関白の息子!

アイム

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江戸城陥落

無血開城(エロ度☆☆☆☆☆)

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「では、信之頼んだぞ」

 真田の親子3人の中で、俺としては一番気に留めていなかった信幸こそが如水の目当てだった。
 信幸は家康の養女・稲を正室に迎えていることから、曲がりなりにも江戸城を守る秀忠の義理の兄弟。
 もっとも、そんな薄い繋がりを主張したいのではない。
 これは徳川家康個人を断罪する戦で、徳川家やそれに連なる者を廃すものではないということを証明する人材だということだ。

「ははぁ! 必ずや開城するよう説き伏せて参りまする」

 此処には俺達の軍7千しかいない。
 純粋な兵力なら、もしかしたら江戸城内の兵力の方が多いのではないだろうか?
 しかし、海上には遠目にも大船団が見えるし、各地から侵攻してきている兵力は当然秀忠も知っているはずだ。

「ここで降伏するならそれでよし。しないと言うなら海上戦力を引き入れるだけだな」

「仰る通りで。城などまともにかかっては無駄に兵を損耗させます。建て直すにも金がかかりますからな。戦わずに済むなら戦わない方がよろしいかと」

「まぁ、な。しかし、親を見捨てて子が降伏するものなのか? 蓄えは山ほどあるのだろう?」

「秀忠殿が老い先短い親の命と家の存続のどちらに主眼を置くか、ですな。殿と秀忠殿は非常に関係の深い仲ですから、秀忠殿がそこに家の存続を賭けると言うのも分からない話ではございますまい」

 確かに。
 千姫と結婚すれば秀忠は義理の父。
 そうでなくても義理の叔父。
 しかし、老い先短いって、家康はこれからも結構生きるけどね。

「江戸が落ちたらどうなる?」

「徳川軍は戦意を無くし、降参することでしょう」

「では、このまま江戸城に秀忠が籠城すれば?」

「大阪より大砲を数門船にて運ばせました。あまり時間をかけずに済ませるとしましょう。その方が徳川を完全に取り潰せるので、恩賞を与えやすく、悪いことではございません」

「徳川の臣下は出来る限り俺が引き取る旨も文書に書いておいた」

「お甘いですな。まぁ、優秀な人材も多いのでそれでよろしいでしょう」

 俺が江戸の開城のために渡した条件は大雑把に言えば以下の通り。
1.徳川家康は流罪とする。

2.徳川家は秀忠を当主とし、存続。
  蝦夷地の代官となり、当地を開拓すること。
  その功によっては旧領に戻すこともある。

3.江は秀忠と離縁し、千姫、珠姫と共に身柄を豊臣家預かりとする。

4.減封の結果、養えなくなった者は豊臣家預かりとする。
  また、秀忠が功を立てた際には大名家としての徳川家再興を許す。

5.以上を守り、江戸城を無血開城するならば豊臣秀頼の名において城兵の命は保証する。

 「勝てる可能性が低いから、何としてでもお家の存続を」と考えなければ乗らない条件だ。

「如水、どう思う?」

「さあ? 某ならこのような状況にさせませんから」

「・・・・・・なぁ、如水。家康が聚楽第を抜け出したのって、お前の謀か?」

「はて? 某はただ豊臣の軍が動いている、と。さて、誰に言ったんでしたかなぁ」

 勝手に深読みした家康が悪い、と。
 豊臣軍と言えば、当時は秀次叔父上の軍。
 普通に考えて俺は軍を動かすような歳じゃなかったからな。
 秀次叔父上であれば、俺の後見を独り占めするために家康を殺してとか、いろいろ考えたとしても不思議ではない。

「今更だが、父上が如水を恐れた理由を痛感しているよ」

「某なぞ、竹中殿に比べればどうということもありません」

 そのうえ、一昔前は謀神・毛利元就や謀聖・尼子経久、梟雄・宇喜多直家、松永久秀、それに、竹中半兵衛。
 考えられないほどの賢人がちらほらと。
 いやぁ、そんな人外魔境見たくない。
 ましてやそんな人達と天下を争いたくない。

「俺、この時代で良かったなぁ」

「なんのなんの。この歳でその賢さなら30の頃には相当な謀略の士へと・・・・・・。おや、戻って参りましたな」

「白旗、か」

「秀吉公の小田原攻めで終わったと思った戦国が、秀吉公の死と共に余韻のように蘇りましたが、それもこれまで。殿、良い世を創ってくだされ」

「・・・・・・何を終わったようなことを。まだ隠居は許さんぞ」

「そもそも疾うに隠居していた老骨を呼び戻したのでございましょう?」

 信之が持って来た書面に念のため目を通す。
 秀忠は完全に条件を飲み、本日中に武装解除を行うと約束してきた。

「よし、では行くか」

「・・・・・・何処にですか? 偶に常識のないことを言われますが、武装解除が終わり安全が確認されるまで入ってはいけません」

 あ、そうか。
 気が逸ってしまってしょうがない。

 しかし、江戸城の無血開城と言えばあれだな、明治維新の様だな。
 とすると信之が坂本龍馬?
 そんな感じではないなぁ。

「殿、油断してはいけません。完全開城が終わる前に家康殿が戻れば更に一戦ということも有り得ますので」

「攻めて来るならそれもまた如水の考えの中だろう? 何せここまで敵に見つからずに来たんだ。敵の位置をしっかり把握していなければ出来ない芸当だ」

「おお、気付いておられましたか。まぁ、まず間違いなく攻めてきますな」

 結局俺はただの囮か?

「まぁいいや、敵は3万か?」

「ええ。ですが、此処に辿り着く頃には5千といったところでしょう」

「随分と罠を張っているんだな? で、その5千はどう叩く?」

「城と連携されると流石に厄介です。ということで殿、此処は兵達に任せ、我々は移動することにしましょう。決戦の地に1万3千の兵を用意してございます」

「今回の囮は本当にこの五七桐の旗だったってこと、か」

「ふふ、某もそう何度も主君を危険に晒しはしませぬよ」

「嘘をつけ。・・・・・・でもそれで良い。如水は天下の事を考えよ」

「ははっ!」

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新作「プニプニホッペの魔王様」を連載し始めました。ご一読いただけると幸いです。……ただ、あれは女性目線の小説に挑戦してみたというものなので、こっちの雰囲気は一切関係ないですけどw
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