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江戸城陥落
赤鬼(エロ度☆☆☆☆☆)
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「殿! どうか、某に先陣をお命じください!」
「よし、では騎兵2千を率いて敵の勢いを挫け!」
「ははっ!」
忠興が意気揚々と陣を出ていく。
戦国大名を指揮するのって、なんて気持ちいいんだろう。
・・・・・・如水の冷たい視線を浴びなければ。
「……如水、不満か?」
「いえ、殿の言うことに不満などあろうはずもありません」
「……ごめん。教えて」
素直に勢いで指示を出したことを謝る。
「まともに敵の勢いを受けてどうします。万一ここで足止めを受け、他の敵勢が現れたらどうなさるおつもりで? まして敵将が誰かをご存知ですか?」
ぐぅの音も出ないってやつだ。
敵将は・・・・・・えっと赤い。
あか、赤と言えば。
「……あの赤備えってまさか」
「井伊直正殿ですな。よりにもよって敵方の最強部隊です」
「やはり強いのか?」
徳川最強の赤備えの井伊軍団。
関ケ原では一番槍の部隊。
「強いです。策は用いず突貫するのみですが、それゆえ自らの損耗も気にせずに死に物狂い。細川殿がいかに強くてもあれと当たっては敵いますまい」
「如水、策を」
「もう打ってございます。と、言いますかこの場で当たること自体が策にございます」
「どういうことだ?」
此処は正直何の変哲もない土地。
向かい合った中央が盆地になっているだけだ。
小高い丘があるわけでも、囲地や沼があるわけでもない。
右手側に藪に覆われた山は見えるが、坂が急で使えない。
「まず、我等には機動力はあれど射程や火力はありませぬ。銃や弓などは持ってきておりませんからな。そういったものを持たぬから機動力が増したわけです。その機動力から生み出される突進力も、敵の銃列の前では生かせませぬ。我らは機動力を生かした囮・奇襲を出来ればそれでよいのです」
「しかし、今回は敵を待ち受けたではないか?」
「仰る通り。ではそれはなぜでしょう?」
策に嵌めるためのはず。
福島隊との連携か?
いや、真っ直ぐに江戸に向かわせたのだからそれはない。
「分かったぞ。長政の北の隊が来るんだな?」
「はい。それも間違いではございません。ですので、交戦ではなく誘い込みの方が良いかと」
「……忠興にもう言っちゃった」
「ええ。今度からは気を付けてください?」
「撤退か?」
「いえ。下策と言えど、これは殿の戦。この地で開戦いたします」
ひ、酷い。
こっちはまだ8歳なんだぞ!?
「心配召されますな。負ける気も殺される気も毛頭ございませぬ。如水めの采配とくと御覧に入れましょう。実はここに井伊殿が来ることは知っていたので、仕込みもしておきましたのでな。ククッ」
不敵に笑う如水に背筋に寒気が走る。
約1万対1万。
豊臣秀頼隊・先鋒細川忠興に対し、井伊直正隊・先鋒井伊直正。
……思いっきり攻めの姿勢の敵軍に対し、こちらは奇怪な陣を敷く。
「敵は矢印の陣形だな」
「殿、あれは鋒矢の陣と呼ばれるものです。大してこちらは魚鱗の亜型と言ったところですな」
ふむ。確か鋒矢の陣は突破力のある陣形だ。
ならばこちらは……
「包囲陣形にするべきではないのか?」
「薄くすれば食い破られます。囲むにもまずは敵の勢いを削がねば。ありがたいことに向こうは歩兵が中心。機動力で撹乱し、勢いを削いだところで包囲殲滅すればよろしいでしょう」
魚鱗の敵に向かって逆三角の陣形に2つの遊撃隊が付いた形になっている。
バスケで言うトライアングル2の様な形。
「遊撃隊で敵の背後を討つのか?」
「はい。ですので、しっかりと引きつけねばいけませぬ」
