関白の息子!

アイム

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江戸城陥落

表裏比興(エロ度☆☆☆☆☆)

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 戦いには勝ったものの、最後の一兵まで死に物狂いで戦う井伊軍により、大きな被害を受けた俺達は補給の為に一度上田城まで退いた。

 北方の長政の部隊は既に堀を降し、関東にまで歩を進めている。
 それを助けた真田軍も一時上田に戻っていたので、このまま数の減った俺達の部隊に吸収する形となった。

「秀頼様におかれましては、初陣にして凄まじき武功を上げられましたこと誠に感服いたしております」

 真田昌幸が恭しく頭を下げてひれ伏す。
 これが表裏比興の者、か。
 ちなみに後ろに控えるのが信幸と信繁(幸村)の兄弟。
 信繁の方は大阪で父上の侍従をしていた頃に会っているし、何度か剣の稽古も見てもらったことがある。

「別に俺の武功じゃない。如水と忠興だ。それよりも昌幸、堀の春日山城陥落に多大な貢献をしてくれたそうじゃないか。ご苦労であった」

「ははっ! 有り難き幸せ」

 昌幸も多くの臣下の内の一人ではあるが、小大名でしかない。
 名将とは言え、特に気に掛ける必要もない。

 ついでに信繁の方も正史では随分助けてもらったわけだが、今の俺には特に恩義もない。
 今は小大名のことなど気にしてもしょうがない。

 ん、そう言えば。

「信繁、確か娘がいたな?」

「はっ! 亡き妻の忘れ形見にございます」

 ちょっと見てみたい。
 いい女だったらもちろん。

「殿、徳川殿の動向が分かりました」

 が、これからというタイミングで如水が入ってくる。

 ・・・・・・まぁ、今日も桜で遊べばいいか。
 いや、全く不満はないんだけど、せっかくのお城だからねぇ。
 お姫様とか、地のものをいただくのも風流かなぁって。

「殿?」

「なんでもない、家康は何処にいるって?」

「4万の兵力で福島隊と対峙しているそうにございます」

 ん? なんでだ?

「まさか、短期決戦に切り替えたのか!?」

「こちら側は8万の軍勢。そう簡単には負けはしませぬ。おまけに息子の部隊の6万も関東に到着しましたが、敵方の残りの3つの部隊の動向も気になるところです」

「どういうことだ?」

「なぜ、家康は現れたのでしょう?」

 俺の疑問は、如水の教え諭すような質問で返される。

 ・・・・・・確かに不思議だ。
 でもそんなもの理由があるとすれば。

「家康はもしかして俺を誘っているのか? そして残りの3部隊で俺を殺すと?」

「ええ。その可能性は高いでしょう。どうされますか? 既に野戦で闘えば15万対7万。よほどのことがなければ負けることもございますまい」

「四国・九州勢はどうするのだ? せっかく来てくれているのに」

「そうでなくても朝鮮の折の出費が大きかったのです。彼等はそのまま返せばよろしいでしょう」

「う、む。まぁ、そうか。では、如水。現状を詳しく教えてくれ」

「はっ!」

 如水によれば、徳川軍7万の内、4万は福島隊8万と対峙したまま国分寺にて膠着状態にある。
 福島隊が攻めないのは残りの3万の居場所を把握できていないことと、黒田隊6万がすぐそこに来ているので合流してからの方が楽勝ということだろう。

「如水、なぜ国分寺なのだ? 確か大した山も無い平坦な場所だろう?」

「仰る通りです。しかし、伏兵が3万もいることを含めて何か考えがあるのでしょう。それほど奇策に走る方ではありませんが、同時にただでは転ばぬお方」

「寝返りの可能性は?」

「伊達殿の軍を待っているという可能性は無くはないかと」

 ・・・・・・東北の軍勢が集まれば3万近くの兵力になる。

「伊達はこちら側だろう?」

「今のところは、ですが」

 その不安は確かにある。
 しかし、何となく腑に落ちない。

「それ、本当に家康か?」

「少なくとも旗指物と、そう見える人物はいたそうです」

 ふむ、影武者の可能性もある、か。
 結局はさっさと決着を着ける方が良いのだ。

「如水、真田と合わせてどのくらいの兵力になる?」

「はっ! 7千ほどかと」

 1万にはならない、か。
 真田も堀との戦が終わったばかりで疲弊している。
 それに、策に嵌めて圧倒的な勝利と思い込んでいたのにこちらも死者が500を超え、戦闘不能になった者は3000を超える。
 それだけ井伊の火事場のバカ力はすごかった。
 如水の言う通りまともにぶつかったらそれこそ・・・・・・

「7千で出来ることは?」

「いえ。7千ではなく、やはりこの五七桐が役に立つかと」

「また囮にする気か、良いだろう!」

 敵の陣形を乱すために豊臣の家紋を使うと、そう如水は平然と言う。
 天下人の首は重い。
 取り敢えずそう考えておこう。

 しかし、如水の顔はそうではないと言いたげだ。
 囮ではないのか?

「たしか、殿には婚約者がおられましたな?」

 千姫のことか? 今は江伯母上と江戸城にいるはずだけど・・・・・・

「秀忠殿は許す事になさいませ。そして江戸城を開城させれば、家康殿を孤立させられます。事ここに至れば、親を裏切ってでも家を残すことを考えるのでは?」

 うちの軍師はとんでもない悪魔だ。

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新作「プニプニホッペの魔王様」を連載し始めました。ご一読いただけると幸いです。……ただ、あれは女性目線の小説に挑戦してみたというものなので、こっちの雰囲気は一切関係ないですけどw
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