194 / 323
秀頼ルート 徳川家存続作戦
大坂城五人衆の一(エロ度☆☆☆☆☆)
しおりを挟む
「おお。何時も見下ろすばかりだからか、自分の足で歩いて見ると雰囲気が違うな」
堺の街を一般の武士と変わらぬ服装で歩く。
隣りには同じく町娘姿の桜と護衛がいるものの、危険と言えば危険。
なんと言っても今日会いに行くのは歴史に名を残す剛の者なのだから。
それにしても身分を隠しての市中見回りなど、まるでどこぞのチャンバラ将軍のようだ。
「ちょっ、あまり大きな声で話さないでください!」
俺自身は少し楽しんでいるきらいがある。
だが、護衛役からすれば、そこかしこを刀を差した者が行き交うのだから気が気じゃないかもしれない。
「おいおい、変に警戒していたら逆に怪しいじゃん」
「・・・・・・その豊秀様。本当にこんなところに後藤様はいらっしゃるんですか?」
豊秀とは世を忍ぶ仮の姿w
まぁ、俺の体格はこの時代では珍しいので、実はあまり隠れてないんだけどね。
それに、もちろん世直しや見分を広げることが目的ではない。
明での助っ人に、正史では大阪五人衆の一人として活躍した後藤(又兵衛)基次を頼ろうと考え、直接頼みにやって来たのだ。
大阪城五人衆と言えば真田信繁、毛利勝永、長宗我部盛親、後藤基次、明石全登の五人。
彼等は風前の灯火と化した豊臣家に味方し、大坂の陣で奮戦してくれたのだ。
もっとも、そのほとんどが関ケ原の敗者側の立場で浪人生活を送っていた者達。
そして、関ケ原が起きなかった今は勝長や盛親、全登もそれぞれ大名になったり、その下で活躍している。
ただし、その中で一人だけ、正史と同様に浪人生活を送っている者がいる。
それが今回会いに来た後藤基次と言うわけだ。
「調べてきたのは桜の部下のくノ一だろう? 信じてやれよ」
「でも、こんなみすぼらしい長屋にあんなに武名高い方がいるとは・・・・・・」
基次は如水や長政の指揮下で、多くの戦において活躍した名将。
既に全国に名が知れ渡っていて、浪人となった今は引く手数多・・・・・・のはずだったのだが、そうはいかない。
基次は四年も前に黒田家を出奔。
一時は細川家に仕えていたそうだが、黒田家に奉公構と言う処置をとられてしまう。
この奉公構というのは、出奔したり改易した者を他家が召し抱えないための措置であり、切腹に次ぐほどの重い刑罰に当たる。
だからどんなに名将と言えども、彼を召し抱えれば黒田家に喧嘩を売ることになる。
・・・・・・いや、羽柴家法に、豊臣家に喧嘩を売ることになるのだ。
「謀反の疑いをかけられ出奔した方なんですよね?」
「ん~、なんでも顔が広い奴で(細川)忠興とかと手紙をやり取りしてたらしいよ? んでそれを他家とのやり取りって疑われたと」
他家と言ってもみんな豊臣の一部なんだけどね。
「そのような方、大丈夫なんですか?」
「ん? 長政にも確認とったじゃん。大丈夫だよ」
先日長政が来た時に奉公構を解いてもらい、その人物についても尋ねてみた。
・・・・・・ザックリ言うと、自分にも他人にも厳しく、こうと思ったことは決して曲げない男だそうだ。
まぁ、融通が利かないとも言う。
「で、この部屋で良いのか?」
「・・・・・・あの、部屋じゃなくて家ですよ? 庶民の家はお城と違って小さいんですからね?」
「へ? こんな小さなところで暮らしてるの?」
大阪城なら厠くらいの大きさじゃなかろうか?
むぅ、天下人の生活が続くと一般的な感覚が分からなくなるな。
こういう時は前世の知識を・・・・・・うーん、ワンルームマンションよりは少し広い?
