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174:ロジカル思考でたどりつけ
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「さすがは創造主様、するどいご指摘ですわ~」
「おだててもなにも出ないからな?ていうか、むしろため息しか出ねーから」
だって思い出してもみろよ、さっきのクレセントが『前までこんなことなかったのに』なんて言っていたのを。
それを額面どおりに受けとれば、前はペロさんの正体に触れるような話もできてたってことだよな?
その『前』と『今』でなにが変わったのかといえば、クレセントが『テストプレイユーザー』として追加されたってことだけだ。
そこに、はじめて会ったときの女神様もクレセント同様、この世界に侵食して改変をしまくったヤツがだれか口にできなかったという事実を足してみるといい。
もうふたりの共通点をかんがみれば、『星華の刻』の世界に生きる住人には、ソイツがだれなのか言及できない仕組みになっているのだろうって推論が、簡単に導き出せるだろ。
その理由なんて、ここがすべての『星華の刻』の元となる世界である以上、明白だった。
それこそ、それはゆらぎようのない真理だ。
言い換えるなら、絶対に動かしようのない『世界の理』だった。
ゲームに登場するキャラクターの立場からすれば、自分の住まう世界を創り出したのは、せいぜい神様としか思っていないハズで。
まさか別の次元に、自分の見た目から性格から来歴までをふくめて設定し、そしてその世界そのものを創り出している───ふつうの人間がいるだなんて、知りようもないことなんだから。
───だってこの世界は、そういうふうにスタッフによって定められ、創られたのだから。
この世界を構成する成分は、すべからくその法則に縛られることになるということに、ほかならない。
もし例外があるとすれば、ゲームのプレイヤーくらいだろうか?
なにしろプレイヤーは、そのゲームを創りあげたスタッフとおなじ次元に存在している。
さらに、そこがゲームの世界であると認識し、かつ登場人物では知り得ない情報なんかも取得できる位置にいるわけだ。
ついでに言えば、『星華の刻』は恋愛シミュレーションゲームでありながら、RPGゲームの要素も少々かねそなえていた。
いわゆるシナリオの合間にあるミニゲーム的な立ち位置で、授業の一環として学校の裏手にある森でのモンスター討伐をするという設定の戦闘部分がはさみこまれてくるんだ。
このモンスター討伐は、ストーリー上必要となるアイテムを手に入れたり、特定のキャラクターとの仲を進展させたり、お役立ちアイテムを買うためのおこづかいを稼いだりと、ミニゲームとはいえ、それなりに重要な役割を担っていた。
そのため、RPG開発部門から招致した専門スタッフを置いてまで、しっかりと作り込みがされていた。
その結果、一般的なRPGゲーム同様に、出現するモンスターの種類や行動パターンなどもランダム設定になっていた。
───つまり、ゲームをプレイすればするだけ、人によって微妙にちがう展開になるわけで、それはイコールしてそのたびに微妙に異なるパラレルワールドを築いているとも言えなくはないのだと思う。
そうなるともはや、ただのプレイヤーといえど擬似的な『創造主』に近い存在となる。
その一方で、本物の『創造主』であるスタッフとは異なり、そのゲーム内でヒロインのベル・パプリカとして選択できる言動は、その世界に生きる住人同様、あらかじめ設定されたとおりのゲーム内での法則に従うしかないわけだ。
そうかんがえれば、俺とおなじような激しい頭痛に襲われつつも『テストプレイユーザー』として、そんな異質な存在である『プレイヤー』と同等になったクレセントが、ペロさんの正体を口にできないものの、その存在を忘れはしなかったことにだって説明がつく。
うん、今のところ論理に破たんはないな。
「なぁ、『ペロさん』のことだけど……」
その正体をクレセントが口にできなくなった理由が、果たして俺の推測のとおりなのかどうか確認しようと口を開く。
もしそうなら、だれに教えてもらうこともできない以上、自力で見つけ出すしかないもんな?
「えぇ、すべて創造主様のご想像のとおりですわ」
「わかったよ、ありがとう」
言葉にして肯定されたことで、俺の推測は合っていたと、無理して聞き出そうと努力してもムダだということはわかった。
「それで、俺がヒロインよろしく攻略を進めてしまっているのは、あいかわらず問題なしってことでいいんだよな?」
「えぇ、この世界の住人として、取り得る手段しかしていませんから、まったく問題なしですわ」
あらためて確認すれば、案の定それは首肯される。
あぁ、よかった……!
そこを認められたのは、正直うれしかった。
俺にとってのゆずれないポイントが、そこにあったから……。
これまでのことをふりかえれば、俺がこの世界に来てからというもの、おかしな改変をくわえられたシナリオの却下以外に、権能の力をふるうことはなかった。
言い換えるなら、今の女神様のセリフじゃないけど、この世界に生きるキャラクターとひとりとして取り得る言動しかしてこなかったんだ。
そのうえで相手の気持ちや立場を尊重し、すこしでも汲めるよう立ちまわったからこそ、結果として彼らからの信頼を得て好感度もあがっただけだ。
そういう意味では、別に攻略を進めようとして進めたわけじゃなかった。
そりゃもちろん、俺の持つ権能の力だけを見たなら、別にそんな気づかいをする必要はないのかもしれないけれど。
でもここは、個人的にゆずれないポイントだった。
「おだててもなにも出ないからな?ていうか、むしろため息しか出ねーから」
だって思い出してもみろよ、さっきのクレセントが『前までこんなことなかったのに』なんて言っていたのを。
それを額面どおりに受けとれば、前はペロさんの正体に触れるような話もできてたってことだよな?
その『前』と『今』でなにが変わったのかといえば、クレセントが『テストプレイユーザー』として追加されたってことだけだ。
そこに、はじめて会ったときの女神様もクレセント同様、この世界に侵食して改変をしまくったヤツがだれか口にできなかったという事実を足してみるといい。
もうふたりの共通点をかんがみれば、『星華の刻』の世界に生きる住人には、ソイツがだれなのか言及できない仕組みになっているのだろうって推論が、簡単に導き出せるだろ。
その理由なんて、ここがすべての『星華の刻』の元となる世界である以上、明白だった。
それこそ、それはゆらぎようのない真理だ。
言い換えるなら、絶対に動かしようのない『世界の理』だった。
ゲームに登場するキャラクターの立場からすれば、自分の住まう世界を創り出したのは、せいぜい神様としか思っていないハズで。
まさか別の次元に、自分の見た目から性格から来歴までをふくめて設定し、そしてその世界そのものを創り出している───ふつうの人間がいるだなんて、知りようもないことなんだから。
───だってこの世界は、そういうふうにスタッフによって定められ、創られたのだから。
この世界を構成する成分は、すべからくその法則に縛られることになるということに、ほかならない。
もし例外があるとすれば、ゲームのプレイヤーくらいだろうか?
なにしろプレイヤーは、そのゲームを創りあげたスタッフとおなじ次元に存在している。
さらに、そこがゲームの世界であると認識し、かつ登場人物では知り得ない情報なんかも取得できる位置にいるわけだ。
ついでに言えば、『星華の刻』は恋愛シミュレーションゲームでありながら、RPGゲームの要素も少々かねそなえていた。
いわゆるシナリオの合間にあるミニゲーム的な立ち位置で、授業の一環として学校の裏手にある森でのモンスター討伐をするという設定の戦闘部分がはさみこまれてくるんだ。
このモンスター討伐は、ストーリー上必要となるアイテムを手に入れたり、特定のキャラクターとの仲を進展させたり、お役立ちアイテムを買うためのおこづかいを稼いだりと、ミニゲームとはいえ、それなりに重要な役割を担っていた。
そのため、RPG開発部門から招致した専門スタッフを置いてまで、しっかりと作り込みがされていた。
その結果、一般的なRPGゲーム同様に、出現するモンスターの種類や行動パターンなどもランダム設定になっていた。
───つまり、ゲームをプレイすればするだけ、人によって微妙にちがう展開になるわけで、それはイコールしてそのたびに微妙に異なるパラレルワールドを築いているとも言えなくはないのだと思う。
そうなるともはや、ただのプレイヤーといえど擬似的な『創造主』に近い存在となる。
その一方で、本物の『創造主』であるスタッフとは異なり、そのゲーム内でヒロインのベル・パプリカとして選択できる言動は、その世界に生きる住人同様、あらかじめ設定されたとおりのゲーム内での法則に従うしかないわけだ。
そうかんがえれば、俺とおなじような激しい頭痛に襲われつつも『テストプレイユーザー』として、そんな異質な存在である『プレイヤー』と同等になったクレセントが、ペロさんの正体を口にできないものの、その存在を忘れはしなかったことにだって説明がつく。
うん、今のところ論理に破たんはないな。
「なぁ、『ペロさん』のことだけど……」
その正体をクレセントが口にできなくなった理由が、果たして俺の推測のとおりなのかどうか確認しようと口を開く。
もしそうなら、だれに教えてもらうこともできない以上、自力で見つけ出すしかないもんな?
「えぇ、すべて創造主様のご想像のとおりですわ」
「わかったよ、ありがとう」
言葉にして肯定されたことで、俺の推測は合っていたと、無理して聞き出そうと努力してもムダだということはわかった。
「それで、俺がヒロインよろしく攻略を進めてしまっているのは、あいかわらず問題なしってことでいいんだよな?」
「えぇ、この世界の住人として、取り得る手段しかしていませんから、まったく問題なしですわ」
あらためて確認すれば、案の定それは首肯される。
あぁ、よかった……!
そこを認められたのは、正直うれしかった。
俺にとってのゆずれないポイントが、そこにあったから……。
これまでのことをふりかえれば、俺がこの世界に来てからというもの、おかしな改変をくわえられたシナリオの却下以外に、権能の力をふるうことはなかった。
言い換えるなら、今の女神様のセリフじゃないけど、この世界に生きるキャラクターとひとりとして取り得る言動しかしてこなかったんだ。
そのうえで相手の気持ちや立場を尊重し、すこしでも汲めるよう立ちまわったからこそ、結果として彼らからの信頼を得て好感度もあがっただけだ。
そういう意味では、別に攻略を進めようとして進めたわけじゃなかった。
そりゃもちろん、俺の持つ権能の力だけを見たなら、別にそんな気づかいをする必要はないのかもしれないけれど。
でもここは、個人的にゆずれないポイントだった。
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