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千姫ルート 南京城攻略戦2
南京城突入(エロ度☆☆☆☆☆)
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「な、なんじゃぁ!?」
妓楼でその日を迎えた進安は、戦闘音に飛び起きた。
進安の知る限り、城はまだ包囲されておらず、大野党団もまだ到着していない。
近くで起きるはずのない騒ぎなのだ。
「何が起きた!?」
部屋を飛び出れば、部下の兵が大慌てでやってくる。
「張将軍が反乱を起こしました!」
権力を絶対視する進安はその言葉を一瞬理解できない。
下の者が裏切るなどあってはならないことなのだ。
「・・・・・・おのれ! あの若造が!」
憤怒の表情で刀を抜き、振り回す。
幸い妓楼の者は逃げていたので斬られることはなかったが、そこかしこを破壊していく。
「李将軍。反乱軍の数は5000に上ります。此処は一先ず逃れた方がよろしいかと」
進安がじろりとその部下を睨む。
その献策は別に進安のために言ったのではない。
自分が逃げたいだけだ。
「・・・・・・どの門からじゃ?」
「ははっ! 北がよろしいかと」
北に逃げれば直ぐに港に着く。
そうすれば逃げ切れる。
「フンっ! 兵を集結させて命じよ! ・・・・・・撤退の前に、出来る限り陛下の財を確保し火を放て、とな」
三国志の董卓の様な奸臣の行い。
だが、居勝とてそんなことは疾うに予想がついている。
協力を得られることになった民や商人たちを反乱に一切参加させなかったのは、進安の兵の対処を任せたからだ。
着々と自分の命数が尽きかけていることに、進安はまだ気付いていなかった。
3軍が合流し、南京を目指していた日本軍も、既に南京城を眼中に収めていた。
そして、東門に日本軍旗・日の丸が掲げられ、開門を始めたのを見ていた。
それは予定よりも随分と早い。
「これは、何か変事がありましたか」
井頼はその意味を感じとり、騎兵のみ2000程を先行させることを提案する。
それを千姫が了承し、忠勝を将とし、また、島津より願い出て来た豊久が副将として同行することとなった。
「よろしいですか? 反乱を起こし、こちらに付いた明軍は片袖を破いております。それ以外は敵と判断してください。あの様子ではどうやら城門の制圧に兵を使いすぎ、政庁のある街の中心を押さえられていないようです。一息に政庁を目指し、敵大将を捕えてください。殺して構いません」
「大将ってことは、少しは骨があるんでしょうな!?」
豊久の野獣の様な闘志に井頼は少し後ずさりしてしまう。
「・・・・・・あのような非道しか行えぬ将。小物であろう」
逆に泰然としていた忠勝が返事をしてくれる。
「ええ。ですが、非道を行う将であれば、こういった時の逃げ足と、死に際の醜さはそうとうのものでしょう。時間をかけずに首を取ることを心がけてください」
「「応っ!」」
二将と二〇〇〇の兵が駆けていく。
と、それを見送れば、片袖を破いた明の騎兵がこちらへと向かってくるのが見える。
「ふむ、やはり変事ですか」
伝令が運んできた文を広げ確認すれば、進安が野党と通じていることが書かれている。
また、その他のことも想像通りであった。
「皇后様、全軍の行軍を早め、一息に城内に入ります。敢えて西と南北の三つの門は開かせず、このまま東門より全軍を入れます。同時に加藤殿、島津殿の軍に敵の索敵をお命じください」
「はい。井頼殿の良きように」
千姫が頷いた瞬間に、両将への指示を出す。
油断して背後を見せている時であればともかく、いると分かっていれば野党など二将の軍の前では役に立たない。
そして、門を開けさせねば敵を逃すこともない。
「皇后様、今日で幕となりそうです」
「ええ。予定よりも大幅に短縮できてよかったです。ですが、最後まで油断はいけませんよ」
「ははっ!」
井頼としてもそこで気を抜くつもりはない。
千姫のために完全なる勝利を、その気持ちは誰にも負けないものなのだから。
もしかすると進安は居勝の反乱を知った時点で逃げていれば逃げ切れたのかもしれない。
だが、欲を出し、商人たちの家から財貨を持ち出そうとしたが故にその時間も失ってしまった。
進安が政庁の2階から見下ろせば、倭軍の兵たちが既に包囲を完了している。
此処に至るまで誰一人としてその行軍を邪魔しなかったのだ。
大都市と言えど、馬の脚で一直線の道を駆ければ荷造りに余念のない進安の下へなど簡単に到達する。
もう、どうしようもないことは誰の目にも明らかだった。
「ぬぅ、そうじゃ、講話じゃ、講話を持ちかけよ!」
だが、振り返った先には数多くいた部下は誰もいない。
進安を放って誰もが我先にと逃げ出したのだ。
「ぐ、ぐぅ、まだじゃ、まだ!」
階下から大勢の人の足音が聞こえる。
直ぐ間近に迫ったその脅威に進安はきょろきょろと辺りを見回す。
だが、そこに合ったものはほとんどがに荷として積めてしまった
あるのはそれこそ進安の愛用の剣だけ。
「・・・・・・そうじゃ、儂の剣、これが、っ!?」
ドン、と扉が蹴破られ、豊久が中に押し入る。
「大将首、貰ったぁ!!」
「ヒィッ!?」
本物の戦人の剣幕に進安は怯み。
「・・・・・・あ?」
そして、窓から落ちて行った。
ゴキュッ
地上から妙に鈍い音が響く。
「・・・・・・かぁっ!? 何っつー情けない大将じゃぁ。首の骨折って死んどるぞ」
ポリポリと頭を掻きながら、進安を見下ろし、豊久は嘆息する。
また、名を売る機会を逃してしまった、と。
「終いじゃ終い。敵の補給線を討っていた時の方がまぁだ良かったわ!」
あまりにも呆気ない幕切れに豊久は天を仰ぐ。
一体何時になれば自分を燃えさせる戦に出逢えるのか、と。
妓楼でその日を迎えた進安は、戦闘音に飛び起きた。
進安の知る限り、城はまだ包囲されておらず、大野党団もまだ到着していない。
近くで起きるはずのない騒ぎなのだ。
「何が起きた!?」
部屋を飛び出れば、部下の兵が大慌てでやってくる。
「張将軍が反乱を起こしました!」
権力を絶対視する進安はその言葉を一瞬理解できない。
下の者が裏切るなどあってはならないことなのだ。
「・・・・・・おのれ! あの若造が!」
憤怒の表情で刀を抜き、振り回す。
幸い妓楼の者は逃げていたので斬られることはなかったが、そこかしこを破壊していく。
「李将軍。反乱軍の数は5000に上ります。此処は一先ず逃れた方がよろしいかと」
進安がじろりとその部下を睨む。
その献策は別に進安のために言ったのではない。
自分が逃げたいだけだ。
「・・・・・・どの門からじゃ?」
「ははっ! 北がよろしいかと」
北に逃げれば直ぐに港に着く。
そうすれば逃げ切れる。
「フンっ! 兵を集結させて命じよ! ・・・・・・撤退の前に、出来る限り陛下の財を確保し火を放て、とな」
三国志の董卓の様な奸臣の行い。
だが、居勝とてそんなことは疾うに予想がついている。
協力を得られることになった民や商人たちを反乱に一切参加させなかったのは、進安の兵の対処を任せたからだ。
着々と自分の命数が尽きかけていることに、進安はまだ気付いていなかった。
3軍が合流し、南京を目指していた日本軍も、既に南京城を眼中に収めていた。
そして、東門に日本軍旗・日の丸が掲げられ、開門を始めたのを見ていた。
それは予定よりも随分と早い。
「これは、何か変事がありましたか」
井頼はその意味を感じとり、騎兵のみ2000程を先行させることを提案する。
それを千姫が了承し、忠勝を将とし、また、島津より願い出て来た豊久が副将として同行することとなった。
「よろしいですか? 反乱を起こし、こちらに付いた明軍は片袖を破いております。それ以外は敵と判断してください。あの様子ではどうやら城門の制圧に兵を使いすぎ、政庁のある街の中心を押さえられていないようです。一息に政庁を目指し、敵大将を捕えてください。殺して構いません」
「大将ってことは、少しは骨があるんでしょうな!?」
豊久の野獣の様な闘志に井頼は少し後ずさりしてしまう。
「・・・・・・あのような非道しか行えぬ将。小物であろう」
逆に泰然としていた忠勝が返事をしてくれる。
「ええ。ですが、非道を行う将であれば、こういった時の逃げ足と、死に際の醜さはそうとうのものでしょう。時間をかけずに首を取ることを心がけてください」
「「応っ!」」
二将と二〇〇〇の兵が駆けていく。
と、それを見送れば、片袖を破いた明の騎兵がこちらへと向かってくるのが見える。
「ふむ、やはり変事ですか」
伝令が運んできた文を広げ確認すれば、進安が野党と通じていることが書かれている。
また、その他のことも想像通りであった。
「皇后様、全軍の行軍を早め、一息に城内に入ります。敢えて西と南北の三つの門は開かせず、このまま東門より全軍を入れます。同時に加藤殿、島津殿の軍に敵の索敵をお命じください」
「はい。井頼殿の良きように」
千姫が頷いた瞬間に、両将への指示を出す。
油断して背後を見せている時であればともかく、いると分かっていれば野党など二将の軍の前では役に立たない。
そして、門を開けさせねば敵を逃すこともない。
「皇后様、今日で幕となりそうです」
「ええ。予定よりも大幅に短縮できてよかったです。ですが、最後まで油断はいけませんよ」
「ははっ!」
井頼としてもそこで気を抜くつもりはない。
千姫のために完全なる勝利を、その気持ちは誰にも負けないものなのだから。
もしかすると進安は居勝の反乱を知った時点で逃げていれば逃げ切れたのかもしれない。
だが、欲を出し、商人たちの家から財貨を持ち出そうとしたが故にその時間も失ってしまった。
進安が政庁の2階から見下ろせば、倭軍の兵たちが既に包囲を完了している。
此処に至るまで誰一人としてその行軍を邪魔しなかったのだ。
大都市と言えど、馬の脚で一直線の道を駆ければ荷造りに余念のない進安の下へなど簡単に到達する。
もう、どうしようもないことは誰の目にも明らかだった。
「ぬぅ、そうじゃ、講話じゃ、講話を持ちかけよ!」
だが、振り返った先には数多くいた部下は誰もいない。
進安を放って誰もが我先にと逃げ出したのだ。
「ぐ、ぐぅ、まだじゃ、まだ!」
階下から大勢の人の足音が聞こえる。
直ぐ間近に迫ったその脅威に進安はきょろきょろと辺りを見回す。
だが、そこに合ったものはほとんどがに荷として積めてしまった
あるのはそれこそ進安の愛用の剣だけ。
「・・・・・・そうじゃ、儂の剣、これが、っ!?」
ドン、と扉が蹴破られ、豊久が中に押し入る。
「大将首、貰ったぁ!!」
「ヒィッ!?」
本物の戦人の剣幕に進安は怯み。
「・・・・・・あ?」
そして、窓から落ちて行った。
ゴキュッ
地上から妙に鈍い音が響く。
「・・・・・・かぁっ!? 何っつー情けない大将じゃぁ。首の骨折って死んどるぞ」
ポリポリと頭を掻きながら、進安を見下ろし、豊久は嘆息する。
また、名を売る機会を逃してしまった、と。
「終いじゃ終い。敵の補給線を討っていた時の方がまぁだ良かったわ!」
あまりにも呆気ない幕切れに豊久は天を仰ぐ。
一体何時になれば自分を燃えさせる戦に出逢えるのか、と。
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新作「プニプニホッペの魔王様」を連載し始めました。ご一読いただけると幸いです。……ただ、あれは女性目線の小説に挑戦してみたというものなので、こっちの雰囲気は一切関係ないですけどw
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