「ま、どうでもいいや。桜」
「はい。ごめんくださーい」
障子付きの引き戸を叩きながら桜が声をかける。
だが返事は無い。
「豊秀様、中からは人の気配がしません」
「ん? 留守か?」
「は、っ!? 下がって!」
瞬間、爆弾でも弾けた様な音と共に、引き戸が宙に向かって吹き飛ぶ。
一早く桜が気付いてくれたおかげで、それがぶつかることは無かったが、当たっていれば痛いじゃすまなかっただろう。
そして、
「なんじゃい、お主らは?」
のそりと現れた毛むくじゃらの大男。
と、言っても俺の方が身長は高いが、相手は二回りほど横に大きい。
脂肪も結構ついているが、浮き出た血管から異常なほど発達した筋肉が観察できる。
まさに熊と言っていいだろう。
「・・・・・・後藤基次様、でよろしいですか?」
「お主・・・・・・忍びじゃのう。また若殿が刺客を放たれたか?」
身構えたままで確認を取る桜だったが、それが余計さら基次の警戒心を煽る。
周囲の空気が凍りつくほどの、まるで抜身のような殺気を互いに放つ。
「豊臣秀頼だ」
「・・・・・・は?」
「・・・・・・へ?」
俺が一言発すると、基次と桜が同時に間の抜けた声を上げる。
一触即発の雰囲気になっている中悪いが、先の質問に答えさせてもらう。
と言うか、そもそもなんで戦闘になりそうな雰囲気になっているんだろう?
「だから、豊臣秀頼だ。職業は皇帝」
ぬん、と腕組みをして威張りながら言ってみる。
常識的に言って皇帝は偉いはずだ。
「・・・・・・お主、阿呆か? 秀頼公がこのようなところにおるはずが無かろうが!」
言うが早いか肉厚の長い太刀を抜き放つ。
「陛下、お下がりを!」
それに反応して俺の前に立った桜も、何時の間にやら忍び刀を抜き、逆手に持っている。
「いるはずないって言われても、いるんだし仕方ないだろ。ほれ、桜。刀をしまえ」
「し、しかし・・・・・・」
「基次もだ。そんなに疑わしいならこの刀を見てみろよ。天下五剣の一、鬼丸国綱だ。こんなもん腰に差してるやつ俺しかいないぞ」
ポイッと腰の国綱を投げて渡す。
後世では間違いなく国宝級の品(御物なので国宝指定や重文指定はされていない)。
それをこれほど適当に扱う人間が天下人以外にいるだろうか?
受け取った基次はそれをすらりと抜き放てば、驚いたような顔をした後に吸い込まれるように見入っている。
「な? 本物だろ?」
「・・・・・・たしかに。しかし、武士の心である刀を左様に扱うは、陛下と言えども武士の所存にはございません」
「そう言うな。これで人一人の命が助かったんだからそれで良い。俺にはいざ戦った時にどちらが勝つかは分からないけどな」
「先ずはご無礼をいたしましたこと、平にご容赦を」
そう言うと、鬼丸国綱を鞘に戻し、片膝をついて差し出してくる。
「もういいから、中に入れてくれ。やたらと喉が渇いた」
「む・・・・・・しかし、当家には陛下にお出しできる物など」
「水でいい。入っても良いか?」
「ははっ! 汚いところではございますが何卒ご容赦を!」
長屋の中はほとんど日も射さないので薄暗い。
おまけに埃っぽくてカビ臭いと劣悪な環境だった。
水を汲んで渡された茶碗にまでひびが入っている。
本当に喉が渇いていたので、一気に飲み干し本題に入る。
「・・・・・・基次。頼みがある――」
これでお千の元には兵と武器と将。
それに盟友まで揃うことになる。
更に俺に出来ることがあるとすれば・・・・・・。
堺の街を一般の武士と変わらぬ服装で歩く。
隣りには同じく町娘姿の桜と護衛がいるものの、危険と言えば危険。
なんと言っても今日会いに行くのは歴史に名を残す剛の者なのだから。
それにしても身分を隠しての市中見回りなど、まるでどこぞのチャンバラ将軍のようだ。
「ちょっ、あまり大きな声で話さないでください!」
俺自身は少し楽しんでいるきらいがある。
だが、護衛役からすれば、そこかしこを刀を差した者が行き交うのだから気が気じゃないかもしれない。
「おいおい、変に警戒していたら逆に怪しいじゃん」
「・・・・・・その豊秀様。本当にこんなところに後藤様はいらっしゃるんですか?」
豊秀とは世を忍ぶ仮の姿w
まぁ、俺の体格はこの時代では珍しいので、実はあまり隠れてないんだけどね。
それに、もちろん世直しや見分を広げることが目的ではない。
明での助っ人に、正史では大阪五人衆の一人として活躍した後藤(又兵衛)基次を頼ろうと考え、直接頼みにやって来たのだ。
大阪城五人衆と言えば真田信繁、毛利勝永、長宗我部盛親、後藤基次、明石全登の五人。
彼等は風前の灯火と化した豊臣家に味方し、大坂の陣で奮戦してくれたのだ。
もっとも、そのほとんどが関ケ原の敗者側の立場で浪人生活を送っていた者達。
そして、関ケ原が起きなかった今は勝長や盛親、全登もそれぞれ大名になったり、その下で活躍している。
ただし、その中で一人だけ、正史と同様に浪人生活を送っている者がいる。
それが今回会いに来た後藤基次と言うわけだ。
「調べてきたのは桜の部下のくノ一だろう? 信じてやれよ」
「でも、こんなみすぼらしい長屋にあんなに武名高い方がいるとは・・・・・・」
基次は如水や長政の指揮下で、多くの戦において活躍した名将。
既に全国に名が知れ渡っていて、浪人となった今は引く手数多・・・・・・のはずだったのだが、そうはいかない。
基次は四年も前に黒田家を出奔。
一時は細川家に仕えていたそうだが、黒田家に奉公構と言う処置をとられてしまう。
この奉公構というのは、出奔したり改易した者を他家が召し抱えないための措置であり、切腹に次ぐほどの重い刑罰に当たる。
だからどんなに名将と言えども、彼を召し抱えれば黒田家に喧嘩を売ることになる。
・・・・・・いや、羽柴家法に、豊臣家に喧嘩を売ることになるのだ。
「謀反の疑いをかけられ出奔した方なんですよね?」
「ん~、なんでも顔が広い奴で(細川)忠興とかと手紙をやり取りしてたらしいよ? んでそれを他家とのやり取りって疑われたと」
他家と言ってもみんな豊臣の一部なんだけどね。
「そのような方、大丈夫なんですか?」
「ん? 長政にも確認とったじゃん。大丈夫だよ」
先日長政が来た時に奉公構を解いてもらい、その人物についても尋ねてみた。
・・・・・・ザックリ言うと、自分にも他人にも厳しく、こうと思ったことは決して曲げない男だそうだ。
まぁ、融通が利かないとも言う。
「で、この部屋で良いのか?」
「・・・・・・あの、部屋じゃなくて家ですよ? 庶民の家はお城と違って小さいんですからね?」
「へ? こんな小さなところで暮らしてるの?」
大阪城なら厠くらいの大きさじゃなかろうか?
むぅ、天下人の生活が続くと一般的な感覚が分からなくなるな。
こういう時は前世の知識を・・・・・・うーん、ワンルームマンションよりは少し広い?
「ま、どうでもいいや。桜」
「はい。ごめんくださーい」
障子付きの引き戸を叩きながら桜が声をかける。
だが返事は無い。
「豊秀様、中からは人の気配がしません」
「ん? 留守か?」
「は、っ!? 下がって!」
瞬間、爆弾でも弾けた様な音と共に、引き戸が宙に向かって吹き飛ぶ。
一早く桜が気付いてくれたおかげで、それがぶつかることは無かったが、当たっていれば痛いじゃすまなかっただろう。
そして、
「なんじゃい、お主らは?」
のそりと現れた毛むくじゃらの大男。
と、言っても俺の方が身長は高いが、相手は二回りほど横に大きい。
脂肪も結構ついているが、浮き出た血管から異常なほど発達した筋肉が観察できる。
まさに熊と言っていいだろう。
「・・・・・・後藤基次様、でよろしいですか?」
「お主・・・・・・忍びじゃのう。また若殿が刺客を放たれたか?」
身構えたままで確認を取る桜だったが、それが余計さら基次の警戒心を煽る。
周囲の空気が凍りつくほどの、まるで抜身のような殺気を互いに放つ。
「豊臣秀頼だ」
「・・・・・・は?」
「・・・・・・へ?」
俺が一言発すると、基次と桜が同時に間の抜けた声を上げる。
一触即発の雰囲気になっている中悪いが、先の質問に答えさせてもらう。
と言うか、そもそもなんで戦闘になりそうな雰囲気になっているんだろう?
「だから、豊臣秀頼だ。職業は皇帝」
ぬん、と腕組みをして威張りながら言ってみる。
常識的に言って皇帝は偉いはずだ。
「・・・・・・お主、阿呆か? 秀頼公がこのようなところにおるはずが無かろうが!」
言うが早いか肉厚の長い太刀を抜き放つ。
「陛下、お下がりを!」
それに反応して俺の前に立った桜も、何時の間にやら忍び刀を抜き、逆手に持っている。
「いるはずないって言われても、いるんだし仕方ないだろ。ほれ、桜。刀をしまえ」
「し、しかし・・・・・・」
「基次もだ。そんなに疑わしいならこの刀を見てみろよ。天下五剣の一、鬼丸国綱だ。こんなもん腰に差してるやつ俺しかいないぞ」
ポイッと腰の国綱を投げて渡す。
後世では間違いなく国宝級の品(御物なので国宝指定や重文指定はされていない)。
それをこれほど適当に扱う人間が天下人以外にいるだろうか?
受け取った基次はそれをすらりと抜き放てば、驚いたような顔をした後に吸い込まれるように見入っている。
「な? 本物だろ?」
「・・・・・・たしかに。しかし、武士の心である刀を左様に扱うは、陛下と言えども武士の所存にはございません」
「そう言うな。これで人一人の命が助かったんだからそれで良い。俺にはいざ戦った時にどちらが勝つかは分からないけどな」
「先ずはご無礼をいたしましたこと、平にご容赦を」
そう言うと、鬼丸国綱を鞘に戻し、片膝をついて差し出してくる。
「もういいから、中に入れてくれ。やたらと喉が渇いた」
「む・・・・・・しかし、当家には陛下にお出しできる物など」
「水でいい。入っても良いか?」
「ははっ! 汚いところではございますが何卒ご容赦を!」
長屋の中はほとんど日も射さないので薄暗い。
おまけに埃っぽくてカビ臭いと劣悪な環境だった。
水を汲んで渡された茶碗にまでひびが入っている。
本当に喉が渇いていたので、一気に飲み干し本題に入る。
「・・・・・・基次。頼みがある――」
これでお千の元には兵と武器と将。
それに盟友まで揃うことになる。
更に俺に出来ることがあるとすれば・・・・・・。
0
新作「プニプニホッペの魔王様」を連載し始めました。ご一読いただけると幸いです。……ただ、あれは女性目線の小説に挑戦してみたというものなので、こっちの雰囲気は一切関係ないですけどw
お気に入りに追加
876
あなたにおすすめの小説

私のバラ色ではない人生
野村にれ
恋愛
ララシャ・ロアンスラー公爵令嬢は、クロンデール王国の王太子殿下の婚約者だった。
だが、隣国であるピデム王国の第二王子に見初められて、婚約が解消になってしまった。
そして、後任にされたのが妹であるソアリス・ロアンスラーである。
ソアリスは王太子妃になりたくもなければ、王太子妃にも相応しくないと自負していた。
だが、ロアンスラー公爵家としても責任を取らなければならず、
既に高位貴族の令嬢たちは婚約者がいたり、結婚している。
ソアリスは不本意ながらも嫁ぐことになってしまう。

王命って何ですか?
まるまる⭐️
恋愛
その日、貴族裁判所前には多くの貴族達が傍聴券を求め、所狭しと行列を作っていた。
貴族達にとって注目すべき裁判が開かれるからだ。
現国王の妹王女の嫁ぎ先である建国以来の名門侯爵家が、新興貴族である伯爵家から訴えを起こされたこの裁判。
人々の関心を集めないはずがない。
裁判の冒頭、証言台に立った伯爵家長女は涙ながらに訴えた。
「私には婚約者がいました…。
彼を愛していました。でも、私とその方の婚約は破棄され、私は意に沿わぬ男性の元へと嫁ぎ、侯爵夫人となったのです。
そう…。誰も覆す事の出来ない王命と言う理不尽な制度によって…。
ですが、理不尽な制度には理不尽な扱いが待っていました…」
裁判開始早々、王命を理不尽だと公衆の面前で公言した彼女。裁判での証言でなければ不敬罪に問われても可笑しくはない発言だ。
だが、彼女はそんな事は全て承知の上であえてこの言葉を発した。
彼女はこれより少し前、嫁ぎ先の侯爵家から彼女の有責で離縁されている。原因は彼女の不貞行為だ。彼女はそれを否定し、この裁判に於いて自身の無実を証明しようとしているのだ。
次々に積み重ねられていく証言に次第に追い込まれていく侯爵家。明らかになっていく真実を傍聴席の貴族達は息を飲んで見守る。
裁判の最後、彼女は傍聴席に向かって訴えかけた。
「王命って何ですか?」と。
✳︎不定期更新、設定ゆるゆるです。
いずれ最強の錬金術師?
