関白の息子!

アイム

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母上のアンアンが激しい

現状認識(エロ度☆☆☆☆☆)

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 さて、少し真面目に考えてみよう。

 俺が秀頼なのは前述の通りだ。父上が秀吉(太閤豊臣秀吉)なのも、母上が茶々(淀殿)なのもこの耳で確認した。

 父上に抱き上げられ、見下ろす大阪城下の街並も大河ドラマですら描けないほどの圧倒的なスケールだった。なんていうか人がゴミの様だっ・・・・・・じゃなくてありんこの様だった。

 うん、大して変わらないか。

 だが、秀吉の息子ということはだ! 拾丸ということは! 俺は豊臣秀頼なのだ!

 前世の俺は歴史好きだったようだし、この微妙に幸運なのか不幸なのか分からぬ生まれの男のことが気になっていた。だから詳しく調べたことがあり良く知っているのだが、秀頼は23歳(以降、全て数え年齢)で死ぬ。少なくてもそう記憶している。

 1615年、有名な大坂夏の陣でのことだ。母である茶々と共に自刃し、自爆する。まさか逃げおおせたということはないだろう。

 しかし当然ではあるが、自分が秀頼になった以上は絶対に死にたくなどない。

 そう、武士の矜持など知ったことじゃない、とにかく死にたくない! 自刃? 腹切りだろ? 滅茶苦茶痛そうじゃん!

 だから変えるしかない。

 歴史の改編? 知ったこっちゃない。大体この世界が俺の知っている世界と同じと誰が決めた。未来の知識がある時点で、生まれ変わりにしてもおかしいんじゃないか? 俺には精一杯生きる権利があるはずだ!



 さて、俺の知る限り、秀頼の人生で大きな変化が生まれるポイントは次の通りだ。

 ①5歳  朝鮮出兵 慶長の役(文禄の役は真っ最中、そろそろ撤退時期)
 ②6歳  父・秀吉が死ぬ
 ③8歳  関ケ原にて石田三成を始めとした豊臣恩顧の文治派の将が死に、家康が力を付ける
 ④11歳 家康の孫・千姫7歳と結婚
 ⑤19歳 京都二条城で家康と面会 目を付けられる
 ⑥22歳 方広寺鐘銘事件、大阪冬の陣
 ⑦23歳 大阪夏の陣

 ちなみに豊臣家としての最大のターニングポイントは、当然②の秀吉の死だろう。しかし、戦死ではなく病死である以上は、おそらくこれは避けられない。俺の前世が医者で未来知識でなんとかできるなら別だが、残念ながらただの高校生だった。

 と、いうことで、秀頼がもっともその運命を変えやすいのは、③関ケ原で西軍の味方をすることだ。これにより家康に味方した豊臣恩顧の加藤清正や福島正則などが西軍に付くと思われ、小早川秀秋などの寝返りも無かったのではないかと思う。

 だが、この時は俺もまだ8歳のはず。実際の歴史でも西軍に参陣を求められた秀頼は、淀殿の反対で参加しなかった。

 さて、その後なら④千姫との結婚だが、この時に家康に取り入ることが出来れば話も違うのではないか? この時でも豊臣家は摂関家、家康にとっても十分に魅力的な家格を持つ。

 次に、⑤19歳の時の二条城での家康との面会だ。この時まで豊臣家の扱いを決めかねていた家康は、秀頼の2m近い体格と風格を見て危険と感じたと言われている。つまり、此処で会わなければ、もしかしたら豊臣家を延命できるかもしれない。

 ⑥⑦は、もうここまで来れば間に合わないだろう。方広寺鐘銘事件での、家康の名前を割り呪おうとしたなどと言う言いがかりは、どんな方法であれいくらでもいちゃもんの付けようがあることだ。もう、ここまでくれば徳川との衝突は回避不可能なはず。

 そう考えてみると、自分が天下人として在り続けるためには、やはり③の関ケ原で動けるようになるのがもっとも効果的だ。②の秀吉の死までに徳川を弱体化できるなら、もしかしたら話も変わってくるかもだけど・・・・・・。

 ちなみに①で朝鮮出兵を入れたのは、これが豊臣の力を削ぎ大名達とのしこりを作ったと言われるからだ。これを辞めさせられれば歴史的にもなにか変わるかもしれないが、流石に誰も5歳の俺の言うことは聞かないだろう。




 ・・・・・・さて、こんなボーっと色々と考えている生後2カ月な俺だが、実は人生の大きなイベントを迎えている。

 なにって? 婚約、なんだなこれが。



 そう、現在の関白、豊臣秀次の娘・槿姫(2歳)との婚約中なのだ。

 ・・・・・・こっちは生後2カ月、向こうだって1年と少しといったところ。はっきり言って、現代の感覚からするとどうかしているとしか思えない。

「うむ。今日は誠に良き日じゃ! 将来の豊臣家の安寧を現しているかのようじゃのう」

 俺を膝の上に乗せた父上が、カラカラと大仰に笑う。だが、俺としては全く笑えない。

「は! 叔父上、本日は誠にありがとうございます!」

 で、こっちの正面でひれ伏している若い男が豊臣秀次。歴史を見れば、もうすぐ自刃する運命にある。そして、今俺の横で婚約が成された槿姫も・・・・・・。

「うむ。安心せい秀次。確かに拾丸は可愛いが、お前に家督を継ぐと決めたのじゃ。そうじゃの、日の本を5つに分け、その内の4つをお前にやる。残る一つを拾丸のものとせよ」

「ははぁ! 有り難き幸せ」

 深く、深く秀次がひれ伏す。だけど、この時何気なく父上の方を見た俺は、全身にぞわっとした悪寒を覚える。

 父上の眼は笑ってなどいなかった。ただ、深く冷たい眼で秀次叔父上を見降ろしていた。その目は、普段の優しい親バカな父上からは想像もつかないものだった。
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新作「プニプニホッペの魔王様」を連載し始めました。ご一読いただけると幸いです。……ただ、あれは女性目線の小説に挑戦してみたというものなので、こっちの雰囲気は一切関係ないですけどw
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