関白の息子!

アイム

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動き出す世界

お麟の正体1/2(エロ度☆☆☆☆☆)

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 軍議が終わると、そのままお麟を抱えて天守に上がる。

 さて、もしも俺の想像通りなら、なんて話しかけるのが正しいのだろうか?

「なぁ、お麟。お前って阿保みたいに頭良いよな?」
「い、いえ。そんな事は・・・・・・」

 縮こまりながらお麟が否定する。
 だが、謙虚さまで身に付ける4歳児が一体どれだけいると言うのだろう。

「じゃぁ、あれくらいの事は誰にでも想像がつくと? 撫順の地名すら知らない将が多い中で、そこが戦地となり、そこで起きる戦いを予想できると?」
「そ、想像しただけにございます!」
「何より気になったのが金を建国したと言った時に早いと言ったことだ」
「っ!?」

 早いとは自分の知識より早いということではないのか?

「お麟、もしかしてお前、前世の記憶を持っていたりしないか? それも、未来の、だ」

 自分がそうだから直ぐにそうやって繋がったのだろう。
 そうでなければとてもそんな考えは沸かない。
 だが、もしもそうだとしたら、いったいどれだけの人間が前世の記憶を持ってこの時代にいるのだろう。

 何時までも返答を返さないお麟に苛立ってしまう。
 もしかしたら全然見当違いで、「何を馬鹿なことを言っているんだこの殿様は」くらいの事を思われているのかもしれない。

「・・・・・・それを聞かれるということは、まさか陛下も?」

 が、お麟はあっさりと白状した。

「そうだ。先ず聞きたい。お麟はどんな記憶を持っている?」
「私は、今から300年以上先の未来で、吉原と言う場所で花魁をしていました」
「よ、吉原?」
「はい。今で言う、遊郭でございます」

 前世は吉原の花魁、今世は吉野太夫ってどんだけ性の権化なのさ。

「・・・・・・赤線街だろ?」
「と、言うことは陛下には昭和20年以降のご記憶が?」

 あ、しまった。
 まぁ、別に良いか、隠すほどの事じゃない。

「俺は平成20年までの記憶があるよ」

 ん? しかし、吉原出身者なら、平成まで生きているのか

「平成? でございますか?」
「そう。お麟は?」
「私は昭和33年。売春防止法が施行され、吉原が無くなるところまででございます」
「最後の記憶は? どうしてそこまでの記憶なんだ?」
「それは、私にも分かりません。ですが、今世の私が実家から売られた時、きっと悲しかったのでしょう。ふと、覚えているはずのない記憶が思い出されたのです」
「あ、確かに俺も精神的なことが原因で思い出した。1歳の時だけどな」

 まぁ、それも母上が父上に襲われていると言う勘違いで、しかもその時の喘ぎ声で記憶が蘇ったのだけれど・・・・・・。

「不思議なのはどうやって死んだか、その記憶も何も無く、32の頃に吉原の提灯が消えるその時の記憶までを覚えているのです」

 と、言うことは明治42年(1910年)生まれ、ということかな?

「ふむ。でも今はあくまでお麟だ。そうだろう?」
「はい。この記憶が本当に前世なのかは分かりませんが、何処か絵本を読んでいるかのような・・・・・・なにか自分の事とは思えないものなのです。陛下も同じと考えてよろしいですか?」
「ああ。ま、俺は18までだけどな。それに先程の平成と言うのは昭和の次の元号だ」
「そうですか、それで私の良く知る日本なのに大きく違う世界なのですね。信長公や秀吉公の辿られる歴史はほとんど記憶の通りなのに、秀吉公の晩年が少しずつ変化し、家康公の時代が来ない。その理由が良く分かりました。フフ、でも何か面白いですね」

 スッと着物の袖で口元を隠しながらお麟が笑う。
 その所作は、大人びていて何処か蠱惑的、吉原の花魁としての経験なのだろうか?

「いったい何を笑う?」
「いえ、お歳のことが」

 言われて計算してみてお麟が笑った理由に思いつく。

「確かに。前世の記憶はお麟の方が年上で」
「今世は陛下の方が年長者」
「足してみれば大して変わらない!」

 確かに妙な話だ。
 とは言え、なんでこんなおかしな事態になっているのか説明出来ようはずもない。
 だったら受け入れてしまう方が楽だ。

「・・・・・・ところで、こう言っちゃ悪いが、その時代の遊女が江戸時代の中国史を、いや、日本史すら学んでいるとは思えない。偏見かも知れないが・・・・・・」
「いえ、仰る通りです。私が普通の遊女ならこの時代において役に立つ知識など、少し未来の手管しかございません」

 ・・・・・・そうだ。
 吉原の花魁と言えば、恐らく当時の日本人で最高位のセックスシンボル。
 色々な技を持っているに違いない。

 つってもさすがに4歳児じゃなぁ・・・・・・。

「ですが、私の上客には軍人の将校様が多くいらしまして、囲碁や将棋と共に教えていただいたきましたし、同時に話について行けるように勉強いたしました」
「へぇ、犯りもせずにけったいな客だねぇ」
「いえ、最後にはなさりますよ。ですがその前に会話や遊びなどで、雰囲気を高めるのも私達の仕事でございますので」
「しかし、遊女と歴史を話して楽しむなんて面白いのかね?」
「皆様軍人ですから、そう言う話はお好きなのです。ですが、遊女とは言え、当時の兵器や戦況を下手に口にすれば何処から漏れるか分からないご時世でしたから」
「成る程、何も問題にならない過去の話で濁していたのか!」

 そうだな、昭和20年が終戦だから・・・・・・。
 あれ? てことは軍人に教えてもらっていたのって未成年の頃?
 まぁ、当時も若いうちから遊郭に売られてしまうなんて良くある話だったんだろうな。

 そう考えていると、スッとお麟が見事な作法でお茶を淹れ始める。
 当然、前世の記憶から引っ張ったのだろうが、正直今の俺より圧倒的に様になっている。
 4歳児に負けるのは流石に悔しいが、ま、まぁ、吉原の花魁相手では仕方ない。
 
「そ、それで、教わったのは歴史や遊戯だけ?」
「いえ、特に私の誇りでもある馴染みの上客がとても良い方で、私が興味を持つと軍略や戦術などもいろいろと教えてくださりました。実際に用いられた戦などの話も絡めて面白おかしく」

 そう言いながら、お麟がフフッと思い出し笑いする。
 成る程、そうやって興味を引いた後に抱くのか。
 勉強になる。

「花魁との逢瀬はそれ自体が遊戯でございます。殿方に最高の悦楽を差し上げるためには男も女もどちらもが努力し、気持ちを重ね合わせる必要があるのです。陛下、以前の課題への回答、それでは不十分でしょうか?」
「へ?」
「あの温泉での五郎八姫様との性交はお互いのお気持ちがバラバラであったように感じます」

 む、むぅ。

「もっと一緒の時間を多くお取りください。陛下にはそうでなくても奥様がいっぱいいらっしゃるのですから、それこそ常に誰かといるくらいがよろしいかと」
「・・・・・・考えとく」

 4歳児にそんなことを言われると流石に悔しい。
 それに俺だっていつもお千や五郎八、お菊と一緒に居たいのだ。
 でも、それも忙しくてなかなか難しい。

「でさ、お前に戦術なんかを教えた奇特な奴って何て名前なの?」
「フフッ、驚きますよ? 本当ならお客様の事は絶対に秘密なのですが、まぁ、まだ生まれてもいらっしゃないので構いませんよね?」
「ハハッ、そりゃそうだ」
「米内光政様です」
「・・・・・・は?」

 
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新作「プニプニホッペの魔王様」を連載し始めました。ご一読いただけると幸いです。……ただ、あれは女性目線の小説に挑戦してみたというものなので、こっちの雰囲気は一切関係ないですけどw
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