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遷都
試食会(エロ度☆☆☆☆☆)
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明くる年、慶長13年(1608年)春
大阪城を出立する予定日の1カ月ほど前である。
右近による牛肉の試食会が開かれる。
・・・・・・が、想像以上に嫌がられた。
近場で屠殺されて肉に分けられた牛が運ばれてきた時はまださほどでもなかった。
だが、肉の焼ける匂いがし出した時には城の皆が顔を顰めて鼻を抓んだ。
お梅など、何時の間にやら姿を消していた。
桜に習ったのだろうか、一切人に気付かせずにいなくなっていた。
無駄に才能を発揮する愛娘である。
確かに、初めてだとこの肉の焼ける匂いって辛いのかも。
でも、それなりに鶏肉とかは焼いて喰ってるんじゃ・・・・・・。
「は、母上?」
「・・・・・・秀頼、これを食せと言うのですか?」
「ハハ、モノは試しですよ。ちゃんと美味い部位を焼かせていますし、良い塩を使っているので大丈夫です。なぁ、お千」
「・・・・・・陛下ぁ、私食べたくありません」
この通り大不評である。
他の誰もが・・・・・・あ。
「では、私が先に」
そう言ってたらがパクリとひときれ食べる。
そういや、たらも切支丹だった。
たしか母のガラシャによって入信させられたと言っていた。
まぁ、ガラシャと違いあまり熱心ではないようだけど。
「うん、昔食べたのより美味しいです」
「・・・・・・いえ、たら姫様の味覚は誰も信じていません」
「ひ、酷いです。桜姫様!」
などと仲良し同士でじゃれ合ってみたりしている。
確かに精液大好きなたらの評価じゃなぁ。
に、してもこんなに美味いのになぁ。
「もぐもぐ、喰ってみようよ。喰わず嫌いは良くないよ?」
「ひ、秀頼、貴方はまた毒見を通さずに食べましたね!?」
おっとうっかりw
でも、俺が食って見せなきゃ誰も食おうとしないだろう。
ちなみに今回は脂ののり過ぎていない部位を焼いてもらった。
この時代の人々は脂肪分の高い者を好まないためだ。
だから、マグロを釣ってもトロは捨てると言うもったいない状態に陥っている。
・・・・・・まぁ、俺も食ってみたら脂っこくて吐いてしまったけど。
前世ならもったいないって怒っていたところだが、それほど食生活が違い過ぎるのだ。
もちろんそのままではもったいないので、ネギトロとかにして出すように指示をしてきたけどね。
「へ、陛下が食されるなら・・・・・・」
次にエイヤとお千が俺の膝の上で口をつける。
ちなみに塩だけではあれかと思い俺はワサビ醤油で食べている。
「お、美味しい? かもです」
はい、微妙な評価。
まぁ、一度も食べたことない食材なんてこんなものかもなぁ。
「でも、これで身が穢れるのでしょう?」
「母上、大して信心もないくせにそう言う部分的な信じ方をするのはやめませんか?」
「よ、余計なお世話です!」
そうこうしているうちに俺の膝の上のお千はまた一切れ口に運ぶ。
それを見て他の側室達もようやく食べ始めた。
「ん? そういや五郎八も切支丹じゃなかったか?」
「は、はい。そうですけど、私は食べたことはございませんでした」
「ふ~ん、感想は?」
「その、肉の御汁がジュワリと溢れ、その旨みが口中に広がりまする」
・・・・・・食レポ?
まぁ、実際旨いは旨い。
だが、こんなもんだったかなと言う感じもするのは、やはり食肉用に品種改良された牛ではないからだろう。
「うん。で、母上は?」
「・・・・・・分かりました。食べればいいんでしょう?」
「いえ、別に無理はしなくても。そうだ臭みを消すのにニンニクを使いましょうか?」
「余計臭くなるでしょう!」
むぅ、確かにそうかもだけど。
くそぉ、まさか15の息子が40の母の食わず嫌いを直すために奮闘しなければいけないとは。
「で、ではあちらの汁物などはいかがでしょう? きっと美味しいですよ?」
「・・・・・・まぁ、これでしたら」
そう言って牛のテールスープをクイッと母上が飲む。
ちなみにこれも脂っこさが出過ぎぬようにかなりの野菜が入っている。
練習も含め、今回の試食会のために殺された牛は3頭。
・・・・・・いやぁ、もったいないことしたかも。
「ふむ、これはなかなか」
「でしょう? さ、皆も試してみて」
三成や信繁達も含め、その場にいたものが皆試食を始める。
うん、また一つ時代を早めてやったw
「ふむ、ですが陛下。これをどうするつもりですかな?」
「三成、一面の草原で開墾されていない土地でも牛を大量に連れ込み、耕せながら殺して食いを繰り返せば、手つかずの土地に急に人を連れて行ってもやっていけるのではと思ってな」
「・・・・・・蝦夷、それに朝鮮北部の未開発地帯に人を住まわせるつもりですな?」
「そ、もちろん順次米も運ぶけど、労働力という意味でも家畜を活用するべきかなってさ」
「ふむ、成る程。しかし、そのためには牛を増やす必要がございますな」
気のせいだろうか、相変わらず生真面目ではあるが、引退し相談役に就いて以来、一歩引いたところから助言をするようになった気がする。
まぁ、三成も47歳。
少し肩の荷が下りた上にやることを与えてやったからわりと楽しく生活できているのだろう。
「三成、政治班に命じて必要な資金を割り出し、方策と担当を決めておいてくれ」
「ははっ!」
大阪城を出立する予定日の1カ月ほど前である。
