関白の息子!

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千姫ルート 南京城攻略戦2

女たちの夜会(エロ度☆☆☆☆☆)

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 居勝が200の明兵を連れ、南京城に戻った夜。

 日本軍陣営には、男くさい陣幕の中でただ一つ異質な香りを放つ帷幕がある。
 千姫のために設営されたその帷幕には、この1万5000の軍においてたった3人の女性が共に寝泊りしているのだ。
 千姫、お麟、それに季夏。

 季夏には言葉は通じないが、漢文による筆談であれば直接話をすることができ、寝る前には3人でお喋りをするようになっていた。
 もっとも、墨を使えば直ぐに紙が無くなってしまうので、水だけで文字を書き、何度も使いまわしている。
 敷布団は草わらに布を敷いただけの粗末なものなので、どうしたって寝心地が良いとは言えないが・・・・・・。
 それでも、腐乱死体の埋葬などと言う作業を繰り返す日々の中で、夜のこのお喋りは心を和ませてくれるものだった。
 真ん中にお麟を挟んでのガールズトーク。

『季夏さん、また離れることになって辛くないですか?』

 少し、聞こうかどうか迷いながらも千姫が尋ねる。

『はい。辛いですけど、夫の帰りを待つのも妻の務めでしょう?』

 それは、昼の千姫の揚げ足を取るようないたずらな返答だった。
 見ればその表情もしてやったりと言った感じに笑っている。

 ・・・・・・元気になって良かった。
 千姫は素直にそう感じていた。
 実は千姫にしてみれば、季夏は夫を支えるためにその身を犠牲にして戦った尊敬すべき人なのだ。

 自分なんて何時も兄上に助けられてばかりなのに・・・・・・。
 夫を支えるのが妻の役目などと言いつつ、まだ妻となっていない季夏はこれほどのことを行っているのに、迷惑をかけっぱなし。
 今回の件では、下手をすれば国の根幹を揺るがせていたかもしれないのにと考えてしまう。

「どうかしましたか?」

 千姫の表情が陰ったのを気にしたのだろう、季夏が心配そうに聞いてくる。

「い、いえ。大丈夫です。って、書かなきゃ通じないか」

「あ、私代わりに書きます」

 サラサラとお麟が千姫の言葉を書いていく。
 それは毎夜の事ではあるのだが、季夏はその様子をいつも不思議そうに見つめている。
 まぁ、5歳児が漢文を使いこなすのは確かに異常ではあるだろう。

『お麟さんは本当に凄いですね』

 それには千姫も素直に共感する。
 しかも、季夏は知らないが、お麟は兵器や軍略はては性技にまで通じる。
 もっとも、漢文については純粋に今世で学んだことなので、それらの知識と同一に見るべきではないのかもしれない。

『いえ。まだまだです。ですので、南京では季夏さんの実家の書庫を見せてくださいね』

 それは季夏が大商人の娘ということを知り、真っ先に約束させていた。
 上海で書物を手に入れられなかったことがよほど悔しかったのだろうか。

『お麟ちゃん、また過労で倒れるまで本を読むのは禁止だからね』

 以前、福岡城の書庫の番に任じられた時、お麟は何日も夜通し本を読み漁り遂に倒れたことがあるのだ。
 そうでなくても子供は寝るのも仕事と言って、お麟を2刻以上しかりつけたのだ。
 それ以来というもの、千姫は夜に書庫に明かりが点いていると無理矢理にお麟を引っ張り自分の布団に一緒に寝かせるようになった。
 実はここで一緒に寝かせているのも、監視の意味合いが強い。

「大丈夫です! ちゃんと寝ます!」

 だが、お麟は千姫と目を合わせようとしない。
 ・・・・・・どうやら今まで通りの強硬手段に出る必要があるらしい。

『お麟ちゃんは放っておくと何日でもずっと本を読み続けるので、夕方になったら追い出してくださいね』

 なので、今のうちに季夏にそうお願いをしておくことにした。

『凄いですね。分かりました』

『でも、でも、その時は少し本を貸し出してください』

『駄目です! 貸さないでください』

 一度筆が乗り出すと3人のお喋りは尽きることがない。
 その後は南蛮のお菓子の話や歌に出てくる美しい殿方の話など心行くまで異文化交流を愉しんだ。

 もっとも、お麟は途中で興味を無くし寝てしまった。
 だが、その姿は幼い少女のそれで、2人にとっても微笑ましく見えた。

 どうしてこういう交流でなく、戦争と言う形で交わってしまったのか。
 この戦に関わり亡くなった多くの人のことを思うと、千姫にはそれがただただ悔しかった。


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新作「プニプニホッペの魔王様」を連載し始めました。ご一読いただけると幸いです。……ただ、あれは女性目線の小説に挑戦してみたというものなので、こっちの雰囲気は一切関係ないですけどw
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