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燃える上海
先制攻撃(エロ度☆☆☆☆☆)
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予定通り、金軍から届いたサルフでの開戦日程の前日に合わせて上海港への侵攻が開始された。
ちなみに今回の事で日本側からは特に宣戦布告などは行われていない。
ただし、そもそも慶長元年から表向きはずっと戦争中なので問題はない。
ついでに同盟国の救援という大義もあるので誰も文句は言わないだろう。
まぁ、将来的にだまし討ちだとか言われるかもしれないけど、正々堂々闘うことで被害が増すよりは多少卑怯に思えても不意を打つ方が良い。
「さて、俺も行くことにしたわけだが・・・・・・」
「私も連れて行ってください」
ギュッと袖を掴んで離さないお千を宥めるのに苦心していた。
「あのなお千、女連れで行くわけにはいかないだろ」
「何故ですか?」
「いや、そりゃ危ないからで」
「危ないのでしたら陛下の出陣はお取り止めください!」
・・・・・・まぁ、確かに今回は俺の出番はほとんど無いに等しいのだけど。
それでもこれから長く続くであろう明との戦の初戦。
総大将がいるといないのとでは話が違う。
まして今回は新兵器も含めて大きく時代が動く戦だ。
「いや、俺は安全だからさ」
「でしたら、私を連れて行っていただいても大丈夫なはず」
「・・・・・・まぁ、そういう理屈もあるだろうけど。でも、お千。戦に女を連れて行くのは――」
「桜姫様も今回はお麟ちゃんもついて行くそうですね?」
「うっ、うん」
戦場に女子を連れて行くのは縁起が悪いと言われている。
なので基本的に嫌がられるものなのだが、俺の場合は桜を連れて行って連戦連勝。
「いや、でも、兵の士気が――」
「亡き太閤殿下は北条征伐の折にも大政所様をお連れになったとか」
「・・・・・・なんでそんなに行きたいの?」
「離れたくないのです!」
ギュッと手を握りしめながら真っ直ぐに見つめられる。
今回、桜とユイナにユウナの三人は連れて行こうと思っていた。
まぁ、桜は常に俺の側にいるのだから当然のごとくといった感じだけど。
だが、お千を連れて行くとなれば問題も多い。
忍びの桜やペット(w)のユイナ・ユウナと違い、お千は人に面倒を見てもらう環境に慣れ過ぎているし、この時代としては格別な住環境に慣れ切っている。
単純にいくら気を使ってもらえるとはいえ、船上や済州島の基地、上海の簡易陣地の環境に耐えられないと思うのだ。
そしてなにより、やはりいざという時に危険である。
「あのさ、お千――」
「絶対に兄上と一緒に行きます!」
・・・・・・どうしよう。
「あ、あの、陛下」
「なんだお麟」
おずおずといった感じでお麟が話しかけてくる。
助け舟でも出してくれるのだろうか?
「お連れして差し上げてはいかがでしょう?」
「・・・・・・おまっ、お千の方の味方かよ!?」
見れば、グッとお麟に向けてお千が親指を立てている。
なんだかなぁ。
「戦はこれから変わっていきます」
「ん?」
「鉄砲を用いるのに男も女もございません」
「なに言ってんの!?」
話が飛び過ぎていて素っ頓狂な声を上げてしまった。
「いえ、前々から思っていたのですが。陛下、鉄砲の一番の利点とは何でございますか?」
「ん? ・・・・・・射程、と言いたいが、兵の育成が簡単なことだ」
「はい。その通りです。今までの様な武士集団などいなくても、農民の、それも女子でも多少の訓練で武将すら殺せるようになります」
「だが、女子では体力面に不安もある。進軍などを考えればとてもじゃないが男と同じようにとはいかない。それこそ激しい訓練が必要になるだろう?」
「はい。ですが、防衛戦の鉄砲射手に限れば如何でしょう? 女は男に比べ食料が少なくて済み、身体が小さいので的となった時に有利です。また、防具を付けるにしても小さくて済みます。いえ、防衛戦ですから銃眼などから狙い、防具を付けない方が良いでしょう。小さな通路も女子の身体の方が行き交いやすいですし」
・・・・・・いや、でも、ええ!?
「お麟! 本気で言っているのか!?」
「はい。そしてそのためには女子を連れて戦場に行くと縁起が悪いなどと言う迷信はとっとと失くしたく思います」
「・・・・・・そのためにお千を使う、と?」
「奥方様は大変お美しいので、陛下と並び兵を激励されればたちまち士気が上がりましょう。また、そういう資質もお持ちです」
確かにお千は声が透き通っていて、スッと身に染みる様に聞こえてくる。
どんなに周りが騒がしくてもお千の声を聞き逃したことはない。
そして、元気いっぱいっ娘なので声も大きい。
見た目の美しさと相成り、人を先導する資質においては右に出る者がいない。
「待て、そもそも女を兵にしなければならないほどに我が軍は疲弊もしていなければ不況でもない」
「だとしても人手は足りなくなります。陛下も分かっていらっしゃるはずです。世界から見れば朝鮮を降したところで東の辺境の些事、されど明のような大国を降す事になるとなれば・・・・・・」
そう、明を降した時点で相手は世界になる。
それは分かっていた。
そして、そうなってしまえば日本人の数は圧倒的に足りない。
「それに今はどの国でも女性は男性より下に見られています。今後、内乱を起こさせるのにその方向性も無くはないかと」
「お麟、お前・・・・・・」
商品として扱われてきた2回の女としての人生。
そして、俺が教えた平成の日本における女性の活躍。
きっと思うところがあったのだろう。
「いや、・・・・・・しかし、お前の目的のためにお千を利用することは許さん」
「私は千姫様の願いを叶えようとしているだけにございます」
「兄上! 良くは分かりませんが連れて行ってくださいますね?」
まぁ、何度も検討したが、初戦でこちらに危険はないはずだし・・・・・・。
「はぁ、ま、良いか。ただし、お千! 船に空きの部屋など無いからな。お前は俺の部屋と同室だ!」
「は、は……ぃ。え? 着替えはどうすれば?」
「もちろん俺の前で☆」
想像してしまったのだろう、お千の顔がバッと赤くなっていく。
「嫌ならやめるか?」
「い、行くったら行きます!」
そして、日本丸に女神が乗船することが決まった。
ちなみに今回の事で日本側からは特に宣戦布告などは行われていない。
ただし、そもそも慶長元年から表向きはずっと戦争中なので問題はない。
ついでに同盟国の救援という大義もあるので誰も文句は言わないだろう。
まぁ、将来的にだまし討ちだとか言われるかもしれないけど、正々堂々闘うことで被害が増すよりは多少卑怯に思えても不意を打つ方が良い。
「さて、俺も行くことにしたわけだが・・・・・・」
「私も連れて行ってください」
ギュッと袖を掴んで離さないお千を宥めるのに苦心していた。
「あのなお千、女連れで行くわけにはいかないだろ」
「何故ですか?」
「いや、そりゃ危ないからで」
「危ないのでしたら陛下の出陣はお取り止めください!」
・・・・・・まぁ、確かに今回は俺の出番はほとんど無いに等しいのだけど。
それでもこれから長く続くであろう明との戦の初戦。
総大将がいるといないのとでは話が違う。
まして今回は新兵器も含めて大きく時代が動く戦だ。
「いや、俺は安全だからさ」
「でしたら、私を連れて行っていただいても大丈夫なはず」
「・・・・・・まぁ、そういう理屈もあるだろうけど。でも、お千。戦に女を連れて行くのは――」
「桜姫様も今回はお麟ちゃんもついて行くそうですね?」
「うっ、うん」
戦場に女子を連れて行くのは縁起が悪いと言われている。
なので基本的に嫌がられるものなのだが、俺の場合は桜を連れて行って連戦連勝。
「いや、でも、兵の士気が――」
「亡き太閤殿下は北条征伐の折にも大政所様をお連れになったとか」
「・・・・・・なんでそんなに行きたいの?」
「離れたくないのです!」
ギュッと手を握りしめながら真っ直ぐに見つめられる。
今回、桜とユイナにユウナの三人は連れて行こうと思っていた。
まぁ、桜は常に俺の側にいるのだから当然のごとくといった感じだけど。
だが、お千を連れて行くとなれば問題も多い。
忍びの桜やペット(w)のユイナ・ユウナと違い、お千は人に面倒を見てもらう環境に慣れ過ぎているし、この時代としては格別な住環境に慣れ切っている。
単純にいくら気を使ってもらえるとはいえ、船上や済州島の基地、上海の簡易陣地の環境に耐えられないと思うのだ。
そしてなにより、やはりいざという時に危険である。
「あのさ、お千――」
「絶対に兄上と一緒に行きます!」
・・・・・・どうしよう。
「あ、あの、陛下」
「なんだお麟」
おずおずといった感じでお麟が話しかけてくる。
助け舟でも出してくれるのだろうか?
「お連れして差し上げてはいかがでしょう?」
「・・・・・・おまっ、お千の方の味方かよ!?」
見れば、グッとお麟に向けてお千が親指を立てている。
なんだかなぁ。
「戦はこれから変わっていきます」
「ん?」
「鉄砲を用いるのに男も女もございません」
「なに言ってんの!?」
話が飛び過ぎていて素っ頓狂な声を上げてしまった。
「いえ、前々から思っていたのですが。陛下、鉄砲の一番の利点とは何でございますか?」
「ん? ・・・・・・射程、と言いたいが、兵の育成が簡単なことだ」
「はい。その通りです。今までの様な武士集団などいなくても、農民の、それも女子でも多少の訓練で武将すら殺せるようになります」
「だが、女子では体力面に不安もある。進軍などを考えればとてもじゃないが男と同じようにとはいかない。それこそ激しい訓練が必要になるだろう?」
「はい。ですが、防衛戦の鉄砲射手に限れば如何でしょう? 女は男に比べ食料が少なくて済み、身体が小さいので的となった時に有利です。また、防具を付けるにしても小さくて済みます。いえ、防衛戦ですから銃眼などから狙い、防具を付けない方が良いでしょう。小さな通路も女子の身体の方が行き交いやすいですし」
・・・・・・いや、でも、ええ!?
「お麟! 本気で言っているのか!?」
「はい。そしてそのためには女子を連れて戦場に行くと縁起が悪いなどと言う迷信はとっとと失くしたく思います」
「・・・・・・そのためにお千を使う、と?」
「奥方様は大変お美しいので、陛下と並び兵を激励されればたちまち士気が上がりましょう。また、そういう資質もお持ちです」
確かにお千は声が透き通っていて、スッと身に染みる様に聞こえてくる。
どんなに周りが騒がしくてもお千の声を聞き逃したことはない。
そして、元気いっぱいっ娘なので声も大きい。
見た目の美しさと相成り、人を先導する資質においては右に出る者がいない。
「待て、そもそも女を兵にしなければならないほどに我が軍は疲弊もしていなければ不況でもない」
「だとしても人手は足りなくなります。陛下も分かっていらっしゃるはずです。世界から見れば朝鮮を降したところで東の辺境の些事、されど明のような大国を降す事になるとなれば・・・・・・」
そう、明を降した時点で相手は世界になる。
それは分かっていた。
そして、そうなってしまえば日本人の数は圧倒的に足りない。
「それに今はどの国でも女性は男性より下に見られています。今後、内乱を起こさせるのにその方向性も無くはないかと」
「お麟、お前・・・・・・」
商品として扱われてきた2回の女としての人生。
そして、俺が教えた平成の日本における女性の活躍。
きっと思うところがあったのだろう。
「いや、・・・・・・しかし、お前の目的のためにお千を利用することは許さん」
「私は千姫様の願いを叶えようとしているだけにございます」
「兄上! 良くは分かりませんが連れて行ってくださいますね?」
まぁ、何度も検討したが、初戦でこちらに危険はないはずだし・・・・・・。
「はぁ、ま、良いか。ただし、お千! 船に空きの部屋など無いからな。お前は俺の部屋と同室だ!」
「は、は……ぃ。え? 着替えはどうすれば?」
「もちろん俺の前で☆」
想像してしまったのだろう、お千の顔がバッと赤くなっていく。
「嫌ならやめるか?」
「い、行くったら行きます!」
そして、日本丸に女神が乗船することが決まった。
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新作「プニプニホッペの魔王様」を連載し始めました。ご一読いただけると幸いです。……ただ、あれは女性目線の小説に挑戦してみたというものなので、こっちの雰囲気は一切関係ないですけどw
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