「では――」
敵方から鬨の声が上がる。
ぶおぉぉぉっと大きなほら貝と、声だけで人を殺せるのではないかという1万の人間の殺意のこもった咆哮。
盛大な土ぼこりを上げながら井伊軍1万が迫ってくる。
そのまま戦えば相当な被害となったろう。
如水がいなければ。
「ふぅ、少しもったいないですが、井伊殿が相手なら浮かばれましょう」
サッと如水が軍配を右側の山に向ける。
それと同時に銅鑼が打ち鳴らされる。
そして、どっどどどどどどぉと山崩れでも起きたかのような音が戦場に響く。
右側の山から黒い集団が井伊の先鋒に躍りかかる。
いや、狂ったように襲い掛かる。
火牛の計。
牛の角に刀などをくくり付け、尻尾に葦などを巻いて火を付け暴走させ敵に突入させる荒業。
近隣の町々から召し上げた100頭もの牛が火をつけられて井伊の隊に迫る。
「ふむ、この策は赤備えにはよく効きますな」
「如水。おまえ、坊主でなく悪魔だろ」
火と赤い甲冑に興奮した牛達は脇目も振らずに敵先鋒に突進する。
人が跳ね飛ばされ、踏みしだかれ、角で突き殺される。
しばらくハンバーグは食えそうにない。
いや、まぁ、そもそもこの時代に無いけどさ。
それにしても、あんなものは武士の死に方ではない。
立派に戦死することを心掛けている井伊の赤備えだとて、それは人と人との殺し合いでのこと。
牛に殺されることは自らの尊厳が許さない。
ある者は隊列を乱したままに突進し、ある者は勝手に逃げ出す。
しかし、それでも銃や長槍で少しずつ牛が絶命していく。
「ふむ。流石は井伊殿、これだけでは終わりませぬな。しかし、頃合いです」
「全軍、突撃ぃ!」
俺の精一杯の声に合わせ、こちらの銅鑼が鳴らされる。
遊撃2隊はすでに敵の背後に回っているので、簡易的な包囲攻撃が行われる。
もっとも全軍と言ったが、俺と如水とその護衛500ほどは動かない。
そして突撃が敵方にまで達する頃には、ほぼ牛達は殺されつくしたものの、未だ敵は混乱と乱れた陣形の中にあり、整然とした味方の突撃にさんざんに蹂躙されるのみであった。
「しかし、なかなか完全には崩れませぬな。流石は井伊殿の軍です」
「よく言う。井伊の軍を同兵力で粉砕ではないか」
「策に嵌めたまでです。念を入れたつもりでしたが正解でした。あの精強さ、まともに当たれば殿の首を取られておりました」
「……だから怖いことをサラッと言うな」
忠興の突撃は敵軍中央を半ばまで切り裂き、後方からの遊撃隊の突撃も敵に甚大な被害を与える。
そもそもこの軍は精鋭中の精鋭で作った軍。
いくら敵が徳川最強の部隊と言えど――
「!? 陣を後方に移しますぞ!」
「な、どうした!?」
「抜けてくる部隊があります!」
言われて見てみれば満身創痍の体を馬に預け、わずか2・30騎で混戦を抜け出してくる部隊。
その鬼の形相は、表情などまだ見えないほどの遠目でも十分に迫力で分かる。
「なんだあれは!?」
「井伊直正殿でございます!」
如水と共に慌てて後方の森に逃げ込む。
20倍近くの兵力があろうとあれは怖い。
井伊の赤鬼ここにあり。
頼むから敵にいないでほしい。
絶対これトラウマになる。
森に入り、少ししたところで井伊隊も迫ってくる。
「今じゃ!」
バッと森の中で妙な音がしたと思うと、地面から何本もの縄が持ち上がり、先頭の井伊直正を始めほとんどの騎馬が足を取られて転倒する。
「抑えよ! 暴れるなら殺せ!」
如水の鋭い指示で勢いを失った井伊隊27名に300近くの兵が襲い掛かる。
騎馬すらない状況では流石に突破は出来ない。
「じょ、如水。これが戦か?」
「紙一重の内に生死が行き交う。これが戦にございます」
徳川四天王・猛将井伊直正は最後まで縛に抵抗し、長槍で全身を突かれ絶命した。
「よし、では騎兵2千を率いて敵の勢いを挫け!」
