関白の息子!

アイム

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側室達の日常

駒姫の溜め息(エロ度★☆☆☆☆)

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(この章は三人称で進行します。大阪城に残された2人の側室のお話です)

「はぁ~っ」

 自分の屋敷に続く渡り廊下を歩きながら、駒姫が盛大に溜め息を吐く。

(陛下に大阪の留守を任されていると言うのに、たった一人の息子に振り回されるなんて・・・・・・)

 目下の駒姫の悩みの種、もっともそれは世の多くの母にとっては共通の悩みかもしれない。
 つまり、息子・白寿の育て方に頭を抱えているのだ。

 夫が育児参加しないのはこの時代では当たり前。
 むしろ乳母や侍女が何人も補助してくれる分、大分楽なのではないかとも思われる。

 しかし、白寿丸には父親によく似た困った癖・・・・・・いや、もう性癖と呼ぶべきものがあった。

 白寿丸はまだたったの五つ。
 女に興味を持つ年頃ではないと言うのに、あちこちで女子の着替えを覗き、服を脱がせて弄ぶという様に何処かの皇帝と似た行動をとる。

 もちろん五つの幼児に見られた程度、女達も始めのうちは寛容だった。

「あらあら若様、オマセさんですね」

 などと笑っていただけだったのだ。

 だが、服を脱がせるようにまでなると流石に話が別。
 当然、今の白寿の腕力なら抵抗すれば簡単に逃げられる。
 ・・・・・・が、権力が相手なら話が違う。
 この大阪城で白寿丸に抵抗できる者など大政所の茶々と生母の駒姫、それにたら姫くらいのものである。

 既に被害にあった女子は20人では足りないほど。
 駒姫が何度叱ってもその前では反省してみせるだけで直ぐにまた繰り返す。

(本当に陛下のお血を引いているだけはあります・・・・・・)

 しかし、白寿丸の双肩には最上家再興の夢がかかっている。
 そういった意味では助平も決して忌避するものではない。
 ただ、それにしても早すぎる上に、度が過ぎている。
 まして裏内の女は皇帝陛下のものであって白寿のものではない。

 万一、将来秀頼のお気に入りの誰かに手を付けることでもあれば・・・・・・。

 一瞬そんな事を想像し、駒姫は身震いする。
 己の気に食わぬ者を次々と成敗していった秀吉公の統治からまだ十年と少し。
 その血を引いている皇帝陛下が非情にもなれることを駒姫は良く知っていたのだ。

 まぁ、まだ精通もしない年頃なので、今はまだ問題ないと思いたい・・・・・・。

 そうしていると、廊下の向こうから白寿が寄ってくるのが見える。
 屋敷の中とはいえ、素っ裸で走るのは・・・・・・。
 品の無いと叱らなければなるまいと駒姫は考える。
 考えるがその視線が股間に寄った時、なにも言えずに硬直してしまう。

「母上! 共に風呂に入りましょう!」

(・・・・・・何故、おちんちんを勃てているのですか? 私はあなたの母ですよ!?)

 駒姫は息子の股間でピンと起き上がる息子の息子に少し恐怖を覚える。

「白寿、良い歳なのですから母と一緒にふろに入るのはやめましょう」
「え? いやです」

 最近、会うことも出来ないのになぜこんなにも陛下に似てしまうのでしょう?
 天下人の息子と言うのは助平になる呪いにでもかかる運命なのでしょうか。

 先程までの頭痛がより酷くなったのを実感しながら、それでも駒姫は母としての責任を全うしようと考えた。

「白寿。そこにお座りなさい」
「それじゃぁ、添い寝してください!」

(ワクワクと嬉しそうにしている姿は正しく子供のそれなのですが・・・・・・)

