関白の息子!

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秀頼ルート 徳川家存続作戦

古今独歩の将の復帰(エロ度☆☆☆☆☆)

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 三成が八丈島での調査を終え、大阪に戻って来たのは事件から2週間経った頃だった。

 戻るや否や天守に登り、俺に報告に来る。
 ただ少し戸惑ったのは、その後ろに巨躯の老人が控えていたこと。

「・・・・・・先にその老人について聞く。まさかとは思うが、本多忠勝じゃないか?」

 その男は縄で拘束もされずに、どっしりと構えている。
 戦場で見せた様な気迫は流石になく、ただ同時に65になるとは思えない剛健さが滲み出る。
 とは言え、やはりだいぶ痩せはしたようだが・・・・・・。

 てっきり家康と行動を共にしているものと考えていた。
 それがこうして三成に連れられてくるとは思いもよらず、しかも拘束すらされていない。

 更に言えば、正史では今年の末で病で亡くなるはず。

「そのまさかにございます。ここにいる本多忠勝殿、それに本多正信殿は徳川家康殿と共に流刑先で余生を過ごしていました」

「・・・・・・で? なぜそいつだけが此処にいる?」

「はっ! 実は調査の折にこの者が自ら名乗り出て参りました」

「・・・・・・意味が分からん。家康と共に逃げたのではなかったのか?」

「いえ。この者の申すところでは、徳川殿は何者かにより連れ去られたそうにございます。そして、この者と正信殿はそれを追い、なんとか助けようとしたそうですが、200を超える兵の前に単身では力及ばず・・・・・・」

 単身って正信が・・・・・・まぁ、戦力外か。
 たしか正史では晩年の忠勝は病がちだったそうだが、それでも単身で200以上の兵に立ち向かい生きているというのだから流石と言える。

「三成。事件の詳細をその者から聞けたということか?」
「はい。ですが、何者によるものなのか、それは分かりませんでした。ですが、徳川殿と同時に忠勝殿と正信殿の両名を攫わなかったことには大いに疑問が残ります。きっとそれが真相の解明に大きな助けとなりましょう」

 忠勝と正信を攫わなかった理由。
 考えられるとすればなんだろう?

「ん? では正信はどうした?」

「陛下。発言をお許し願いたい!」

 一瞬耳元で叫ばれたのではないかというほどの大声を忠勝が発する。

「ああ。いいだろうお前の知る限りのことを話せ。ただし、もう少し小さな声でな」

「はっ! では――」

 そして忠勝はいくらか小さくなった声で話し始める。






 その敵が来襲したのは既に深夜、誰もが寝静まった頃だったそうだ。
 おそらく到着の時間を見計らい、夜襲をかけたのだ。

 当然見張りはいても、そんな時間ではまともに動けもしない。
 流刑の当初と違い、既に10年もなにも無かったのだ。
 見張りの兵を攻めるのも酷というものだろう。
 もっともその見張りのほとんどが殺されてしまったが・・・・・・。

 家康達3人は島では特に再起を目指すということも無く、静かに余生を過ごしていたらしい。
 自ら畑を耕し、魚を釣るという生活だ。
 大名に復帰した秀忠から時より届く物で、不自由すら楽しみながら生きていた。

「殿にはもう野心は少しも残ってはおりませんでした」

「・・・・・・お前達はどうだ?」

「某は殿と共にあるのみ。正信の方もただ将棋や碁を愉しむ程度のものでなにかをしようという気概は無かったように思いまする」

 ある意味で戦国武将の末路として幸せなのか不幸なのか。

「今回の件、殿の企みでは決してござらん!」

「そんな事はどうでも良い! 家康は何処に行った?」

 元より家康の企みだったのならもっと早い段階で行っている。
 影響力のほとんどないこんな時期ではない。

「・・・・・・襲撃を受けた後、某と正信は必死になり殿を攫った者どもを追いかけました。ですが、力及ばず船で逃げられ申した。そして、交戦の中で正信も敵の手にかかり死にましてございます」

「あの本多正信が!? 武器もまともにないのに敵にかかっていったのか!?」

「奴とて戦国の世に生を受けた者の端くれ、臆病者ではなかったようでござる」

「・・・・・・で、その敵というのは?」

 少し意外だっただけで、俺には正信の死を悲しんでやる義理も暇もない。
 そして、敵の正体は突き止めなければいけない。
 そうでなければまた次があるかもしれないのだから。

「敵は、大型の船に乗っておりました。そして西南西の方角へと」

「西南西!?」

 だとすれば九州に向かったということだろうか?
 よりにもよって俺のいた地域。

「・・・・・・ですが、もしかすると日本の者ではない、かと」

「なにっ!?」

「聞きなれない言葉を使い、見慣れない鎧を着、それに船の装飾も日本の物とはどこか異なっておりもうした」

 西南西、確かにその方角には琉球や台湾などがある。
 
「陛下、某の調査で忠勝殿が討った兵卒の鎧から大陸系の手の者かと」

 三成が途中で声を発する。

 ・・・・・・しかし、大陸系とは明国か?
 明にとって今の家康にどれだけの価値があるのだろう?

「それは何者かが偽ってということは無いのか?」

「可能性は有ります。ですが、今はそれを言っても詮無いこと」

「だが明国にとって家康にどんな価値がある? はっきり言って目的が分からん」

 だいたいにして黄海で海戦を繰り広げているその最中に、大型の船をそんなところに回す余裕があるのだろうか?

「某も島からの帰路で考えましたが、国の混乱を見込んだとしか・・・・・・」

「普通に考えれば大した混乱にはならない。徳川家は今やそんなに大きな大名ではないのだから。今騒いでいるのはお千やお珠にまで火の粉が降りかかるからで、実際に権力や軍事的なもので揺らぎは生じていない・・・・・・」

 ただし、疑心暗鬼にはなっているが・・・・・・。
 正直、側室を疑うことは無くても細川家や伊達家の関与は疑わしいものだ。

「殿の軍事的な才を見込んだというのは考えられぬでしょうか?」

 忠勝の発言は盲点ではあった。
 たしかに戦国武将を攫うのであれば、本来その方が正しいのかもしれない。

「家康は確かに東海一の弓取りと謳われた戦上手。だが攫われておいてなお協力するものか? それに10年以上も戦から離れている。その間に火器は格段に進歩しているし、ついでに言えばもう70近い高齢だぞ?」

「・・・・・・しかし、明にしてみれば日本の戦術を熟知する将校が大した守りも無くいるのです。自国の守りのために情報を得たかったのではないでしょうか?上海港の襲撃以降我が軍への対処は急務でしたでしょうから」

 家康の戦の知識はもちろん大変なものだろう。
 日本の武将たちの戦術や性格も知ってはいるはずだ。

 だが、それも10年前のもの。
 棒火矢を多用し、新式銃で狙撃し、新式大砲で破壊し、銃剣突撃で蹂躙する。
 刀槍を用いることが極端に少なくなった今の戦術に対応できるだろうか?

「三成。本当に明の者だったのか?」

「それは・・・・・・分かりませぬ。大陸系の衣装ではございましたが、外交を行う堺の商人に見せ正体を突き止めます」

「それと――」

「国内にも手引き、少なくとも情報を意図して海外に渡した者がいる、ですな?」

「ああ。なんとしてでも調べ上げろ!」

「ははぁっ!」

 そして視線を大男に移す。

「それと、忠勝に関してだが――」


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新作「プニプニホッペの魔王様」を連載し始めました。ご一読いただけると幸いです。……ただ、あれは女性目線の小説に挑戦してみたというものなので、こっちの雰囲気は一切関係ないですけどw
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