関白の息子!

アイム

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宿敵家康!

朝鮮と蝦夷(エロ度☆☆☆☆☆)

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「太閤殿下、お願いでございます。出征をお取り止めください」

 石田三成が父上に直談判に現れた。

「治部、今はその話をしとうない。下がれ」

「曲げてお願い申し上げます! 西国の大名は皆、疲弊しきっております!」

 床に額を擦り付けながら、三成は普段の冷静さが嘘のように熱く訴える。
 出征とは明(朝鮮)征伐のことで、正史ならもう少しで行われる慶長の役だ。
 
 前回の出征、文禄の役は朝鮮半島に大きな爪痕を残しつつも、明軍の援軍やゲリラ的な抵抗で膠着し、撤退を選んでいる。
 しかし、撤退を選んだのは、そもそも講和交渉に入ったからだった。
 でもそれは、両国の担当官がお互いの上司に偽の報告をして、お互いに都合の良いように改変したもの。
 結果、使節団が到着してみれば、お互いの齟齬が見え、父上が激怒し再出兵を決めるという事態になったのだ。

「もう決めたことじゃ」

「どうか!」

「くどい!」

 何と言っても母上や俺と遊びに来たところに来られ、邪魔をされてしまったのだ。
 そう言う時に邪魔をされると、父上は結構キレる。

 このままじゃ、三成を斬ってしまいかねない勢いだ。

 ……三成がいなくなれば、関ケ原は起きないのだろうか?
 関ケ原は起きなかったとしても、どちらにしても家康の影響力は高い。

 それに、位置的な問題もあり、朝鮮出兵はほとんどが西国大名達により行われる。
 そうすれば、西国大名と東国大名の差は広がっていく・・・・・・。

 前々から考えていた。
 俺の知る限りの知識で、こう来たらこうなる。
 ああ来たら、ああなる、と。
 だから、決めていたのだ。

 ……俺は遂に自分から人を殺すことに加担する。

 父上が怒り心頭の表情で三成に近づいたところで、俺は声をかける。

「ちちうえ、えぞにいきたいです」

 父上と母上、三成も土下座の体勢のままで、硬直している。

 蝦夷。俺の知る地名では北海道。
 旨いものがいっぱいあり、今は異民族アイヌが暮らしている。
 しかし、独特な文化はあれど、父上の欲しがる文化とは異なる。

「秀頼、蝦夷、といったか?」

「はい。ちちうえ。えぞにはおいしいものがいっぱいあるそうですよ」

 うに・いくら・ホタテ・蟹・鮭・ホッケ・ほっき・ししゃも・牡蠣などなど。

 ただ、品種改良の進んでいないこの時代の野菜や穀物は、正直美味しくない。
 海鮮類なら、きっと変わらぬ美味さを期待出来る……。

 じゃ、なくて、それは副次的な効果だ。
 俺が求めているのは、もっと政治的なことだ。

 朝鮮を攻めるから、近隣の西国大名が出征する。
 では蝦夷を攻めるなら?

「……秀頼? 蝦夷のものが美味いなど誰に聞いたんじゃ?」

「それは、みつなりです」

 三成に注目が集まる。
 もちろん、三成に聞いたのは嘘ではない。
 地図を持ち、ここは? ここはぁ? と、幼子の様に(幼子だが)質問しまくったのだ。

 しかし、三成も蝦夷に美味いものがあるなどと知っているわけがない。
 
 だから、驚いているようだ。

「治部、本当か?」

「は……ははっ! ふ、古くより、蝦夷の地に住むアイヌの民は我々と異なる食文化を持ちます。その食事は他では味わえぬ極上の食材により、京ですら味わえぬほどの美味であるとか……」

 口八丁、よくも言ったり。

「ほう? で、治部は誰にそれを?」

「は、ははぁ! その……実、は、その――」

「みつなり、わすれたの? つがるでしょ?」

 あからさまな助け舟。
 果たしてこんなことで許してくれるだろうか?

「そ、そうでございました。以前、津軽為信殿がいらした際に蝦夷にはそのような場所があると……」

「ほう? まことか? それでは、蠣崎と言ったか? 蝦夷の奴等に運んでこさせい!」

 蠣崎氏は渡島半島、前世の函館の辺りの勢力。
 蝦夷の大名ではある。
 でも、冷蔵・冷凍技術の無いこの時代では・・・・・・。

「くさっちゃう」

「む、むぅ、まぁ、そうじゃのう」

「ちちうえといっしょにいきたい!」

「秀頼! お止めなさい!」

 母上が凄まじい剣幕で怒る。
 怖い。でも、俺もここで曲げるわけにはいかない。

「ちちうえ、だめ?」

「……良かろう。三成! 東国を見て周ろうではないか!」

 この時代の蝦夷として認識されているのは渡島半島までだ。
 それ以北(以東)、札幌・小樽・苫小牧などについてはあまり認識されていない。

「いえ、殿下。危険でございます。蝦夷には異民族が住みつき、我らが未だ知らぬ地がございます」

「ならば! ――」

 父上が叫び、途中で固まる。
 そして、俺の方を驚いた表情で見てくる。

「……秀頼……まさか?」

 攻め滅ぼせとでも言おうとしたのだろう。
 そして俺の狙いに気付いたというわけだ。

「殿下?」

「治部、東国大名に支度させい! 先に蝦夷を攻め、次に朝鮮じゃ!」

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新作「プニプニホッペの魔王様」を連載し始めました。ご一読いただけると幸いです。……ただ、あれは女性目線の小説に挑戦してみたというものなので、こっちの雰囲気は一切関係ないですけどw
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