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*23:気の触れそうな夜の果てには*
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*今回の途中まで肌色多め展開なので、閲覧時は周囲からの視線にご注意ください。
*そういう描写が苦手な方は、読み飛ばしを推奨します。
はじめは、ただ巻き込まれて効きすぎてしまった『魅了香』の効果を抜くために責任を持つと言われただけで。
きっとそれは風紀委員長という立場にあるブレイン殿下なりの、誠意の見せ方にすぎないんだって思っていた。
だけど耳もとでささやかれる甘いセリフも、まるで恋人にするようなやさしい前戯も本番も、勘ちがいをしてしまいそうになるには十分だった。
それにやさしいキスも……。
「はぅっ!?な、なに……?!」
ようやく解放されたと思ったら、今度は鎖骨のあたりを甘噛みされた。
そして、チリッとした感覚とともに軽く吸われ、紅い痕が残される。
「やめっ、そんなの……つけないでくださ……っ!」
「どうして?」
キスマークなんて、そんな所有を主張するようなものつけられたって、きっとあとで見かえしたときにツラくなるだけだ。
「だって……そんなのつけられたら、あなたのことを思い出してしまうから……」
至近距離から顔をのぞき込まれ、その薔薇色の瞳に見つめられるだけで、胸が苦しくなってくる。
本当なら口にしたくはないけれど、けれど自白剤の成分は、俺の口を軽くしてしまう。
今夜のこれは、あくまでも一夜かぎりの関係で、なにかのまちがいだったと忘れなきゃいけないのに。
そんな痕なんてつけられてしまったら、見るたびに今夜のことを、ブレイン殿下にされたこと、言われたこと、すべてがよみがえってきてしまうだろ?
俺は物語のモブで、ブレイン殿下は『星華の刻』の攻略対象となるキャラクターだから。
ほかでもない『世界創造者』権限を持つ俺だからこそ、原作の世界を汚したくなかった。
そう思ってのことなのに───。
「ふぅん、そうですか……」
「な、なんっ!?ヤダッ、やめ……っ!」
俺の制止をふりきって、いくつもの紅い痕がちらされていく。
どうしてこんなこと……!?
「……そうそう、まだ私はイッてないので、もう少しだけおつきあいくださいね?」
「えっ?や、まって……まだムリぃっ!!」
そして今度は極上の笑みとともに正面切って深々と突き刺される。
イッたばかりのからだにとって、それはあまりにも強烈すぎて、思わず息がつまった。
「ンあっ!あッ、あぁっ!ちょっ……やあぁっ!!」
すぐに再開された律動に、声がおさえられないままにゆさぶられる。
ダメだ、深すぎ……ぃっ!
こらえきれない涙が、目尻からボロボロとあふれて止まらない。
善すぎて狂ってしまいそうだなんて、きっとこれは薬のせいだから……。
そう言い聞かせておかないと、自分を保っていられなくなりそうだった。
───フワフワとしてあたたかいなかを、たゆたっている。
それは幸福感につつまれていて、とてもおだやかでうっとりとするような心地のものだ。
それがふいに失われ、ドッと重力が押し寄せてくる───
そして、目がさめた。
あぁ、ヤッちまった……。
ハッと目がさめた瞬間、とっさにそんなことを思う。
えぇ、それはもう二重の意味で。
からだ中がダルくて重いし、腰は痛いし、もっと言えばお尻のほうの違和感なんかは、いまだになかに入ってるんじゃないかってくらい鮮明に残っていた。
たった一晩のことなのに、それまでの常識を根底からくつがえすようなアレやコレが起きたのは、言うまでもない。
改変済み世界での『変態保健医』こと、セラーノ・デルソルの納得いかないキャラクター改変を食い止められたのは、まだほんの少し前───昨夜のことでしかない。
そのおかしなキャラクター性は実は演技だったということで、無事に済んだものの……結果的に俺自身は無事じゃなかったというか。
……うん、見事においしくいただかれました───『星華の刻』の隠し攻略キャラクターのひとりであるブレイン殿下に。
と、いうよりもだ。
ブレイン殿下からは『最後まで責任を取る』とか言われたけど、はたして今の状況は責任を取ってもらったと言っていいのだろうか……?
