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大名の子女
初めての政略結婚1/2(エロ度☆☆☆☆☆)
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3月20日晴。
京や大阪にいる諸将を集めて、今度は醍醐寺で花見と言う名の酒宴を開くことになった。
武断派と文治派のしこりは大分解消され、今も三成が清正に絡まれるようにして酒を呑んでいる。
父上がいた時と変わらぬ満開の桜の中で、今回は裏内の女たちはいないが、その分諸大名の妻子達が来て楽しんでいる。
こういう風景を見ていれば天下泰平であると実感できる。
「桜、お茶」
「はい。秀頼様」
桜もお梅の面倒を乳母に任せ、俺付きの忍びに戻った。
蛍と2人体制で常にどちらかが警護に付いている。
「ここで、お前と逢ったな?」
「・・・・・・はい。そして、桜と名付けていただきました。あの、やはり桜の花から付けてくださったのですか?」
「ま、まぁ、そうだな」
実際は乳首が可愛らしくサクランボみたいと思ったからだが、醍醐の桜からの方が様になる。
そう言っているうちに出してくれるお茶は、もちろん苦みの少なく温めになっている。
つまり俺が飲み易いようにしてくれている。
「泰平だなぁ」
「はい。私達忍びなど、もう必要ないのかもしれません」
「桜は分かってないなぁ」
「え?」
「泰平は続けることこそが難しいんだよ。乱や一揆が起きる前に情報を集めるには忍びも必要なのさ」
「そう、なんですか」
「そうだよぉ。まぁ、とりあえずは花見でまったりしよ~」
「膝枕いたしましょうか?」
「ん」
ポカポカ陽気も重なり、2階の縁側で桜と話しながらも眠気が来てしまった。
桜の膝に頭を乗せ、大名達を見ながら一眠りすることにしよう。
まぁ、どうせ花見などと言いつつ、しばらくは呑み続けるだろうし、起きても続いているだろう。
「ふあぁああぁ」
「ふふ、おっきなお口です」
桜も優しく俺の髪を漉いてくれ、眠りに誘ってくれる。
しかし、ウトウトと微睡んでいると、背中の方から誰かが近づいてくる。
まぁ、今日は蛍もいるし、危険はないだろうが、俺の背中に近づく人間など少ないはずだが?
「あらまぁ、天下人がこんなところでお昼寝ですか?」
この声は!?
少しだけ頭を上げると義母上(おね)が何時の間にかそこに立っていた。
「ふぁ、義母上? あぁ、来てくださったのですねぇ」
「ふふ、寝ぼけ眼ですね。それもまた良いでしょう。ですが秀頼、私から一つ願いがあります」
願い?
わざわざ起き上がらなくても、隣りに来てくれたおかげで寝たまま話せる。
それにしても、義母上にお願いをされるのは初めてだ。
もちろん全然オーケーだが、一体どんな願い事だろう。
義母上は大名達が楽しそうに酒盛りするその集まりを指さし、俺に問うてくる。
「秀頼、あれは何ですか?」
「・・・・・・天下泰平の姿かと」
もちろん仕事をしていないわけじゃない。
単純に彼等は普段頑張っていて今日は羽目を外しているだけなのだ。
昼間から酒を呑んでいるからダメだと言うのか?
「そうですね、恨みもあったはずの大名同士でもお酒を酌み交わしている。ですが、本当に見えませんか?」
「それは、どういう?」
「長政は私が幼い頃に預かり育てた子です。可愛いからこそ見えるのかもしれませぬ。ですが、貴方も天下人、自分の目で見てください」
一体なんだと言うのだろうか?
長政を観察していると、酒は呑んでいるが、いまいち楽しそうでもない。
年賀の宴会の時は忠興を呼びに行き、遅参してしまい、しかも如水の押し付けで飲み過ぎて早々に酔いつぶれていたらしいが・・・・・・
「仲の悪い大名と近くの席になったとかですか?」
「右の方に蜂須賀殿がいます」
「家政? ・・・・・・家政も機嫌が悪そうですね」
「何故か分かりますか?」
「いえ」
「長政は蜂須賀殿の妹御を正妻としておりました。ほんの2年前まで、です」
そうだ、思い出した!
