関白の息子!

アイム

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宿敵と最愛の娘

戦場に送り出す勇気(エロ度☆☆☆☆☆)

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 これはある意味で俺が最も忌避する手段。
 だが、お麟との話の中では、確かに出ていた手段だったのだ。

 約千名の兵に取り囲まれ、厳重に封のされた輿に乗り護衛官の信繁と共にお千がやってくる。

 それを俺の従えるした兵が通せんぼする。

「・・・・・・陛下、これは?」

 信繁の方は護衛の兵とは言いつつも、誰もが腰に刀を佩くくらいのもの。
 こちらは兵も2千近くいることを考えれば、単純戦闘になれば皆殺しにも出来る。
 だが、それが目的なら最初から囲んでいる。

 このように進路だけを妨げる様な配置にはしない。

「信繁、お千に会わせろ」

 馬上から信繁に命令する。

「お会いになってどうされます。いっそ某を斬られて奪っていかれればどうか!?」

 恐らく信繁もいろいろと考え、それが最善と思っているのだろう。
 だがその結論に至るにはまだ早い。

「いいや、決めるのはお千に会ってからだ。そうだな、俺直々に取り調べすると言えばお前は断れないだろう?」
「・・・・・・なにか思いつかれたのですか? では、この兵は?」
「まだどうなるかは分からんがな。その時には信繁にも働いてもらうぞ?」
「はっ! 喜んで!」

 馬から下り、信繁の腰の鍵を受け取る。
 そして・・・・・・。

「お千、開けるぞ?」
「・・・・・・陛下? 後生でございます。どうかこのまま行かせてください」

 何時も元気なお千らしくも無いか細い声。
 既に自分の運命を受け入れてしまっているのだろう。

「駄目だ。ていうか、あなたって呼べと言っただろう?」
「そ、それは昔の話でしょう!? 今の私は――」

 ガチャッと鍵を開ける。
 誰が俺の行動を止められる?
 俺は皇帝だぞ!

「へ、陛下!?」

 さんざん泣きまくったのだろう。
 赤く腫れた目のお千がいる。
 バッと顔を隠して輿の角に逃げてしまう。

「い、行けません。私は――」
「嫌だ。助ける」

 そもそもお千は悪いことなどしていないのだから。

「で、ですがそれではお国の一大事に!」
「ああ。悪い言い間違えた。
「「・・・・・・は?」」

 お千と隣に控えている信繁が驚きの声を上げる。

「とにかく、城の中で話す。信繁もついて来い」

 なおも輿の中に居座ろうとするお千を無理矢理抱えて連れ出す。

「ちょっ!? へ、陛下!?」
「だ~から、あなたって言えって言ったろうが! 後でお仕置きだな」

 ナハハと笑いながらズンズコ歩く。
 一応、話し合いの場所は天守。
 既に茶会の準備も出来ている。

「クッソぉ、城で散々犯してやろうと思っていたのにその時間は無いじゃねーか」
「ちょっ、あなた皆の前でなにを言うんですか!」

 俺だけは必要ないので武装していないが、お千の力じゃポカポカ殴られても大して痛いわけもない。

「二日の徹夜明けだから俺もちょっと変かも知れないけど、まぁ、気にするな」
「いいえ! 何時ものあなたです。大して変わりません!」

 今度はギュッとしがみ付いてくる。
 少し不本意だが、元気が出てきたようでなによりだ。





「お千自身に戦功を立ててもらい、それと引き換えに徳川家に救済措置を適用する」

 お千、信繁、井頼、お麟、桜。
 この城に残る者達の中でも特に信頼する者だけを天守に入れての軍議。
 俺の出した結論にお千と信繁が驚く。

「・・・・・・わた、しが?」
「ああ、そうだ。それしかお珠を含めて皆を救う方法はないと思う。それも、取り調べを引き延ばしたりと言うのも半年くらいが限界だろう」

 だから、その半年の間に大活躍と言える活躍をしなくてはいけない。
 そして、今の日本でそれが出来るわけがない。
 ならば当然、明での活躍を期待するしかない。
 それも俺に代わる総大将として、だ。

「当初の予定を大幅に前出しすることになるが、お千の目標は南京。明の創始の都だ。これを制圧すれば今はまだ様子見の段階の越や金軍、それにモンゴル帝国も動き出すだろう。明を滅ぼすための決定的な一手になる。これならギリギリ救済措置を与えるに足る功になると判断した」
「そして、千姫様のお力を周囲の者に認めさせるためにも、表向きにはまだ世に名乗りを上げていない将だけでことにあたらねばなりません。つまり某とお麟がついて参ります。後は、使えるのは浪人くらいでしょう」

 井頼が俺の言葉を引き継ぐ。
 まだ若く経験は少ないが、代わりにこの国でもトップクラスの頭脳。
 そして、お麟にとっては女性の活躍出来る社会を目指すに当たり、降って沸いた絶好の機会。
 この二人と新式の銃や砲を用いた戦術、それをもって南京支配までを完遂させる。

「へ、陛下。少しよろしいですか?」

 そして、最も話の流れについて来れないでいる信繁が声を上げる。
 まぁ、逆の立場なら俺でもそうだったかもしれない。

「千姫様が兵を指揮し、敵の一大拠点である南京を占領する。仰っている内容は良く分かるのですが・・・・・・」
「信繁はお千を大阪に無事に連れて来るのが仕事だろう? 絶対に守りきれよ?」

 なんとも都合の良い護衛がいてくれたものだとは思う。
 そうでなくてもお千の活躍を大きく見せるために

「・・・・・・陛下、某の任務は千姫様の護送なのですが・・・・・・」
「ああ。南京を占領した後にな。どうせ期限なんて決められていないだろう?」
「はは、敵いませんな」

 そう、別に寄り道してはいけないなんて言われてはいないはずだ。

 だが、これはそもそも・・・・・・。

「どうするお千? あとはお前次第だ。もしも出来ないと言うなら俺は今すぐにお前を攫う。悪いがもうそれしか助けようがない」
「・・・・・・いえ。やらせていただきます」

 お千が強い意志を込めた表情を見せる。
 自分だけではない、一緒に暮らした時間は短いとは言え家族を助けるために。

「ああ。俺は秀忠たちの尋問を担当すると言う態で引き延ばしをかけるために大阪に向かう。お千、しばらく会えなくなるが・・・・・・」
「大丈夫です。きっと功を立てて、帰って参ります」

 ギュッとお千を抱きしめる。
 こんな小さな女の子を危険な目に合わせなければいけないなんて・・・・・・。

「あのさ、俺の子を孕んだ方がもう少し確実性が増すんだけど」
「・・・・・・もう! 感動が台無しです!」

 またポカポカ叩かれるが、今はいっそそれが心地いい。

「さぁ、時間がないぞ。名残惜しいが、お千はこのまま井頼たちと上海に向かえ。逆に俺は信繁が連れて来た兵と共に大阪に向かう」

 他の者が尋問を始める前に俺が行かなければいけないしな。
 この時代の尋問手段はなんと言ってもエグイものが多いし・・・・・・。

「あなた、両親や弟妹たちのことよろしくお願いいたします」
「ああ、任せろ。お千、くれぐれも気を付けてな」
「はい」

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新作「プニプニホッペの魔王様」を連載し始めました。ご一読いただけると幸いです。……ただ、あれは女性目線の小説に挑戦してみたというものなので、こっちの雰囲気は一切関係ないですけどw
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