むしろ俺の被害が拡大しただけなんじゃねぇの??
なにしろ昨晩は、それまで冗談のように口にしていたぶち犯フラグをきっちり回収するように、それはもうねちっこく抱かれましたとも!!
最後なんて、出るものも出尽くして薄くなって、なかば気絶するように寝落ちたような気もするんだけど。
え、あれ……??
おかしくないか、それ?ってなったの、気のせいじゃないよな?
だって、あの場に放置したら『ヤリ部屋』と呼ばれるそこに、その目的で来たヤツらに食われかねないからって、一応保護目的で連れてこられたハズなのに。
いわく、『ゴブリンの巣の前に若い女性を放置するようなもの』だとか言われて。
つまりは足腰が立たなくなるくらい、犯されるってことだと思うけど……。
結果的に相手が不特定多数からなのか、それともちゃんとしたゲーム本編の攻略キャラクターのひとりからなのかってちがいはあるけれど、ヤラれたことはそう大きくちがわない気がする。
───結局のところ、それを人は『本末転倒』と呼ぶんじゃないだろうか?
うーん、これはもう言い逃れのしようがない、よな……?
まして相手がゲームの隠し攻略キャラのブレイン殿下で、昨夜のうちにささやかれた甘いセリフがゲームのなかでヒロインに言うのとおなじだったとか、偶然の一致にしては嫌すぎる。
それってつまりは、昨夜のブレイン殿下はあんなにも情熱的だったけど、実は『だれが相手だろうと、そういう場面で必ず口説き文句としてそういうことを言う人だ』ってことにはならないだろうか??
だって俺はヒロインとはちがって、ブレインルートのラブイベントとか、なにひとつクリアしてない一般人なんだから。
そうかんがえてみたところで、大丈夫、今朝は胸が痛むことも、まして泣いてしまうことなんてなかった。
やっぱり昨日の俺は、どっかおかしくなっていただけなんだな!?
ホッとしたところで、あらためて目をそらしていた現実と向き合う。
えぇと───ここ、どこだ??
思わずそんなことを思うくらいには、その景色には、まるで見おぼえがなかった。
*そういう描写が苦手な方は、読み飛ばしを推奨します。
はじめは、ただ巻き込まれて効きすぎてしまった『魅了香』の効果を抜くために責任を持つと言われただけで。
きっとそれは風紀委員長という立場にあるブレイン殿下なりの、誠意の見せ方にすぎないんだって思っていた。
だけど耳もとでささやかれる甘いセリフも、まるで恋人にするようなやさしい前戯も本番も、勘ちがいをしてしまいそうになるには十分だった。
それにやさしいキスも……。
「はぅっ!?な、なに……?!」
ようやく解放されたと思ったら、今度は鎖骨のあたりを甘噛みされた。
そして、チリッとした感覚とともに軽く吸われ、紅い痕が残される。
「やめっ、そんなの……つけないでくださ……っ!」
「どうして?」
キスマークなんて、そんな所有を主張するようなものつけられたって、きっとあとで見かえしたときにツラくなるだけだ。
「だって……そんなのつけられたら、あなたのことを思い出してしまうから……」
至近距離から顔をのぞき込まれ、その薔薇色の瞳に見つめられるだけで、胸が苦しくなってくる。
本当なら口にしたくはないけれど、けれど自白剤の成分は、俺の口を軽くしてしまう。
今夜のこれは、あくまでも一夜かぎりの関係で、なにかのまちがいだったと忘れなきゃいけないのに。
そんな痕なんてつけられてしまったら、見るたびに今夜のことを、ブレイン殿下にされたこと、言われたこと、すべてがよみがえってきてしまうだろ?
俺は物語のモブで、ブレイン殿下は『星華の刻』の攻略対象となるキャラクターだから。
ほかでもない『世界創造者』権限を持つ俺だからこそ、原作の世界を汚したくなかった。
そう思ってのことなのに───。
「ふぅん、そうですか……」
「な、なんっ!?ヤダッ、やめ……っ!」
俺の制止をふりきって、いくつもの紅い痕がちらされていく。
どうしてこんなこと……!?
