22 / 323
宿敵家康!
朝鮮と蝦夷(エロ度☆☆☆☆☆)
しおりを挟む
「太閤殿下、お願いでございます。出征をお取り止めください」
石田三成が父上に直談判に現れた。
「治部、今はその話をしとうない。下がれ」
「曲げてお願い申し上げます! 西国の大名は皆、疲弊しきっております!」
床に額を擦り付けながら、三成は普段の冷静さが嘘のように熱く訴える。
出征とは明(朝鮮)征伐のことで、正史ならもう少しで行われる慶長の役だ。
前回の出征、文禄の役は朝鮮半島に大きな爪痕を残しつつも、明軍の援軍やゲリラ的な抵抗で膠着し、撤退を選んでいる。
しかし、撤退を選んだのは、そもそも講和交渉に入ったからだった。
でもそれは、両国の担当官がお互いの上司に偽の報告をして、お互いに都合の良いように改変したもの。
結果、使節団が到着してみれば、お互いの齟齬が見え、父上が激怒し再出兵を決めるという事態になったのだ。
「もう決めたことじゃ」
「どうか!」
「くどい!」
何と言っても母上や俺と遊びに来たところに来られ、邪魔をされてしまったのだ。
そう言う時に邪魔をされると、父上は結構キレる。
このままじゃ、三成を斬ってしまいかねない勢いだ。
……三成がいなくなれば、関ケ原は起きないのだろうか?
関ケ原は起きなかったとしても、どちらにしても家康の影響力は高い。
それに、位置的な問題もあり、朝鮮出兵はほとんどが西国大名達により行われる。
そうすれば、西国大名と東国大名の差は広がっていく・・・・・・。
前々から考えていた。
俺の知る限りの知識で、こう来たらこうなる。
ああ来たら、ああなる、と。
だから、決めていたのだ。
……俺は遂に自分から人を殺すことに加担する。
父上が怒り心頭の表情で三成に近づいたところで、俺は声をかける。
「ちちうえ、えぞにいきたいです」
父上と母上、三成も土下座の体勢のままで、硬直している。
蝦夷。俺の知る地名では北海道。
旨いものがいっぱいあり、今は異民族アイヌが暮らしている。
しかし、独特な文化はあれど、父上の欲しがる文化とは異なる。
「秀頼、蝦夷、といったか?」
「はい。ちちうえ。えぞにはおいしいものがいっぱいあるそうですよ」
うに・いくら・ホタテ・蟹・鮭・ホッケ・ほっき・ししゃも・牡蠣などなど。
ただ、品種改良の進んでいないこの時代の野菜や穀物は、正直美味しくない。
海鮮類なら、きっと変わらぬ美味さを期待出来る……。
じゃ、なくて、それは副次的な効果だ。
俺が求めているのは、もっと政治的なことだ。
朝鮮を攻めるから、近隣の西国大名が出征する。
では蝦夷を攻めるなら?
「……秀頼? 蝦夷のものが美味いなど誰に聞いたんじゃ?」
「それは、みつなりです」
三成に注目が集まる。
もちろん、三成に聞いたのは嘘ではない。
地図を持ち、ここは? ここはぁ? と、幼子の様に(幼子だが)質問しまくったのだ。
しかし、三成も蝦夷に美味いものがあるなどと知っているわけがない。
だから、驚いているようだ。
「治部、本当か?」
「は……ははっ! ふ、古くより、蝦夷の地に住むアイヌの民は我々と異なる食文化を持ちます。その食事は他では味わえぬ極上の食材により、京ですら味わえぬほどの美味であるとか……」
口八丁、よくも言ったり。
「ほう? で、治部は誰にそれを?」
「は、ははぁ! その……実、は、その――」
「みつなり、わすれたの? つがるでしょ?」
あからさまな助け舟。
果たしてこんなことで許してくれるだろうか?
「そ、そうでございました。以前、津軽為信殿がいらした際に蝦夷にはそのような場所があると……」
「ほう? まことか? それでは、蠣崎と言ったか? 蝦夷の奴等に運んでこさせい!」
蠣崎氏は渡島半島、前世の函館の辺りの勢力。
蝦夷の大名ではある。
でも、冷蔵・冷凍技術の無いこの時代では・・・・・・。
「くさっちゃう」
「む、むぅ、まぁ、そうじゃのう」
「ちちうえといっしょにいきたい!」
「秀頼! お止めなさい!」
母上が凄まじい剣幕で怒る。
怖い。でも、俺もここで曲げるわけにはいかない。
「ちちうえ、だめ?」
「……良かろう。三成! 東国を見て周ろうではないか!」
この時代の蝦夷として認識されているのは渡島半島までだ。
それ以北(以東)、札幌・小樽・苫小牧などについてはあまり認識されていない。
「いえ、殿下。危険でございます。蝦夷には異民族が住みつき、我らが未だ知らぬ地がございます」
「ならば! ――」
父上が叫び、途中で固まる。
そして、俺の方を驚いた表情で見てくる。
「……秀頼……まさか?」
攻め滅ぼせとでも言おうとしたのだろう。
そして俺の狙いに気付いたというわけだ。
「殿下?」
「治部、東国大名に支度させい! 先に蝦夷を攻め、次に朝鮮じゃ!」
石田三成が父上に直談判に現れた。
「治部、今はその話をしとうない。下がれ」
「曲げてお願い申し上げます! 西国の大名は皆、疲弊しきっております!」
床に額を擦り付けながら、三成は普段の冷静さが嘘のように熱く訴える。
出征とは明(朝鮮)征伐のことで、正史ならもう少しで行われる慶長の役だ。
前回の出征、文禄の役は朝鮮半島に大きな爪痕を残しつつも、明軍の援軍やゲリラ的な抵抗で膠着し、撤退を選んでいる。
しかし、撤退を選んだのは、そもそも講和交渉に入ったからだった。
でもそれは、両国の担当官がお互いの上司に偽の報告をして、お互いに都合の良いように改変したもの。
結果、使節団が到着してみれば、お互いの齟齬が見え、父上が激怒し再出兵を決めるという事態になったのだ。
「もう決めたことじゃ」
「どうか!」
「くどい!」
何と言っても母上や俺と遊びに来たところに来られ、邪魔をされてしまったのだ。
そう言う時に邪魔をされると、父上は結構キレる。
このままじゃ、三成を斬ってしまいかねない勢いだ。
……三成がいなくなれば、関ケ原は起きないのだろうか?