「あの戦の直前に離縁して家康の養女を正妻にしたんでしたね!」
「そうです。何の咎も無く糸姫は離縁され、蜂須賀家は大いに面目を潰される形になりました」
「それで喧嘩を?」
「おかしいですか?」
「いえ、確かに蜂須賀家としては腹立たしいでしょうね」
「あれを解決してあげてほしいのです」
「・・・・・・家康の養女にも罪はありません」
「もちろんです。ですが、ああいったものが家中騒乱の種になるのです。ですから秀頼、見事に解決してはいただけませんか?」
義母上の願いと言いながらも結局は豊臣のためなのだ。
「ありがとうございます。義母上」
「任せましたよ、秀頼」
義母上が出て行った後はまた桜と二人だけになる。
改めて淹れてもらった茶を飲みながら、試しに桜に聞いてみることにした。
「桜、どう思う?」
「黒田殿が悪いです」
まぁ、そりゃ女性からすればそうなんだろうけど。
「だがもともと政略結婚なんだろ?」
「知りませんけど、男の都合で結婚させられて、男の都合で別れろなんて酷すぎます!」
・・・・・・しかも家名まで背負ってだもんなぁ。
「たしか、長政にも娘がいたな」
先日の側室探しの時に三成がまとめてくれた表で見たのを覚えている。
たしか、菊姫、6歳。
年齢の時点で省いていたが・・・・・・
「如水を呼んでくれ」
京や大阪にいる諸将を集めて、今度は醍醐寺で花見と言う名の酒宴を開くことになった。
武断派と文治派のしこりは大分解消され、今も三成が清正に絡まれるようにして酒を呑んでいる。
父上がいた時と変わらぬ満開の桜の中で、今回は裏内の女たちはいないが、その分諸大名の妻子達が来て楽しんでいる。
こういう風景を見ていれば天下泰平であると実感できる。
「桜、お茶」
「はい。秀頼様」
桜もお梅の面倒を乳母に任せ、俺付きの忍びに戻った。
蛍と2人体制で常にどちらかが警護に付いている。
「ここで、お前と逢ったな?」
「・・・・・・はい。そして、桜と名付けていただきました。あの、やはり桜の花から付けてくださったのですか?」
「ま、まぁ、そうだな」
実際は乳首が可愛らしくサクランボみたいと思ったからだが、醍醐の桜からの方が様になる。
そう言っているうちに出してくれるお茶は、もちろん苦みの少なく温めになっている。
つまり俺が飲み易いようにしてくれている。
「泰平だなぁ」
「はい。私達忍びなど、もう必要ないのかもしれません」
「桜は分かってないなぁ」
「え?」
「泰平は続けることこそが難しいんだよ。乱や一揆が起きる前に情報を集めるには忍びも必要なのさ」
「そう、なんですか」
「そうだよぉ。まぁ、とりあえずは花見でまったりしよ~」
「膝枕いたしましょうか?」
「ん」
ポカポカ陽気も重なり、2階の縁側で桜と話しながらも眠気が来てしまった。
桜の膝に頭を乗せ、大名達を見ながら一眠りすることにしよう。
まぁ、どうせ花見などと言いつつ、しばらくは呑み続けるだろうし、起きても続いているだろう。
「ふあぁああぁ」
「ふふ、おっきなお口です」
桜も優しく俺の髪を漉いてくれ、眠りに誘ってくれる。
しかし、ウトウトと微睡んでいると、背中の方から誰かが近づいてくる。
まぁ、今日は蛍もいるし、危険はないだろうが、俺の背中に近づく人間など少ないはずだが?
「あらまぁ、天下人がこんなところでお昼寝ですか?」
この声は!?
少しだけ頭を上げると義母上(おね)が何時の間にかそこに立っていた。
「ふぁ、義母上? あぁ、来てくださったのですねぇ」
「ふふ、寝ぼけ眼ですね。それもまた良いでしょう。ですが秀頼、私から一つ願いがあります」
願い?
わざわざ起き上がらなくても、隣りに来てくれたおかげで寝たまま話せる。
それにしても、義母上にお願いをされるのは初めてだ。
もちろん全然オーケーだが、一体どんな願い事だろう。
義母上は大名達が楽しそうに酒盛りするその集まりを指さし、俺に問うてくる。
「秀頼、あれは何ですか?」
「・・・・・・天下泰平の姿かと」
もちろん仕事をしていないわけじゃない。
単純に彼等は普段頑張っていて今日は羽目を外しているだけなのだ。
昼間から酒を呑んでいるからダメだと言うのか?
「そうですね、恨みもあったはずの大名同士でもお酒を酌み交わしている。ですが、本当に見えませんか?」
「それは、どういう?」
「長政は私が幼い頃に預かり育てた子です。可愛いからこそ見えるのかもしれませぬ。ですが、貴方も天下人、自分の目で見てください」
一体なんだと言うのだろうか?
長政を観察していると、酒は呑んでいるが、いまいち楽しそうでもない。
年賀の宴会の時は忠興を呼びに行き、遅参してしまい、しかも如水の押し付けで飲み過ぎて早々に酔いつぶれていたらしいが・・・・・・
「仲の悪い大名と近くの席になったとかですか?」
「右の方に蜂須賀殿がいます」
「家政? ・・・・・・家政も機嫌が悪そうですね」
「何故か分かりますか?」
「いえ」
「長政は蜂須賀殿の妹御を正妻としておりました。ほんの2年前まで、です」
そうだ、思い出した!
「あの戦の直前に離縁して家康の養女を正妻にしたんでしたね!」
「そうです。何の咎も無く糸姫は離縁され、蜂須賀家は大いに面目を潰される形になりました」
「それで喧嘩を?」
「おかしいですか?」
「いえ、確かに蜂須賀家としては腹立たしいでしょうね」
「あれを解決してあげてほしいのです」
「・・・・・・家康の養女にも罪はありません」
「もちろんです。ですが、ああいったものが家中騒乱の種になるのです。ですから秀頼、見事に解決してはいただけませんか?」
義母上の願いと言いながらも結局は豊臣のためなのだ。
「ありがとうございます。義母上」
「任せましたよ、秀頼」
義母上が出て行った後はまた桜と二人だけになる。
改めて淹れてもらった茶を飲みながら、試しに桜に聞いてみることにした。
「桜、どう思う?」
「黒田殿が悪いです」
まぁ、そりゃ女性からすればそうなんだろうけど。
「だがもともと政略結婚なんだろ?」
「知りませんけど、男の都合で結婚させられて、男の都合で別れろなんて酷すぎます!」
・・・・・・しかも家名まで背負ってだもんなぁ。
「たしか、長政にも娘がいたな」
先日の側室探しの時に三成がまとめてくれた表で見たのを覚えている。
たしか、菊姫、6歳。
年齢の時点で省いていたが・・・・・・
「如水を呼んでくれ」
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新作「プニプニホッペの魔王様」を連載し始めました。ご一読いただけると幸いです。……ただ、あれは女性目線の小説に挑戦してみたというものなので、こっちの雰囲気は一切関係ないですけどw
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