242 / 323
千姫ルート 上海要塞防衛戦5
攻城4(エロ度☆☆☆☆☆)
しおりを挟む
居勝が南門の攻撃を指示し、既に四半刻(30分)。
未だ城門を破ったという報告はない。
既に中天に日は昇り、今の時期であれば後2刻もすれば日が落ちだす。
夜戦の用意をしていない以上は兵を撤退しなくてはいけない。
そうすれば、当然今日中の決着とはいかない。
「・・・・・・堀は埋まったか?」
焦れながらも無理に平静を保ちながら兵に問う。
「はっ! 西側はすでに8割以上が埋まりました。南は未だ6割といったところです」
「構わぬ。どちらかを越えられれば良い」
日本軍が1カ月近くをかけて掘った堀の4分の1をたった一日で埋めたというのだから、驚くべきものではある。
もっとも、それも南門を抜いてしまえば無駄な労力となるが・・・・・・。
「李将軍! 私は南側の指揮に当たって参ります!」
「うむ!」
進安の方も焦れていたのだろう。
居勝の進言に二言返事で答えてしまう。
もしも、居勝でなく進安が南に向かったのであれば、この後の展開も大きく変わっていたかもしれない。
この西側からは倭水軍が動いているのが確認できたのだから。
それが、日本軍にとっての幸運であり、明軍にとっての不運であった。
南側に居勝が到着した時、門は未だ開かれたままであるにも関わらず、10万を超える兵が堀の前で押し固まったままになっていた。
城門に繋がる橋の出口には無双の武人が立ちはだかり、次々と兵を殺していく。
四半刻も殺し続けているというのに、その動きは精細さを全く失っていない様に見えた。
いや、変わらずに居勝の推し量れる遥か上にある様に見えた。
「・・・・・・武器を投げ、間合いの外から攻撃せよ!」
なぜ弓を持たせなかったのかと今更悔やんでも仕方がない。
土嚢を使った戦術が誤りだったわけではないが、物事にやり過ぎはよくないのだ。
・・・・・・いや、そもそも、倭軍の対応が常識を外れている。
あのような一個の武勇に頼るなど。
「いや、いっそ土嚢を投げても良い。近場にある石でも良い。とにかく数を投げ、あの将を殺せ!」
「ははっ!」
居勝の剣幕に押され、伝令の兵たちが動く。
「・・・・・・なんだ?」
苛立ちながら顔を上げた時、居勝が見たのは白い煙、つまり狼煙であった。
「・・・・・・何の合図だ?」
狼煙は一般的に離れたところに合図を出す方法である。
銅鑼の音すら届かぬ遠くに、だ。
倭軍の2つの遊軍のことは、当然居勝の頭にも残っている。
それを無視したわけではないが、同時に介入してきても対応は可能である。
西側の戦力は後列を振り向かせるだけで良いし、南側もだいぶ前掛かりになってしまったといってもそれで兵数の差が完全にひっくり返るわけではない。
「っ!?」
その意味を考え始めたところで狼煙の色が変わる。
真っ赤になった狼煙は、明らかに何かの合図だ。
そして、その瞬間、敵の銃声が止み、あの戦神が踵を返して城門に向かう。
「いかん! 退け!」
言い知れぬ不安を感じ、居勝の出した指示だったが、2里近く離れた戦場に届くことはなかった。
未だ城門を破ったという報告はない。
既に中天に日は昇り、今の時期であれば後2刻もすれば日が落ちだす。
夜戦の用意をしていない以上は兵を撤退しなくてはいけない。
そうすれば、当然今日中の決着とはいかない。
「・・・・・・堀は埋まったか?」
焦れながらも無理に平静を保ちながら兵に問う。
「はっ! 西側はすでに8割以上が埋まりました。南は未だ6割といったところです」
「構わぬ。どちらかを越えられれば良い」
日本軍が1カ月近くをかけて掘った堀の4分の1をたった一日で埋めたというのだから、驚くべきものではある。
もっとも、それも南門を抜いてしまえば無駄な労力となるが・・・・・・。
「李将軍! 私は南側の指揮に当たって参ります!」
「うむ!」
進安の方も焦れていたのだろう。
居勝の進言に二言返事で答えてしまう。
もしも、居勝でなく進安が南に向かったのであれば、この後の展開も大きく変わっていたかもしれない。
この西側からは倭水軍が動いているのが確認できたのだから。
それが、日本軍にとっての幸運であり、明軍にとっての不運であった。
南側に居勝が到着した時、門は未だ開かれたままであるにも関わらず、10万を超える兵が堀の前で押し固まったままになっていた。
城門に繋がる橋の出口には無双の武人が立ちはだかり、次々と兵を殺していく。
四半刻も殺し続けているというのに、その動きは精細さを全く失っていない様に見えた。
いや、変わらずに居勝の推し量れる遥か上にある様に見えた。
「・・・・・・武器を投げ、間合いの外から攻撃せよ!」
なぜ弓を持たせなかったのかと今更悔やんでも仕方がない。
土嚢を使った戦術が誤りだったわけではないが、物事にやり過ぎはよくないのだ。
・・・・・・いや、そもそも、倭軍の対応が常識を外れている。
あのような一個の武勇に頼るなど。
「いや、いっそ土嚢を投げても良い。近場にある石でも良い。とにかく数を投げ、あの将を殺せ!」
「ははっ!」
居勝の剣幕に押され、伝令の兵たちが動く。
「・・・・・・なんだ?」
苛立ちながら顔を上げた時、居勝が見たのは白い煙、つまり狼煙であった。
「・・・・・・何の合図だ?」
狼煙は一般的に離れたところに合図を出す方法である。
銅鑼の音すら届かぬ遠くに、だ。
倭軍の2つの遊軍のことは、当然居勝の頭にも残っている。
それを無視したわけではないが、同時に介入してきても対応は可能である。
西側の戦力は後列を振り向かせるだけで良いし、南側もだいぶ前掛かりになってしまったといってもそれで兵数の差が完全にひっくり返るわけではない。
「っ!?」
その意味を考え始めたところで狼煙の色が変わる。
真っ赤になった狼煙は、明らかに何かの合図だ。
そして、その瞬間、敵の銃声が止み、あの戦神が踵を返して城門に向かう。
「いかん! 退け!」
言い知れぬ不安を感じ、居勝の出した指示だったが、2里近く離れた戦場に届くことはなかった。
0
新作「プニプニホッペの魔王様」を連載し始めました。ご一読いただけると幸いです。……ただ、あれは女性目線の小説に挑戦してみたというものなので、こっちの雰囲気は一切関係ないですけどw
お気に入りに追加
876
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
クラスメイトの美少女と無人島に流された件
桜井正宗
青春
修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。
高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。
どうやら、漂流して流されていたようだった。
帰ろうにも島は『無人島』。
しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。
男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?



【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

体育座りでスカートを汚してしまったあの日々
yoshieeesan
現代文学
学生時代にやたらとさせられた体育座りですが、女性からすると服が汚れた嫌な思い出が多いです。そういった短編小説を書いていきます。
サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる