している。
明との戦争を理由に、豊臣・朝廷共に延暦寺への寄進も止まり、今はまだ大丈夫そうではあるが、その内に街まで僧たちが降りて来るだろう。
「・・・・・・が、まぁ、やはりこうなったか」
開いたままの文に居並ぶ名前は俺以外の者であれば、見ただけで奮えてしまうかもしれない。
五大老全員の署名が並び、その先頭は大老筆頭・豊臣秀次。
内容は、徳川家の処置への疑問と、明で指揮を執っているお千について。
厳しい論調で、あくまで臣として諌言いたします、ということだ。
「うん、見なかったことにしよう」
「良いんですか!?」
膝枕が随分と驚く。
「ん~、お梅、火遁の術とか使って間違って燃やしちゃってよ」
「は~い」「駄目です!」
お梅はやる気満々だが、母親に止められれば実行は出来ない。
・・・・・・いや、え、てか、火遁の術ってあるの?
「陛下はこうなることが分かっていたんでしょう? でしたら、当然その対策も考えられていらっしゃるはずです!」
・・・・・・あ~、自信満々に言ってくれちゃって。
まぁ、信頼感バッチリでありがたいんだけどさ。
「アハハァ、お梅ぇ、紙飛行機って知ってるかぁ?」
って、言っといてなんだが、飛行機が無いんだから知るわけがない。
「かみしこうき?」
「いや、しこうき、じゃなく飛行機ね。ん? 指向機、もしくは嗜好機なら完全な間違いじゃないんじゃないか?」
どうしてこう頭を悩ませる時というのは、別のことを考えたくなるのだろう。
お梅に見せるようにして文で紙飛行機を折る。
「そーら、どうだぁ」
分厚い和紙で折られた紙飛行機が、大阪の天守の中を飛ぶ。
スーッと進み、カーブを描きながら畳に落ちる。
うーん、飛距離が不満。
「う、うわぁ、まるでムササビの術みたい!」
「そうだろ、そうだろ・・・・・・なんて?」
ムササビの術って、たしかたっかい木の上から風呂敷もって滑空するやつだろ!?
「陛下! 現実逃避なさらないでください!」
「い、いや、てか、桜。お梅に危ない忍術修行なんてさせてないよね? ね?」
思わず膝枕から飛び起き、桜の肩を掴んでガクガクと揺さぶる。
「・・・・・・え~、お梅なら大丈夫です」
目を逸らすな!
「ま、まぁ、でも、桜の言う通りだ。何れ言われるであろうことは分かっていた。問題はすっ呆けてどこまで時間を伸ばせるか。そこに尽きる」
「それ、無策って言いませんか?」
「うん。ちょっとね、五大老の方まで手が回らなかったんだよね」
桜が信じられないものを見るような目で俺を見てくる。
いやぁ、信頼を裏切られた時の顔ってこういう顔なんだなぁ?
「でも、ま、心配すんな」
「心配するに決まってます!」
「いやいや、だってさ、署名の先頭が秀次叔父上だぜ?」
「だからこそです! 豊臣の屋台骨たるお方ではございませんか! その方からの諫言を無視出来ると!?」
お千がああなってしまっている以上、日本における権力構造は歪になってしまっている。
圧倒的トップにいるのが俺なのは間違いないが、第二位にいた皇后という存在が虚ろになってしまっているのだ。
皇太后、つまり母上が第三位という形ではあるが、同時に唯一の成人した一門でもある叔父上を第四位としている。
と言うか、女性は政に口出ししない時代、実際の権力第二位はずっと秀次叔父上だ。
ただ、仮に今俺が死んだとすると、叔父上などということはなく、当然白寿が後継となる。
それはまぁ、当然と言えば当然のこと。
だが同時に白寿はまだたったの五つ、当然摂政が必要になる。
その時、お駒の実家最上家は既に廃れている以上は父方、つまり豊臣家から選出されるわけだが、選択肢は一択しかないのだ。
それが秀次叔父上。
元関白で現五大老筆頭、その経歴からも誰も文句のつけようはないだろう。
そう言った意味で叔父上という存在は日本にとって非常に大きいものだ。
更に言うなら、彼は戦国を経験し、大戦の総大将も務めている。
「ま、桜が俺を信頼してくれるように、俺は秀次叔父上を信用しているんだ。同時にあの人であれば、俺の言い様にしておいてくれると言う信頼もな」
なにせ、あの人は母上に次いで俺との付き合いが長いのだ。
「で、でも、あの文にはしっかり署名も」
「ああ、他の四人を抑え込むためにそうしたんだろう。ま、そう言う風に心配しているからこそ今は無視だ。そのうち五人で大阪まで乗り込んでくるだろうさ」
それぞれが連絡を取りながら、大阪に集まるのであれば最短で二日ほどか?
いや、(前田)利常は加賀にいるはずだから、揃うのを待てばどんなに短くても七日はかかるはず。
「・・・・・・だが、お千。あまり時間はないぞ」
西の空を眺めながら、明のお千を想う。
向こうでは、明軍が上海に向けて出発した頃だろう。
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新作「プニプニホッペの魔王様」を連載し始めました。ご一読いただけると幸いです。……ただ、あれは女性目線の小説に挑戦してみたというものなので、こっちの雰囲気は一切関係ないですけどw
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