関白の息子!

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千姫ルート 南京城攻略戦1

進軍1(エロ度☆☆☆☆☆)

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 上海中を燃やす様な火は二日の間静まることはなく、上海要塞には延焼はしなかったものの、明軍30万の悲鳴が昼夜問わずに鳴り響いた。

「・・・・・・どうか、安らかに」

 千姫の祈りに合わせ、城兵三万も同様に祈る。
 自らが産み出した惨劇は脳裏に焼き付いている。
 今もそこら中から肉の焦げた匂いが漂っている。

 ちらほらと生き残った兵も見えるが、疾うに戦意はない。
 もしも向かってくるなら討つが、基本的には放っておくことになっている。
 もしかしたら、殺してやった方が救いになるのかもしれないが、その時間もないのだ。

「皇后様、出発いたします」

「・・・・・・はい」

 しかし、千姫はそれ以上考えず、今は進軍をすることにした。
 既に大和などの船から大砲や弾薬は下ろした。
 敵の妨害次第ではあるが、30日もあれば南京に到着する。
 上海の戦が予想をはるかに上回る早期決着に終わったことで、それでも50日くらいの攻城の時間が許される。

「こちらは新式砲で敵の射程外から攻撃出来ます。問題は無いでしょう」

「・・・・・・井頼殿。しかし、この攻撃で城壁を崩してしまえば南京を手に入れた後の防衛が出来ないのでは?」

 千姫が心配する通りではある。
 しかし、

「仰る通りです。ですが、囲んで敵の士気が落ちるのを待っていれば時間がかかる。まして、明の城の造り方はそう言った攻撃に非常に強いのです」

「どういうことです?」

「はい。小田原などの造りもそうなのですが、町民の家屋まで全て城の内に含む総構えは街の中に畑まであるのです。単純にその中だけでかなりの期間生きていけます。もっとも、その分住民の叛気を気にし続けなければいけませんが・・・・・・」

「逆に住民の心を掴んでいれば、それが兵にもなりかねないということですね」

 千姫が言い出したことは実は井頼は心配していない。
 それは明軍の進軍における非道が少なからず伝わっているはずだからだ。
 そして・・・・・・。

「皇后様、輿に乗られた方が我々としても守りやすいのですが・・・・・・」

「いいえ! 私は馬で参ります。もう何度もそう言いました!」

 それは井頼だけではなく、信繁や基次からも勧められていたのだが、千姫は頑として譲ってくれなかった。
 輿であれば見ないで済むものも、馬であれば否応なく目に入ってしまう。
 進路を変えられればいいのだが、そう言うわけにもいかない。
 大砲を引いて行ける道など限られているのだ。

「・・・・・・分かり、ました」

 井頼としてはこれ以上千姫に傷付いて欲しくないという、その一心であった。
 だが、千姫は自分たちの引き起こした戦で迷惑をかけてしまったであろう者達から目を背けたくないと言った。
 実際には迷惑どころではなく、途上の村々には生きている者は残っていないほどだ。

「どうか、お気を強く持たれますように」

 千姫の優しさが彼女自身を傷付ける。
 そのことを分かっていながら何も出来ない、自分に無力感を感じながら井頼は全軍に進軍の指示を出した。
 その数22000ほど。
 攻防戦での脱落者5000と、燃え残った死骸を堀に埋める処理隊3000を残し、日本軍は進軍を始めた。



 出発から2刻半(5時間)ほどで、加藤軍・島津軍と合流することとなる。
 両軍ともに、数百の死者を出してはいたが、大戦果を挙げてくれていた。

「加藤将軍、島津殿、この度の勝利は貴方達のおかげです。ありがとうございます!」

 千姫は両将を前に下馬し、丁寧に礼を言う。
 そんな姿もまた優美で、近くにいる者は見惚れてしまう。

「このまま南京攻略に移ります。お二方の軍には再び5000ずつを率いて遊軍となり先行していただきたいと考えていますが、よろしいですか?」

「もちろんです。ただ、皇后様、一つお願いしてもよろしいでしょうか」

 不意に清正の発した言葉に千姫も困惑する。

「はい。ですが、この場で出来ることなど大して・・・・・・」

「ああ、いえ。恩賞やそう言う話ではございません。実は我が軍で一人、恐らく近隣の村から攫われてきたであろう娘を保護していますが、これよりの行軍の邪魔となるので出来れば預かっていただきたいのです」

「あ、はい。そう言うことでしたら」

 思いがけない願いではあるが、確かにこの後の加藤軍の行軍速度は千姫達本隊の倍以上となる。
 そんな中にまともに馬にも乗れない娘がいても迷惑なだけ。
 更に言えば、美しいこともありムラムラしてきてしまう。

「なにせ、村があんな状況ですので、開放しても野垂れ死ぬだけなのは明白。どうしたものかと苦心していました」

「・・・・・・あんな状況? やはり戦で近隣の村に迷惑をかけてしまったのですか?」

 申し訳なさそうにする千姫の表情に、清正はしまったと己の失態を恥じる。
 見れば井頼も取り繕おうと焦っている。
 よく考えてみれば、その情報をあえて伝えないようにすることはあり得る話である。
 とは言え、千姫は総大将で、その情報は常に伝えていたのだから、清正が知っている前提で話したのも無理はない。
 言ってしまえば前もって口裏を合わせなかった井頼の失態とも言えた。

「もしかして、食糧を搾取されたのですか? だとしたら、我々の余剰分を出来る限り・・・・・・。あの、どうしたのですか?」

 だが、どちらにしてももう隠せる状況ではない。
 戦争の現実は上海でも十分に見たはずだ。

「・・・・・・皇后様、実は」

 井頼は出来る限り端的に、彼女が責任を感じない様にと気遣いながら、隠していた明軍の非道を伝え始めた。


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新作「プニプニホッペの魔王様」を連載し始めました。ご一読いただけると幸いです。……ただ、あれは女性目線の小説に挑戦してみたというものなので、こっちの雰囲気は一切関係ないですけどw
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