右近による牛肉の試食会が開かれる。
・・・・・・が、想像以上に嫌がられた。
近場で屠殺されて肉に分けられた牛が運ばれてきた時はまださほどでもなかった。
だが、肉の焼ける匂いがし出した時には城の皆が顔を顰めて鼻を抓んだ。
お梅など、何時の間にやら姿を消していた。
桜に習ったのだろうか、一切人に気付かせずにいなくなっていた。
無駄に才能を発揮する愛娘である。
確かに、初めてだとこの肉の焼ける匂いって辛いのかも。
でも、それなりに鶏肉とかは焼いて喰ってるんじゃ・・・・・・。
「は、母上?」
「・・・・・・秀頼、これを食せと言うのですか?」
「ハハ、モノは試しですよ。ちゃんと美味い部位を焼かせていますし、良い塩を使っているので大丈夫です。なぁ、お千」
「・・・・・・陛下ぁ、私食べたくありません」
この通り大不評である。
他の誰もが・・・・・・あ。
「では、私が先に」
そう言ってたらがパクリとひときれ食べる。
そういや、たらも切支丹だった。
たしか母のガラシャによって入信させられたと言っていた。
まぁ、ガラシャと違いあまり熱心ではないようだけど。
「うん、昔食べたのより美味しいです」
「・・・・・・いえ、たら姫様の味覚は誰も信じていません」
「ひ、酷いです。桜姫様!」
などと仲良し同士でじゃれ合ってみたりしている。
確かに精液大好きなたらの評価じゃなぁ。
に、してもこんなに美味いのになぁ。
「もぐもぐ、喰ってみようよ。喰わず嫌いは良くないよ?」
「ひ、秀頼、貴方はまた毒見を通さずに食べましたね!?」
おっとうっかりw
でも、俺が食って見せなきゃ誰も食おうとしないだろう。
ちなみに今回は脂ののり過ぎていない部位を焼いてもらった。
この時代の人々は脂肪分の高い者を好まないためだ。
だから、マグロを釣ってもトロは捨てると言うもったいない状態に陥っている。
・・・・・・まぁ、俺も食ってみたら脂っこくて吐いてしまったけど。
前世ならもったいないって怒っていたところだが、それほど食生活が違い過ぎるのだ。
もちろんそのままではもったいないので、ネギトロとかにして出すように指示をしてきたけどね。
「へ、陛下が食されるなら・・・・・・」
次にエイヤとお千が俺の膝の上で口をつける。
ちなみに塩だけではあれかと思い俺はワサビ醤油で食べている。
「お、美味しい? かもです」
はい、微妙な評価。
まぁ、一度も食べたことない食材なんてこんなものかもなぁ。
「でも、これで身が穢れるのでしょう?」
「母上、大して信心もないくせにそう言う部分的な信じ方をするのはやめませんか?」
「よ、余計なお世話です!」
そうこうしているうちに俺の膝の上のお千はまた一切れ口に運ぶ。
それを見て他の側室達もようやく食べ始めた。
「ん? そういや五郎八も切支丹じゃなかったか?」
「は、はい。そうですけど、私は食べたことはございませんでした」
「ふ~ん、感想は?」
「その、肉の御汁がジュワリと溢れ、その旨みが口中に広がりまする」
・・・・・・食レポ?
まぁ、実際旨いは旨い。
だが、こんなもんだったかなと言う感じもするのは、やはり食肉用に品種改良された牛ではないからだろう。
「うん。で、母上は?」
「・・・・・・分かりました。食べればいいんでしょう?」
「いえ、別に無理はしなくても。そうだ臭みを消すのにニンニクを使いましょうか?」
「余計臭くなるでしょう!」
むぅ、確かにそうかもだけど。
くそぉ、まさか15の息子が40の母の食わず嫌いを直すために奮闘しなければいけないとは。
「で、ではあちらの汁物などはいかがでしょう? きっと美味しいですよ?」
「・・・・・・まぁ、これでしたら」
そう言って牛のテールスープをクイッと母上が飲む。
ちなみにこれも脂っこさが出過ぎぬようにかなりの野菜が入っている。
練習も含め、今回の試食会のために殺された牛は3頭。
・・・・・・いやぁ、もったいないことしたかも。
「ふむ、これはなかなか」
「でしょう? さ、皆も試してみて」
三成や信繁達も含め、その場にいたものが皆試食を始める。
うん、また一つ時代を早めてやったw
「ふむ、ですが陛下。これをどうするつもりですかな?」
「三成、一面の草原で開墾されていない土地でも牛を大量に連れ込み、耕せながら殺して食いを繰り返せば、手つかずの土地に急に人を連れて行ってもやっていけるのではと思ってな」
「・・・・・・蝦夷、それに朝鮮北部の未開発地帯に人を住まわせるつもりですな?」
「そ、もちろん順次米も運ぶけど、労働力という意味でも家畜を活用するべきかなってさ」
「ふむ、成る程。しかし、そのためには牛を増やす必要がございますな」
気のせいだろうか、相変わらず生真面目ではあるが、引退し相談役に就いて以来、一歩引いたところから助言をするようになった気がする。
まぁ、三成も47歳。
少し肩の荷が下りた上にやることを与えてやったからわりと楽しく生活できているのだろう。
「三成、政治班に命じて必要な資金を割り出し、方策と担当を決めておいてくれ」
「ははっ!」
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新作「プニプニホッペの魔王様」を連載し始めました。ご一読いただけると幸いです。……ただ、あれは女性目線の小説に挑戦してみたというものなので、こっちの雰囲気は一切関係ないですけどw
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