 一緒に寝ると起きた時には何時も服が脱がされ、胸の谷間に顔を突っ込んでいる。
 白寿丸とはそういう子供なのだ。
 やはりそういう呪いなのだろう。

「白寿。お前には最上家再興の夢を預けているのですよ! 女子の尻ばかり追っているようではいけません!」

 今日と言う今日はしっかり改心させなければいけない。
 もう何度も何度も失敗しているそれを今日こそはと願いを込めて駒姫が言う。

「でも勉強はしっかりしていますし、剣術も同年代の誰にも負けません。母上もこの間自慢の息子とそう言ってくれたではないですか」

 ・・・・・・たしかに。
 白寿はなんでも器用にこなし、頭も良過ぎるくらいに良い。
 もちろんお麟という例外を除き、同年代と比べてだが。

 きっと持って産まれた将器は皇帝陛下にも負けない。
 お世辞抜きに出来過ぎな息子である。
 駒姫がそう考える気持ちも嘘ではないのだ。

 ただし、助平が過ぎるところ以外は・・・・・・。

「お、お父上はあなたの歳に、もう三つ歳を重ねた頃に江戸征伐に乗り出したのです。今のあなたが三年後戦に出るほどの気概がありますか?」
「無いですし、必要ありません、いえ、するべきではありません。守るために否応なくなら別ですが、君主たるもの無暗に戦に出るべきではないと思います。むしろ何故父上が前線に出向かれるのか、私にはそれが不思議でたまりません」

 駒姫とて可愛い息子に危険な戦に出てほしいなどとは思っていない。
 出来る事ならずっと城の中で・・・・・・。
 そう思うのも母ならば当然のことだ。

 だが、その言葉に駒姫は黙ってはいられなかった。

「何故、お父上が行かれたのか白寿には分からないと申しましたか?」
「はい。ここには何不自由ない暮らしがあります。それにこの国もまだまだ安定しているとは言い難い。私なら先ずは国内の安定に力を入れます」

 優秀なのは間違いない。
 きっとこの子なら良い国を支えてくれる。

 だからこそ分かってくれていると駒姫は思っていたのだ。
 どうやらそれは望みが高すぎたようだ。

「では安定したその後はどうします?」
「え? ん、ん~、きっとそれでも不満を言う者が出るのでそれに対処して、それで……」

 曲がりなりにもその後のことまで考えてくれていることに、駒姫はホッと一心地吐く。

 ふと、秀頼の言う通りお麟を侍女に付けなくて良かったななんて考えてしまう。
 お麟と共にいれば、このやたらと高い鼻っ柱を叩き折られて卑屈になっていただろう。
 自分の考えに意固地になり他人を否定する前に、どうしてそう判断したのかを深く考えることが出来ない。
 それは失敗した経験が少ないゆえなのだろう。
 もっともたかが五歳でそんな考えが出来るはずもない。

「白寿。最上家再興は安定を望むようでは一代の夢で終わります」
「え……。でも僕は天下人になるかもしれないんですよ?」
「いいえ、今の考え方ではとても天下人になることなど出来ません。でももしもそう望むなら、陛下が帰って来た時に出来るだけ長く一緒に居させてもらいなさい。貴方はまだたったの五つ。これからどうとでもなります」

 白寿丸を抱きしめ、頭を撫でる。
 秀頼が大阪を離れて一年近く、腹違いとは言え弟も出来たのだから少し将来を考えさせてみても良いだろう。
 きっと女子にばかり惚気ている場合ではないと気付くはずだ。

「白寿。貴方こそが母の夢なのです」
「・・・・・・母上、ムフッ」

 ・・・・・・どうして息子を抱くのに警戒しなければいけないのだろう?

(陛下が帰って来たら文句を言ってやります!)

 そう心に誓い、駒姫は本格的な説教を始めるのだった。


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新作「プニプニホッペの魔王様」を連載し始めました。ご一読いただけると幸いです。……ただ、あれは女性目線の小説に挑戦してみたというものなので、こっちの雰囲気は一切関係ないですけどw
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