小狐丸
ファンタジー
テンプレのごとく勇者召喚に巻き込まれたアラフォーサラリーマン入間 巧。何の因果か、女神様に勇者とは別口で異世界へと送られる事になる。
女神様の過保護なサポートで若返り、外見も日本人とはかけ離れたイケメンとなって異世界へと降り立つ。
けれど男の希望は生産職を営みながらのスローライフ。それを許さない女神特性の身体と能力。
はたして巧は異世界で平穏な生活を送れるのか。
**************
本編終了しました。
只今、暇つぶしに蛇足をツラツラ書き殴っています。
お暇でしたらどうぞ。
書籍版一巻〜七巻発売中です。
コミック版一巻〜二巻発売中です。
よろしくお願いします。
**************

【完結】正妃に裏切られて、どんな気持ちですか?
かとるり
恋愛
両国の繁栄のために嫁ぐことになった王女スカーレット。
しかし彼女を待ち受けていたのは王太子ディランからの信じられない言葉だった。
「スカーレット、俺はシェイラを正妃にすることに決めた」

離縁したいオメガの話
のらねことすていぬ
BL
オメガのリエトは、騎士団長の夫に愛されていない。
だったら他の男の妻になってしまえと、離縁を切り出すけれど……?
※文学フリマ東京で無料配布したペーパーの再掲です。

婚約破棄の現場に遭遇したので私から求婚することにしました!白豚と嘲笑った皆様には誠心誠意お返しさせていただきます!
ゆずこしょう
恋愛
父母に言われ、無理矢理夜会に参加することになったメロライン。
壁の花に徹していると…突然女性が誰かを糾弾し始めた。
「私、貴方のようなデブで吹き出物だらけの豚とは結婚できませんわ!」
「そ、そんな…そんなこと言わないでくれ…」
女性に縋り付く男性をもう1人の男が勢いよく蹴り上げる。
「残念だったな…オルラフィオ王太子殿下。お前とパルサティラの婚約は今日この日を持って破棄させてもらおう。」
一人の男が鼻血を出しながら膝から崩れ落ちた。
「フッ…なんだ。あんな性根の腐ったヤツらなんて放っておけ。オルラフィオ王太子殿下いいことを考えたぞ。私と婚約するのはどうだろうか。」
閃いたとばかりにメロラインはオルラフィオに求婚を迫ったのであった。
寵愛のいる旦那様との結婚生活が終わる。もし、次があるのなら緩やかに、優しい人と恋がしたい。
にのまえ
恋愛
リルガルド国。公爵令嬢リイーヤ・ロイアルは令嬢ながら、剣に明け暮れていた。
父に頼まれて参加をした王女のデビュタントの舞踏会で、伯爵家コール・デトロイトと知り合い恋に落ちる。
恋に浮かれて、剣を捨た。
コールと結婚をして初夜を迎えた。
リイーヤはナイトドレスを身に付け、鼓動を高鳴らせて旦那様を待っていた。しかし寝室に訪れた旦那から出た言葉は「私は君を抱くことはない」「私には心から愛する人がいる」だった。
ショックを受けて、旦那には愛してもられないと知る。しかし離縁したくてもリルガルド国では離縁は許されない。しかしリイーヤは二年待ち子供がいなければ離縁できると知る。
結婚二周年の食事の席で、旦那は義理両親にリイーヤに子供ができたと言い出した。それに反論して自分は生娘だと医師の診断書を見せる。
混乱した食堂を後にして、リイーヤは馬に乗り伯爵家から出て行き国境を越え違う国へと向かう。
もし、次があるのなら優しい人と恋がしたいと……
お読みいただき、ありがとうございます。
エブリスタで四月に『完結』した話に差し替えいたいと思っております。内容はさほど、変わっておりません。
それにあたり、栞を挟んでいただいている方、すみません。

余四郎さまの言うことにゃ
かずえ
BL
太平の世。国を治める将軍家の、初代様の孫にあたる香山藩の藩主には四人の息子がいた。ある日、藩主の座を狙う弟とのやり取りに疲れた藩主、玉乃川時成は宣言する。「これ以上の種はいらぬ。梅千代と余四郎は男を娶れ」と。
これは、そんなこんなで藩主の四男、余四郎の許婚となった伊之助の物語。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる