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公爵家
しおりを挟む「ただいま!」
「リリー、おかえり」
「リリアーヌ、1日ぶりだな」
屋敷に着くと公爵夫妻がリリアーヌを出迎える。リリアーヌはルシアンに支えてもらいながら移動し、思いっきり2人に抱きついた。
「ルシアン君もよくきたわね。ぜひゆっくりしてくれると嬉しいわ。」
「ああ。今から今後のことについて話し合おうか。サロンでいいかな?」
「ええ。公爵閣下も夫人もお元気そうで何よりです。」
リリアーヌが1人で歩けないことに公爵夫妻は何も言わない。ただただ笑ってる。
ルシアンはリリアーヌを抱えたまま使用人に案内されてサロンに入った。ルシアンは2人がけの椅子にリリアーヌを膝に抱えたまま座った。
「はは!仲が良さそうで何よりだ!」
「ええ、おかげさまで。」
公爵は嬉しそうだ。自分の愛娘をここまで甘やかしてくれていることに喜びを隠せなかった。夫人も幸せそうな顔をしている。
「早速本題に入るが、明日王宮に呼ばれている。もちろん貴殿もだと思うが、謁見の間に入る際はリリアーヌをエスコートしてくれ。できれば今みたいな嬉しそうな顔をして。」
ルシアンはリリアーヌを自分の膝の上に乗せられてにっこにこだ。その表情を国王含めた重鎮たちに見せることで相手の顔の変化を愉しむと公爵は言っているのだ。
「面白そうですね。ぜひやらせていただきます。」
「おお!わかってくれたか!さすがリリアーヌの夫だ。」
「ちょっとあなた、まずはそれを聞かなきゃ」
「そうだったな」
夫人に諭されて公爵はリリアーヌとの婚約兼婚姻について話し合う。
「昨日の貴殿からの使いから想像するに2人は一夜を共にしたのだろう?貴族社会では純潔が重んじられる。リリアーヌの純潔はそなたがもらったのだから、当然娶るつもりなのだろう?」
「ええ、許してくださるのならばもちろんです。」
リリアーヌは頬を紅潮させる。突然自分の閨事情を話されたのだ。恥じらいくらいはある。だが2人は気にせず話し続ける。
「そうかそうか!ところで貴殿の女性関係は?あんまり派手すぎるようならばリリアーヌを嫁がせることはできないが。」
「ご心配なく。婚約者もいたことはございませんし、昨日リリアーヌ嬢としたのが正真正銘初めてですから。」
「えっ?嘘でしょ?すごい上手だったじゃない?」
リリアーヌは思わず口を挟んでしまう。
「嘘じゃないよ。ずっとリリー一筋だし、貴族の男なら当然閨教育もひと通りは習うからね。昨日はあれでも緊張していたんだよ?」
「…ソウデスカ」
あんなに気絶するまで達せられて抱き潰しておいて初めてとか信じられないからかカタコトになってしまう。
「信じてないね?今日は信じてくれるまで抱き潰そうか?」
「ひっ、信じます信じます疑ってすみませんでしたっ!」
ルシアンの本気そうな声色を感じ取ってリリアーヌは息継ぎをせずに言い切った。公爵夫妻は生暖かい視線を向けている。
「あら?今日も構わないわよ?リリーがルシアン君に抱っこされて登城するのも面白そうじゃない?」
「それもそうだな!素晴らしい考えだ。それでこそ私の妻だ、今日も愛おしい」
突然公爵夫妻がいちゃつき始める。リリアーヌはというと顔を青褪めさせている。
「リリー?大丈夫だよ、何も考えられなくなるまでぐずぐずに溶かしてあげる。今日も楽しみにしていてね。」
公爵夫妻がいちゃついているのでルシアンもリリアーヌにキスを降らせる。もうめちゃくちゃだ。空気と化してた執事が見かねたのかわざとらしく咳払いをする。
「こほん。仲が睦まじいのは良いことなのですがお話の続きを…」
「おーすまんすまん。話を戻すが、明日提案の一つとして君たちの婚姻の許可をもらおうと思っているがいいか?」
「ええ、必ず幸せに致しますのでお願いします。」
「ああ」
「話が変わって申し訳ないのですが、公爵様に稽古をつけていただきたいのですがいつかお時間をいただけませんか?」
「構わないぞ!昨日妻ともその話をしていたんだ。王家との話し合いが終わったあとでよければいつでもいいぞ」
「よろしくお願いします」
こうして話し合いは終わった。
リリアーヌは顔を青褪めさせたままルシアンに自分の寝室に連れてかれた…
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