「ははっ!」
忠興が意気揚々と陣を出ていく。
戦国大名を指揮するのって、なんて気持ちいいんだろう。
・・・・・・如水の冷たい視線を浴びなければ。
「……如水、不満か?」
「いえ、殿の言うことに不満などあろうはずもありません」
「……ごめん。教えて」
素直に勢いで指示を出したことを謝る。
「まともに敵の勢いを受けてどうします。万一ここで足止めを受け、他の敵勢が現れたらどうなさるおつもりで? まして敵将が誰かをご存知ですか?」
ぐぅの音も出ないってやつだ。
敵将は・・・・・・えっと赤い。
あか、赤と言えば。
「……あの赤備えってまさか」
「井伊直正殿ですな。よりにもよって敵方の最強部隊です」
「やはり強いのか?」
徳川最強の赤備えの井伊軍団。
関ケ原では一番槍の部隊。
「強いです。策は用いず突貫するのみですが、それゆえ自らの損耗も気にせずに死に物狂い。細川殿がいかに強くてもあれと当たっては敵いますまい」
「如水、策を」
「もう打ってございます。と、言いますかこの場で当たること自体が策にございます」
「どういうことだ?」
此処は正直何の変哲もない土地。
向かい合った中央が盆地になっているだけだ。
小高い丘があるわけでも、囲地や沼があるわけでもない。
右手側に藪に覆われた山は見えるが、坂が急で使えない。
「まず、我等には機動力はあれど射程や火力はありませぬ。銃や弓などは持ってきておりませんからな。そういったものを持たぬから機動力が増したわけです。その機動力から生み出される突進力も、敵の銃列の前では生かせませぬ。我らは機動力を生かした囮・奇襲を出来ればそれでよいのです」
「しかし、今回は敵を待ち受けたではないか?」
「仰る通り。ではそれはなぜでしょう?」
策に嵌めるためのはず。
福島隊との連携か?
いや、真っ直ぐに江戸に向かわせたのだからそれはない。
「分かったぞ。長政の北の隊が来るんだな?」
「はい。それも間違いではございません。ですので、交戦ではなく誘い込みの方が良いかと」
「……忠興にもう言っちゃった」
「ええ。今度からは気を付けてください?」
「撤退か?」
「いえ。下策と言えど、これは殿の戦。この地で開戦いたします」
ひ、酷い。
こっちはまだ8歳なんだぞ!?
「心配召されますな。負ける気も殺される気も毛頭ございませぬ。如水めの采配とくと御覧に入れましょう。実はここに井伊殿が来ることは知っていたので、仕込みもしておきましたのでな。ククッ」
不敵に笑う如水に背筋に寒気が走る。
約1万対1万。
豊臣秀頼隊・先鋒細川忠興に対し、井伊直正隊・先鋒井伊直正。
……思いっきり攻めの姿勢の敵軍に対し、こちらは奇怪な陣を敷く。
「敵は矢印の陣形だな」
「殿、あれは鋒矢の陣と呼ばれるものです。大してこちらは魚鱗の亜型と言ったところですな」
ふむ。確か鋒矢の陣は突破力のある陣形だ。
ならばこちらは……
「包囲陣形にするべきではないのか?」
「薄くすれば食い破られます。囲むにもまずは敵の勢いを削がねば。ありがたいことに向こうは歩兵が中心。機動力で撹乱し、勢いを削いだところで包囲殲滅すればよろしいでしょう」
魚鱗の敵に向かって逆三角の陣形に2つの遊撃隊が付いた形になっている。
バスケで言うトライアングル2の様な形。
「遊撃隊で敵の背後を討つのか?」
「はい。ですので、しっかりと引きつけねばいけませぬ」
「では――」
敵方から鬨の声が上がる。
ぶおぉぉぉっと大きなほら貝と、声だけで人を殺せるのではないかという1万の人間の殺意のこもった咆哮。
盛大な土ぼこりを上げながら井伊軍1万が迫ってくる。
そのまま戦えば相当な被害となったろう。
如水がいなければ。
「ふぅ、少しもったいないですが、井伊殿が相手なら浮かばれましょう」
サッと如水が軍配を右側の山に向ける。
それと同時に銅鑼が打ち鳴らされる。
そして、どっどどどどどどぉと山崩れでも起きたかのような音が戦場に響く。
右側の山から黒い集団が井伊の先鋒に躍りかかる。
いや、狂ったように襲い掛かる。
火牛の計。
牛の角に刀などをくくり付け、尻尾に葦などを巻いて火を付け暴走させ敵に突入させる荒業。
近隣の町々から召し上げた100頭もの牛が火をつけられて井伊の隊に迫る。
「ふむ、この策は赤備えにはよく効きますな」
「如水。おまえ、坊主でなく悪魔だろ」
火と赤い甲冑に興奮した牛達は脇目も振らずに敵先鋒に突進する。
人が跳ね飛ばされ、踏みしだかれ、角で突き殺される。
しばらくハンバーグは食えそうにない。
いや、まぁ、そもそもこの時代に無いけどさ。
それにしても、あんなものは武士の死に方ではない。
立派に戦死することを心掛けている井伊の赤備えだとて、それは人と人との殺し合いでのこと。
牛に殺されることは自らの尊厳が許さない。
ある者は隊列を乱したままに突進し、ある者は勝手に逃げ出す。
しかし、それでも銃や長槍で少しずつ牛が絶命していく。
「ふむ。流石は井伊殿、これだけでは終わりませぬな。しかし、頃合いです」
「全軍、突撃ぃ!」
俺の精一杯の声に合わせ、こちらの銅鑼が鳴らされる。
遊撃2隊はすでに敵の背後に回っているので、簡易的な包囲攻撃が行われる。
もっとも全軍と言ったが、俺と如水とその護衛500ほどは動かない。
そして突撃が敵方にまで達する頃には、ほぼ牛達は殺されつくしたものの、未だ敵は混乱と乱れた陣形の中にあり、整然とした味方の突撃にさんざんに蹂躙されるのみであった。
「しかし、なかなか完全には崩れませぬな。流石は井伊殿の軍です」
「よく言う。井伊の軍を同兵力で粉砕ではないか」
「策に嵌めたまでです。念を入れたつもりでしたが正解でした。あの精強さ、まともに当たれば殿の首を取られておりました」
「……だから怖いことをサラッと言うな」
忠興の突撃は敵軍中央を半ばまで切り裂き、後方からの遊撃隊の突撃も敵に甚大な被害を与える。
そもそもこの軍は精鋭中の精鋭で作った軍。
いくら敵が徳川最強の部隊と言えど――
「!? 陣を後方に移しますぞ!」
「な、どうした!?」
「抜けてくる部隊があります!」
言われて見てみれば満身創痍の体を馬に預け、わずか2・30騎で混戦を抜け出してくる部隊。
その鬼の形相は、表情などまだ見えないほどの遠目でも十分に迫力で分かる。
「なんだあれは!?」
「井伊直正殿でございます!」
如水と共に慌てて後方の森に逃げ込む。
20倍近くの兵力があろうとあれは怖い。
井伊の赤鬼ここにあり。
頼むから敵にいないでほしい。
絶対これトラウマになる。
森に入り、少ししたところで井伊隊も迫ってくる。
「今じゃ!」
バッと森の中で妙な音がしたと思うと、地面から何本もの縄が持ち上がり、先頭の井伊直正を始めほとんどの騎馬が足を取られて転倒する。
「抑えよ! 暴れるなら殺せ!」
如水の鋭い指示で勢いを失った井伊隊27名に300近くの兵が襲い掛かる。
騎馬すらない状況では流石に突破は出来ない。
「じょ、如水。これが戦か?」
「紙一重の内に生死が行き交う。これが戦にございます」
徳川四天王・猛将井伊直正は最後まで縛に抵抗し、長槍で全身を突かれ絶命した。
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新作「プニプニホッペの魔王様」を連載し始めました。ご一読いただけると幸いです。……ただ、あれは女性目線の小説に挑戦してみたというものなので、こっちの雰囲気は一切関係ないですけどw
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