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登城準備
しおりを挟む「リリー、起きて」
「むりぃ…腰に力入んない…」
リリアーヌは何度達したかも分からず結局気絶したように眠りについた。そんなに長期戦をして腰が抜けてないという方がおかしいだろう。
ルシアンはそんなリリアーヌに甲斐甲斐しく世話を焼いている。湯浴みをさせた後、ドレスアップをさせて仕上げを侍女に任せる。
「綺麗だよ…さすが僕のリリー」
「ちょっときもちわるい…」
ルシアンの異様な目にリリアーヌは少し本音が漏れてしまった。
「なんか言った?」
「…なんでもない」
「まあ今はいいや。公爵夫妻が馬車で待っているからもう行こう。」
ルシアンはエスコートをするために自分の手を差し出す。だがリリアーヌはその手を一向に取ろうとしない。それもそのはずなんとか自分で立てるようになったものの歩くことは難しい。ルシアンはそれがわかっているのにわざとらしく首を傾げている。
「どうしたのリリー?言ってくれないとわからないよ?」
「…んで……さい…」
消え入りそうな声で言葉を紡ぐ。
「ごめん、もっとおっきな声で言ってくれるかい?」
「1人じゃ歩けないので、運んでください!」
リリアーヌは声を大にして、それでして顔を真っ赤にしながら叫ぶように言った。
「ふふっ、1人じゃ歩けないんだね。それはしょうがない、僕が馬車まで運んであげるよ。」
ルシアンは軽々とリリアーヌを持ち上げて颯爽と歩いて行った。
すでに公爵夫妻は馬車におり、運ばれて登場した我が子ににっこりとした笑みを浮かべた。もちろん、面白がっている方だ。
「あらあらあら、昨晩はお楽しみだったようね♪」
とは公爵夫人。
「我が妻との娘だ。箍が外れてしまうのもわかるぞ」
と言っているのは公爵。そして2人は人前にもかかわらずいちゃつき始める。
リリアーヌは両親に自分の情事が全て筒抜けということにやっぱりかと思うだけ。2人がいちゃつくのはいつものことなので、そこはスルーする。ルシアンはというとリリアーヌに夢中すぎて夫妻のことは目に入っていないいない模様。おんなじ空間にいるのに、互いのことは認識していない。なんとも不思議な光景だ。
そうこうしているうちに王城に着き、やっと歩けるようになったリリアーヌはルシアンにエスコートされながら、馬車から降りた。だが抱っこされて登場するという筋書きがあるので、ルシアンは至極幸せそうな顔をしながらリリアーヌを縦抱きにして移動し始める。心地いい揺れにリリアーヌは眠ってしまいそうになるが、なんとか耐える。
そして謁見の間に到着した。
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