関白の息子!

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秀頼ルート 黒幕捜査2

天海僧正1(エロ度☆☆☆☆☆)

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「おい、俺はどうしてこんな拷問を受けている?」

 広々とした空間にでっかい仏と小さい仏が10体、そして、俺と桜。
 何が悲しくて足が痛むのを我慢してこんなことをしなくてはいけない。

「ちょうどいい機会です。少し煩悩を払ってもらいましょう」

 ・・・・・・冗談じゃない。

「俺はもっといっぱい子供を作らなきゃいけないんだ! え~と、豊臣家のために?」

「何でとってつけた様に言うんです、ッ!?」「でっ!?」

 パシーンと言う乾いた音と共に肩に鋭い痛みが走る。
 ・・・・・・本当になぜこんなことに。

「ひ、秀頼様が尼様を襲うからです!」

「馬鹿言うな俺に薬を盛ろうとした女を2・3発で許してやろうっていう俺の広い心が分からないのか! って、イテーよ!」

 再びの乾いた音に先程と逆の肩がジンジンと痛みを訴える。
 普通であれば打ちやすいように肩を差し出すのだろうが、俺は絶対にそんなことはしない。

「桜が悪い、桜が悪い、桜が悪い」

「私じゃないです。秀頼様が襲ったのが悪いんです!」

「いいや、お前が座禅を願い出たりするからだ!」

 パパシィーン

 いっそ心地よい程の音が・・・・・・心地良いわけねーだろ!
 イテーよ!

「もう、良い。何でこの俺がこんなことせにゃならん!」

 いきおよく立ち上がる、が・・・・・・。

「足、痺れたんですね?」

「バッ、桜触るな!? つつくなぁ!」

 もしかしたら延暦寺始まって以来のうるさい客なのではないだろうか。
 なんでこんなことになったかは、まぁ、察してほしい。

 簡単に言えば、眠り薬を盛った尼僧を大岡裁判で非常に軽い刑に処そうとしたところ、妖怪爺が現れ、座禅でも如何かと誘われ、桜がホイホイと受けやがった。
 うん、こんなところだ。

「ほっほ、どうやら精進がとんと足らんようじゃ。大名ともなれば二刻は余裕でするものですがのぅ?」

 揶揄するような言い方だ。
 挑発でもしている気なのだろうか。
 大名で二刻? 俺は天下人だぞ?

「だから一周回ってそんなことする必要がない。あ、桜は反省のためにあと半刻そうしてろ」

 仁王立ちで自信満々にそう言う。
 まぁ、仁王立ちなのは足を動かしたくないだけだが。

「ほっほ、一筋縄ではいかんようじゃ」

「・・・・・・で、俺はお前に聞きたいことがあってやって来たんだ」

「伺っております。では、そこにおかけください」

「嫌だ。せめてさっきの茶室にしろ!」

 我儘を言っているわけではない。
 この板の間と言う空間は天海の領域。
 此処で話す限り、恐らく相手のペースから逃れることはできない。
 だって足が痛くて集中できないし。

「ほ? もう弟子は遠ざけましたぞ?」

「はぁ? 呼び戻せよ」

 あくまで我儘を言っているんじゃない。
 自分のペースで話すためにも相手の想像しないことを言わなければいけないだけだ。
 
「ほほ、そう仰らずもう少しお続けになられてはいかがかのう。少しは悟りというものが分かるかもしれませんぞ?」

 悟り、ねぇ?

「天海和尚は既に開いている、と?」

「ほっほ、俗世にかかずらっておるうちはまだまだでしょうな」

 ・・・・・・ふむ、どう切り崩すか。

「俗世とは? どうして大名達とつながりを持つ?」

 俗世が権力や金、力に関連しているのなら・・・・・・。

「ほほ、それが要件でございますな? 大名との繋がり、はて、拙僧にとっては誰もが迷い多く道を選べぬ者ばかり。大名であることは何ら関係なく、拙僧が導ける者の手を取っておるだけにございます」

「ふん、では道とは?」

「それこそ人それぞれ異なるもの。ですが、勘違いされてはいけません。拙僧の下へ相談に来るものは既に心の中で進む道を決めているのです」

「は? じゃぁ、来る意味ないじゃん」

「ほっほ、まだお若い。若いが故に迷いがないようじゃ。それともそのお立場にいらっしゃるからですかな?」

「さあな。知らん」

 ・・・・・・ようやく回復してきた、足が。

「さ、あとの話は茶室でだ」

「ま、待ってください秀頼様!?」

 今度は桜の方が足をプルプルさせている。
 ・・・・・・やべぇ、なんか今無性に襲いたい!

「ちょ、駄目ですよ!? そんな目で見ないでください! 此処お寺ですよ!?」

 まぁ、今はやることがあるから仕方ない、か。

「チッ、じゃぁ、もう少しここで話すか」

「ほっほ、その方がよろしいようですのぅ」

 カンラカンラと笑う天海には天下人と相対していると言うのに全く恐れやこわばりが無い。
 それだけ肝が据わっているということなのだろうか。

「例えば政宗にどのような道を説いた?」

「それは拙僧の口から申し上げるわけにはまいりません。伊達様にご確認ください」

「俺が聞いているのに答えない、と?」

「ここは寺で、拙僧は坊主にございますれば」

 むぅ、手強い。

「こういうことは言いたくないが、俺、結構寄進しているよね?」

「そうでございますな。亡き太閤殿下の遺志を引き継がれたのでしたな」

 やめたら父上の遺志に背くってか?
 それにしても、ああ言えばこう言う坊主だ。

「・・・・・・まぁ、良い。老い先短い爺さんを脅しているようで良い気分がしないしな」

「ほっほ、恐縮です」

 もっとも、あと30年以上生きるのは知っているので、老い先は長いんだが・・・・・・。

「天海、お前は豊臣の世を乱す気はあるか?」

「ありませぬ。どうして坊主が乱を望みましょう」

 笑みをスッと解き、天海が真面目な顔をする。

「一つ、申し上げますれば拙僧は水鏡の如くあろうと考えております」

「・・・・・・映るは己の姿、か?」

「ほっほ、お見事。先程も申しましたな、迷い多く道を選べぬもの、と。選ぶべき道は既に知っているのに、些事が邪魔をして選べない。それが俗世というものでございましょう。拙僧が導くのはその選ぶべき道なのでございます」

 ・・・・・・成る程、人は他人に話を聞いてもらうだけで頭の中が整理されて出せなかった答えを導き出せることがある。
 おそらく、天海はその究極系なのだろう。
 だとすれば、天海の下に大名をはじめとして多くの者が訪れる理由も分かる気がする。

「・・・・・・水面は穏やかなばかりではないだろう?」

「多少揺蕩っていたとしても、またそれも己の姿。映し出されるものは変わらないのでございます」

 もしも嘘を吐いていなけいのであれば、天海に責はないのかもしれない。

「・・・・・・さて、天海もう少し付き合ってもらうぞ」

「拙僧で良ければ喜んでお相手いたしましょう」

 にっこりとお互いに笑い合い、茶室に向かう。
 喉も乾いた事だしね。

 桜が後ろをプルプルしながら追いかけてくるのが面白かった。


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新作「プニプニホッペの魔王様」を連載し始めました。ご一読いただけると幸いです。……ただ、あれは女性目線の小説に挑戦してみたというものなので、こっちの雰囲気は一切関係ないですけどw
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