「……そうそう、まだ私はイッてないので、もう少しだけおつきあいくださいね?」
「えっ?や、まって……まだムリぃっ!!」
そして今度は極上の笑みとともに正面切って深々と突き刺される。
イッたばかりのからだにとって、それはあまりにも強烈すぎて、思わず息がつまった。
「ンあっ!あッ、あぁっ!ちょっ……やあぁっ!!」
すぐに再開された律動に、声がおさえられないままにゆさぶられる。
ダメだ、深すぎ……ぃっ!
こらえきれない涙が、目尻からボロボロとあふれて止まらない。
善すぎて狂ってしまいそうだなんて、きっとこれは薬のせいだから……。
そう言い聞かせておかないと、自分を保っていられなくなりそうだった。
───フワフワとしてあたたかいなかを、たゆたっている。
それは幸福感につつまれていて、とてもおだやかでうっとりとするような心地のものだ。
それがふいに失われ、ドッと重力が押し寄せてくる───
そして、目がさめた。
あぁ、ヤッちまった……。
ハッと目がさめた瞬間、とっさにそんなことを思う。
えぇ、それはもう二重の意味で。
からだ中がダルくて重いし、腰は痛いし、もっと言えばお尻のほうの違和感なんかは、いまだになかに入ってるんじゃないかってくらい鮮明に残っていた。
たった一晩のことなのに、それまでの常識を根底からくつがえすようなアレやコレが起きたのは、言うまでもない。
改変済み世界での『変態保健医』こと、セラーノ・デルソルの納得いかないキャラクター改変を食い止められたのは、まだほんの少し前───昨夜のことでしかない。
そのおかしなキャラクター性は実は演技だったということで、無事に済んだものの……結果的に俺自身は無事じゃなかったというか。
……うん、見事においしくいただかれました───『星華の刻』の隠し攻略キャラクターのひとりであるブレイン殿下に。
と、いうよりもだ。
ブレイン殿下からは『最後まで責任を取る』とか言われたけど、はたして今の状況は責任を取ってもらったと言っていいのだろうか……?
むしろ俺の被害が拡大しただけなんじゃねぇの??
なにしろ昨晩は、それまで冗談のように口にしていたぶち犯フラグをきっちり回収するように、それはもうねちっこく抱かれましたとも!!
最後なんて、出るものも出尽くして薄くなって、なかば気絶するように寝落ちたような気もするんだけど。
え、あれ……??
おかしくないか、それ?ってなったの、気のせいじゃないよな?
だって、あの場に放置したら『ヤリ部屋』と呼ばれるそこに、その目的で来たヤツらに食われかねないからって、一応保護目的で連れてこられたハズなのに。
いわく、『ゴブリンの巣の前に若い女性を放置するようなもの』だとか言われて。
つまりは足腰が立たなくなるくらい、犯されるってことだと思うけど……。
結果的に相手が不特定多数からなのか、それともちゃんとしたゲーム本編の攻略キャラクターのひとりからなのかってちがいはあるけれど、ヤラれたことはそう大きくちがわない気がする。
───結局のところ、それを人は『本末転倒』と呼ぶんじゃないだろうか?
うーん、これはもう言い逃れのしようがない、よな……?
まして相手がゲームの隠し攻略キャラのブレイン殿下で、昨夜のうちにささやかれた甘いセリフがゲームのなかでヒロインに言うのとおなじだったとか、偶然の一致にしては嫌すぎる。
それってつまりは、昨夜のブレイン殿下はあんなにも情熱的だったけど、実は『だれが相手だろうと、そういう場面で必ず口説き文句としてそういうことを言う人だ』ってことにはならないだろうか??
だって俺はヒロインとはちがって、ブレインルートのラブイベントとか、なにひとつクリアしてない一般人なんだから。
そうかんがえてみたところで、大丈夫、今朝は胸が痛むことも、まして泣いてしまうことなんてなかった。
やっぱり昨日の俺は、どっかおかしくなっていただけなんだな!?
ホッとしたところで、あらためて目をそらしていた現実と向き合う。
えぇと───ここ、どこだ??
思わずそんなことを思うくらいには、その景色には、まるで見おぼえがなかった。
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