関ケ原は起きなかったとしても、どちらにしても家康の影響力は高い。
それに、位置的な問題もあり、朝鮮出兵はほとんどが西国大名達により行われる。
そうすれば、西国大名と東国大名の差は広がっていく・・・・・・。
前々から考えていた。
俺の知る限りの知識で、こう来たらこうなる。
ああ来たら、ああなる、と。
だから、決めていたのだ。
……俺は遂に自分から人を殺すことに加担する。
父上が怒り心頭の表情で三成に近づいたところで、俺は声をかける。
「ちちうえ、えぞにいきたいです」
父上と母上、三成も土下座の体勢のままで、硬直している。
蝦夷。俺の知る地名では北海道。
旨いものがいっぱいあり、今は異民族アイヌが暮らしている。
しかし、独特な文化はあれど、父上の欲しがる文化とは異なる。
「秀頼、蝦夷、といったか?」
「はい。ちちうえ。えぞにはおいしいものがいっぱいあるそうですよ」
うに・いくら・ホタテ・蟹・鮭・ホッケ・ほっき・ししゃも・牡蠣などなど。
ただ、品種改良の進んでいないこの時代の野菜や穀物は、正直美味しくない。
海鮮類なら、きっと変わらぬ美味さを期待出来る……。
じゃ、なくて、それは副次的な効果だ。
俺が求めているのは、もっと政治的なことだ。
朝鮮を攻めるから、近隣の西国大名が出征する。
では蝦夷を攻めるなら?
「……秀頼? 蝦夷のものが美味いなど誰に聞いたんじゃ?」
「それは、みつなりです」
三成に注目が集まる。
もちろん、三成に聞いたのは嘘ではない。
地図を持ち、ここは? ここはぁ? と、幼子の様に(幼子だが)質問しまくったのだ。
しかし、三成も蝦夷に美味いものがあるなどと知っているわけがない。
だから、驚いているようだ。
「治部、本当か?」
「は……ははっ! ふ、古くより、蝦夷の地に住むアイヌの民は我々と異なる食文化を持ちます。その食事は他では味わえぬ極上の食材により、京ですら味わえぬほどの美味であるとか……」
口八丁、よくも言ったり。
「ほう? で、治部は誰にそれを?」
「は、ははぁ! その……実、は、その――」
「みつなり、わすれたの? つがるでしょ?」
あからさまな助け舟。
果たしてこんなことで許してくれるだろうか?
「そ、そうでございました。以前、津軽為信殿がいらした際に蝦夷にはそのような場所があると……」
「ほう? まことか? それでは、蠣崎と言ったか? 蝦夷の奴等に運んでこさせい!」
蠣崎氏は渡島半島、前世の函館の辺りの勢力。
蝦夷の大名ではある。
でも、冷蔵・冷凍技術の無いこの時代では・・・・・・。
「くさっちゃう」
「む、むぅ、まぁ、そうじゃのう」
「ちちうえといっしょにいきたい!」
「秀頼! お止めなさい!」
母上が凄まじい剣幕で怒る。
怖い。でも、俺もここで曲げるわけにはいかない。
「ちちうえ、だめ?」
「……良かろう。三成! 東国を見て周ろうではないか!」
この時代の蝦夷として認識されているのは渡島半島までだ。
それ以北(以東)、札幌・小樽・苫小牧などについてはあまり認識されていない。
「いえ、殿下。危険でございます。蝦夷には異民族が住みつき、我らが未だ知らぬ地がございます」
「ならば! ――」
父上が叫び、途中で固まる。
そして、俺の方を驚いた表情で見てくる。
「……秀頼……まさか?」
攻め滅ぼせとでも言おうとしたのだろう。
そして俺の狙いに気付いたというわけだ。
「殿下?」
「治部、東国大名に支度させい! 先に蝦夷を攻め、次に朝鮮じゃ!」
0
新作「プニプニホッペの魔王様」を連載し始めました。ご一読いただけると幸いです。……ただ、あれは女性目線の小説に挑戦してみたというものなので、こっちの雰囲気は一切関係ないですけどw
お気に入りに追加
876
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
クラスメイトの美少女と無人島に流された件
桜井正宗
青春
修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。
高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。
どうやら、漂流して流されていたようだった。
帰ろうにも島は『無人島』。
しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。
男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?



【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

体育座りでスカートを汚してしまったあの日々
yoshieeesan
現代文学
学生時代にやたらとさせられた体育座りですが、女性からすると服が汚れた嫌な思い出が多いです。そういった短編小説を書いていきます。
サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる